新刊紹介:「前衛」3月号

「前衛」3月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは3月号を読んでください)

■「スターリン秘史――巨悪の成立と展開」(不破哲三*1
(内容要約)
 連載の二回目。
 前回、不破は「スターリンは、可能ならばコミンテルンの幹部ポストにディミトロフ(1934年に国会議事堂放火事件で無罪判決)をつけたいと考えていたがそれは何故か?」と問題提起していた。今回はその説明編。
 コミンテルンは当初、いわゆる「社民ファシズム論(社会ファシズム論)」を採用、社会民主党派を主敵扱いしていた。しかしそうした路線の誤りは、ドイツにおけるヒトラーの政権掌握と、その後のヒトラー独裁強化で明白であった。この事態を挽回するには「反ナチスの闘士」として一躍ヒーローとなったディミトロフを担ぎ出す以外にない、とスターリンは判断したのであった。「橋下維新の石原担ぎだし」「小沢一派の嘉田担ぎだし」みたいなもんと理解すれば良かろう。
 で、1935年の「コミンテルン第7回大会」での人民戦線戦術の採用と言う一大転換が起こるわけだがそれは次号。


特集「安倍政権と正面から対決する」
■「安倍政権にとりついた政治経済のネジレ構造」(二宮厚美*2
(内容要約)
筆者・二宮氏のいう「ねじれ現象」とは
1)安倍はアベノミクスを唱え積極財政(大規模公共事業)を打ち出している
2)しかし、安倍を支持する財界は新自由主義路線(社会福祉予算抑制、賃金アップ抑制、消費税増税など)をとっており安倍もそれに反対する意思も能力もないであろう
3)積極財政を打ち出したところで、新自由主義路線が改められないのならば、生活不安から国民の消費意欲は伸び悩み、景気回復はできない、あるいはできたとしても、短期に終わり、かつ国民大多数には「実感なき景気回復」に終わるだろう、ということである。
 当然ながら、二宮氏的には「社民主義的政策」「再分配重視政策」の実施が求められることになる。


■「安倍内閣で問われる憲法観」(丹羽徹)
(内容要約)
安倍内閣においては安倍が「集団的自衛権容認」を目的とした九条改憲を打ち出していることに注意が必要(ただし自民改憲案は天皇元首化など九条以外でも右翼的な代物であることに注意が必要)。
・安倍はすぐには九条改正は無理と考え「96条改正」により改正のハードルを下げることを目指すであろう。一番望ましいことは安倍にとって「国民投票制度を廃止」し「憲法改正」を通常の法律改正と同様の手続きで行えるようにすることであろう。
・その場合、安倍は「維新の会」「みんなの党」との連携を強める方向に行くであろう(安倍にも「第三極」をアピールする維新、みんなにもそれぞれの思惑があるためこうした連携はスムーズには進まないかもしれないが)。
 安倍の今後の動向に警戒し、護憲運動を強める必要がある(安倍は参院選まではアベノミクスをアピールし、憲法問題は完全封印する可能性もあるが、「改憲案をぶちあげる」など、そうでない可能性もある。いずれにせよ封印する場合も「参院選勝利後はやりたい放題」を考えているだろうから大いに警戒が必要)。


■「安倍内閣の極右・タカ派人脈の系譜」(俵義文*3
(内容要約)
 第一次内閣以上に今回、安倍内閣の右翼人脈は酷くなっているという話。
 一番わかりやすいのは教育再生実行会議だろう(教育再生実行会議以外の他の極右人脈も後で紹介するが)。前回首相就任時の「教育再生会議」では露骨な極右人脈は避けていたが今回は露骨にもろだしである。「教科書に歴史修正主義南京事件否定論慰安婦否定論)を持ち込む」「親学を教育現場に持ち込む」などの右翼的政策の実行が危惧される。

教育再生実行会議の右翼人脈】
八木秀次
 高崎経済大学教授。元「つくる会」会長。現在、日本教育再生機構理事長。安倍ブレーン5人組の一人と言われる。
 なお八木以外の5人組メンバーは
 伊藤哲夫日本政策研究センター所長、日本会議常任理事、日本李登輝友の会常務理事)、島田洋一福井県立大学教授、巣くう会副会長、国家基本問題研究所評議員・企画委員)、中西輝政京都大学名誉教授、元「つくる会」理事、第1次安倍内閣美しい国づくり企画会議」委員)、西岡力東京基督教大学教授、巣くう会会長、国家基本問題研究所評議員・企画委員)と皆、札付きの極右である。

河野達信:
 右翼系の教員労組「全日本教職員連盟全日教連)」の委員長。通常、最大労組の日教組から選ぶであろうに、わざわざ全日教連から選ぶところが安倍らしい。

加戸守行:
 前愛媛県知事。知事時代、高校教科書につくる会教科書を採択した札付きの右翼。

曾野綾子
 夫・三浦朱門とともに産経文化人。

他の委員の思想信条は今のところ不明だが、以下の人物が自民に近い立場の人間であることは指摘しておく。
佐々木喜一:
 学習塾を経営する成基コミュニティグループ代表。下村文科相の有力支持者の一人。(赤旗『下村文科相・進学塾から多額献金教育再生実行会議のメンバー企業も』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-21/2013012115_01_1.html)参照)
武田美保
 スポーツコメンテーター。元シンクロナイズドスイミング日本代表。シドニーアテネ五輪銀メダリスト。夫は三重県知事の鈴木英敬自民党系)


男女共同参画会議委員*4(予定)*5の極右人脈】
高橋史朗
 明星大学教授。元「つくる会」副会長、親学推進協会理事長。なお親学推進議連の会長は首相の安倍、事務局長は文科相の下村*6である。親学が安倍内閣によって推進されないか警戒が必要だろう。


