ぼーの の日記

セイバーメトリクスとか

簡易wOBA (Simplified wOBA, swOBA)の検討

事の発端はある友人からのline。彼によれば打率、出塁率長打率の平均をとるとセイバーメトリクスから生み出されたwOBA(Weighted On-Base Average)と呼ばれる指標とよく一致するというのである。wOBAとは単打、二塁打三塁打本塁打、四球等の各項目について統計的な観点から妥当と思われる得点価値の加重を与え、打席あたりで平均することで算出され、総合的な打撃力を表す指標として知られている。1)
打率、出塁率長打率の平均値をとるだけで精度良くwOBAを再現できるとはにわかに信じがたいが、これを裏付けるデータをFig. 1に示す。


              Fig. 1 wOBAとswOBA

Fig. 1は2017年の規定打席到達打者のwOBAとswOBA(打率、出塁率長打率の平均値)をそれぞれ算出し、プロットしたグラフである。線形近似によるR2値は0.950を超え、さらに絶対値も良く一致していることがわかる。

実はwOBAの開発者であるTom TangoもwOBAの近似式について触れており、彼によれば(2×出塁率長打率)/3という計算式が良い近似になるとしている。 2)


              Fig. 2 wOBAとTango氏によるswOBA

swOBAの計算式を変形するとここまで良く一致する理由がみえてくる。swOBAの算出式を変形させた式をEq .1に、wOBAの式 3) をEq. 2に示す。

これらの式を比較すると式の構成が類似しているだけでなく、係数も非常に良く一致していることがわかる。このような一致は単なる偶然と考えているが、THE BOOKにおいてTango氏はどのように言及しているかは把握していない。

簡易的に計算できる指標はその手軽さや普及しやすさが大きな武器であり、今回紹介したswOBAもwOBAの手軽な指標として、今後認知が広まっていくことを願っている。

Reference
1) http://1point02.jp/op/gnav/glossary/gls_index.aspx
2) T. Tango et al, Createspace Independent Publishing Platform, 『The Book: Playing the Percentages in Baseball』, 2006
3) http://1point02.jp/op/gnav/glossary/gls_explanation.aspx?eid=20004