2006-12-27
■[言語学習] 逆さ読み音読
私がよく訪れるサイトの管理人さんが、文末から逆に音読するという勉強方法を教えてくれた。
Economic growth has slowed over the course of the year.
とあった場合、
year 、the year 、course of the year 、the course of the year 、over the course of the year・・・
と読むのである。
中級者には適していても、初心者の私には語順の混乱を招く不適切な勉強法だと思ったので、イタリア語ではなく日本語で逆さ読みをして試してみた。
「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。」
とあった場合、
「つけていた、圧え、始終、心を、私の、塊が、不吉な、知れない、えたいの」
と読むのである。
すると、単語そのものと、単語間の連なりを意識するようになった。
自己解釈ではあるが、理論的な答えを出した。
難しい言葉を使うと、
「『学習者の内面にある言語規則体系』の化石化を防ぐ」
ということだ。
最近、イマージョン教育(Wikipedia)というのが流行している。それは、英語だけではなく、算数・理科・社会などの他教科も英語のみで押してるというものである。
この教育法により、聞き取り能力はネイティブ・スピーカーと差がないレベルまで到達できるそうだ。しかし、発話における文法的な正確さは、ネイティブ・スピーカーに比べてかなり劣ることが分かっている。
(「英語を学ぶ人・教える人のために―「話せる」のメカニズム」羽藤 由美(世界思想社) 164ページ)
なぜなら、コミュニケーション能力が発達するため、文法を無視しても意味が通じてしまうからである。
ネイティブ・スピーカーは、内面に文法規則を完全に確立した上で、それを省略化して言葉を発する。「規則に基づく文法モードの言語処理」をできるだけ省き、比較的安易な「記憶に頼る語彙モードの言語処理」を優先する。日本人が日本語を話す時にいちいち文法を考えて話はしない。単語を並べるだけである。
当然、外国語学習者も外国語を習得するにしたがって、いちいち文法規則を考えず、フレーズを並べるだけで話すようになる。また、そうしなければ、時間的問題から会話がなりたたない。しかし、ネイティブスピーカーと違って、外国語学習者は完全な文法規則を確立できていない。
特に、駅前留学や海外留学で会話を重視した学習法をとった場合、コミュニケーション能力が発達し、文法的に間違った言葉を発しても意味が通じてしまう。そのため、いつまでも細かい文法(中規模の文法書には書かれていない文法)を習得できない。
これを「学習者の内面にある言語規則体系の化石化」という。
限られた言語材料しか持ち合わせていない第2言語学習者がインタラクションを行う際には、必然的に、コミュニケーション・ストラテジーを使わなければならない場面が多くなります。そのため、インタラクションをする経験を積み重ねれば、コミュニケーション・ストラテジーを使う能力はおのずと発達します。その結果、第2言語学習者は限られた言語材料を有効に活用して、効率の良い意味伝達ができるようになります。また、それが発話の流暢さを向上させることにもつながります。
しかしその一方で、コミュニケーション・ストラテジーを使う能力が発達するために、一部の文法規則の習得が滞る可能性があることが多くの研究者に指摘されています。インタラクションをする経験を積み重ねることによって、記憶から取り出して即座に使える語句のレパートリーがふえ、コミュニケーション・ストラテジーを用いる能力が向上すれば、第2言語学習者は日常的な意思伝達に大きな不便を感じなくなります。母語話者と同じように文法規則を完璧に使いこなしたり、複雑な構文を操ったりすることはできなくても、自分の伝えたいことは伝えられるようになるのです。これがその学習者の内面にある言語規則体系の化石化につながるとみられています。
(「英語を学ぶ人・教える人のために―「話せる」のメカニズム」羽藤 由美(世界思想社)
第7章、210ページ)
逆さ読み音読は、この化石化を防ぐのではないかと、私は推測する。よって、これは中級者以上のための学習法であろう。また逆に、中級者以上で会話に流暢さが増してきて、正確さを重視したい時に、必ず行うべき学習法であると思う。



良いお年を。
うん、その可能性には注意しないとね。