【閣僚、党役員の極右人脈】
高市早苗
 自民党政務調査会長。第1次安倍内閣内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策・科学技術政策・食品安全・イノベーション少子化対策男女共同参画)。8月15日の終戦記念日に、第1次安倍内閣の閣僚で唯一靖国神社に参拝した。
下村博文
 第2次安倍内閣文科相。第1次安倍内閣官房副長官。安倍が会長を務める親学推進議連で事務局長。安倍の側近の一人。
新藤義孝
 第2次安倍内閣総務相ウィキペディア曰く『2011年(平成23年)8月1日、稲田朋美衆院議員・佐藤正久参院議員(いわゆるヒゲの隊長)と共に「竹島日本領アピールのため」韓国の鬱陵島へ向かおうとして、金浦空港で韓国政府当局から出入国管理法第11条(「国益・公共の安全が侵害される恐れがある場合」)に基づき入国拒否処分となる』札付きの右翼。
古屋圭司
 第2次安倍内閣国家公安員委員長(拉致担当相、国土強靱化担当相兼任)。第1次安倍内閣で安倍が主張した「価値観外交」を応援する価値観外交議連会長を務めた安倍の側近の一人。
稲田朋美
 第2次安倍内閣で規制改革・行革担当相。右翼議連「伝統と創造の会」会長。百人斬り訴訟で原告側弁護士を務めたり、慰安婦の違法性を否定する極右広告「The facts」賛同人に名を連ねたりする札付きの極右。


■「動き始めた第二次安倍政権の『教育改革』:教育委員会制度改革を中心に」(宮永与四郎)
(内容要約)
 安倍政権の教育政策を予測することは現時点では難しい(右翼的な路線を目指していることは予想できるが、安倍は露骨な右翼政策の表明は現時点では控えている)。
 ただし、筆者は自民党教育再生実行本部が「教育委員会」の自主性剥奪をねらってることに注意が必要だろうと指摘している。
 なお、再生実行本部の案は以下の通り。
1)教育委員長は首長が任命する(現行制度では、教育委員は首長が任命するが委員長は委員の互選)
2)教育委員会は諮問機関とする(現行制度では執行機関)


■「『国土強靭化』の名による公共事業の大盤振るまい:将来見通した公共事業こそ」(高瀬康正)
(内容要約)
筆者は、「笹子トンネル事故」のような事故を防ぐ公共事業には反対しないとしながらも安倍内閣の「国土強靱化」はそうした事故防止を口実にしたただの公共事業ばらまきではないのかと批判している。


■検証「巨大メディアは選挙、政治をどう報じたか」
【新聞:「第三極」「政権の枠組み」報道で争点隠し(藤田健)】
【テレビ:異様なまでの「二大政党」「第三極」報道(荻野谷正博)】
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替する。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-12-29/2012122901_03_1.html
世論を誘導し選挙の公正汚す、検証 巨大メディアと総選挙報道
 衆院が解散された11月16日から総選挙が公示された12月4日までの巨大メディアの報道の最大の特徴は、日本維新の会未来の党などの「第三極」の動きを細大漏らさずに取り上げる「政局報道」に終始したことです。そして、それを民主・自民の「二大政党」に対する“対抗軸”であるかのように描きました。
(中略)
 維新の会は消費税増税原発推進、環太平洋連携協定(TPP)推進と、政治の中身では古い自民党政治と変わらない政策を掲げていました。しかも、自主憲法制定や石原慎太郎代表の「核シミュレーション」発言など、これまでの保守政党にない特別の危険性をもっていました。こうした本質をほとんど報じることなく、「既成政党」への“対抗軸”と描くことによって、真の対立軸を有権者の目から隠す役割を果たしました。
 同時に、自民党が「次期政権」を担うことを当然視するような報道も目立ちました。
(中略)
 日本共産党は、「アメリカいいなり」「財界中心」という自民党型政治の転換を訴え、明確な対抗軸を示していました。しかし、巨大メディアは、解散後、日本共産党の主張・動向をほとんど報じず、わずかに報じた際には「埋没恐れる中小政党」などとやゆしたのです。
 公示間際に、嘉田由紀子滋賀県知事が新党結成を発表すると、なんの実績もなく、国会議員も当初は存在しなかったにもかかわらず、トップで報道。未来の党を含め、民主、自民、維新の「4極」報道に終始していきます。たとえば、11月末、主要政党の公約が出そろった際、「競う4党 公約交錯」(「朝日」11月30日付)、「民自、原発・金融で対決/維新、消費税『地方税化』」(「読売」)などと4党に限って報道。政策対照表まで4党に限定しました。
(中略)
 この点では、「脱原発」をめぐる政党の“本気度”を恣意的な基準で報じた「東京」*7も「衆院選4党中心」「未来がリベラルのとりで」(12月3日付)など異常な肩入れをしたことも指摘しておかなければなりません。

「未来がリベラルのとりで」
 小沢がリベラルとか、なめとんか。嘘も大概にしろよ。謝れ、日本共産党に土下座して謝れ。(参考:vanacoralの日記『東京新聞有権者を騙した事を自覚せよ!! 』(http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20130116))

