いつも月夜に本と酒

2018-02-13 「やはり決め手は尻尾の色艶というのは本当なのですか?」

「狼と香辛料 XX Spring Log III」支倉凍砂(電撃文庫)

| 17:58

狼と香辛料XX Spring LogIII (電撃文庫)

狼と香辛料XX Spring LogIII (電撃文庫)

湯治客で賑わう短い夏も終わり、湯屋『狼と香辛料亭』は秋を迎えていた。

山々に囲まれたニョッヒラの秋の味覚を堪能しようと、いつも以上に張り切るホロとあきれ顔のロレンス。

山での散策を終え、籠いっぱいの土産とともに二人が湯屋に戻ると、入り口にはたくさんの人だかりが。

「なんじゃ、よくわからぬが、色々な獣の匂いがしんす」

湯屋『狼と香辛料亭』にやってきた、時季外れの客たちの目的とは――。

書き下ろし短編『狼と収穫の秋』に加え、電撃文庫MAGAZINE掲載短編4本を収録した、湯屋での物語第3弾。



ロレンスとホロの旅路のその後を描いた短編集Spring Logも早いものでもう三冊目。

今回の内容を一言で言うなら「ホロ姫再臨!」

ミューリが居なくなって母親面する必要がなくなったホロが、ロレンスに甘える様子を描いたのがこの三巻。甘え方は容姿に合った直接的な物だったり、賢狼らしく回りくどかったり色々だが、とりあえず甘い。ひたすら甘い。こんちくしょー!

次回からは旅に!? 羊皮紙へのクロスオーバーがあるのか、興味津々。



以下各話毎



狼と春の落とし物

内容:冬毛から夏毛に生え変わる頃のホロ

数百年生きている神狼にも生え変わりがあるんだ。へぇー

ミューリの無垢で無知な親切心が起こした災いを親たちが尻拭い……しないで丸投げした! セリムを使いに出して残った二人の惚気で終わった。酷いw

結局その後どうなったんだろうか?




狼と白い猟犬

内容:狼と香辛料亭へ審査へ来た異端審問官の話

似た話をつい最近読んだ気が……「のぶ」か。まあ、正体やら魔法やらを隠しているファンタジーものの短編の定番だからね。

小麦はもちろんライ麦も食べたことはあるが、燕麦はどういうものなんだろう? ここまで堅い不味いと言われると興味が出てくる。




狼と飴色の日常

内容:日々の記録を残し始めたホロの姿に村では変な噂が立って

甘い!

いい歳して小学生の幼馴染み男女がしてそうな冒険心と悪戯心を刺激するようなことしやがって……羨ましい!!!

この話は挿絵二枚も大変可愛らしい。




狼と青色の夢

内容:隣の聖地との開通と貨幣不足、ニョッヒラに湧いた秋の難題

うーむ、良く分からん。

偽の葬式の時にも思ったが、作者と自分では死に対する考え方捉え方が根本的に食い違っているように思えてならない。

で、貨幣不足の方は?




狼と収穫の秋

内容:時期外れの団体客は皆、人ならざる者で……

前話で「わかんね」と思った直後にこれか。残される側の考え方はそれほど食い違っていないみたい。たぶん。

人と賢狼の馴れ初めに興味津々で、物言いもストレートな人ならざる者に顔では苦笑しつつ、影でGJ!と親指を立てなくなる。

置き猫置き猫 2018/02/14 17:00 人化していても換毛期があるというのは面白いですね。羊のイレニアにしても伸びる毛を刈る必要はあるみたいだし。
"人ならざる者"の変化ロジックって存在そのものの変質ではなくコインの裏表の反転、あるいはPCのマルチタスクのように同時起動しているバックグラウンドプロセスとフォアグラウンドプロセスの切り替えのようなものなのかもしれません。

bluets8bluets8 2018/02/15 00:07 >置き猫さん
コメントありがとうございます。
換毛期があるのなら発情期や冬眠は?など色々妄想が広がります。
人ならざる者(主に獣)の人化は作品によって考え方が様々なので、そこを比べながら読むのも面白い読み方かもしれないですね。

2017-05-12 「たわけじゃ」

「狼と香辛料 XIX Spring Log II」支倉凍砂(電撃文庫)

| 17:58

狼と香辛料XIX Spring LogII (電撃文庫)

狼と香辛料XIX Spring LogII (電撃文庫)

賢狼ホロと元行商人ロレンスが営む湯屋『狼と香辛料亭』。幸せと笑いがわき出ると言われる湯屋を舞台に描かれる、旅の続きの物語、第2弾が登場。

コルとミューリが旅に出てしまい、湯屋は慢性的人手不足に。ロレンスは大勢の客が訪れる繁忙期に向け、スヴェルネルの騒動で出会った女性・セリムを新たに雇うことにする。実は彼女、ホロと同じ狼の化身なのだ。

新参者のセリムの前では、女将としても狼の化身としても威厳を保ちたいホロだったが、なにやら浮かない様子で──?

電撃文庫MAGAZINEに掲載され好評を博した短編3本に加え、書き下ろし中編『狼と香辛料の記憶』を収録!

