いつも月夜に本と酒

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「やがて恋するヴィヴィ・レイン3」犬村小六(ガガガ文庫)

やがて恋するヴィヴィ・レイン (3) (ガガガ文庫)
やがて恋するヴィヴィ・レイン 3 (ガガガ文庫)

ウルキオラ暴動から三年。神聖リヴァノヴァ帝国においてルカはジェミニらと共に帝国最強の独立混成連隊として勇名を馳せていた。ルカの編み出した新戦術は三次に及ぶ「ドル・ドラム戦役」においてその威力を発揮し、帝国軍総司令官ヴラドレン皇太子はルカに作戦会議への参加を特例で許可する。だが一方で、皇帝の血を引くジェミニは皇太子を排除すべく暗躍を開始、ルカは皇位継承を巡る闘争へと巻き込まれることになってしまった……。魅力的なキャラクターたちが織りなす一大軍事戦記。さらにさらに加速する恋と会戦の物語!!

ルカが約束された舞台に立つ為の準備の回、といったところか。
スタートから2巻から3年後で、作中もこれまでよりもさらに早く時が流れる、月日においては最も進んだ今回。しかし、駆け足ゆえに戦争の結果の箇条書きが多く、費やした時に比べてストーリーが進んだ気がせず、正直に言って中盤くらいまでは退屈だった。この巻はページ数も控えめだし、戦役はともかくルカの人脈作りはもうちょっと何か描写があってもよかった気がするけど。
その単調な空気を拭ってくれたのがジェミニとその兄・ヴラドレンの皇子兄弟。
弟の方は正常な精神を持たない“ひとでなし”を遺憾なく発揮。出生が出生だけに可哀想なところもあるが、清々しいまでのクズっぷりで潰しがいがある敵役に。味方ではないにしても、もっとルカ寄りの立ち位置になると思ってのに。
弟だけなら胸糞悪いだけだったところで、笑いを提供してくれたのがお兄ちゃん。
オーラ(みたいなもの)で人を語るもの凄く胡散くさい第一印象から、現実が見えている聡明さと意外にお茶目な人柄のギャップで憎めない好人物に。殿下、淫行淫行うるさいです。DT丸出しなんでやめてください。
他にもミズキやアステルの内心が語られたりと、後半はキャラクターが映えて面白かった。
最後の最後でファニアが顔見せしたところで次回へ。これは……弟はファニアを表舞台に引っ張り上げるための道具だな。やっぱりちょっと可哀想かもしれない。
ルカの方はあの舞台に大分近づいたので次はファニアの番かな?