biscoの地雷備忘録 このページをアンテナに追加 RSSフィード


ボードゲームの感想を綴るメモ。もしくは。
余談、推測、ムダ知識と飽くなき物欲を存分に迸らせながら、
何気ない構造に潜むオモシロをヒネた世界の見方で突付き回す、あるコレクターの備忘録。
全てのキッカケはボケ防止。脳力の衰えを感じる今日この頃。
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2005-02-09 さてと。

[]2月2日二人ゲーム会にて。その顛末 2杯目。 2月2日二人ゲーム会にて。その顛末 2杯目。を含むブックマーク

”「モールヒル(Mole Hill)」”

Blatzの小箱シリーズ。R.kniziaの2人用アブストラクトです。庭を荒らしまわるモグラとそれを追う庭師、というのがテーマ。1ゲームは2ラウンド制で、庭師とモグラという異なる役割をラウンドごとに交代して争います。

モグラはゲームボード任意の位置から移動を開始。縦横ナナメのマスに地面を掘り返した跡を残しながら一歩ずつ移動します。それに対して庭師は地面奥深くまで届く「仕切棒」でモグラが掘り進むことができないよう制限し、モグラの動きを封じることを目的とします。

得点のチャンスはモグラになっている時にしかありません。一歩移動するごとにモグラは「堀り跡」を残すのですが、まずは得点にならないベージュの駒を堀跡として配置。移動を繰り返すうちにそれを使い果たしたら、以降は1個1点の茶色の堀跡駒を残して移動することができるようになります。これがこのゲームの得点源。なので上手く逃げ回って出来る限り長く捕まらずにいることが目標。また、ボード上にはいくつか花が描かれたマスもあり、それらをめちゃめちゃに掘り返すこと(駒の色は関係なし)で、ボーナス点を獲得することも出来ます。なお、モグラは一度移動した(堀跡を残した)マスには二度入ることはできません。自然に手は詰まり終局に向かうようにはなっています。またボード中央にはスペシャルなモグラホールがあり、ここに入ると次の手番にはボード上の任意の位置に出現することができます。強いです。

モグラが庭師の仕切り棒(と自分の堀跡)によって動けなくなるか、モグラが堀跡駒を使い果たしたら攻守交代。点数が多いほうが勝ち。ということですよ。

これが実にイイ。追う庭師、逃げるモグラの構図もオモシロですが、なによりとても美しくまとまっているアブストラクトだと思うのです。まずボード上にある特殊なマスの位置。ボーナス得点を生む「花のマス」は外周に推移しており、追い込まれる危険性が高まります。しかし通常移動だけで点数を稼ぐのにもやはり限界があり、いつかは花に手を出さなければ得点は伸びません。かといって変に欲を出して次々と手を出せば易々と追い込まれてしまうので、迂闊な決断は禁物。でもすごく魅力的なんですね、この花が。インスタントに1点ないし2点を生んでくれるので、もう掘り返したくてたまらないわけです。冷静な思考を邪魔するこんな欲求との戦いもこのゲームのオモシロなところ。

またスペシャルな移動を可能にするモグラ穴についても、安易な使用はかなり危険です。もちろんモグラ穴は庭師の1手番をほぼ完全に潰します(次にどこにでてくるかわからないので布石しか打ち様が無い)が、それは庭師も知っているので止めにかかります。入り口は狭いのです。無事に突入できたとしても出現位置は概して手詰まりが少ない「今まで掘っていなかった辺り」ですから、完全に自由に逃げ回れるということでもなく、まして再出現位置から「今まで掘り返した辺り」に向かうことは移動制限もあり危険なことなので自然と今後逃げる方向まで決まってきます。上手く立ち回れれば強いですが、万能というわけでもないのです。

こうしたボード上の配置の妙に加え、モグラの「ナナメ移動」がさらに深い。仕切り棒による制限はもちろん受けますが、縦横に1マスという移動とは異なり、ナナメ移動は残せる堀跡こそ1個ですが「縦に行って横にも行く」という事実上2マスの高速移動なわけですよ。これでヌルイ庭師の間抜けな仕切り棒をまんまと掻い潜っていくわけです。いや、これを上手く使いこなせないようでは生き残ることなどできないくらいに重要な移動。スルリスルリと包囲から逃れる感覚はとても楽しく、してやったり感爆発です。逆に、相手にそれをされるとゲンナリ感も爆発。こんなに悔しく熱いアブストラクトはそうないです。

ボードの広さも、庭師には適度に「追い詰めるには広いよなあ」で、モグラにとっては適度に「逃げ切るには狭いよなあ」と思わせるニクイ大きさ。そこに絶妙な特殊マスの配置、そしてシンプルかつ無駄のないルール。これはかなりのミラクルですよ。しかも結構キツキツアブストラクトながら、短時間でサクリと終わってしまう気軽さまで持ち合わせています。

この気軽さの根っこはおそらく「プレイヤー同士は同じラウンドでは同じ役割でない」というところにあると思います。それぞれの目標に向かうまでの過程やそのための思考方法、純粋に手番に行うことの違いなどが異なるので有る意味、気楽。もちろんアブストラクトな思考は必要ですが煮詰まっていくような苦しさが少なく、アブストラクト特有の「ギスギスした感じ」の軽減につながっています。端的な言い方かもしれませんが、しりとりと鬼ごっこくらい違うと思うのです。立場の違いからくるオモシロと軽妙さは独特で、沈思黙考するよりもどちらかといえばドーンと派手にやりあうチャンバラみたいな楽しさ。初めて遊んだとき、とても感銘を受けたことを覚えています。

考えるけど、考えない。そんな感じのオモシロゲーです。

けがわけがわ 2005/03/04 22:25 biscoさん、初めまして。モールヒルは好きなゲームです。ついさっきこのページを見つけたばかりなのですが、モールヒルについてここまで書いてあるのを見て感銘を受けました。これから他のレビューも見てみます。

bis_cobis_co 2005/03/05 03:19 こちらこそ初めまして。こんなウダウダに感銘とは、なんとも申し訳ない次第。ムラのある人間なので、ものによって激しく差がありますが、よろしければどうぞ。

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