いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「人類は衰退しました8」田中ロミオ(ガガガ文庫)

人類は衰退しました (8) (ガガガ文庫)
人類は衰退しました 8 (ガガガ文庫)

わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は"妖精さん"のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の"調停官"であるわたしのお仕事。壊滅状態となったクスノキの里の人口は激減しました。そんななか、わたしの祖父は、好事家の貴族に誘われて旅行に出かけてしまいます。行き先は――月。念のため、丸まり状態の妖精さんをひとりお供につけたものの、心配で不眠症になってしまったわたし。不思議な夢を見ることに……。あにめのこうか、ばつぐんです? にんきばくはつちゅ!


珍しく一話構成かと思ったら上下巻構成とは。大長編ですな。次で終わりそうで怖い。
まあ考えても仕方がない先のことは置いといて、今回は里復興のお話。拡張現実(Augmented Reality)から仮想現実(Virtual Reality)へ。ARを復興の目玉にしようとしたら、いつものように妖精さんが介入してきて拡張され過ぎてしまいましたとさ。
その妖精さん式仮想世界、そこはダメ人間製造世界でした……いやダメなのは里の人たちか。仮想世界始まる前からやる気なかったし、こんな里潰れてしまっても構わんでしょうw
しかし、妖精さんトラブルメーカー力もさることながら、どんな状況でも楽しめる上に自分の土俵(腐)へ持っていって引っ掻き回すYの存在も十分怖い。主人公の苦労が偲ばれます。
他に目についたのはネタの多さ。
昨今の社会の問題一つ二つ選んで痛烈に皮肉る社会風刺な側面のあるシリーズだけど、今回はその対象が多くてしかも幅広い。少し上げるだけでも復興支援に始まり、産婦人科不足、不景気&就職難、白い粉、キラキラネーム。大きなものから小さなものまでチクリチクリとやっていくのが、いつもとちょっと違った面白さがあった。
次は宇宙へいっちゃいます?