いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「おおコウスケよ、えらべないとはなさけない!」竹岡葉月(富士見ファンタジア文庫)

おおコウスケよ、えらべないとはなさけない! (富士見ファンタジア文庫)
おおコウスケよ、えらべないとはなさけない! (富士見ファンタジア文庫)

カップルとか見ると、蹴り倒したくなるよね」
中学2年。津賀昂介が出会ったのは、物静かだけど重度の恋愛アンチな天野井螢。モットーは「恋バナには釘バット制裁!」。命知らずにも、そんな螢に惹かれていく昂介は、文化祭での告白を決意。けれどもその当日、彼女は姿を消してしまう――。
「コースケのこと……すきなんです!!」
高校1年。昂介のまえに現れたのは、蛍と見た目そっくり! でも、性格は正反対な宮沢彗という女の子。昂介に急接近してくる彗だったが――。そっくり過ぎて、どっちがどっちの螢&彗。間違えたらGAME OVER!? ここからはじまる“究極の選択”ラブコメ!!


お、重い。
軽いタイトルにラブコメ然としたあらすじ、カオスなオープニングと、ドタバタラブコメだろうと思って読み始めたら、思いもよらない展開で驚いた。
恐らく序章に当たるであろう中学生編は甘酸っぱい青春ラブストーリー。
部活を辞め無気力だった主人公・昂介に読書の楽しさを教える螢。共に初恋らしい二人の恋は初々しくて身悶えしそうなほど。
と、ここまではまだラブコメの範疇。本番は螢が失踪して迎える高校生編。
再開への一縷の望みをかけて必死で入った高校で会ったのは、失踪した彼女と同じ顔をした全くの別人・彗。というきついシチュエーション。大半が昂介の戸惑いと彗の顔を見るたびに疼く心の傷の描写で切なくて痛々しくて見ていられない。
そういえばタイトル嘘つきだ。選ぶ選ばないの問題でもないし、全く情けなくない。よく学校に行ってるよ。自分なら神経病みそうだ。
長編なら序章+第一章にまさに物語の始まりという作りだったので、この巻単体で傑作とか感動なんてことは言えないが、続きが非常に気になるのは間違いない。
彗との恋に発展するのか、螢の再登場はあるのか、展開が全く読めないので楽しみ。