いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「マジかよ。嫌なところばっかり親に似ちまうもんなのかね」

さくせん:いつもどおりに
震災時、他方の人間は心配するしかやることがないので、いつも通りに過ごすのが一番だと思うのですよ。自粛とか何の意味があるかわからん。
安否確認もしばらくはどうかと思う。回線はパンクするし、そうでなくてもLINEやメールもウンザリするほど届くんだろうし。それで大事な情報を見逃したら目も当てられない。
まあ今回は、大阪で縁やゆかりがある人が南部にしかいないので、まあ大丈夫だろうというのもあるんですがね。





よかったマークありがとー(`・ω・´v

「賭博師は祈らない (4)」周藤蓮(電撃文庫)

賭博師は祈らない(4) (電撃文庫)
賭博師は祈らない(4) (電撃文庫)

バースでの長逗留を終え、ようやくロンドンに帰還したラザルス。リーラは徐々に感情豊かになり、観光がてらついてきたエディス達との交流も続く。賭場の馴染みからは、そんな関係を冷やかされる始末。ラザルスは賭博師として日銭を稼ぐいつもの生活へと回帰していく。
だが幸福そうに見えるラザルスの心を陰らせるひとつの懸念――。リーラという守るべき大切なものを得たが故に、彼の賭博師としての冷徹さには確実に鈍りが生じていた。裏社会の大物や警察組織にも目を付けられつつも、毎日を凌いでいたラザルスだったが……。
そしてかつての恋人である賭博師・フランセスとの因縁が、ラザルスに決定的な破滅をもたらすことになる。

帝都に帰ったきたラザルスとリーラ&何故かついてきているエディスとフィリー。ほとぼりも冷めて平穏な生活に戻れるかと思いきや、どうも周りは騒がしく、しかもラズルスの様子もおかしい。
……という導入が始まるのが二章から。急に過去編から始まるから何事かと思ったら、彼女が深く関わってくるからで、ラザルスをラザルスたらしめるものを示しておく必要があったからか。
養父に教えられた言葉を頑なに守って生きてきたラザルスが、その唯一の教えにして信念を打ち砕かれて、九死に一生を得ながら自分を見つめ直し、新たな自分を構築する、そんな壮絶な物語が語られていた。
ライトノベルでなんてもの書くんだよ。「新たな自分の発見」なんてお堅い純文学か自己啓発本かと思う様なテーマで、その過程はゲロ吐いて、のた打ち回って、死ぬ思いをしてとハードボイルド然としている。一応、主人公が殻を破って急成長するという話とも取れるし、結果として悪を挫き女性一人助けるヒーロー譚なのだからライトノベルらしいとも言えるけど、でも過程のハードさといい内面まで切り込んだ内容といい、ここまで思い切った「主人公の成長」は他では読んだことがない。
単純に面白く“何だか凄いものを読んだ”感がある。それに“何でもできる自由さ”を生かしたライトノベルを久々に読めたのが嬉しい。
ただ、視点がラザルス一点に寄っていたことで、リーラの出番が極端に少なかったのは残念。リーラを愛でるのがこのシリーズ一番の醍醐味なのでね。
次回最終巻。二人がどんな結末を選ぶのかが一番の焦点だが、とりあえず冒頭でヤキモチリーラさんがお目見えするか見物である。