2008-05-29-木 長谷川時雨展へ 
江藤淳『海は甦える』第5巻を読了。国会でシーメンス事件の対応に追われたのち、予算の不成立が確実になり、山本権兵衛は内閣総辞職して表舞台から去るところで、この大河小説の幕が引かれる。読み終わってまず頭をよぎったのは、9年半後に第二次内閣を組閣しているので、小説としてはもっと続きを読んでみたかったこと(もう永遠に叶わないわけだが)。同時に、やはり江藤淳の意図は、主人公の山本権兵衛を中心に描きながらも、海軍を通して明治から大正の日本そのものを描きたかったのではないか。そういうことが思い浮かんだ。今は全5巻をパラパラと読み返しながら余韻に浸っている。
一昨日、「森茉莉街道をゆく(+長谷川時雨)」さん(http://blog.livedoor.jp/chiwami403/archives/51386949.html)を読んだら、「長谷川時雨〜その華麗なる生涯と業績〜」が中央区で開かれていることを知った。行きたくなったら走り出せということで、会場のタイムドーム明石特別展示室 区民ギャラリーへ時間を気にしながら大慌てで向かった。
長谷川時雨のことを知ったのは、夫で作家の三上於菟吉の小説の解説か、大衆文壇史についての本の三上於菟吉のところだったと思う。その後に岩波文庫から出ている著書の『旧聞日本橋』と『近代美人伝』で文章のうまさに唸り、岩橋邦枝『評伝 長谷川時雨』を読んで、江戸っ子気質と姉御肌が魅力的でファンになった。
今回の展示物は、著書、書簡、原稿だけでなくて、着物、琴、インク壺、屏風まで多彩なもの。十分見応えがある。執筆順に見ていくと、やはり時雨も『女学世界』や『投書家倶楽部』への投書からはじまって、脚本、評伝、劇評、随筆を書いた後に、小説へと進んだことがわかる。書簡は達筆すぎてよく読めなかった。また、妹で画家の長谷川春子と三上於菟吉も、コーナーがそれぞれあって、著書、原稿(挿絵)、書簡など展示されていた。広津和郎が絶賛していて前から欲しくてたまらない、於菟吉の『随筆わが漂泊』(サイレント社)も展示されていて目の保養をする。
図録は、A4版全12ページ。無料でもらえる。また、所蔵目録が別にあって受付で300円で販売している。こちらは図録と同じ表紙でやや紛らわしいが(小さく所蔵目録とは書いてはある)、A4版全38ページ。資料としてなかなかいい出来だと思う。
「第5回特別展 長谷川時雨 〜その華麗なる生涯と業績〜」は7月6日(日)まで開催されています。詳しくはコチラ→http://www.city.chuo.lg.jp/event/culture/sigure/index.html
