"「ステーションマスター(Station Master)」"

機関車にイケてる客車を接続して駅からドンドン発車させるゲーム。プレイヤーはそれぞれ自分が乗せたい客(チップ)がいて、それを何台か並んでいる機関車に乗せていくわけですよ。そのチップにはそれぞれ異なる人数が書かれていて、ビッド時には裏向けで配置。すると他のプレイヤーから見れば、誰のビッドかは分かってもその量まではわからないわけですね。で、その機関車には客車が接続されたり貨物車が接続されたりします(カードプレイ)。接続される車両はそれぞれ価値が異なっていて、全体を合計することで(時にはマイナス)その列車の総合的な価値を決定すると。で、車両が機関車ごとに決められた規定数だけ繋がれると列車は発車。そしたら決算となって、計算された列車の価値と各々がビッドしたチップの数字を掛け合わせて点数を計算します。全部の列車が発車したら、誰が勝ってるのかなーとかいうゲームです。何とは言えませんが、いつかどこかで聞いたことのあるシステムで安心感がありますね。
まあここに、特殊カードが絡んだり、機関車一台にビッドできるチップの制限やら、接続できる車両制限やら、ビッドしたチップは決算が起こるまで手元に帰ってこないやら、なんやかやとあるんですけども。
想像されているよりも「軽い」です。かなりサクサク進みます。手番にはカードをプレイするか、チップをビッドするかの二択、またどちらにしても選択肢がそう多くないのであまり深く考え込んで悩むような場面も少ないゲームです。戦略的というほどではありませんが、カードかチップ、伸るか反るかなど、わかりやすいジレンマもあって、わりに遊びやすい印象。
気になったのは、まず機関車ごとの点数格差の激しさ。50点、60点、という得点があったかと思うと、−2点、−3点というのも普通にあったり。もちろん展開次第ですし、このあたりが醍醐味だったりもするのでそこに疑問を感じるのはお門違いなのかもしれないのですが、かなり得点システムが大味な仕上がりです。なので結局誰が優勢なのかわかりません。情勢もころころ変わります。きっと些細なことは気にするなということなのでしょう。
また列車は全部で15台あるのですが、そのほぼ全てにおいて参加者全員分の乗数計算を行い、点数計算するというのも大変でした。たいていこういう場合、メモを一括して一人のプレイヤーが得点管理を行うので、結構滞ります。各決算の計算が済んだら、現在の得点状況を把握するための計算もあります。わかるのに、しない、というわけにもいかないですから。実際、ギャンブル系のゲームで紙幣をやりとりする場合(それだけでもないですが)、所持金が非公開になっていることが多いのは、点数を完全把握されることがゲームのリズムを崩す恐れがあるからだと思うのですが、まさにそんな反面教師な状態になりました。このあたりは改善したいところです。点数完全非公開で、点数=所持金として自己管理させたり、とかね。点数管理の負担を少なくすることでテンポアップにも繋がりますし、軽いゲームとしての気軽さをそこで損なってしまうのは惜しいと思うので。もし今後このゲームを遊ぶ場合には別に紙幣なりを用意して、銀行とのやりとりしてみようかと思っています。かなりスッキリしそうな感じ。まあ、全ての元凶は得点計算が乗数だということかな、なんて気がしなくもないですが。
結局、当日は最終的にはちょっと冗長な印象を持つに至りました。逆転は不可能、ゲームから脱落気味なプレイヤーが大逆転をしてしまったりもして、まさにアメゲーの実力発揮といったところ。イラストの雰囲気も良く、素性は悪くない感じのシステムだけに惜しいなあという感想。良いゲームだとは思うのですが。

"「ヘンネンレンネン(Hennen Rennen)」"

「綱渡り」と「6ニムト」と「ポイントポーカー」を足して2.9で割った感じ。ちょっと原点割れしてくれてます。今回は最大人数の5人で遊びました。悪くはないですが、突き抜けたオモシロもなかったです。何かをキッカケに変貌してくれそうな感じはするのですが・・・・。当日は全体的に危険回避重視みたいなヌルめの打ち筋だったので、それがこのような印象の原因に繋がったのかも。本質はもう少し攻撃的なゲームのような気がするので、とりあえず保留。

"「ヒストリーズ・ミステリーズ(History's Mysteries Card Game)」"