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-12-19/2012121904_01_1.html
いまメディアで、“民意の行き場”奪ったのは誰か、反省なき総選挙報道
 日本ジャーナリスト会議は8日の緊急アピールでマスメディアの今回の選挙報道を、「民主党と自民・公明、それに『第3極』と称するいくつかの保守政党をベースに選挙を描き出している」「すぐに政権に関わらない政党は意味がないかのような『政権の枠組み』報道に終始」していると指摘。加えて「自らによる世論調査で、『勝ち馬』意識を煽るバンドワゴン効果を広げようとしている」と世論誘導を批判しました。
 同会が選挙中にメディアの報道姿勢を批判するのは異例です。それほど巨大メディアの「政権の枠組み」報道と選挙妨害ともいえる「議席予測」報道は目に余るものでした。
 「朝日」(8日付)には「世論調査 世論操作に見える日々」との川柳も載りました。
 NHKも毎回のニュースなどで枕ことばのように「政権の枠組みが最大の焦点」「政権をかけた攻防」などと表現。ニュースで取り上げる党首の街頭演説風景も、民主、自民、維新、未来に偏っていました。
 国政の基本で違いのないこれらの党を中心とした報道は、結局、自民党型政治の枠外にある選択肢、真の対立軸を有権者の目から隠し、政治の変革を求める「民意の行き場」をふさいでいるのです。
 「毎日」(17日付)の社会面には、福島県仮設住宅に暮らす被災者が、原発建設を推進した自民党を選ぶことに抵抗感を持ちながらも「仕方ねえ。自民党しかいれるところがないんだもん」と語り、愛知県の自営業者が「期待はずれだった民主党と寄せ集めの第三極には入れたくなかった」と自民党を選んだことが紹介されています。
 にもかかわらず、巨大メディアは選挙後もまったく無反省です。17日夜のNHK番組「政治はどこへ向かうか」では「日本政治の今後を問う」として自民、民主、維新、公明の4党だけを登場させ、今後の政策を語らせました。
 「読売」「毎日」「朝日」「日経」各社説(17日付)はそろって、選挙後も民自公3党の枠組みで社会保障と税の「一体改革」をすすめるよう“指図”しています。大手紙自身の社論が民自公路線にあり、民意をそこに誘導しているのです。
 これらのメディアは、日本共産党の示す消費税増税に頼らない社会保障拡充政策をまともにとりあげることはありません。消費税を上げながら社会保障は改悪する「一体改革」は国民に閉塞しかもたらしません。


■「政党助成金は日本の政治に何をもたらしているか:政党のあり方を考える」(藤沢忠明)
(内容要約)
赤旗の記事紹介で代替する。要するに政党助成金が「政治腐敗を助長している」と言う話。
共産党は政治腐敗助長とは別の理由(「身を切る努力」というなら政党助成金を廃止すべきだ、思想信条の自由を侵害している疑いがある、二大政党化を助長しているなど)も挙げて政党助成金廃止を主張しているが、本論文では政治腐敗助長が前面にでている。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-12-22/2012122202_03_1.html
政党助成金、解散した政党も がっぽり
 今年最終分の政党助成金の交付では、新党きづな*8、太陽の党*9新党大地*10新党日本の4党が、すでに総務省に解散届を提出していながら「特定交付金」という名目で計1億5523万円を受け取りました。
 政党助成法には、5人以上の国会議員がいることなどの政党要件を満たさなくなった場合でも、政党助成金を受けたいと申請すれば残額分の一部をもらえる“抜け道”規定があるためです。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-01-13/2011011314_01_1.html
民主離党の中島正純*11衆院議員、政党助成金363万円返納、架空支出疑惑の指摘うけ
 みずからが代表を務める政党支部の架空支出疑惑を指摘され、民主党を離党した中島正純衆院議員(41)=大阪3区=が、政党助成金約363万円を国庫に返納していたことが12日までにわかりました。政党助成金を返納したのは3人目です。
 中島議員が代表の政党支部は、「民主党大阪府第3区総支部」。2009年の政党交付金等使途報告書には、車両のリース代や事務機器リース料、パソコンなどの購入費約362万円が記載され、領収書のコピーも添付されていました。
 ところが、「車リース代」の支払先は、愛知県岡崎市内の税理士事務所とその関連会社で、月々のリース代が14万7000円から48万8250円とまちまちなど、不自然で、実体のない架空支出の疑いが、昨年9月、明らかになりました。
 中島氏は、同月7日、民主党に離党届を提出、受理されました。
 本紙の調べによると、同支部は、昨年11月18日、政党交付金等使途報告書について「パソコン・印刷機購入」73万6050円、「車リース代」288万2250円を削除する一方、「カメラ購入」7万3950円、「選挙ハガキ郵送代」53万4650円を追加するなど、30箇所以上にわたって訂正しています。
 この結果、当初の報告書では、民主党本部から交付された政党助成金2050万円を使い切っていたことになっていましたが、支出総額は1686万2091円となりました。
 総務省によると、残高363万7909円が昨年中に、国庫に返納されたといいます。
 政党助成金は国民の税金であり、総務相はその年度に使い残しがあった場合など、政党助成法にもとづき、返納を命じることができます。総務省によると、これまで、総務相が返納を命じ、返納されたのは、03年分の領収書を改ざんした自民党玉沢徳一郎*12農水相(約255万円)、09年の参院選で引退した公明党沢雄二*13参院議員(約150万円)についで3人目です。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-02-02/2010020202_04_1.html
「組織対策費」の使途不明、民主党に説明責任、疑惑の説明なく政党助成金「増額」?
 政党助成金をめぐっては、民主党にも自民党にも説明の求められる重大な問題があります。
 その一つが、2006年に小沢氏が、民主党代表に就任して以降の巨額の「組織対策費」の使途です。
(中略)
 06〜08年に山岡賢次*14財務委員長(現国対委員長)ら4議員に、民主党本部から計23億円ものカネが支出されていますが、その使途はいっさい明らかにされていません。
(中略)
 「組織対策費」は受け取った議員の領収書があれば使途は明らかにしなくてよいとされ、鳩山首相は「違法性はないと信じている」(1月8日)などとしています。
 もし山岡氏らが、個人的に消費したり、ポケットに入れているなら、それ自身重大な問題です。
(中略)
 こうした「政党機密費」の問題は、かねてから自民党に対しても突きつけられてきましたが、自民党は一切使途を明らかにしてきませんでした。
 また、小沢幹事長の関連する政治団体改革国民会議」は、同氏が代表や幹事長を務めた新生、新進、自由各党の解党時の資金を受けつぎ、自由党民主党に合流した03年9月には、約5億6000万円の政党助成金を含む約13億8000万円を自由党から受けとっています。また自由党幹事長だった藤井裕久*15財務相にも、自由党から10億円以上のカネが流れ、その後、小沢氏の別の政治団体に還流しているという指摘もあります。結党、解党を繰り返す間に政党助成金の使い残しがどう処理されたのかは、不明のままです。
 こうした実態からも、改めて政党助成金制度の害悪が浮かび上がります。疑惑の解明が求められます。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-01-05/2010010514_01_1.html
出張85件、政党助成金で賄う、本人・妻・秘書に「日当」
 国民新党長谷川憲正総務政務官参院比例)が支部長の「国民新党参議院東京第二支部」が、2008年の1年間で議員本人や妻、秘書などに1000万円を超す出張費を政党助成金から出していたことがわかりました。
(中略)
 長谷川氏の事務所では、出張費に「日当」や「宿泊費」を含めており、国民の税金が長谷川氏らの個人的な「所得」となっている可能性があります。


