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2012-02-09-木 心はすでに京都です

また寒くなってきた昨日は、こってりしたラーメンが食べたくなって、帰りに途中下車。しっかり、ブックオフに寄るもまったくかすりもせず。雨の前後は買い取りが減るのか、品出しがないせいでアルバイトがヒマそうだ。大きめの書店があるところなので、ひょっとして月刊『みすず』があるかもと期待をして探したがなかった。こうなったら、京都で買おう。代わりに1月に出た新刊で、ちょいと気になっていたものを買うことにした。なくなってからかなり経つが、『噂の真相』世代なんですよね。



目次など版元の紹介ページhttp://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480066459/


明日は午前5時には起きて、諸事雑用をこなしてから京都に向かうことになるが、ガケ書房田中美穂さんと山本善行さんのトークを聴いた翌日の11日には、市内を回ろうと思っている。5年連続で8月の下鴨清涼古本まつりに参戦しているが、最近はすぐ後に大阪や神戸に向かっているので、駈け足になり気味。だから、1日ぶらぶらしながら回るのが楽しみでもある。

『月刊京都』去年6月号の特集「古書の楽しみ方」には、地図が載っているので回る順番を考えながら、三月書房をはじめとした新刊書店もいつか寄ろう。真冬の京都は寒いだろうなぁ。

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2012-02-07-火 天民から定明へ

不思議なもので、時間に追われていると意外と読書が捗ることがある。試験勉強のころからのことなのだが、現実逃避したくなればなるほど読むことに身が入るところがあるのだ。

さすがに完徹したころは『彷書月刊』のバックナンバーで大逆事件のところを摘み読みするくらいだったが、その後に、海野弘さんの『花に生きる 小原豊雲伝』(平凡社)を読み終わっている。三大いけばな流派のひとつ小原流の三世家元の評伝。海野さんの興味の広さにただ驚くばかりだったが、未読作品は山のようにまだあるぞ。

佐藤清彦『奇人・小川定明の生涯』(朝日文庫)も読了している。このブログで買ったところまで書いたので、ちょっと詳しく触れてみることにしよう。松崎天民と同じく、明治、大正の記者であったことから興味が湧いたわけだが、予想以上の大物ぶりだった。

思想家、三宅雪嶺 が主宰した『日本之日本人』大正10(1921)年9月20日号の特集「現代人物一百人」では、宮武外骨のところで南方熊楠、外骨と並び小川定明が三奇才兼三畸人として記されているほどなのだ。

小川定明は『大阪朝日新聞』や『大阪新報』などで、日清戦争、マニラの米西戦争、日露戦争の従軍記者として、死線をさまよいながら活躍している。一方で、つつもたせの被害にあったり、文字通りの1号新聞の編集総括者になったりと、大物ならではのエピソードにもこと欠かない。

ではなぜ名物記者といってもいい小川定明が忘れさられた存在になってしまったか。著書が晩年の『新聞記者腕競べ』(須原啓興社)1冊だけで、天民とちがって、自分を語ることをしなかったことも大きいのだが、新聞記者を辞めた後の生き方と密接に関わっていることが読んでいくとわかってくる。

記者から突如、半井桃水の斡旋で、千葉県成東町の鉱泉旅館の下男、晩年には北海道・小樽の孤児院の小使になり果ててしまっているのだ。ふつうに考えれば、落ちぶれた晩年となるのだろうが、実際には旅館や孤児院では参謀のような役割を果たしていて、小川定明は自ら望んでなっている。

だから余計に晩年の行方がつきとめることが難しいのだが、本書がスリリングであるのは、少ない資料から関係者の縁戚に辿りつくところだ。読み終わってみれば、茶目っけもある人柄が浮かび上がってきた。

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2012-02-06-月 夜のブ活動

先週は、ただでさえ忙しい月末と月初めだったのだが、一番起きてはいけない時期にシステム上のトラブルに見舞われて、その善後策に時間を費やして大幅に予定がずれ込んでしまった。つい5年くらい前には年中当たり前のようにしていた完徹を久ぶりに経験したら、その後、ガクンと体調が落ち、一段落するともう週末になっていた。

