震える岩 霊験お初捕物控 (講談社文庫)

震える岩 霊験お初捕物控 (講談社文庫)

ふつうの人間にはない不思議な力を持つ「姉妹屋」のお初。南町奉行根岸肥前守に命じられた優男(やさおとこ)の古沢右京之介と、深川で騒ぎとなった「死人憑き」を調べ始める。謎を追うお初たちの前に100年前に起きた赤穂浪士討ち入りが……。「捕物帳」にニュー・ヒロイン誕生!人気作家が贈る時代ミステリーの傑作長編。


ようやく宮部みゆき作品2冊目…。本書は江戸時代後期の江戸を舞台にしながら、100年前の忠臣蔵の話題も盛り込ませている。2つの時代を行き来しながらもスイスイと読ませる腕は流石。忠臣蔵の話題もしっかりと頭に入ってきました。もしかして時代物って面白いかも、と私の中の新たなジャンルに興味を抱きました。
扱うテーマも興味深いし、それをミステリに仕立ててしまうのがまたスゴイ! 霊験、いわば超能力を使いながらも、その設定の中で驚くところを作る。ミステリとしても、江戸モノとしても十分楽しい。トリック重視の知識ひけらかし本とは違うソフトな読み心地。読んでいて当時の江戸が良く分かった気になりました。江戸と現在の東京はホントに同じ場所のことなのか、不思議でなりません。ただスイスイ読みすぎて切ない部分も感情を考える間もなく結末までいってしまったことは少し後悔。
実はこの主人公のお初の初登場は『かまいたち』の短編らしい。お初の登場は嬉しいけれど、順序よく読みたい私としては悲しいような…。

震える岩ふるえるいわ   読了日:2004年07月09日