■「金融緩和の狙いを解く:なぜ景気も雇用も回復しないか」(河村健吉*16
(内容要約)
・金融緩和をしても内需の冷え込んでいる中では、財テクなど投機的な資金運用がされ、景気回復には役立たないと考える。


■「経済危機下の欧州社会モデルと新自由主義」(高田太久吉*17
(内容要約)
 経済危機下において社民主義的、福祉国家的ないわゆる「欧州社会モデル」は新自由主義派の攻撃を受けているという話。しかし、新自由主義路線を採用すればはEU内部の「経済大国」と「経済弱国」の対立を激化させ欧州統合を困難にするだろうと筆者は批判している。


■「いま消費者行政に何が求められているか:2000年代の動向から見た問題点と課題」(吉田信雄)
(内容要約)
・原稿の消費者行政システムへの批判的論評。
1)消費者庁、消費者委員会、消費者事故調査委員会の設置は評価できるが、人員は少なく、体制強化のための人員増が望ましい。
2)消費者団体訴訟制度の導入は評価できるが、この制度は「将来の違法行為の差し止め訴訟」に限られている。「過去の違法行為の被害賠償」も「消費者団体訴訟制度」の対象にすべきである。
3)国民生活センターの扱いについては「廃止した上で消費者庁へ統合する」という主張もあり、早期の決着が望まれる。なお、多くの消費者団体は過去の実績があるセンターの存続を望んでおり、「消費者庁所属の特別機関」とするのが望ましい。
4)昨年、成立した消費者教育推進法に基づき、学校教育その他での消費者教育の充実が望まれる。


■論点
【IBM、ブルームバーグ事件から見える新手法(今泉義竜)】
(内容要約)
・新手法とは不当解雇の新手法である。
 その一つがまず第一にIBMが実行したロックアウト*18である。ロックアウトの目的としては1)会社への居場所を完全に奪うことによって労働者の闘争意欲を失わせる、2)「解雇の正当性」を争うための労働者の証拠収集(自己が会社に保有する業務データへのアクセスや同僚の証言集めなど)を妨害する事にあると思われる。ただし過去においてロックアウト型の解雇が正当と認められたケースはないことを指摘しておく。どう見ても解雇四要件の「労働者の納得を得るための事前の説明、協議につとめる」に明らかに反するからである。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-29/2012102901_01_1.html
午後5時解雇通告。「終業までに私物まとめろ。明日から出社禁止だ」日本IBMこの非道、「ロックアウト解雇」 労働者撤回求め提訴
 ある日突然、解雇を通告し、そのまま労働者を職場から締め出す「ロックアウト解雇」。日本IBM(本社・東京都中央区)で行われたこの「首切り」は、労働者に屈辱を与え、仕事の誇りも人間関係も奪い去るものでした。JMIU(全日本金属情報機器労働組合)日本アイビーエム支部が「新たなリストラ手法を許さない」と解雇撤回のたたかいに立ち上がっています

次に新手法としてあげられるのがブルームバーグの実行したPIPである。PIPの問題点としては
1)ノルマがとうてい達成困難な代物
2)ノルマ未達成とされた場合、特に業務改善指導がなされるわけではない、
つまり「あいつは無能だから解雇したんだ」というアリバイ作りのためでしかないことが上げられる。ただし判例上は、「能力不足解雇」は「明らかに業務に重大な支障が生じている場合」のような特殊なケースでない限り、安易には認められない。そう簡単に首切りされては労働者が生活に困るし、いったん社員として採用した以上は、本当に能力不足という問題があるとしても本来、「配置転換や再教育」などといった「能力不足問題」を解雇無しで解決する解雇回避措置が望ましいからである。


