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2012-02-23

[]ASD幼児は生後6ヶ月から脳画像に兆候が・・・という研究

これからご紹介する研究は、私が眺めている範囲内では今のところ今年になってから最も広く取り上げられている研究だと思います。

自閉症は介入が早ければ早いほど、その介入の効果に期待が持てそうだというのがコンセンサスになっていて、そのためにはいかに早く見つけるかが鍵を握ります。一言で言えば、早期発見早期介入が重要だということです。

今回、ノースカロライナ大学が行った研究は年上のきょうだい(つまり兄や姉)が自閉症と診断されている子どもたち(92人)を集めて前向き研究を行ったもの。まず、生後6ヶ月の時に脳画像(MRIの一種で拡散テンソル画像(DTI)と呼ばれるもの)を撮ることから始め、12ヶ月や24ヶ月でも同じように脳画像を撮りました。そして24ヶ月の時にASDの基準を満たした幼児(28人)とそうならなかった幼児(64人)について、過去の脳画像を振り返ってみて、そこから伺える脳の発達の違いを比較してみたというのが方法の概要。

この結果、ASD群は白質繊維束(神経線維の集合で脳の各領域をつなぐ経路)と呼ばれる部分の発達に統計学的に有意な差が見られたというものです。異方性比率(FA)がどうとか書いてありますが、私は詳しくないのでここで詳細を解説できませんが、この研究は自閉症の行動的な兆候に先駆けて、1歳未満の段階から白質経路の異常な発達が徐々に生じている可能性を示唆しているとしています。


論文の要約部分は以下のとおり。
■Differences in White Matter Fiber Tract Development Present From 6 to 24 Months in Infants With Autism- American Journal of Psychiatry
(6〜24ヶ月の自閉症の幼児から存在する白質繊維束の発達の差異)

この解説の一つ。
■In Infants Who Develop Autism, Brain-Imaging Differences Evident At 6 Months- Medical News Today
(自閉症になる幼児において、6ヶ月で脳画像に明白な差異)

将来的にはASDのハイリスク児に対するバイオマーカー(評価指標)として期待される面があるのですが、以下のブログにおいては、今回の研究はグループとしての比較で大きな差異を見出しているものの、個人レベルではまた別の話であり、診断ツールとしての有用性について語ることのできるものではないと解説しています。

■The Autistic Brain at 6 Months- NeuroLogica Blog
(6ヶ月の自閉脳)

また、このブログでは本研究について、ASDが遅くとも生後6ヶ月という早い時期に既に始まっているという他の研究を支持するものであること、自閉症が脳内における部分的なコミュニケーションの障害であるという他の研究を支持するものであること、また、自閉症が生後6ヶ月で既に始まっているとすれば、生後6ヶ月以後の環境曝露は重大な原因にはなりえないことを意味し、MMRワクチンをはじめとする多くのワクチンは生後6ヶ月以後に摂取されることなどにも言及しています*1


この研究には多くの団体が資金提供をしていますが、その一つにAutism Speaksもあり、同団体のChief Science OfficerであるGeri Dawson博士はこの論文の共著者として名を連ねています。Autism Speaksのサイトでも解説記事が掲載されています。

■Researchers See Differences in Autism Brain Development as Early as 6 Months | Science News - Autism Speaks

このサイトでは本研究の功績と今後の期待について強調されていますが、一方で、同団体の公式ブログにおいて、Geri Dawson博士自身の投稿によって、上記でご紹介したブログ記事と同様に、本研究にはさらなる研究が必要であり、現段階でスクリーニングに用いるにはあまりに予備的なものなので親は慌てることのないよう釘が刺すコメントがなされています。研究成果のアピールばかりするのではなく親たちに対する配慮を示す辺りは好感が持てると思います。

■New Findings Hold Promise for Revolutionary Pre-Symptom Screening - Autism Speaks Official Blog

Parents who are concerned that their baby might be at risk for autism may be wondering whether they should ask their doctor to order an MRI. The results published today are too preliminary for that. We are not recommending MRI screening for autism at this point. The best way to screen for autism at this time is to look for early behavioral signs (see Learn the Signs) and use screening tools such as the M-CHAT.
赤ちゃんに自閉症のリスクがあるかもしれないと心配している親たちは医師にMRIをオーダーするように要請するべきではないかと思うかもしれない。今日発表される結果は、それに関してはあまりに予備的である。我々は現段階では自閉症のMRIスクリーニングを推奨していない。現段階における自閉症のスクリーニングの最善の方法は早期に行動の兆候を探すこと(「自閉症の兆候を学ぶ」を参照)とM-CHATのようなスクリーニングツールを用いることである。

*1:ただ生後6ヶ月以前に打たれるワクチンも若干あるので自閉症ワクチン原因説の信奉者は次にはそこを指摘してくるするのではないかということも述べています。