いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「はい、絶対に。絶対に、帰ってきます」

SBSでドラフト中継やったよ、珍しい。TBSでやってもSBSは無視のパターンはよくあるので。
沢村が巨人単独!? 巨人じゃないと断られそうな雰囲気でもあったのかな?
大石が一番多いのは予想通りだったけど、斉藤<沢村だと思ってた。

「空の彼方3」菱田愛日(メディアワークス文庫)

空の彼方〈3〉 (メディアワークス文庫)
空の彼方〈3〉 (メディアワークス文庫)

春。アルとソラは、トラマンテ通りで平穏な日々を送っていた。だが、突然事件は起きる。防具屋シャイニーテラスに営業停止命令が出されたのだ。それは、有力貴族であるアルの父が、身分を捨て傭兵になった息子を連れ戻すために出した警告だった。
ソラは店のために自由を捨てる必要はないと言うが、アルは店とソラを守るため、父とひとつの“賭け”をする。そして、長い旅に出ることになるのだが――。
不思議な防具屋を舞台にした心洗われるファンタジー、感動の完結編!


3巻にして完全にソラとアルフォンスの話に、そして静かな冒険譚からラブストーリーに化けた。
優しくて不器用な人たちが織り成す恋愛模様は、身分違いの恋や待つ者と待たせる者の辛さも相まって、切なく胸を締め付ける。「それ、本人の前で言いなよ」と何度思ったことか。
物語の中心はそんな不器用な人から見た、待つ人ソラ。いつものようにソラ視点はないが、誰も彼もが彼女を見ているので、その胸の内は手に取るようにわかる。
最も涙腺が刺激されたのもやはりソラの一言。いつも「いってらっしゃい」のソラが初めて言った「……帰って、くるよね?」。その境遇ゆえに他人を束縛することを嫌い、どこか達観したような雰囲気を持つソラが初めて見せた執着に、前の傷の大きさとどれだけアルが大事かを改めて思い知らされた。
どうもこの作品では男のアルフォンスよりも女性のソラに感情移入してしまうな。

1巻の旅人がソラに語る静かな冒険譚というスタイルが好きだったので、全くの別ジャンルになったことは少し残念ではあるけど、根本の優しさは変わらず、閉じこもっていたソラが上を向けたラストと、この作品らしい台詞での締めくくりは素直に感動できる綺麗な完結編だった。