狼と香辛料エピローグ短編第2弾。



愛娘が旅に出てさぞかし凹んでいるロレンスとか、セリムが来たことでホロの機嫌が悪くなってあたふたするロレンスとか、ヘタレロレンスが楽しめるんだろうなと意地の悪いことを考えていたら、当のロレンスが全然平然としていて、むしろ泰然といった方がいいほどどっしりと構えていて、残念なような頼もしいような複雑な気持ち。ロレンスも歳を取ったということか。いや、この場合は「歳を重ねる」という表現の方がしっくりくるかな。

但し、肉体的には筋肉痛&腰痛で凹んでたけど。こっちは「歳を取った」だ(苦笑)

最後の話のホロの悩みといい、色々なところに10年という月日の重みを感じる話だった。




以下各話毎



狼と花弁の香り

内容:石臼探しから始まる旅をしていた頃の思い出話

ラベンダーの匂いはイヌ科にはきつかろう。猫だと死に至ることもあるみたいだし。

結局昔からイチャイチャしてるじゃないかと思いながら読んでいたら、昔話が終わった後にしっかり握られた手を見せつけらて、やっぱり今の方が幸せオーラ強かったわと、独り身を二度殺す話。




狼と甘い牙

内容:コルとミューリの日常の一コマ(まだ二人が狼と香辛料亭にいた頃

ミューリちゃんお転婆の限りを尽くすの巻。これは流石にコルは悪くないだろう。

すぐ冷静になって相手の真意を探るコルも、ちゃんと謝れるミューリも素直でいい子。親たちとは大違いw

それにしても、この頃からこれだけの好意を寄せられていて、妹と言い切るコル坊の朴念仁ぶりには恐れ入る。




狼と羊の毛づくろい

内容:スヴェルネルの祭からの帰り(前巻第三話の続き)

この作品で羊飼いというとどうしてもノーラを思い出すが、そういう話は出てこなかった。それを理由にホロがすねたり、ロレンスをからかったりするかと思ったんだけど。

この話に限らず今回のホロはちょっと子供っぽかった。ミューリがいない所為か?

しかしホロ×羊飼いの杖……似合わんなーw




狼と香辛料の記憶

内容:セリムの働きぶりとホロの悩み

ヘタレロレンス期待してたの読者だけじゃなかったw

幸せではあるけれど変化のない日々を重ねていくことへの不安。人間でも感じるのに何百年と生きている神狼となればどれほどのものか。

最後があまりにも綺麗な終わり方だったので、あとがきの最後が「次巻でお会いいたしましょう」なことに違和感を感じてしまった。このラストシーンは今度こそ本当に終わりって時に取って置いてほしかったような。

2016-09-12 「うちのやつのほうがよほど怖いので」

「狼と香辛料 XVIII Spring Log」支倉凍砂(電撃文庫)

| 22:12

狼と香辛料 (18) Spring Log (電撃文庫)

狼と香辛料 (18) Spring Log (電撃文庫)

賢狼ホロと、湯屋の主人になったロレンスの"旅の続きの物語"が、ついに文庫で登場。

ホロとロレンスが、温泉地ニョッヒラに湯屋『狼と香辛料亭』を開いてから十数年。二人はスヴェルネルで開催される祭りの手伝いのため、山を降りることになる。だがロレンスにはもう一つ目的があった。それは、ニョッヒラの近くにできるという新しい温泉街の情報を得ることで――?

電撃文庫MAGAZINEに掲載され好評を博した短編3本に加え、書き下ろし中編『狼と泥まみれの送り狼』を収録!

ホロとロレンスの"幸せであり続ける"物語を、ぜひその目でお確かめください。

温泉街ニョッヒラの一員となった二人の、日々の生活が綴られる短編集。



あの旅の終わりから十余年。ロレンスとホロは、いまだにイチャイチャしていた。

やっぱりね。

落ち着いた夫婦の会話なんてしてる二人は想像できないもの。前と同じ、ちょっと回りくどくてくどいくらい甘い仲睦まじい会話が読めてとても嬉しい。

反対にロレンスが親馬鹿になるのは容易に想像できた。愛娘がベタ惚れの奥さん似とあれば過保護になるのも仕方がない。

意外な点を強いて挙げるならコルがつい最近まで残っていたのが一番の驚きだったかな。でもこれはもう一冊の話か。



以下各話毎




旅の余白

内容:近くに新しい温泉街が? 対抗すべく客の呼べる企画を考える。

久々のホロ様だと思ってページを開いた途端にこの仕打ち。

意図をちゃんと説明してもらってもその企画は悪趣味だと思うわ。よく湯治来るらしい聖職者たちにも神への冒涜だとか言われそう。

いずれ来る別れを匂わせる話だったのに、さほどセンチメンタルな気分にならないのはホロのデレのタイミングとキレによるところが大きい。これだから10年以上たっても前と同じ幸せオーラが出ているのだろう。




黄金色の記憶

内容:金払はいいが偏屈な客の目的は?

楽師や踊り子<<<主人夫婦のやり取りの件で大笑い。はい、私もそれが楽しくて読んでい一人です。

話は短いけれど、余所者から町の人間として認められる次の一歩が感じられるのがいいところ。でも10年でもまでこの扱いか。まあ田舎だからね。




狼と泥まみれの送り狼

内容:両替と祭の手伝いで山下の街に赴くロレンスとホロ

これぞ『狼と香辛料』。

巻き込まれる騒動、利益と安全とお人好しの間で揺れ動く様子、大どんでん返しの大団円。旅の途中の物語を読んでいるようだった。

一応従業員問題は解決したが、若い女性なのは大丈夫なんだろうか。ヤキモチに託けてホロがロレンスをからかう図しか想像できないんだが(苦笑)



羊皮紙と悪戯書き

内容:コルとミューリ(二人の娘)の湯屋での一幕

コル君は過保護なお兄さんだったか。前からしっかりしてたから想像通りの成長かな。

でもコル坊はコル坊のままだった。

散々ホロにからかわれて鍛えられてきただろうに、どうしてそこまで初心なんだ。この二人の旅路を描く新説が不安だ。