5月5日(土)中村達哉[物語の隣にあるもの]


今週土曜日のLive Artは、中村達哉が久々(3年ぶり?)のソロダンス! 今回はダンスパフォーマンスだけでなく、インスタレーションも手がけます。


今回の「物語の隣にあるもの」という作品は、今年の3月に横浜市民ギャラリーで行われた関川航平企画のグループ展「漂白する私性 漂白する詩性」展に出品していた作品の展開版。


モチーフになっているのは、カミュの小説「最初の人間」。これはカミュが事故死した後に発見されたノートに直筆で書かれていたものを、カミュの妻を中心にノートを精査して出版に至った経緯がある異例づくしの未完の自伝のようなもの。


ダンスの根拠のひとつに「物語」を求めていくうちに、原作のあるダンスを思いつき、いろいろと本を物色するうちに出会ったのが、この本だったといいます。


その本からスタートするにあたって、中村さんが最初にしたことは、この本を全部ん手書きで書き移すということ。市民ギャラリーではA4の紙80枚に書き写した手書きの原稿が壁にぎっしりと展示されていました。


もちろんその展示の前で、ダンスパフォーマンスも披露されたのだが、まずは小説を全文書き写すという発想と行為が気になる。きっとその小説の成り立ちにあった、カミュ自身が手書きで書いたノートの存在やカミュの死後、そのノートを解読する人たちの行為が、中村さんの頭にはあったのだろうと察します。


ダンス作品の原作に小説があるという場合、そのダンスで小説に描かれていた全体の流れや空間をダンスのそれに置き換えていく作業をするのかと思ってしまうが、中村さんが試みようとしているのは、言葉ひとつひとつをパーツに織り成された、紙の上で完結している風景に向き合って、その紙の上の風景から、立ち上がる言葉のひとつひとつを踊りに変換しようとしているのかもしれません。


3月の市民ギャラリーは展覧会であったということもあり、今回のblanClassの公園はよりダンスの作品に重きを置いての展開だと思います。


3月にそのダンスを見た人も、まだ見ていない人も、ぜひご来場ください。これまでにない言葉とダンスの関わりを体験できるかもしれません。




――


【blanClass放送室】
blanClass放送室でも中村さんとカミュの小説「最初の人間」について、今回のダンスについて、少しお話ししました。こちらもご覧ください。



2018/4/20/中村達哉/ blanClass放送室


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ダンス/インスタレーション|中村達哉[物語の隣にあるもの]
http://blanclass.com/japanese/schedule/20180505/
https://www.facebook.com/events/1972127179782159/


物語を表現する方法を試します。たんにお話しの内容を説明するのではなく、言葉の機能(意味や文字や音)をいったんばらばらに分解して、内側から物語を組み替えるようなことがしたいです。
まずは一つの小説を選び、書き写すことから始めます。


日程:2018年5月5日(土)
開場:18:30 開演:19:00
入場料:¥1,800(ドリンク別)
会場:blanClass(横浜市南区南太田4-12-16)
https://goo.gl/maps/Q7Aat7nBarE2

                            • -

中村 達哉 Tatsuya NAKAMURA

  • ダンスカンパニー「イデビアン・クルー」で活動。blanClassではワークショップ作品「かかわりをおどる」(2014年)、「ボディマップを重ねる」(2015年)。ソロ作品に「dusk/dawn」(2018年・横浜市民ギャラリー)など。