2012-01-02-月 ブックオフの買い取り査定 
岡崎武志さんからブックオフの買い取り査定が店舗によって基準がちがうのではないかとご下問がありましたので奉答をいたします。
ブログ「okatakeの日記」
http://d.hatena.ne.jp/okatake/20111231
まず、ブックオフの買い取りの仕組みをご存じない方のために、基本的なところから説明をします。ブックオフのウェッブサイトには「買取対象商品」があります。買い取ってもらえるものと買い取れないものの目安などが書いてあります。
http://www.bookoff.co.jp/sell/subject.html
次に本のジャンルごとの買い取り価格を表にしてみました。
これは企業秘密ではなくて、たしか創業者など関係者の著作などでも明らかにされていたものです。ほかに、雑誌、コンビニコミックもランクはありますが、おおむねこのランクと変わらず、雑誌では1冊5円で買い取っていたケースを店頭で見たことがあります。このランクは、ネットでも流布しているもので、検索してもらえばすぐ見つけることができます。
たとえば「ブックオフの買取が100倍分かるブログ」
http://bookoff-otoko.seesaa.net/
表を見てもらえばわかるように、それぞれジャンルごとに上限があります。文庫でいえば、講談社文芸文庫だろうがちくま学芸文庫だろうが高い定価の商品でも買い取り価格の上限は50円です。単行本ですら最高で150円になります。
買い取りの基準は、保存状態がよく、綺麗かどうかが重要で、かつ発売の新しいものが高い買い取り金額になります。汚くて、発行年の古いものは買い取りの対象になりません。既存の古書店が重要視する希少性などは考慮されていないところが特徴です。
特AからCまでランクが分かれていますが、下がるごとにブックオフ側で研磨機などを使った加工やクリーニング作業の手間がかかるため、その分安くなっているようです。Dランクの0円と査定されたものは、持ち帰るか、店舗で引き取って、専門業者に委託し、古紙の再生資源となっているようです。
店頭買い取り以外の出張買い取りや宅本便は、運搬コストや人件費が掛かるので、査定金額はさらに下がるようです。
上記の価格表に例外があって、古本市場などほかの新古書店が発売後数カ月以内の新刊の売れ筋銘柄に限って、数百円と高い買い取り価格を表示しているために、ブックオフでもこれら確保するために高価買取しています。
今は在庫がダブつき気味なので下がっているようですが、去年の一時期『ONE PIECE』全巻を1冊200円〜250円で買取している旨のポスターが貼ってあったことがありました。これは状態の良いものに限るのでしょうが、定価が410〜420円のものです。
じつはブログをはじめる前の5年くらいにかなり本を整理したのですが、知り合いの古本屋さんにはそぐわないようなものをためしに2回、売りに行ったことはあります。この時は、1回目で買い取りを拒否されたものをちがう店舗で売ることができました(1冊10円にしか過ぎませんでしたが)。
ただし、買い取り金額が安いことによってブックオフが不当に利益を上げているわけではなそうです。IR情報で開示されている機関投資家説明会資料の「決算・数値情報」を見てみます。
最後のところを書籍類としたのは、雑誌、その他書籍というジャンルが含まれているためです。この数値は直営店のものになりますが、ここ数年の数値は、数円の差が生じることはありますが、ほぼ安定をしています。
販売単価は売れた1冊あたりの金額。在庫単価は買い取った1冊あたりの金額になります。ブックオフの値付けは、単行本や文庫・新書は、定価の半額から端数を50円単位で切り上げたものと105円に値付けは分かれます。この表によると、1冊あたりの平均単価は251円になっています。おそらく、105円本が多く売れ、かつ半額本も定期的なセールの開催よって単価が下がっているからだと思われます。買い取りが年々増えているので、過剰在庫にならないように在庫をコントロールするためセールをしているところもあるでしょう。
よくブックオフのビジネスモデルは、定価の1割で買い取ったものを半額で売るので粗利益率は8割といわれますが、2011年3月期の実績では、書籍類の平均で1冊売って粗利益こそ約83%がありますが、33円で買い取ったものを193円で販売しているので、粗利金額では160円にしかなりません。新刊書店の粗利は23%程度なので、160円の粗利金額を上げるのは約700円の商品を売ったのと同じことになります。700円といえば、文庫か新書を1冊売ったくらいの単価なのです。
