いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「Babel II ―剣の王と崩れゆく言葉―」古宮九時(電撃文庫)

BabelII ‐剣の王と崩れゆく言葉‐ (電撃文庫)
BabelII ‐剣の王と崩れゆく言葉‐ (電撃文庫)

『――立ち去るがよい、外部者よ』
ついに辿り着いた、魔法大国ファルサス。しかし世界を害する“異物”と判ざれた雫は、非常にも王・ラルスに剣を向けられる。
ラルスと戦う決意をし、瀕死の重傷を負った雫だが、その一方でエリクは過去を追憶する。自らが殺した、ある一人の少女のことを……。
そして“死者蘇生”の禁呪による事件で国中に暗雲が漂うなか、雫とエリク、二人の運命は分岐点を迎え――。

ごく普通の文系女子大生が異世界を懸命に生き抜く異世界ファンタジー、第2弾。
転移術があることもあって各地でのエピソードを重点的に語るスタイルのみたい。RPGで例えるとドラクエ型よりもロマサマ型なんだな。メアが加わった三人での旅路が楽しみだったので、冒頭にちょっとしかなくてちょっと残念。
まあそれはそれとして、今回も雫の一挙手一投足をワクワク1:ニヤニヤ1:ハラハラ8くらいの割合で、手に汗握りながら見守る物語に仕上がっていた。
この世界では誰よりも弱くて(子供は除く)、それ以外の劣等感もいくつも抱えているはずなのに消極的とはほど遠いその姿。気に入らない人や事には真正面から堂々と立ち向かい、体当たりで突破していく姿勢が清々しくて格好良い。但し少しばかり、いや大分思いっきりがよ過ぎるのでハラハラさせられてばかりなのだけど。その内「女は度胸」とか言い出しそう。
物語の方は意外とスケールが大きくなるのが早い。エリクの過去やファルサスでの手掛りなど1巻で残った謎がわりとあっさりと語られる代わりに、次々と新しい謎や疑問が生まれていく。このシリーズで最も大切にされている「言葉」と一緒に異世界の秘密を少し匂わせたところ、という一番いいところで次回へ。
今回も面白かった。雫の人柄と空気感がとても良い。
次は未定だそうで。これは1巻が思ったほど売れなかったのか、作者が新シリーズを書くのか。気長んび待ちますので続刊お願いします。