玉川温泉で残念な事故が

 昨夜の速報から固唾をのんで見守っていたけど、3名が亡くなるという残念な結果に。

 過去にワシ(表層雪崩)なんて起きたことない場所なのに…。

 わたしは昨年の4月と5月、春めいてきた八幡平を訪れ、この玉川温泉に、つごう17泊してきた。

 下界はスギが花粉を飛ばしていたけど、玉川温泉周辺はまだ冬の装い。日によってはふぶきが荒れ狂うこともあったが、ときおり射す薄日は紛れもない春のそれ。そんなうららかな日に、わたしは岩盤浴を楽しんだ。

 震災の影響で宿は客が少なく、予想外にのんびり過ごせた。じつに有意義な湯治であった。

 これがなにに効くのかよくわからなかったけれど、岩盤浴のあとは不思議に体が軽く、ほぼ毎日、朝・昼、そして夜更けになると、やおらゴザや毛布をかついで、あの遊歩道をてくてく歩いて行った。

 日中は小屋が混み合うけれど、夜間だと空いている。地熱の手頃な場所をさがし、ゴザを敷いて体を横たえ、毛布と断熱シートをかぶって、目を閉じる。

 沢の音だけが響く小屋。外は満天の星空。魂が異世界を漂うひとときを楽しんだ。

 その思い出の小屋を、雪崩が飲み込んだ。湯治客もろとも。

 まさか、と思った。4月にいったとき、何度も周囲を確かめ、ワシもしくはヒラ(全層雪崩)の危険性を目視したが、よほどの降雪でないかぎり、まず安全と思ったから。

 しかしここ数日の雪は「まさか」を超えたらしい。

 亡くなられた3名に冥福を捧げるとともに、玉川温泉の価値がこれで損なわれることがないよう、願いたい。

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 湯治に行ったとき撮影した岩盤浴小屋の動画をUPしておきます。撮影は2011年5月です。