この中から店舗の家賃やアルバイトの賃金などの店舗維持費をねん出するのですから、買い取り金額を今よりも上げるというわけにはなかなかいないところでしょう。つまり、買い取り金額が低いのは、じっさいに売れる販売単価が低いので、結果として安くなっているところがあるのです。理論上は、買い取り量が少なくなって、販売単価が高くなれば、買い取り金額が高くなるでしょうが、これだけリサイクル率が上がり中古本の流通が増えたので、今後、そうなることはまずないと思います。
ちなみに年間の買い取り金額の総額は、ブックオフ全体で311億2700万円。うち書籍などは186億7500万円を費やしています。
以上が基本的な買い取りの状況になります。本題の店舗によっての買い取り価格のちがいがあるかどうかです。そこで参考にするのがセドリの人たちです。セドリをする人たちにとってブックオフは仕入れ先であると同時に売り先でもあります。つまり、効率を考えると一定期間売れなかったものはスペースの無駄になりますし、競合出品者が増えて価格が値下がりしたものを整理するためにも定期的に持ち込んでいるようです。
具体的なデータを重視しているので読んでいるですが、ブログに「せどりとアフィリエイトでプリウスを買うぞ!」があります。同じ商品を複数店舗に持ち込んでいます。1軒目で買い取り不可だった商品も、別の店舗では買い取ってもらっていることがわかります。
ブックオフ買取査定の不思議
http://plaza.rakuten.co.jp/sedori/diary/201008270000/
ブックオフ買取査定の不思議 その2
http://plaza.rakuten.co.jp/sedori/diary/201008280000/
ブックオフ買取査定の不思議 その3
http://plaza.rakuten.co.jp/sedori/diary/201009060000/
査定のよいところ、比較的査定が厳しい店と記述があるように、それまでの経験から印象も記述べています。マニュアル通りでまったく同じ対応であれば生じないことです。必ずしも、その印象通りでないところもあります。アルバイトなど店員の対応によっても変わってくるところがあるようです。
岡崎さんが『古本道入門』(中公新書ラクレ)で指摘をされていることですが(P169〜170)、直営店では古書ぽい本を見かけないのに、フランチャイズ店では黒っぽい本までいかなくても灰色ゾーンの面白い本を見つけることができると書かれていました。これはまったく同意見なのですが、マニュアルを使い、本部から店舗指導を受けているはずなのに、仕入れ(買い取り)の基準に幅があることわかります。直営店では買い取りを拒否されても、フランチャイズ店では買い取ってもらえる可能性があるということなります。
直営店とフランチャイズ店を比較すると、売上や利益の面では直営店が上回っています。これは、店舗運営がしっかりしているせいもあるでしょうが、どちらかというと、直営店は駅前などの立地条件が良い場所が多く、フランチャイズ店は少し離れたところが多いために集客力に差が生じていることが考えられます。ですから、買い取り量もフランチャイズ店には不利なので、結果として直営店では仕入れないものであっても買い取るケースがあるかもしれません。買う立場からするとフランチャイズ店のほうが、意外なものに掘り出すチャンスが多いです。昨年3月末現在で、本を取り扱っている店舗数は、直営321店、フランチャイズは585店になります。
結論としては、本の状態を確認には、どうしてもアルバイトの主観が入ってくるために誤差が生じることがあるために一律マニュアル通りにはいっていないこと。また、直営とフランチャイズなど店舗ごとによって対応にちがいがあります。さらに付け加えるなら、買い取り時期によって在庫状況も変わってくるので、買い取り金額が変わってくる可能性があります。もっとも、ジャンルごとの上限が決まっているので、1冊あたりせいぜい10〜30円くらいのレベルではちがってくる程度のものではないかと考えられます。
もしブックオフが生活圏に複数の店舗があって、少しでも高く買い取ってくれるために手間を惜しまないのなら、回ってみることをおススメします。
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