Shin Yamagata

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6月5日
自分は他の人たちと違って特別なんだ、と思っている人たちがテーブルを囲み酒を飲んでいた。彼らのカバンの中には彼らが普段使っているカメラが仕舞われている。彼らは写真家と呼ばれている人たちだ。呼ばれているといってもごく限られた狭い範囲のことで、要するに、写真家と呼ばれていると思っている人間が、近くのカメラを持った人間を、写真家だと思っている、その程度の範囲のことだ。その中の一人が写真展を開催したらしく、その初日にみんなが集まっていた。話題は写真展で展示されていた写真の話ではない。それらの写真に対しては誰も何も言わない、それが暗黙の了解とでもいうように。写真展を開催した本人もそれが当たり前というような顔をして酒を飲んでいる。話題は他の写真家だと思われている人たちのゴシップだ。あいつは前にこんなことを言っていた、あいつはまた人妻に手を出したらしいぞ、あいつはいつも態度が悪い、あいつの写真展を見たか、あいつはまだ大学に雇ってもらおうとしているらしい、ついにあいつもセクハラでダメになるぞ、他人のことばかり話してい