酷いゲームの話の続き

先日テレビ欄のイナズマイレブンをイナズマレイプと空目したので、ちょっと控えようと思ったんだけど、id:Thsc さんからのブコメをきっかけに、やっぱりこれだけ書くことにした。
「自分たちレイプエロゲー愛好者はマイノリティだ」と言う人々がいる。
ある意味正しいが、この問題を語る上では間違っていると思うので、そこを書きたい。
そうそう。
増田でも絡まれたので、マイノリティ=少数の者と思う人は、以下の文章に出てくるマイノリティは、弱者とか被差別側、被抑圧者にでも読み替えて欲しい。


さて、
現実に「女性が陵辱され無理矢理妊娠させられ堕胎させられる」という事件があったら、そこに女性差別の問題がある、と言われて同意出来るだろうか?
男性が女性を支配し一方的に性を搾取したいという欲望に基づいているから差別的である。というような感じ。
ここまでは大半の賛同があるのじゃないかと思う。
なら、「女性が陵辱され無理矢理妊娠させられ堕胎させられる」シチュエーションをフィクションとして楽しんでいるとしてもそれはその差別に基づいた欲望を消費している、というのも同意出来るだろうか?
僕の他の発言はいったん思考の外に置いて欲しい。
「フィクションの中だから差別をしても問題はない」と思ってもらっても良い。
「女性が陵辱され無理矢理妊娠させられ堕胎させられる」というフィクションがあり、楽しめるのは、そういった差別的な欲望に基づいていると思うか?
このゲーム自体に女性差別を見いだすことが出来るか。
結構な数の人がこれにも賛同してくれると思う。
このゲームの問題の根底にあるのは女性差別の問題で、そこでのマイノリティは女性である。
ここまでが同意出来ないのなら、以下は読む意味がない。


では、
次にレイプエロゲー愛好者がマイノリティか否かという点だが、ある意味マイノリティだと思う。
そのゲーム以外に欲望を発散しようが無いのに、それで遊んでいるのがばれたら白眼視されるだろうし、抑圧されているのは確かだ。
ただ、その欲望には前提がある。その欲望は男性としての欲望に基づいている。
女性差別の世界ではマジョリティ側である男性の一員で、男性であるからこそそういったフィクションを楽しめるのに、この問題を語るときに自身の男性という属性を外して少数であることだけを語ることが正しいだろうか?
僕はアンフェアだと思う。


この問題を語るとき、マイノリティとして2つが出てくる。
女性と、レイプエロゲー愛好者。
しかし、マイノリティとしては同列ではない。
レイプエロゲー愛好者の欲望の前提である男性という属性をまず認めると、根本的な問題として女性差別がある限り、まずは女性差別の問題について考慮すべきで、その上で初めてレイプエロゲー愛好者の抱える問題を語るべきだ。
女性差別を無視して自身の欲望だけを語ることは、逆に女性差別を強固にしようとしているようにも見える。
差別に寛容になる必要はないと思っている。
id:Thsc 理解してもらえた?あと、僕、マイノリティを自称したことないよ。たしか。たぶん)


そうそう。
id:NaokiTakahashiさんが僕の先日記事へのブックマークコメントに

NaokiTakahashi くだらなくないものは、わざわざ「表現の自由」なんていわなくてもみんな価値を認めてくれるんだよ。くだらないもののためにこそ表現の自由はある。

と書いていた。
「くだらないもののためにこそ表現の自由はある」はちょっと違うと思う。
そういう風に言うのなら、僕は、マイノリティのためにこそ表現の自由はある、と思っている。
もっと言えば、マイノリティのためにこそ人権はある。
だから、まずは女性差別を重視すべきだと思う。
そうした上で表現の自由を語るのなら、僕もあるいは賛同するかも知れない。
自由と野放図は違う。
まぁ立場上、理解示すことは出来ないと思うけど。


最後に、
今回レイプものだけを語ったけど、じゃあ普通のエロゲー女性差別はないの?とかの議論はあると思う。
男女の性差から考えても、ってか小難しいこといわなくて自分とか友人の範囲で考えても、性行為自体男性主導で進むことが多いし、sexを扱う時点事の大小はあっても女性差別はどうしても消えないんじゃないかという懸念を持つ人は多いと思う。
差別反対が突き進んだ結果、
女の裸を書くの禁止。書くなら男の裸もペアで書け!とか
男女平等と呼べる体位は対面座位と松場崩しだけと認定されました。とか
変な欲望を持っただけで時計仕掛けのオレンジ的な「治療」をされないか。とか
そんな馬鹿な世界に成りはしないか。
どこまでが性差でどこからが差別か?
あるいはあらゆるsexに差別は付きまとうのなら、女性は許容出来る線はあるのか?
この点こそが、議論すべき点だと思う。
ここに悩みつつもエロを守るために積極的にコメントしている人って、id:y_arim さんくらいしか見あたらないのが寂しい。


今回、あるゲームに女性差別があるから規制をしろと申し立てがあった。
そこで指摘された女性差別に目を向けることなく、表現の自由を盾に規制反対だけを唱えても会話はかみ合わない。
本当に差別なのか、差別があるならどうすれば傷つかずに済むのか、そういったことを話すべきだよ。
ゲームだから被害者はなく差別だろうが問題ないと一蹴したつもりでいても、実際にそう訴えられてまた傷つくという人もいるのだから、それだけで強弁するのは難しい。
建前でも良いから差別を訴える人傷ついた人の言葉に耳を傾けて、人がなるべく傷つかない方法を、ゾーニングかも知れないし他の方法かも知れない、を一緒に考えた方が良いんじゃないか。
上手い方法や線引きが見つかれば、結果規制する理由が無くなって、表現の自由も守られる。
理想的じゃない?
傷つきやすい奴らにいちいち構っていられるか、世の中きれい事ばかりじゃないって嘯くかも知れない。
確かに、強かじゃなきゃ生きていけない世の中かもしれないけど、けど優しさもないといけない。と思うよ。
少なくとも昔の有名な探偵さんはそう言ってた。