まだまだポール・ロブスンもの続きます。全然反応もらえてませんけど...でももう私が持っている作品では大詰め。あと何作か持ってないのがありまして、それを手に入れたい!という事で、こちらはロブスンの娯楽映画ですね。なんだろ?ロブスン版『The Defiant Ones / 手錠のまゝの脱獄 (1958)』かな?大雑把に言えば。『手錠のまゝの脱獄』は”白人と黒人が手にとって”というのがメインでありますが、こちらもそうなんだけど、それをやたらと強調していないのも逆に良いんですよね。
という事で、船の中。どうやら彼等は戦争に向かう船の中である。黒人兵士が何人か居る中で、若い兵士の1人は戦場へ向かう事に怯えていた。「国のために死にたくはない。国のために生きたいのだ!」という願いも叶いそうにはない。そんな若い兵士を励ますのが、二等兵をジェリコ・ジャクソン伍長(ポール・ロブスン)だった。黒人の若い兵士をまとめ尊敬されていた。そして白人のマック大尉(ヘンリー・ウィルコクソン)からも信頼を受けていた。そんな時に船が潜水艦からの奇襲を受けて、その爆発で一箇所に兵士が何人か閉じ込められてしまった。何とか力ずくで助けようとするジェリコだったが、重い金属は動きそうもなかった。そこで軍曹から戻れと命令を受けたが、それを無視し、しかも軍曹を投げ飛ばしてしまった。当たり所が悪くてその軍曹は亡くなった。その直後に閉じ込められていた兵士はジェリコによって助けられた。しかし陸に戻ってから、軍法会議に掛けられ、軍曹が亡くなった責任でジェリコは禁固刑となった。クリスマスの日、ジェリコに会いに牢獄にやってきたマック大尉は、みんなと一緒に歌が歌いたいというジェリコの願いを叶え、ホールにやってきた。そこがあまりセキュリティがしっかりしていないのを見たジェリコは逃げ出してしまう。ジェリコは別のアメリカ人のマイクと北アフリカに辿りついた。そしてマック大尉は、ジェリコの脱走の罪を被り、軍を除隊させられていたのだった...
という訳で、ポール・ロブスンが演じた役は途中からガラリと変わってしまいます。でもデビュー作の『Body and Soul / 日本未公開 (1925)』から一人二役をやっているロブスンにとってはお手の物。さすがでございます!最初は本当に尊敬できる兄貴的でヒーロー。途中からは逃げてしまう弱虫。でも弱虫にはなりきれないっていうのが良いんですねー。ところで、Wikipediaではなぜか人が最後死んだ事になっていますが、それは間違い。死んでおりませーん。でもロブスンは最後にマック大尉を助けて死にたかったらしい。やっぱりロブスンは助けたい人なんだわって思います。そしてこの時代に、白人のマイクという役が主役じゃなくて完璧なサイドキックになっているのも面白い点。北アフリカに渡ってからは、完全にロブスンが主役。仕舞いには、ロブスン演じたジェリコが部族のリーダーになっちゃうからね。この時代で凄いよね。さすがだよねっていう。
ロブスンのクリスマスキャロル「オー・ホーリーナイト」が聴けたり、銃撃戦まであったり、ロマンスありの、娯楽映画ですね。ただそこにはやっぱりロブスンの政治的な部分がしっかりと入っている映画になる訳です!
(3.75点/5点満点中:7/21/14:DVDにて鑑賞)