参考

http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke765/37577306.html
明日へのうた『ノルマ押し付け型解雇の無効判決』
 本ブログでも2度ばかり取り上げたことのある米通信社「ブルームバーグ」記者の解雇事件。5日、東京地裁で解雇無効の勝利判決を勝ち取った。「ノルマ理由の解雇無効」「ブルームバーグ元記者が勝訴」(『毎日』)。「ノルマ未達成口実の解雇無効」「ブルームバーグ記者の地位保全」(『赤旗』)。
 同通信社は、PIP(パフォーマンス・インプループメント・プラン)と称する「業績改善プラン」を実施。当該記者に「毎月4本の記事配信」などのノルマを課した。そして10年4月「質の高い独自記事を配信できない」「能力改善の余地がない」などを理由に退職を勧告。それに応じない同記者を同年8月に解雇した。
 同記者は新聞労連・新聞通信合同ユニオンに加盟して裁判をたたかい今回の判決となった。「実現不可能なノルマを押し付け、未達成を口実として退職強要や解雇をする同様の事件は、日本IBMなど複数の企業で起こっており、このリストラ手法を断罪した初の判断として注目されます」(『赤旗』)。
 『毎日』も「PIPなどを使った解雇は数年前から米国系の外資を中心に広がっている」「最近は労働組合を中心に『PIPは新型解雇だ』と問題視する動きが広がっている」「解雇は労働者にとって『死刑宣告』に等しい。経営計画を優先した解雇を横行させれば、企業が社会的責任を放棄したことになる」と企業側を厳しく批判している(ついひと月前まで新聞労連委員長だった東海林智さん*19の署名記事)。
 東海林さんも記事の中で触れているように、いま「電機産業などを中心に大規模なリストラが行われ、強引な退職勧奨も目立っている」。PIPといった新しいリストラ手法に対して個人が抵抗するのは限界がある。労働組合の組織的な対応が求められている。そのたたかいの法的根拠として今回の判決は貴重な財産になるだろう。
 もう2年前になるが、新聞労連とJMIUで「新型解雇をうちやぶれ PIPという名のアリ地獄」というタイトルの「シンポジウム」を共催した。今回の判決はそれが実を結んだとも言える。これからもがんばってほしい。それにしてもブルームバーグ代理人のあの岡田和樹弁護士はどんな顔で判決を受け取ったのだろう。


陸上自衛隊ヘリ談合事件にみる癒着の実態(森近茂樹)】
(内容要約)
赤旗、その他の新聞記事の記事紹介で代替する。

赤旗

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-09/2012090915_01_1.html
ヘリ談合疑惑、「仕様書案」を提供、防衛省が密談で川重側に
 防衛省発注のヘリコプター開発事業をめぐる官製談合事件で、同省担当幹部が受注した川崎重工業担当者と、事業の公告前に秘密会合を開催。ヘリに必要な機能を記した「仕様書案」、「評価基準案」などを提供し、川重が有利に受注できるための相談をおこなっていたことが8日、川重側の内部文書などで明らかになりました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-13/2012091301_01_1.html
新型ヘリ官製談合 三菱重工も同席か、防衛省側と川重の秘密会合、本紙入手の資料で判明
 防衛省発注のヘリコプターをめぐる官製談合事件で、防衛省側と川崎重工業(川重)の担当者が事業の公告前に行った“秘密会議”の席に軍需企業最大手の三菱重工の社員も同席した疑いがあることが12日、本紙が入手した川重の内部資料などで判明しました。内部文書からは、受注争いで競合する富士重工業を排除するために防衛省と川重、三菱重工の3者が協議を重ねていたことがうかがえます。
 談合が疑われる新型ヘリ「UHX」開発をめぐっては、同省が今年3月に川重と35億2800万円で随意契約を結びました。また、三菱重工防衛省が開発した新エンジンの技術支援業務を昨年11月に受注。この新型エンジンは、「UHX」向けに開発してきた経緯があります。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-14/2012091415_01_1.html
競合社内部資料 川重が事前入手、ヘリ談合 問われる防衛省関与
 防衛省発注のヘリコプターをめぐる官製談合事件で、川崎重工(川重)が本来入手できない競合相手の富士重工の内部文書をひそかに入手していたことが13日、本紙が入手した川重の内部文書などでわかりました。川重が入手した富士重側の資料は、新型ヘリ「開発案」「経費計画」など。不正な情報入手によって、川重が受注工作を有利に進めたとみられます。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-18/2012091801_04_1.html
ヘリ談合 本紙入手資料で鮮明に、防衛省と川重・三菱 密談、癒着どこまで
 陸上自衛隊の次期多用途ヘリコプター「UHX」開発をめぐり、官製談合防止法違反容疑で、防衛省東京地検特捜部の家宅捜索を受け、事件は緊迫化しています。本紙が入手した内部資料などからは、軍需企業大手の川崎重工(川重)が受注できるよう、同省側が異常な肩入れをしたことが明らかになっています。癒着の構図はどこまで広がるのか。
(中略)
 徹底した川重への肩入れは、現場の2佐らの判断によるものなのか。同事件では複数の技本担当者が関与したとみられていますが、佐官級の実務者にそれほどの決定権があるとは思えません。
 防衛省の事業発注に詳しい元幹部は、こう指摘します。
 「高額の装備品は幕僚クラスの幹部が決定に関わるのが普通だ。川重の受注が事前に決まっていて、現場がそのためのアリバイ工作をしたのではないか」
 防衛装備品の調達をめぐっては、専門性が必要なことを口実に随意契約が多く用いられてきました。そのもとで不正が多発したことをうけ、一般競争入札など公平・透明性を高める契約方式を一部で採用しました。
 ヘリ開発事業でも、今回のUHX選定で初めて企画競争入札方式が採用されました。
(中略)
 防衛省は、事前に評価基準を決めているので公平・透明性があるなどとして、同方式を小額契約を除く調達全般に広げています。
 しかし、UHX談合では、事前に評価基準を決めるやり方が悪用されました。受注した川重が防衛省と密談して、評価基準書や仕様書を自社に有利に「共同作成」したのです。
(中略)
 本紙の調べでは、川重に過去12年間で、少なくとも幹部自衛官68人が天下りしています。根深い癒着は、談合の温床になっています。
 前出の元幹部は「やり方を変えても実態は随意契約と同じ。今回の事件も防衛省と業者が、契約前から“初めに答えありき”で仕組んだ官民一体の談合だ」と語ります。