ようやく、平常のペースに戻れたが、今度は10日に京都行くための算段をつけておかないとまずいので、できるところから前倒しの作業を進めている。本当は月刊『みすず』1・2月号の「読書アンケート特集」(http://www.msz.co.jp/book/magazine/)が欲しいのだが、近場で置いてあるところがないので、神保町まで買い出しに行かなければならず、時間がなくてガマンしている。Twitterを眺めていたら、恵文社で売っているようなので、こうなったら、京都で買うしかないのかもしれない。

そんなこんなで夜が遅くなってしまったが、今日はブックオフに立ち寄ることにした。先週はまったく寄れなかったが、なにより定点観測が大事。午前0時まで営業しているところを攻める。1軒目では、小口に少シミがあったが、講談社文芸文庫で105円ならとまず押さえた。


死の影の下に (講談社文芸文庫)

死の影の下に (講談社文芸文庫)


単行本コーナーに移り、歌集などがたくさん置いてあるところに、同じ本が2冊あって、帯付で状態の良い方を選ぶ。


■『伊香保みやげ』(伊香保書院)

※平成8(1996)年10月刊。ISBNコード(国際標準図書番号)が付いていないのだが、版元の所在地が伊香保の徳富蘆花記念文学館内となっているから一般にはあまり流通しなかったものかもしれない。大正8(1919)年、神田の仲猿楽町にあった伊香保書院から出版された復刻本のようだ。幸田露伴、岩野泡鳴が序文、谷崎潤一郎芥川龍之介徳田秋声田山花袋近松秋江島崎藤村ら41人の文士が文章を寄せた伊香保案内のアンソロジーといったところだろう。買う決め手は、松崎天民生方敏郎が寄稿していたからだ!

10分ほど歩いて2軒目に到着。雨のせいもあって、閑散としていた。こちらはフランチャイズ店なので期待をしていたのだが、単行本、新書・文庫に目ぼしいものはなかった。いつものように最後に雑誌コーナー移動した。歴史と美術関係のところだけはチェックするようにしている。ごくたまに展覧会の図録やムックでオッと思うのがあるし、書籍なのに雑誌扱いになっているものがあるからだ。A5判雑誌がまとめて置かれているところには月刊『文藝春秋』と並んで『本の雑誌』のバックナンバーを見かけるようになったが、去年の6、7、11月号が早くも105円で売られているのには悲しいものがある。

どうも今日はなさそうだとあきらめて帰ろうとした瞬間、守備範囲ではないのだが、これが105円ではまずいだろうというものを見つけてしまった。じっくりと函から取り出して奥付や本文を眺める。最近は、買い取りの基準が甘くなったのか、書き込み本が混じっていることがあるのだ。よし、書き込みはなさそうだ。


ブレイク全著作

ブレイク全著作




※たしか、柳宗悦によってブレイク研究が進んだはずなので、同じ人が売ったものだろうが、なんでまたブックオフに。

後ろを振り返ると、函入りのみょうに厚い本が目に入って、岩崎家の文字が見えた。岩崎といえば三菱だよなぁ。


岩崎弥太郎伝 上

岩崎弥太郎伝 上


岩崎弥太郎伝 下

岩崎弥太郎伝 下


岩崎久弥伝

岩崎久弥伝

※いずれも、昭和61(1986)年の復刊2刷のものだが状態が良い。巻末の出版広告によると、このシリーズは全6巻のようなのだが、並んでいたのは5冊で、うち2冊には3200円と4000円の値札が付いていたのでパス。105円だった3冊だけにした。それにしても、状態は変わらないのになぜだ。

どれも函入りで1冊1キロはありそうな重さがするものだったので担いで帰宅。日本の古本屋やアマゾンのマーケットプレイスを見て、自分の目に狂いはなかったことは確認できた。ただ、古書価だけを考えてこういうことをやっていると、あっという間に本が増えて、収拾がつかなくなってくるんですよね。

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2012-02-04-土 田中美穂さんの『わたしの小さな古本屋』

