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2008-07-19

インフレ率の違う表現と、ジンバブエのハイパーインフレよりも上には上がある件

ジンバブエの中央銀行総裁は16日、同国の年間インフレ率が220万%に達したと明らかにした。

読売「ジンバブエ経済は崩壊状態、インフレ率2200000%」

220万%といってもまったくピンとこないので、倍になるまでどれだけかかるか、という形で表してみるとどうなるでしょう?

220万%とは、すなわち1年で22,000倍になるということですが、これは2の約14.425乗。365日を14.425で割れば25.3日となるので、今のジンバブエは1ヶ月弱で物価が倍になる状況です。ちなみに高度経済成長後の日本における最大のインフレは狂乱物価時ですが、この際でも年率23.2%(1973年)。倍になるまでの期間表記ですと3.32年ですから、まるで単位が違います。戦後まで範囲を広げればいわゆる戦後インフレが日本でもっとも激しかったインフレとなり、対前月で年率換算400%弱を記録したことがあります(グラフからは1946年1月と見て取れます)。この「最大瞬間風速」では1年で5倍になる伸び率でしたから、その約2.322分の1である157.2日で倍になった計算となります。約5ヶ月ということで、ジンバブエの足元ぐらいには及んだと言っていいでしょう。

では歴史上名だたるハイパーインフレと比べればどうか。英語版Wikipediaには各国事例が並んでいますが、かの有名な第一次世界大戦後のドイツのインフレについては、In 1923, the rate of inflation hit 3.25 × 106 percent per month (prices double every two days).*と記載されています(実は「倍になるまでどれだけかかるか、という形で表してみる」というのはここからのパクリです)。さすがはハイパーインフレといえば誰もが挙げる事例、2日で倍とはジンバブエの更に上を行きます(ジンバブエで2倍になる頃には6,434倍)。

しかし、英語版Wikipediaを見る限り、このドイツですら史上第4位でしかありません! 人類が体験したハイパーインフレのトップ3における倍になるまでの期間は次のとおりです。

第3位:ギリシャ
28時間(The Greek inflation rate reached 8.5 billion percent per month (prices double every 28 hours).)*→ジンバブエで2倍になる頃には336万倍
第2位:ユーゴスラビア
16時間(Yugoslavia's rate of inflation hit 5 × 10^15 percent inflation between 1 October 1993 and 24 January 1994 (prices double every 16 hours).*)→ジンバブエで2倍になる頃には2,632億倍
第1位:ハンガリー
15時間(It is the most severe known incident of inflation recorded, peaking at 4.19 × 10^16 percent per month (prices double every 15 hours).*)→ジンバブエで2倍になる頃には1.52兆倍

#ちなみにもっと小さい数字まで出してみますと、たとえばハンガリーの月間インフレ率の720乗根(24時間×30日=720、すなわち1時間当たりインフレ率)は4.79%となり、14.823時間=14時間49分強で倍です。昨今の報道ぶりからは4.79%はインフレだ! と言われそうですが、時間率4.79%に比べれば年率4.79%なんて誤差の世界です(笑)。

このように比較してみれば、年率でパーセント表示した際の数字が「220万」などという日常でも了解可能な桁数に止まっているようでは、史上最高にはほど遠いことがよくわかります。ちなみにハンガリーの事例を年率表記してみれば{[4.19×10^(16-2)]^12}×10^2=2.928×10^177%、すなわち、29.28正無量大数無量大数%!

#正=10^40、無量大数=10^68です。

Marv(ま〜ぶ)Marv(ま〜ぶ) 2008/07/21 22:37  いつもためになるエントリありがとうございます。
 自分は経済学まったく素人なもので、インフレというもののメカニズムがWiki日本版とか読んでてもなんかしっくり来ません。高度成長期の日本に起こったインフレと現在ジンバブエに起こっているインフレの原因と構造とが違うものであることはなんとなくわかるのですが・・・・・
 ひるがえってこれからの日本ですが、今みたいに国や自治体としての借金が天文学的にある現状では「ホントに’貨幣’や’通貨’としての日本円って大丈夫なの?いつか紙クズ同然になるんじゃないの?」と漠然とした不安に駆られます。これはインフレと呼んで良いんでしょうか?不況のままそれが起こったらスタグフレーションと言うべきなのでしょうか?よくわからないので日本に起こるかもしれないクライシスに関してご解説頂ければ本当に助かります。

nabezo-rnabezo-r 2008/07/22 01:27 日本円は今でも紙切れですよ。金本位制を離脱した時点で、ドルもユーロも円も、全て紙切れです。別に揶揄するわけじゃなくて、管理通貨制度ってそういうものです。全ての人の信用の上で成り立っているとも言えるし、法律でそう決まっているから通貨として成り立っているとも言えるわけです。どっちが正しいのかわかりませんが(経済学の貨幣論でもこの点は決着ついていません)。

ただ、ジンバブエのハイパーインフレは、特殊な事例ですし、過去の事例を見ても、止める気になって行動を起こしたら半年以内に収束させる事は可能です。政治的にそれが許容されないために、現状を踏襲しつづけているがゆえにインフレが止まらないだけですね。

アルベルトアルベルト 2008/07/22 09:03 最高記録であるハンガリーの例は、北杜夫の小説で昔読んだ記憶があります。確か「怪盗ジバコ」だったかなー?

bewaadbewaad 2008/07/25 04:21 >Marv(ま〜ぶ)さん
基本的には、紙幣が紙くずとなるハイパーインフレ型の経済混乱は紙幣を刷って政府支出に充てるようなことがなければ大丈夫です。

>nabezo-rさん
補足いただきありがとうございました。

>アルベルトさん
情報提供ありがとうございました。↓あたりでも触れられていますね。
http://hungarynewsde.gozaru.jp/608.html
http://www.ichigobbs.net/cgi/15bbs/economy/0959/677

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