産経

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121220/crm12122017290013-n1.htm
2等陸佐2人を略式起訴 防衛ヘリ談合で東京地検 「利益供与なく悪質性低い」
 防衛省が発注した次期多用途ヘリコプター「UH−X」開発をめぐる不正疑惑で、東京地検特捜部は20日、官製談合防止法違反罪で、同省技術研究本部(技本)に所属していた札本道博2等陸佐(54)=茨城県阿見町=と、椎盛治2等陸佐(48)=千葉県柏市=を略式起訴した。また2人の同僚だった2等陸佐と、開発を受注した川崎重工業(神戸市)社員ら数人を起訴猶予とした。
 捜査関係者によると、特捜部の調べに2人は「純国産ヘリを開発できるメーカーに受注させたかった」と話し、川崎重工に情報を漏らして便宜を図ったことを認めていた。特捜部は川崎重工側からの利益供与がなかったことなどから、悪質性は低いと判断し、2人の公判請求を見送った。
 起訴状などによると、2人は平成23年3月〜7月、機体に必要な性能を記した「仕様書」案や、競合相手だった富士重工業(東京都新宿区)の内部資料を川崎重工側に漏洩し、公正な入札を害したとされる。情報提供は都内の同省施設内などで十数回に及んでいた。
 特捜部は技本の上層部からも任意で事情を聴いたが、情報漏洩に関与したと認められなかったため立件を見送った。

 2佐二人しか起訴はしないわ、その二人にしても公判請求をしないで略式起訴で済ませるわ、検察おかしいんじゃないの、防衛省防衛族議員への遠慮か?、利益供与がなかったら、つまり収賄じゃなかったら問題ないのか?、過去、官製談合事件で利益供与がなくても逮捕したり、起訴して正式裁判してるケースはあるだろう?、と森近氏は批判している。
 また森近氏も指摘しているが過去にも、防衛庁調達実施本部背任事件(1998年)、防衛施設庁官製談合事件(2006年)、守屋次官収賄で逮捕された山田洋行事件(2007年)、航空自衛隊事務用品発注官製談合事件(2010年)などの同様の不祥事が起こっており、不祥事の根絶が課題である。(ウィキペディア「防衛不祥事」参照)

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130111/crm13011114290014-n1.htm
陸自ヘリ開発「白紙」 官製談合事件で小野寺防衛相
 小野寺五典*20防衛相は11日の閣議後の記者会見で、陸上自衛隊の次期多用途ヘリコプター「UH−X」の開発事業について、平成25年度予算案に経費を計上せず「白紙」とすると明らかにした。受注した川崎重工業(神戸市)に便宜を図ったとして、東京地検が昨年12月に官製談合防止法違反の罪で、陸自幹部2人を略式起訴したことを受けた方針。
 UH−Xは現在の多用途ヘリコプターUH1の後継として、29年度までに約180機の調達が計画されていた。小野寺防衛相は「いったん白紙になるが、必要性は変わらない」として、新たな開発計画を検討していく方針を示した。

 いったん白紙に戻すのは当然だろう。また新たに開発計画を検討していくのは「新型国産ヘリ開発の必要性がある限り*21」当然のことだが、有効な「不正行為の再発防止策」をどう打ち出していくかだろう。それ無しで開発を進め結局、川崎重工が落札するのでは『やはり川崎重工防衛省防衛族議員とつるんで、どんな手を使っても落とすのか』と疑われても文句は言えないだろう。


■暮らしの焦点
【神奈川 県の役割放棄した史上最大の「行革」(平野高士)】
(内容要約)
赤旗の記事紹介で代替する。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-13/2012101303_01_0.html
神奈川・黒岩知事 施設・補助金削減へ暴走、“自治体リストラ”県民反撃
 神奈川県の黒岩祐治知事が県民の生活や社会活動に欠かせない全ての県有施設や補助金の廃止・削減をめざして暴走しています。県民が積み上げた財産を一気に壊す“自治体リストラ”計画に反撃が始まっています。(神奈川県・河野建一)
 黒岩知事は9月27日、「緊急財政対策案」を発表し、県施設や補助金を大幅に廃止・削減する方向を打ち出しました。
 対策案は、乳牛育成牧場などについて廃止を含めて検討し、県立公園、武道館、診療所などは市町村・民間への移譲を含めて検討するとしています。重度身体障害者施設などは指定管理者制度の導入を、近代美術館などはそれぞれ集約化を検討します。県営住宅は団地の集約・統合、縮小・廃止などで見直す方針を打ち出しています。
 また補助金272件(約341億円)も廃止・削減を含めた見直しを考えます。小児医療費助成制度なども見直し対象です。
 対策案のベースになったのは黒岩知事がつくった外部調査会「神奈川臨調」(座長・増田寛也総務相)の意見。神奈川臨調は5月、県施設の原則全廃や補助金の凍結・見直しを求める方向を突然、示しました。
 黒岩知事は「県財政は破綻直前だ」と財政難を強調する一方で、「削ったお金で経済のエンジンを回していく」と言っています。
 県民サービスには、県の財産や税金を極力使わず、規制緩和を進める政府の「総合特区制度」を活用し、大企業のもうけ口をつくるために使うというわけです。
 抗議の座り込み行動などを行ってきた神奈川労連の水谷正人議長は「黒岩知事は呼び込み型の経済政策を掲げる一方、住民の福祉増進、雇用創出を図るという自治体本来の役割を投げ出しています。県内経済の活性化に必要なことは福祉、防災など県民の暮らしや中小企業を重視する政策を行うことです。世論と運動を大きく広げ、黒岩知事の暴走を止めたい」と言います。
 県民の交流、学習の場でもある県民センターの利用者は、いち早く守る会を立ち上げ、「県民センターをなくさないで」と署名運動を行いました。県議会からの批判もあり、建物は存続させることができました。
 「しかし」と同会事務局の高浦福子さん(県母親連絡会事務局長)は話します。
 「県は他の県機関を県民センターに集約するなどを狙っています。これを許せば、会議室の使用料値上げや、会議室や無料のスペースが少なくなるなどサービスの後退をまねきかねません。センターの機能の存続・充実を求めて、引き続き頑張ります」
 県内経済と地域社会を支える中小企業を支援する中小企業制度融資事業費補助金は、廃止・統合などの見直しが検討されます。県商工団体連合会は補助金削減の中止を求める陳情書への賛同を呼びかけ、神奈川オートバイ事業協同組合、横浜青果商業協同組合、県中華料理業生活衛生同業組合など58団体が名を連ねました。
 神商連の小川裕之常任理事は「中小企業金融円滑化法の終了を控え、県が融資事業補助金を廃止し、融資を受けられなくなれば企業への貸しはがしの圧力が強まるでしょう。補助金削減は絶対に許しません」と怒ります。
 県のリストラ計画には、市町村も「強い懸念」を表明しています。藤沢、鎌倉、大和、三浦の4市議会は意見書を可決し、県施設や補助金を廃止しないことなどを求めました。県議会第3回定例会に提出された関連の陳情は、40件にのぼります。
 日本共産党県委員会は対策本部を設置し、県営住宅存続を求める署名などで対話と共同を進めています。また図書館、博物館などを訪ねて館長らと懇談。県民に問題を知らせるチラシ200万枚を作り、配っています。

