クッキーと紅茶と(南京事件研究ノート) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-03-13

p1**[南京事件]南京事件否定派はなぜ「現代歴史学南京事件」を10ヶ月無視し続けるのか?


「現代歴史学南京事件」(柏書房、笠原十九司・吉田裕編著、2006年5月刊)が刊行されて10ヶ月経過しましたが、否定派の人たちからはこの本で紹介された「岡村寧次大将陣中感想録」『戦場心理ノ研究−総論−』の2つの史料に対するレスポンスがありません。早い話が両史料は「スルー」されているわけです。

映画南京の真実」とか冨澤繁信「「南京事件」発展史」とか自民党民主党それぞれの議連とか櫻井よしこ氏の言説とか、この10ヶ月で否定派の言動は活発化しているのに、どうして「岡村寧次大将陣中感想録」『戦場心理ノ研究−総論−』は徹底的に無視されるのでしょうか。

というか、岡村寧次大将陣中感想録」『戦場心理ノ研究−総論−』を無視したうえで構築される「南京事件否定論」に、意味はあるのでしょうか。

2つの日本軍史料スルーして否定論を発信する行為は、それこそ「歴史修正主義者のプロパガンダ」と判断されても仕方がないでしょう。


追記;ちなみに、「4、5万の大殺戮」ですが、岡村は少なくとも3人以上の人間から聴取したことを明記しています。その中に原田(熊吉)少将が含まれています。

原田は、ジョン・ラーベ日記講談社文庫南京の真実」129頁)に登場するように、南京に侵攻した日本軍の特務部長を務めた人間で、37年12月15日の時点では既に南京の安全区に入っていました。特務部長という役職はいわゆる宣撫工作の総指揮をとる立場だったわけです。彼の元に届く情報は、日本軍の内部情報、それも精度の高い情報だったと考えてよいでしょう。


とりあえず、青狐はアマゾンレビュー書きました。問題がなければ数日後には公開されると思います。

http://www.amazon.co.jp/gp/product//4760128859/ref=cm_rv_thx_view/503-0263117-7223162

レビュアー: 青狐 (関東地方) - レビューをすべて見る

この本の12頁には「岡村寧次大将陣中感想録」(靖国楷行文庫所蔵)には、38年7月13日記述が紹介されています。

「中支戦場到着後先遣の宮崎参謀、中支派遣軍特務部長原田少将、杭州機関長萩原中佐等より聴取する所に依れは従来派遣軍第一線は給養困難を名として俘虜の多くは之を殺すの悪弊あり、南京攻略戦に於て約四、五万に上る大殺戮市民に対する掠奪、強姦多数なりしは事実なるか如し」

また、13頁には防衛研究所戦史部図書館所蔵、早尾乕雄陸軍中尉(金沢医科大学教授)が1938年5月に書いたレポート『戦場心理ノ研究−総論−』の記述が紹介されています。

余ガ南京へ入ツタノハ陥落後一週間デアツタカラ市街ニハ頻々ト放火ガアリ見ル間市内ノ民家日本兵ニヨリ荒サレテ行ツタ。下関ニハ支那兵屍体ガ累々ト重リ是ヲ焼キ棄テルタメニ集メラレタノデアル。目ヲ揚子江岸二転ズレバ此処二山ナス屍体デアッタ。其ノ中二正規兵ノ捕虜ノ処置ガ始マリ海軍側ハ機関銃ヲ以テ陸軍ハ惨殺、銃殺ヲ行ヒ其ノ屍体ヲ揚子江へ投ジタ。死二切レナイ者ハ下流二泣キ叫ビツ、泳ギユクヲ更二射撃スル。是ヲ見テモ遊戯位ニシカ感ジナイ。中ニハ是非ヤラシテクレト首切リ役ヲ希望スル将兵モアル。〔中略〕揚子江二沈ンダ正規兵ノ屍体ハ凡二万人位ト言ハレル」

日本軍史料から「4、5万の大殺戮」があったことを示す記述発見されたわけですが、この本が公刊されて10ヶ月経った2007年3月時点で、南京事件否定派の人からは(この発見に対し)何の反応もないようです。否定論の人たちはこの本に紹介された史料スルーせず、きちんと読み、持説に変更を加えるのか否か、明確な態度を示すべきでしょう。

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