田中美穂さんの『わたしの小さな古本屋 倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間』(洋泉社)をさっそく入手して読了した。

地元倉敷で古書店を開業するために21歳の時に勤めを辞め、手持ちの本400〜500冊と100万円の資金を元手に本棚づくりからはじめて、平成7(1994)年2月に開店。平成12(2000)年8月に現在地に移転して営業している蟲文庫の今までの経験などを綴っている。

もちろん、蟲文庫の宇宙を構成する猫、亀、苔、天文台といった話はあるし、お店でのイベントやオリジナルグッズの販売ことなどにも触れられている。通読してページを閉じると、ほんわりした文章の中にやりたいことをやる芯の強さを感じさせるものがあった。おそらく、田中さんにとってこれまでの約20年を振り返るということは、今まで築き上げてきたものを確認することになっただろう。


わたしの小さな古本屋?倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間

わたしの小さな古本屋?倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間



[目次]


はじめに


第一章 そうだ、古本屋になろう

そうだ、古本屋になろう

川西町の四軒長屋

古本屋の適性

一〇月二六日革命


第二章 見よう見まねの古本屋

一〇〇万円でできる店

棚板を探して

店の名前は蟲文庫

こころと背骨の文庫本

看板猫


第三章 お客さん、来ないなぁ

父の置き土産

ミルさん

引っ越しの神様

古本屋の姿

青春の炬燵生活

まだつぶれていません

うちの値段

水着の半分

蟲土産と蟲開催

祖父母


第四章 めぐりめぐってあなたのもとへ 

観光地の古本屋

置きっぱなしのブローティガン  

あのときの感想文

木山さんの梅酒

永井さんのこと

苔観察日常

聖書の赤いおじさん

本をお賣りください

文学全集一掃顛末記


第五章 そして店番は続く 

苔と古本の道

おばあちゃんの家

古本の妖精

物干し台の天文台

すぐ目の前にある自由

チョコレートの匂い

隙間暮らし

古本屋のうたう歌

定休日

おわりに


イラスト/やまふじ ままこ

デザイン/井上亮

写真/井上亮+著者



去年10月に岡山に行った時、蟲文庫に寄ることができた。倉敷駅南口のアーケードの商店街を抜けて、美観地区と呼ばれる環境保存地区を歩いて行くと、だんだん景色が変わってきた。明治中期に建てられた「町屋」なのだそうだが、まるで時代劇のセットにでも迷い込んだような空間なのだ。連休中ということもあって、集団で観光客が歩いていた。近くに大原美術館がある。

店内には、若い観光客のお客さんたちがいた。入って来てここが古本屋さんであることを知ったようで、古本には興味があるというよりはお土産屋にでも入ってくるような感覚なのだろう。

ちょっとすると、日本語ペラペラの外国人が若い日本人たちを連れて来て古本を買うように勧めている。どうやら、外国人は先生で、日本人の生徒を連れてきたようだ。先生が頼んでいた探求書が見つかったといって田中さんと話をしていた。長年、数多くの古本屋さんに出入りしているが、観光客と地元の人の会話を聞くとなしに聞いていると、だんだん古本屋さんにいる感覚がなくなってきた。

雑誌や岡崎武志さんの『女子の古本屋』(筑摩書房)で取り上げられていたこともあったし、ブログ「蟲文庫」(http://mushi-bunko-diary.seesaa.net/)も読んでいたから予備知識があったつもりだったのだが、品揃えを見てビックリすることになった。文学や自然科学を中心に、歴史、思想、実用書、マンガ、児童書まで、じつにオーソドックな街の古本屋さんの品揃えだったのだ。一種のセレクトショップではないかと勝手にイメージを持ってしまっていたのだが、オールジャンルに目配りの利いていて、やはり、この辺りは、来なくてはわからないものだ。

岡山に行ったのは木山捷平の詩碑と笠岡図書館2階の展示コーナーに行くためでもあったから、本書で詩碑と生家を訪ねた「木山さんの梅酒」も印象に残ったのだが、古書組合に属せず、ほとんどをお店での買い取りで賄う自給自足の品揃えを見ると、またちがった気持ちが湧いてくるところがある。