「財政難を誇張 大企業優遇見直しこそ」
 河野幸司前党県議の話
 県の対策案は2013、14年度で1600億円の財源不足が生ずると推計しています。しかし、その根拠となっている県の中期財政見通しは、地方交付税制度を無視し、歳入を小さく、歳出を大きくして意図的に財源不足額を誇張し、財政難をあおっています。法人事業税などの県税収入が減り、県財政は厳しくなっていますが、黒岩知事が言う「破綻直前」は大げさです。
 財源不足と言うのなら、雇用や税収の効果が上がっていない「インベスト神奈川」(研究所などの建設に県が助成金を出す制度)による大企業への助成金を中止し、自動車専用道路整備の凍結を行い、財政基金なども活用して対応すべきです。


■文化の話題
【映画:米軍基地に対する激しい怒り『ひまわり〜沖縄は忘れない、あの日の空を〜』(伴毅)】
(内容要約)
 1959年に起こった宮森小学校米軍ジェット機墜落事件(小学生11人が死亡)を題材にした映画『ひまわり〜沖縄は忘れない、あの日の空を〜』(公式サイト:http://www.ggvp.net/himawari/)の紹介。

公式サイトのあらすじ紹介
 激しい爆音とともに米軍のヘリが沖縄国際大学へ墜落した。事故現場を見た山城良太(長塚京三)は、52年前の石川市(現うるま市)の空を思い出していた。良太は宮森小学生6年生で仲良しの、茂と豊と二年生の一平達と元気に遊び回っていた。新学期、担任の先生が転校生の宮城広子を紹介する。良太はほのかな恋心を抱いた。沖縄の青い空の下で、良太の家族も、一平の家族も、広子の家族も一生懸命に生きていた。1959年6月30日、突然、米軍のジェット戦闘機が墜落し炎上しながら宮森小学校へ激突した。悲鳴をあげながら逃げまどう子ども達、良太は広子を助けようとしたが、広子は大きな傷を負い息絶えていた。校庭には一平の変わり果てた姿があった。悲しむように花壇のひまわりが風に揺れていた。
 それから53年目の2012年、年老いた良太は妻を失い娘の世話を受けている。孫である大学生の琉一(須賀健太)はゼミ仲間と共に沖縄国際大学へリ墜落事件と宮森小ジェット戦闘機墜落事件をレポート活動を始めるが、頑なに事件の真相を語らない良太など、事件の傷跡は今も深く遺族の心を苦しめている。琉一はゼミ仲間と共に基地と平和を考えるピース・スカイコンサートを決意するが、恋人の加奈(能年玲奈*22)との不和など、コンサートを前に様々な問題が起きはじめる・・・


【美術:投影される沖縄―山城知佳子《肉屋の女》」(武居利史)】
(内容要約)
 森美術館で開催されているMAMプロジェクト018「山城知佳子」の紹介(MAMプロジェクト公式サイト:http://www.mori.art.museum/contents/mamproject/index.html)。

