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読書彷徨

2012-02-05

「悪の教典」貴志祐介 文藝春秋

 さすがに貴志祐介だけあって、すごい話だ。最後の方はあんなにメチャメチャになるとは思わなかった。個人的にはもう少し冷静に、犯人が「してやられる」という方が溜飲が下がる気がするのだが、主人公の異常性というのを全面に押し出した形なのだろう。

 静かで穏和、のんびりした雰囲気から始まって、だんだんと恐怖が増していくという演出はさすがの筆力である。伏線もきちんと張ってあり、いい意味で読者の予想通りだったり予想を裏切ったりする。「こんな人間いるか」とか、「こんな学校あるか」とか、非現実的な設定に批判もあるだろうが、これは楽しむためのエンタテイメントなのだから大目に見なくてはならない。というより、非現実的なところが面白いんだから。

 もちろん、気持ちのよい物語ではないし読後感もビミョーだ。万人にお勧めできる本ではないが、人間心理の異常性や主人公の周到な行動や判断など、興味深い点は多い。

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