それは、1冊のリチャード・ブローティガン『アメリカの鱒釣り』が手元に届いた経緯を描いた「置きっぱなしのブローティガン」のところだ。本は天下の回りものを実感させてくれて、古本屋さんの醍醐味ともいえるエピソードでもあったからよけいによかった。

ちょうどこの本を買った日に行けるメドがなんとかついたが、刊行記念として2月10日(金)午後8時〜、京都のガケ書房で開催される田中美穂さんと古書善行堂の山本善行さんのトークを聴きに行くことにしました。http://www.h7.dion.ne.jp/~gakegake/

okatakeokatake 2012/02/06 11:46 紅屋さん、京都、行ってくれるんですね。頼もしい助っ人です。善行堂も「紅屋さん、来てくれるんや!」と喜んでいました。

紅屋紅屋 2012/02/06 14:37 岡崎武志さん

地元京都の方は別ですが、きっと聴きにいきたくてもいけない人が多いトークだと思いますので、そこに参加するのが一種の使命だと思っています。雪などで新幹線が遅れないといいのですが…。翌日は、市内の新刊書店と古書店を回ってきます。

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2012-01-29-日 次の本へと繋がる

それにしても寒い。日本も冬はツンドラ気候、夏は亜熱帯に変動してきているのではないかといいたくなってくるが、寒い上に今日は風も強くなると外出をしたくなくなってくる。

そういえば、南極観測船しらせが、昭和基地の手前で厚い氷に阻まれ接岸を断念したニュースがあったが、地球温暖化の話はいったいどこへいったのだろう。

遠出をあきらめて、パソコンで資料作成に時間を費やしたのち、逢坂剛さんのイベリアシリーズの続き、第5弾の『鎖された海峡』(講談社)を堪能。その次に、夏堀正元『銀座化粧館 小説 資生堂』(徳間文庫)に取り掛かった。

著者については、社会部記者を経て作家として独立し、経済小説で活躍をしたくらいの知識しかないのだが、下山事件がテーマの『罠』と、徳田球一宮武外骨中野正剛出口王仁三郎らを描いた『日本反骨者列伝』(いずれも徳間文庫)を読んだことがあった。

今まで資生堂への興味は、もっぱら、意匠、宣伝・広告のことで、あとは、大正から昭和初期に永井荷風をはじめとして文士が描いた銀座の資生堂パーラーのモダンさといったところに目を向けていた。

本書では、薬局を源流とする資生堂が、化粧品事業に進出し、幾多の難局を乗り切ってきたのかを明治、大正、昭和の銀座の移り変わりを織り交ぜながら描いている。とくに、小売店のチェーンストア化と問屋の販売社制度といった経営の視点に費やされていたところが新鮮だった。企業としての資生堂を理解するには十分役立った。

ただ、単行本の刊行(昭和51=1976年)当時の経営陣に取材しているようなのだが、内部の詳しいやり取りなどの出典や参考文献が明示されていないので、どこまでが事実で、どこからがフィクションであるのかがわからないところがある。

そこで、出たばかりの新刊で、目をつけていたこの本を買うことにした。


目次と立ち読み http://www.shinchosha.co.jp/book/603697/


戻ってきたらきたら、この文庫が届いていた。


奇人・小川定明の生涯 (朝日文庫)

奇人・小川定明の生涯 (朝日文庫)


先日、読み終わった、坪内祐三さんの『探訪記者松崎天民』(筑摩書房)で、天民と並ぶ探訪記者と触れられていたとあれば興味が湧いてくる。小川定明のことは名前だけは知っていたが、この文庫はノーマークだった。『探訪記者松崎天民』を読んで以来、ブックオフや古書店で必ず朝日文庫をチェックしていたのだが見つけられずに、アマゾンのマーケットプレイスで1円(別に送料250円)だったので、つい注文してしまった。それが2日後には届くのだから、やはり、便利なものだ。

読書は、同じ著者を片っ端から読んでいく楽しみもあるが、読んだ本から次の本に繋がることもまた楽しい。

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