読書

悪徳なんかこわくない 上 (ハヤカワ文庫 SF ハ 1-6)

悪徳なんかこわくない 上 (ハヤカワ文庫 SF ハ 1-6)


読了。何十年ぶりかだ。原作の発刊が1971年、ハヤカワ文庫で出たのがその翌年。もう30年以上も前の作品だが、全然古くない。いまでも十分に通用し、大いに楽しめる。なぜこの作品を早川書房が廃版にしているのかよくわからない。
ストーリーは超大金持ちの主人公(←ついハインライン本人の顔写真を思い出してしまうw)が脳移植を行ったが、移植先の体は直前に殺された自分の美人秘書だった。しかも彼女の意識はまだ生きていた。というもので、全体の9割以上が会話で構成されている。このやり取りが楽しい。最後は、月へ行って子供を産むというところで終っている。
本筋とは少し離れているが物語の終盤で、登場人物にこんなことを言わせている。

知性を持った種族はその故郷である惑星を脱出し、他の星に移住するのに必要とされるエネルギーを作り出すため、まさに破局に至るまで繁殖しつづけなければならないのではないだろうか?

これは『メトセラの子ら』をはじめとする、ハインラインが描いてきた宇宙と人類の関係そのものではないかと思う。