けだるさとともに

実は一昨日のことになるが、かつての朝鮮神宮の跡地として知られる남산공원(南山公園)に行ってきた。

ソウル駅側からだとこの道を上がっていくことになるが、公園自体はたいへん広いので、南大門市場や明洞・東大入口など各方向からアクセスできる。

さて、南山公園にはいくつか定番のスポットというのがある。もちろん、Nソウルタワーや南山ケーブルカーなどについては、他で見てもらえばいいのではないかと思う。
一つは金九の銅像である。



この朴正熙が書いた銘は、昔見たときには名前の部分をカリカリされていた記憶があるのだが、修復されたのだろうか*1
もう一つは言わずと知れた安重根義士記念館である。




入場料金は1000ウォン。中に入るとおおむねこんな感じである。この他、脇に映像室などがある。




そして最後に、明洞方面に下っていく途中にある「反共建国青年運動記念碑」を。ここは正直、雪などで足元が滑る時には行こうとしないほうがよい。

これらを見て回ってみて、私の印象として残ったのは、総じてその場に漂っていた「けだるさ」である。
さすがにソウルのど真ん中にあるだけあって、訪れる人がいないわけではないし、それなりに手も入っている。にもかかわらず、ここはそこはかとなく古びていて、「やる気のなさ」が垣間見える。
別の言い方をしてみよう。こうした施設は、定期的なメンテナンスによってその生命力を維持するものである。ところが、上記の各所はそうした生命の息吹が弱いのである。
例えば、安重根義士記念館の醸し出している空気は、改装前の独立記念館のそれに通じるものがある。
要するに、ここは韓国の〈ある時期〉の遺跡として存在している。そのような印象を覚えるのである。生きた金九や安重根を体感したければ、孝昌公園へ行ったほうがまだいいかも知れない*2

*1:記憶違いだったのだろうか。ちなみに、同じカリカリを光州の国立5.18民主墓地でも見たことがある。その名前は「金泳三」であった。

*2:孝昌公園の「三義士の墓」の傍らにあるのは、安重根の仮墓であるという。