ヤフェット・コットー!いえい!最高ー!!なんていうか、こういう気持ち悪い役をやると、物凄く才能を発揮するよね。コットーって。素晴らしい!今だったら誰かなーと思ったら、フォレスト・ウィッテカーだね!そして不思議な事に2人共に、ウガンダのイディ・アミン役を演じてるんだよねー。フォレストなんてその役でアカデミー賞取った位だからねー。コットーは「Raid on Entebbe / 特攻サンダーボルト作戦 (1976) (TV)」でイディ・アミンを気持ち悪く演じている。そしてコットーは何と言っても「Bone / 日本未公開 (1972)」っていう映画で、最高に気持ち悪かった!!
とは言え、コットーは主役ではない。タイトルのL・B・ジョーンズを演じたのは、名優ロスコー・リー・ブラウン。舞台をやっていた実力派。しかも俳優になる前は大学でフランス語を教えていたインテリ。でも彼もタイトルで名前が使用されているけど、純主役じゃないんだよね。主役は白人の弁護士ヘッジパスというキャラクター。そのヘッジパスに離婚裁判の弁護士を頼みに行くのが、L・B・ジョーンズ。L・B・ジョーンズは黒人の間では名士で、葬儀屋を経営しているのでお金持ち。若い妻エマが浮気をしているので離婚したいと、ヘッジパスに言いに行く。ヘッジパスの元には甥が来たばかりで忙しいからと断るけれど、その甥がそれなら私が引き受ける!と言うので、ヘッジパスはそれなら私がやる!と引き受ける。しかし、それがとんでもない方向に向かっていってしまうのです。エマが浮気をしていたのが、白人の警官。この映画の舞台は町は架空の小さな町だけど、テネシー州。私が勝手に応援している若手のジャスパー・レッドがテネシー州出身。彼がネタで「KKKの発祥の地はテネシー」と言っていた。人種差別を訴えるKKKはテネシーで発祥。そんな南部の小さな町で、黒人が白人を訴えるなんてとんでもない!と、ヘッジパスは上手く丸め込もうとしていくけれど... って中々面白い物語。「白人が黒人を殺して牢屋に入るなんて、どんな町だ!」なんていう台詞もあったりする。
所で、黒人映画を研究している学者のドナルド・ボーグルは、このL・B・ジョーンズのキャラクターを「最も現実味のあるトム」だと記している。トムとは黒人の同胞に背を向けて、白人に従順な人を指す。確かにL・B・ジョーンズは白人と合わせていくのが嫌で、白人に立ち向かった訳だけど、結果として何も得られなかった。確かに現実味はある。そして結果としてトムになってしまった感もある。この映画と全く逆に進んだのが、あの名作「Sweet Sweetback's Baadasssss Song / スウィート・スウィートバック (1971)」だよね。逃げきる事で自由を手に入れ、黒人からヒーローだと愛された。だとすると、ヤフェット・コットー演じたソニー・ボーイがスウィートバック的なアンチヒーローなんだよね。だからかな?私の目と心にヤフェット・コットーがやき付いたのは。そして来た時の表情とまた行く時の表情の違いも良い!
(4.25点/5点満点中:10/16/12:DVDにて鑑賞)