いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「そうか、僕の話を書くのかあ」

夏野菜カレーがあるのなら、春野菜カレーがあってもいいじゃない!
ということで、タケノコ・人参・じゃがいも・新玉(新しいとは言っていない)で春野菜カレーと言い張る私w
せめてアスパラかグリーンピースがあれば彩り的にも恰好が付いたんだけどねー(^^;

「土地神様のわすれもん」新井輝(富士見L文庫)

土地神様のわすれもん (富士見L文庫)
土地神様のわすれもん (富士見L文庫)

「わすれもん」――とある地方の方言で、忘れられた存在を指す。
世間から「わすれもん」扱いの作家・真金井光。彼が庭先の祠を掃除していると、中に置かれた猫の人形が動き、突然喋り出した。
自分も「わすれもん」となった土地神だという猫は、同じような存在を助けようと光に持ちかける。「きっと普段得難い経験が出来る。作家の君にとってうぃんうぃんだろう?」肉球とガッチリ?握手で約束を交わす光だが、実は彼にも忘れている過去があって――。
2人一緒なら百人力のコンビが皆のために駆け巡る友情物語。

新井輝富士見L文庫進出!という事で早速購入。



大スランプ中の作家が気分転換も兼ねて旧家に引っ越してきて、祠を掃除したことをきっかけに神様と出会うところから始まる、人間と神様の物語。
何かが欠けていて、どこか浮世離れした雰囲気を醸し出す主人公。そうそうこの空気感、これが読みたかった。あと「ですよね」が出てくると新井輝作品だな、と思う。
でもツッコミタイプだったのは予想外。人畜無害のようでいて人の懐にスッと入り込む貞操観念の緩い主人公を想像していたので。その分、相方の神様や担当編集がお惚けタイプだったのかな。
話の方も、神様とペアでお悩み解決という最近よくある(特に富士見L文庫では)フォーマットながら、スッキリ解決や納得ハッピーエンドなどとはほど遠く、全然上手く救えてないのに結果的になんとなく上手くいってるという、ほっこりと苦笑が入り混じる脱力系のオチが実に“らしい”。
また、発した方は他愛もない一言だったり社交辞令だったとしても、受け取った方は人生を左右する大事な物だったりする。そんな「約束」の認識のギャップが多く語られていたのが印象的。
ふわふわ&まったりでゆるい読書時間だった。


あとがきを読んでちょっとビックリ。そういう意味で男主人公だったの? でも相方が基本形態が猫モドキだからそういう空気皆無だったと思うんだけど(^^; 剛の者な方たちは、これでも妄想逞しくできちゃったりするんだろうか。わからん世界ですなー。