いつも月夜に本と酒

2018-02-12 「今は曇りだから月は見えないわ」

「タタの魔法使い」うーぱー(電撃文庫)

| 18:00

タタの魔法使い (電撃文庫)

タタの魔法使い (電撃文庫)

2015年7月22日12時20分。弘橋高校1年A組の教室異世界魔法使いを名乗る謎の女性、タタが突如出現した。後に童話になぞらえ「ハメルンの笛吹事件」と呼ばれるようになった公立高校消失事件の発端である。

「私は、この学校にいる全ての人の願いを叶えることにしました」

魔法使い宣言により、中学校の卒業文集に書かれた全校生徒の「将来の夢」が全て実現。そして、あらゆる夢が叶った世界――しかしそれは、やがて犠牲者200名超を出すことになるサバイバルの幕開けだった。

第24回電撃小説大賞にて《大賞》を受賞した、迫真異世界ドキュメント。



ある日、ある公立高校の生徒や教師が校舎ごと消えた。その行先は……異世界。というサバイバル・パニックホラー系の作品。

学校まるごと異世界転移異世界もの飽和状態の今、他作品でも、特になろうでは大変よく見るテーマだが、この作品は一味違う。

まず、事件後に被害者生徒たちのインタビューを元にしたドキュメンタリー形式で綴られているのが最大の特徴。

初めは少し取っ付きにくいところがあるが、後から当時の事を思い起こして語られる生徒たちの言は、その時感じた感情が整理されていて(特に恐怖等の負の感情が)分かりやすく、感情移入もしやすい。おかげで刻々と成長していく生徒たち(一部先生も)の姿を近くに感じることが出来る。

それともう一つ、事を引き起こした魔法使いによって、卒業文集に書かれた夢が叶えられた状態になっていること。

特撮ヒーローやプリ○ュア、魔法使いになりたいなどの、子供っぽかったりふざけた夢の方が役に立つという皮肉な現実が、救いにもなり悲劇にも繋がっていく。主に悲劇の方がえげつない訳だが……。

そんな将来の夢について考えさせられる内容であり、少年少女の成長を描く物語であり、随所に日本の学生に「お前ら結構スゴイんだぜ」って言っているところまで含めて、是非若者に読んでもらいたいライトノベル


……と、色々講釈を垂れてきましたが、焦点は面白かったかどうかですよね。

作者のブログ『ウパ日記』を初期から読んでいた身としては、素直に読めるのか楽しめるか心配だったのだけど、すんなり入り込めてすぐ夢中になれた。面白かったです。

でも終わりにサラッと爆弾仕掛けるのは止めて!w ○○さん誰だ!?