Transformers: Dark of the Moon


1969年7月20日、アポロ11号は月面着陸に成功し、ニール・アームストロングとエドウィン・オルドリンは人類で初めて月に降り立ったが、全世界が見守ったこの歴史的偉業の陰で、NASAとアメリカ政府は、ある事実をひた隠しにしてきた。実は月の裏側には、彼らよりも先に未知の宇宙船が不時着しており……。(シネマトゥデイより引用)

実は公開初日、LAに友人とバス旅行中だったのですが、こっそり夜中ホテルを抜け出して行ってまいりました。
以下、ネタばれを含む感想ですのでご注意ください。




正直がっかり。
1本の映画としても、いちトランスフォーマー(以下TF)ファンとしても評価できない作品ナッチャッテマシタネー
そしてあまりのTF演出不足に「私はただの侵略SFを見に来たのか?」と錯覚するほど……。

まず、映画としての問題点は、
・中盤の見せ場、推進力がない
・敵の同機が謎
・キャラクターの練りこみ不足 の3点だと思います。

前作でいうところの敵に追われる緊張感やオプティマスの死等、物語を引っ張る推進力がないので、154分。それはそれは長く感じました。そしてその割には肝心のTFアクションは少いし。ぶっちゃけていうと予告編で公開されている以上のアクションシーンはありません。なんかマクドでさんざん待たされたのにチキンナゲットだけ渡されたって感じ。僕らはジャンクなビックマックよろしく大画面でロボがガチャガチャ元気よく動く画を見たいんだよ…!!ただ、セリフの掛け合いやギャグは前シリーズ同様面白いです。全世界共通の圧迫面接を受けるサムの就活奮闘記や「ハングオーバー」のケン・チョンの怪演は、語学の拙い私でも笑えました。ただこれが尺を伸ばしてまでやる必要があるのかベイよ。


そして、今回は悪玉ロボット軍団「ディセプティコン」以外にも人間サイドからも敵が登場します。そしてコイツが何故一緒に世界を滅ぼそうとするのかイマイチ分からん。私の予想では「金持ちボンクラが車好きすぎてTFに世界征服してもらった方がCOOL!!」って厨二をこじらせたんじゃないかな!違うか笑。他にも何でメガトロンはセンチネルプライムが生き返ったの分かったのーとか。あのビルを襲うでっかい怪物はいつ死んだのーとか。明らかにご都合主義的展開。この点は劇中なにかしらの説明がなされているかもしれないので、是非DVDが発売されたらチェックしたいですね。



善玉ロボット軍団のリーダー「オプティマスプライム」。トレーラーもついてパワーアップ☆
えーっと、今回は何の面白味もない孫悟空キャラです。何の説明もなくジェット無双モードで現れたり、簡単に宇宙行ったり。もう「無茶です司令官!!」ならぬ「無茶苦茶です司令官!!」ああ、こんなネタ誰も分かんねぇよ。とまぁ前作までは何故勝てたのか、強いのかはギリ説明してたと思うのだけれど今回はそんなもんはサムの童貞と共になぐり捨てています。少なくとも画だけでは分からなかったよ!!
加えて残念なのはこのシリーズを通してもいえることだけど、一度味付けされたキャラクターがまったく変化しないのは痛いですね。TFはロボットでも、悲しければ泣くし恋だってする生命体なのです。なのに本作のTF達はより好戦的になり、会話シーンなかったため冷たい印象を受けました。しかし一方で喋ることのできないという設定の黄色のカマロ「バンブルビー」は感情豊かに見えちゃうのが皮肉ですねー。


TF映画はゴチャゴチャして何処で誰が何をやっているか分からん!としばしば批判されるが、話の本筋には影響ないんだからそんなこと言うのは野暮だと思っていたけど、人物配置の分かりやすさって大事だね! 今回は突然新キャラが出たり消えたりするわ、どこやらなにやらで話に集中できなかったもん。戦闘範囲を広げ過ぎたってだけかもしれないけど。
あと終盤、戦車に変身できるロボットが戦車乗るってないよな。これじゃあただの宇宙人侵略ものじゃん!!


そして最後にTFファンとして。
冒頭TFが人間に銃を向けるところから不安になったけど……宿命のライバル決戦が一瞬で終わるってどうかと思うよ!!?
いや、一瞬で勝負が決まるのいいよ。でもそれは対決までに互いのヒロイックな感情を極限にまで高め、観客が共有しないと意味ないでしょうに。そもそも今回のメガトロンはすごく小粒な小悪党に収まってしまっているのでヒロイックもクソもないんですけどね。でも小娘に諭されて、死にかけのオプティマスを助けに行くメガトロン演出は、腐方面のTFファンにとってはいい燃料投下となったのではないでしょうか。
他にも、これまでのTF概念を打ち破るグロ顔のオッサンオートボットとか、スタースクリーム弱すぎとか、サウンドウェーブどこいったのとか、新しいオートボット途中からポッとですぎとか、メガトロンは地球上の車にあえて返信しないことを誇りに思っていたんじゃないのとか……あぁん!言いたいことは山ほどあります。このファンも首をかしげる投げやりな結末を見ると、結局TFってマイケルベイの右翼映画をつくるためだけに利用されたんじゃないって勘ぐっちゃいますよねー。

これまでケッチョンケチョンに貶してきましたが、TFが大好きだからこそ反動が大きいと思います。あまり期待せず見たらそんなに悪くない……かも?でも普通期待して見ちゃうよね。