布賀産クルチャトブ石の発表

今日は今年の9月に東京大学で開催の日本鉱物科学会2015年年会で「R1-P13 岡山県高梁市布賀鉱山産Kurchatovite」と題しポスター発表された日本新産鉱物を紹介する。この鉱物は、2011年に記載された新鉱物・島崎石を主体とする露頭より極少量見付かったもので、外観は画像をご覧頂く通り0.05mm〜1mmの四角い外観を成す黒色の結晶を成す事が特徴。因みに結晶付近に砒鉄鉱を伴うものを数点確認した事は有るが、何故か斑銅鉱・輝銅鉱・黄銅鉱などの銅の硫化鉱物を伴うものは殆どと言って良いほど少ない。本鉱は1966年にシベリアのSolongoの鉄スカルン鉱床で初めて記載された鉱物だが、布賀産の本鉱にはMgに富むものとFeに富むものの2種有り、連続固溶体を形成している。またシベリア産の本鉱はMnがFeより多く含まれているが、布賀産のものにはMnを殆ど含まない事が判明している。記載後ストックものの島崎石全てを改めて調べてみるが、露頭発見当初から2010年過ぎ辺りまでに採集されたものの中には1点も見付ける事が出来ず、ここ2〜3年のごく最近に採集されたものの中しか含まれていない大変数の少ない珍しいものと成った。
【母岩の風化面に黒色四角結晶】

【特徴が良く分かる標本】