ビジネス本マニアックス

内藤による働く人のためのビジネス本紹介サイト⇒自身の30歳の就職活動についても書いたり。10年くらい更新止まっています。⇒「はてなダイアリー」から「はてなブログ」へ移転しました

 新刊書店での本の探しかた (2004年5月8日)

bizmania2004-05-07




 現在、本は毎月膨大な数が新刊書として出てきています。そして多くの本が1刷で、もしくは数刷で消えていきます。これはどういうことかというと、小さな書店も含めた全国の沢山ある書店の店頭にいきわたるだけの冊数はないということなのです。つまり、あなたがベストセラーだけを買う人であればどこの書店に行っても問題はありません。でも、自分の人生を変えてくれる本を探している人であれば、少なくとも中規模以上の書店、そして意気込みのある品揃えをしている書店に行く必要があります。そうでないと、目当ての本は仕入れていないからです。


 また、毎月膨大な数が新刊本として出てきますので、書店にはそれらをすべて溜め込んでいくことができるキャパシティがありません。ゆえに、返本制度を利用され、店頭からはほとんどの本が数ヶ月で消えていってしまいます。内藤は出かけたときには必ず書店に立ち寄るので、都内や郊外のあちこちの書店を月1回くらいで年中回っている計算になりますが、どんどん本が入れ替わっていくのを感じます。一年経って残っているのは本のわずかです。だから、内藤が紹介している本も書店で見つけるのが難しくなっていると思います。それは仕方ありません。書店にずっと残っている本は昔のベストセラーだけです。


 これは書店が悪いのかというとそんなことはありません。問題は毎月大量に出版されているために書店のキャパシティが追いつかないのです。つまり、本を川の水の流れで例えれば、昔はサラサラと流れていた小川であり、書店はダムのような役割を果たしていたわけです。ところが現在はその小川が、黄河のような流れになり、毎月大量の本がドッドと流れているのです。これではダムのような規模を誇る大書店さえもとても溜め込むことが出来ません。そのためどんどん放流することになり、それだけではなくて、流れのすべてを取り込まないようになっているのです。


 そこで、こんなに大量に出版されているのが悪いのか、となるわけですがそんなわけはありません。本はいろいろな人が考えた知恵の結晶です。しかも、古典のような昔の人の知恵の結晶だけではなく、今を生きる人の知恵の結晶が手に入るようになってきているのです。これがたった1000円や1400円や2000円くらいで手に入る現状が悪であるわけがありません。こういう出版の形態がビジネスとしていつまで成り立つかという問題もあるのですが、ここでは読み手として本をどう探すかの話なので、探し手側から見た対策を考えていきます。


 言ってみれば、もはや本の流れは、黄河のような流れです。大書店といえども、黄河の流れに対抗できるだけのダムではありません。とするとどうするかといえば、書店を回りまくるしかないのです。日々、大量に本が出ているのですから、それらをすべてチェックするくらいの勢いで本屋を回ればよいのです。とはいえ、そんなに大変なことではないのです。まずは頻度で言えば、ひとつの書店は1ヶ月に1回行けば十分です。お気に入りの書店なら月に2回行ってもいいですが、発見できる数は同じくらいです。むしろ、いろんな書店を回るほうが大切です。書店によって置いてある本が違うし、並べ方も違うからです。出会いを求めていろんな本屋をぐるぐると回るのが、出会いのコツです。神保町だけ行っていてはダメなのです。神保町には本のすべてはありません。お勧めは都内の大書店各店と、東京郊外主要駅近くの大書店です。こういうところをぐるぐる回ると良いことがあります。小さいところも良いところもいっぱいあります。入ってみないと分かりません。こういう点では、東京近郊に住んでいると便利だなと思います。地方は、インターネットが普及しても不利なんです。実物を見ることが出来るというのは、圧倒的な情報量の差です。インターネットとかテレビのおかげで、東京にはこんないいものがあるんだ、と分かるようになったため、過疎化と都市への集積はよりいっそう進むのです。


