公正取引委員会VS日本音楽著作権協会 その1


大きなニュースが出たので、久しぶりにブログを書く気になった。

 音楽の著作権管理事業を巡り、自らに有利な内容の契約を放送局と結び、新規事業者の著作権管理市場への参入を不当に締め出した疑いが強まったとして、公正取引委員会は23日、独占禁止法違反(私的独占)の疑いで日本音楽著作権協会JASRAC)に立ち入り検査した。公取委による同協会への立ち入り検査は初めてという。
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とは言うものの、あまり面白そうな題材でもないんだよな。公正取引委員会JASRACに対して歴史上初めて立ち入り調査を行った」と言う以上の意味はないだろう。この調査によってJASRACが困るかと言えば、少しは困るだろうと言う他はない。しかし、JASRACとしては包括契約を個別契約に切り替えていけば済む話。泣きをみるのは放送局だろう。番組の中で使った局を一曲一曲集計し、JASRACに報告しなければならないわけだから。


そもそも、ここ数年、JASRACは放送局に対し全曲報告を求めてきた訳だから、今回の公正取引委員会の立ち入り調査は、JASRACに対する追い風にもなりかねない。JASRAC公正取引委員会の調査を口実に、テレビ局に対して全曲報告を要求するだろう。そして、テレビ局はそれに逆らうことは難しい。結果的には、公正取引委員会の協力を得た形でJASRACの願望が実現できるかもしれない。

津田さんの話に補足しますと、テレビ局の全曲報告は、在京キー局では既に始まっているはずです。ただ僕が聴いたニュアンスだと、自主的に始めたというよりも、JASRACが言ってきたからしょうがなくやってる、という感じですけどね。
http://blog.shoeisha.com/contentsfuture/2007/09/q4jasracjasracotsune.html

 テレビ番組で使ったすべての楽曲を正確に報告してほしい――。日本音楽著作権協会JASRAC)と日本レコード協会,実演家著作隣接権センター(CPRA)の3団体は,民放事業者に対して順次,テレビ番組で使ったすべての楽曲をJASRACなどの権利者団体に伝えるように働きかける方針だ。具体的には,番組で流れた楽曲を「フィンガープリント技術」を利用してすべて特定できるようにする仕組みの整備を提案する予定だ。

 放送事業者は,音楽CDなど「商業用レコード」を使用して制作した番組を放送する場合,楽曲の著作権使用料を権利者に支払う必要がある。NHK日本民間放送連盟は,JASRACと楽曲使用の包括契約を結び,JASRACに一括して年間使用料を支払っている。ところが,その使用料は必ずしも正確に権利者へ分配されていないのが現状だ。JASRACによると,NHKは「全曲報告」を実現しつつあるが,民放事業者の取り組みが遅れているという。JASRACは放送事業者が全曲報告を実施していない場合,13週間ごとに1〜2週間のサンプリング調査を実施し,その結果を基に使用料を分配している。このため,サンプリング調査で把握されなかった楽曲については,その権利者が使用料を受け取れない状況になっている。
ニュース - 解説:JASRACなど3団体,民放事業者に「全曲報告」打診へ,音声認証技術の活用提案:ITpro