犬島アートプロジェクト「精錬所」

設計:三分一博志(2008年)
所在地:岡山県東区犬島327-5


かつての銅の製錬所を再生したアートスペース。設計は三分一博志で、アートワークは柳幸典。三島由紀夫をモチーフにした作品群。
ただ、古い精錬所をアートスペースに置き換えました、煙突は当時の名残を伝えるシンボルです、、、というところで終わっていないところがすごい。電気設備は無く採光はほぼ全て自然光で賄われている。空調も電気を使わずに太陽光や地熱や風などを利用して空気を温めたり冷やしたりして、季節によって空気の流れる方向を変え、精錬所の古い煙突の煙突効果を利用して自然な冷暖房空調を実現している。他にも自然の水質浄化システムなど、アイデアが詰まりに詰まっている。
環境に負荷を与えつつ近代化産業に貢献した遺産が、環境に配慮した循環型建築システムのモデルとしてのアートスペースに生まれ変わるという胸のすくストーリーをもった建築。柳幸典のアートワークもよかった。三島由紀夫の松濤にあった自宅から集められたエレメントで構成されたアートワークは不思議な空間を作り出していた。