 また、ピピッと本に出会うには、常に自分の問題点を意識していることが必要です。ぼんやりとでもいいのです。何か違うな、とか、こういうことが困っているな、とか、そういう意識で本の見出しを読んでいくのです。慣れてくれば、本の背表紙を読まなくても眺めているだけで意識に引っかかる本が見つかるようになります。つまり、数千冊ある本の背表紙を数分眺めるだけで探し終えることも可能なのです。つまりは速読なんですね。内藤は本を読むときは、いわゆる速読、ということをしませんが(ただ、読むのは速いようです)、本を探すときは猛烈に速読です。そう、速読というのは、目的意識を持ってその情報を漁るのに最適な本の読み方なのです。ただ、自分の考え方を変えたいというような場合は、速読では無理と内藤は感じます。読みながら著者の考え方に同調していくのです。


 それで、本の背表紙を見て速読していく方法ですが、これはちょっと意識的に訓練する必要があります。内藤は10年くらい前から意識的にやっていますので、今では自然に出来ます。本棚の右から順に、視線をずーっと流していくのです。オヤと思ったときには、そこを読みます。これは訓練で出来ることで、やっているうちに本棚の前に立って視線をZ字に流していくと必要な本が見つかるようになります。もちろん、オヤと思っても、読んでみるとハズレということもあるわけですが、それはいいんです。網をかけて魚を探す気分でやっていくのです。また、必要な本を見落としてしまうかも、と思うかもしれません。でも、見落としてもいいんです。100%を狙ってはいけないのです。あなたが出会うべき本には、本屋を回って探していれば必ず出会えます。そのために、いろんな書店をぐるぐる回るのです。ある書店で見落としても、次の書店で出会えたりします。これは必ずです。また、あなたにとって必要な本はそのときどきで変わってゆきます。それゆえに年中書店を回って、そのときに必要な本に出会っていくことが必要なのです。


 また、本を買うとお金がかかるわけですが、正直なところ、安いものです。世の中は、知は力です。知ってることで有利に立つことだらけです。何かを知っている人がその知ってることをオープンにして、教えてくれようとしているのが本です。その著者からの講義がたった1400円とか、2200円とかで買えるのです。安いとしか言いようがないです。たった1400円で人生が変わることがあります。内藤はそれを知っているので、本は少しでも感じるところがあれば買います。ここで強調したいのですけども、少しでもピピッとくるものが書店に手に取った本から感じたら、即買ってください。多少お金が苦しくても。荷物が沢山あっても。本とそうやってピピッと感じて出合えることは、人間の出会いと同じで、そんなに沢山はないことなのです。読んでみたらつまんないかもしれません。それでもいいんです。そうやって買っていれば、あなたにとって人生が変わる本に出会う日が必ず来ます。単純にこれは確率です。プロ野球の打者ですら3割打てばトップレベルです。100%あたりというものは世の中にないのです。また、古本屋にあるかも、とも思ってはダメです。先ほど述べたように本の流れは膨大なので、古本屋にある可能性もとても低いのです。つまり、本を手にとってピピッと感じたのは、低い確率の中での凄い出会いなのです。だから、その場で買うことが大切です。次に書店に行ったときにはその本はもうたぶんないでしょう。本の出会いを大切にして欲しいのです。本代については、予算を決めておくといいかもしれません。例えば年間30万円とか50万円とか決めておく。あまり本を買ってこなかった人は、年間20万円買うぞと決めておけば、どんどん買えるでしょう。


 また、まだ読んでない本があるから買わない、という人がいるかもしれません。小説なんかはそれも当てはまるかもしれません。純粋に娯楽のために本を読むのであれば。でも、人生のヒントが欲しいと思って本を買うのであれば、家に未読の本が100冊あろうと、買うべきです。家に買ってあれば、あの本にヒントが書いてあったな、というときにはいつでも読むことが出来ます。内藤だって、家には未読の本や完読していない本がいっぱいです。買ってみるとつまんない本というのもあるんです。それでいいんです。要はバッターで言えばバットを振るということですから。人生を変える本に出会うには、空振りが必要なのです。逆に言えば、人生を変える本というのは、書店で選び、家で選び、選び抜かれたものなのです。そう。本は選ばれるものなのです。読まなければならない宿題とは違います。必要なときには吸い寄せられるように手にとってしまうはずです。そのためにも家に書店で選び抜いた本を並べておくことが必要なのです。その本が必要になったときには、ほんとうに吸い寄せられるように手にとってしまうはずです。そのためには家には本棚を作ってください。背表紙が見えるように並べてください。


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