なにがオモシロって、このゲームのテーマがオモシロ。システムにも興味深い部分はありますが、それよりもテーマ。なによりテーマ。かなりツボにはまりました。このテーマだけで個人評価は4割増しくらいになってます。システムとしてはラミーが基本。同じ種類のカードを集めて3枚以上になったら公開する。で、一度公開された種類のカードについてはほかのプレイヤーも気楽に公開できるようになって云々。捨て札からも拾ったりして云々。だもんで捨て札も気にしないといけなくて云々。
で。システムはさておき、カードの種類ってのは世界のウサンクサミステリーなんですけどね、「幽霊屋敷」「チュパカブラ」「ビッグフット」「巨大ヤリイカ」「ミステリーサークル」「アトランティス」とか他にも色々あるんですけども。これらを3枚以上集めて公開するときに「この事象は真実でした」と公開すると。他のプレイヤーはその事象について「そんなのウソ」「そうそう見た見た」みたいなことをカードプレイとして自分の前に公開していって、最終的に真実or虚構のカード枚数で潰しあいをすると。他にも要素はありますが、要はラミーでウソホントの口喧嘩をするゲームなのですよ。
これがですね、本当にワーワー言って遊ぶとすごく楽しい。「連れの連れがビッグフット」「それはただのオッサン」とか言うクダラナイやり取りに始まって、「昨日、巨大ヤリイカ釣ってきた」やら「裏の畑でミステリーサークル」やら「オレの家、幽霊屋敷」やら、まるで小学生のような主張が飛び交い、猛烈な叩き合い、言い争い(カード争い)が繰り広げられるわけですね。もう、バカ会話がたまらなく楽しいです。「チュパカブラ」なんて語感だけでオモシロですから。これは是非とも機会があれば遊んでいただきたいバカゲーです。子供の頃、ウサンクサミステリーに心動かされた人であればきっとヒットします。
そうそう、誤解があるとアレなので、念のため。テーマの話ばかりしましたが、これも全て「非常にまとまりがあり」「破綻のない」「テーマ性に沿った」オモシロなシステムがあってこそなので、テーマだけのバカゲーではないということを改めて主張してみた次第。

"「妖精奇譚(Fairy Tale)」"

はい、やっぱりオモシロでした。しかし基本構造が異常にシンプルなので「物足りない」「考えどころがない」「淡々として盛り上がりのない」という印象を持ってしまう可能性があります。あまり悩まずに即断される方ほど、このゲームとは反りが合わないのではないでしょうか。
進行としては、最初に配られた手札をグルグル巡回させながらカードを一枚ずつ選んで、計5枚にして、そこからカードのプレイ、一斉公開方式でカードを出しては効果を判定して3枚使用、2枚は消えると。使用したカードは状態に差こそあれ、自分の前に並んでいって、それを4回繰り返して、手元に公開されたカードの得点計算して多い人が勝ち。
カードプレイの機会は都合12回という実にアッサリとしたゲームですから、なによりもカードを巡回させて選んでいくという「ドラフト」部分が命ですね。この印象次第で、ゲームの評価はガラリと変わってしまうと思います。あまり悩まない方は・・・・と冒頭で言ったのはこれがある為です。
回ってきた手札からは常に1枚しか選べない、残りのカードは隣のプレイヤーに渡さなければいけない、でも欲しいカードもたくさんあるしあげたくないカードもたくさんある、このカードなんか特にレアだからもう出てこないかもしれない、どうしたらいいのかな、というカード選択のジレンマがゲームの肝です。隣からカードが回ってくるたびにその取捨選択をしないといけないので、とても苦しいわけですね。しかもたいていのプレイヤー(ゲーマー)は他のプレイヤーに良いカードを譲るのは苦痛に思うはずですから、なおさらです。もちろん、私もそうですけども。
あとは如何に手元に公開されていくカードと上手く組み合わせて得点を増加させれるか、そのためにはどれを優先するか、という兼ね合いですね。もちろん、これらプレイされたカードは全公開なので、周りを見渡せば自分は欲しくなくてもここでどうしても止めなければならない、みたいな状況も出てくるわけですよ。あー、考えただけでも辛いですねえ。
まあ、そういうゲームです。慣れると1ゲームが即座に終わるので、軽い重いでいうと「軽い」ですね。ですが、その言葉以上の悩ましさ苦しさ葛藤は常にあります。自分との戦いのようなものですから、ソロプレイっぽいと言えなくもないかも、ですね。
ふと思ったのですが、このゲームの葛藤は「ゲームを買うとき」のそれに近いです。これとこれが欲しい、でもこれも欲しい、でもそこまでのお金はないから今回は諦めて買わない、でもそうすると誰かが買って売り切れたりするかも、そうしたらもう今後は再入荷しないかもしれない、みたいな。・・・・身悶えしそうな苦しさですねえ。いいゲームの証拠です。
ところで。余談ですがこのゲーム、「マニュアル」の構成も文章もかなり判りにくいです。ルールはさほど難しいものでもないのに、言葉足らずだったり、関連付いた表記がされていないせいで、何が言いたいのか始めはサッパリわかりませんでした。遊んでみればスッキリわかる内容も少なくないですが、あれを読んでゲンナリする人も少なくないはずです。オモシロゲーなだけに実に残念だなあと思ったので、ちょっと言ってみた次第。