参考

http://moriartmuseum.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-666d.html
森美術館公式ブログ『山城知佳子の沖縄、詩的映像が映し出す真実の姿』
 世界各国の才能豊かな若手アーティストを個展形式で紹介する「MAMプロジェクト」。第18回目の今回は、山城知佳子(1976年沖縄生まれ)が新作《肉屋の女》 (2012) を発表しています。展覧会初日の11月17日に行われたアーティストトークでは、この新作と、代表作《アーサ女》 (2008) 、新作と関係の深い《黙認浜―浦添市イバノの海》 (2007) について作家が語りました。
 《アーサ女》 (2008) は8枚の写真と映像で構成されるインスタレーションで、米軍基地移転計画がある辺野古の海などや公共工事によって埋め立て予定地となっている沖縄の5ヵ所で撮影されました。映像では、海中の無数の気泡や珊瑚礁などが映し出されます。カメラは波に揉まれて水中、水上を行き来し、海上保安庁の警備船がすぐ近くにいることや、そこが岸からそれほど遠くないことも明かされます。映像の中で絶えず聞こえる呼吸音は、生きていることの証でありながら、息苦しくも聞こえ、沖縄本島自体が揺れているようにも見えますが、これは米軍基地など諸問題により「揺れる沖縄」との解釈もある、と山城は説明しました。
 一方、写真では、山城本人が登場します。山城は水面に浮かび、沖縄でアーサと呼ばれる藻にまみれ、がんじがらめになっているようにも見えます。水と藻の流れに身を委ねる山城の身体は、日本と米国に翻弄される沖縄の象徴であるかのようです。
 しかし、本作では「アーサ女」という女性が沖縄本島近海の波間に揺られながら沖縄を客観的に眺め、沖縄についてもう一度見直しているのだと、山城は言います。また、辺野古の海岸には米軍基地のフェンスという境界線が引かれており、越えてはいけないと思い込まされていたその境界線が海上では簡単に越えられることに気づき、国家の境界が幻想であるかのように、山城は感じたそうです。
 映像作品《黙認浜―浦添市イバノの海》は、浦添市のとある海岸に集まる男性へのインタビューを核にした映像作品で、男性2人が登場します。その1人は、自身の若い頃の回顧話をしているようですが、説明は抽象的で、彼が何者で何が起きたのかは明らかにされません。もう1人は浜に自分で建てた小屋でこの浜について語りますが、それを通じて、採藻や漁業、ダイビングなど、多様な目的でさまざまな人々が訪れるこの浜が、社交場的性格も持つ場所であることが示されます。
 本作は、撮影地の近くに「イバノ」という店があったため、このようなタイトルが付けられました。また「黙認浜」という言葉は山城による造語で、米軍基地が隣接するために開発を免れてきた自然浜のことを指します。このような浜が沖縄には数ヵ所あると山城は指摘します。この名称は、米軍基地敷地の一部を地元の地主が農地として使用することが黙認されている「黙認耕作地」という言葉に由来します。黙認耕作地は沖縄各地にあり、米軍に土地を奪われた地主が、土地の所有権を主張して農業を営んでいるのです。
 山城はこの、沖縄では「知らないことのようにすること」で存在してきた、雑多な人・モノが入り混じる「黙認」の空間に興味を持ち、毎週のように通って撮影を行いました。沖縄=楽園・癒しという一般的イメージとは裏腹に、現実の沖縄は米軍基地から派生するオスプレイ配備の問題や婦女暴行事件の発生など生きることすら保障されていない、と山城は言います。そんな地で、「黙認の空間」は逃げ場のような場所になっています。そのひとつである「黙認浜」に、最近道路工事が始まり、かつての姿はなくなってしまいました。
 《肉屋の女》 (2012年) は本展のために新しく制作された3面プロジェクションの映像作品です。米軍基地敷地内の黙認耕作地に実在する闇市で肉屋を営む女性を主人公に、闇市の近くにあるという設定の上述の道路建設が始まった「黙認浜」や、肉屋から続く鍾乳洞などを舞台に物語が展開します。
 この闇市は、週末の午前しか営業されず、米軍払い下げ品、農作物、曲がったスプーンなどのガラクタや中古品など、多種多様なモノが非常に安価で販売されており、経済的な合理性だけではない人と人のつながりがある空間だと山城は形容します。肉屋も実在しますが、作品撮影のためには、空いているバラックを借り、壁を建てて肉屋に仕立てました。
 約21分の本作は、フィクションと現実が交差する詩的映像であり多様な解釈が可能です。日本・米国・沖縄の関係、失業、開発と環境破壊、女性の権利などの諸問題が複雑に絡み合った今日の沖縄社会の隠喩とも解釈できるでしょう。
 最も気になるのは肉が何のメタファーかということですが、最終的には人々を性差や帰属を超えた「肉」として描きたかった、と山城は言います。人体も肉で構成され、食べた肉は自分の肉になり、自分も誰かに食べられてしまう可能性すらあるわけです。この「肉の循環」という現象は、「沖縄のお年寄りの戦争体験を直に聞いた際に、その他者の声が自分の体内にとどまり、大きく育ち、肉までついてきている」という感覚としても説明されました。これは自分の内部に外部を抱え込み、もしかしたらその外部にのっとられてしまう危険性も孕むわけです。そういう危険さえも受け入れるというのが「肉の循環」なのでしょう。
 今日では物理的には壊されてしまいましたが、黙認浜は様々な人が共生した自由な空間であり、そういう空間はメタレベルにおいても作れるのではないかと山城は考えます。沖縄に限らず世界中どこでも諸問題は存在し、そんな中では殻に篭ったほうが楽なのかもしれません。他者と関係性を持ち共生を目指すことには困難を伴います。しかし、黙認浜のような自由な空間を作り、危険を犯してでも敢えて他者に対して自分を開いていきたい。《肉屋の女》はそんな勇気を持つことの決意表明の物語なのであろうと、私は思いました。
近藤健一森美術館キュレーター)


■スポーツ最前線
【リーグ戦を創設した女子アイスホッケー(安岡伸通)】
(内容要約)
 日本アイスホッケー連盟が女子日本アイスホッケーリーグ戦を創設したことは評価できる。しかし課題は山積している。強いアイスホッケー人気が日本であるわけではないため、このリーグはプロリーグではない。多くの選手は、ホッケーとは別途仕事を持っており、2012年の試合は10月、11月の3連休を使って行われた。今後、試合数を増やす場合、平日にも試合を組む方が都合がいいがそれは現状では難しいだろう。
 また、トップチームと、下位チームの実力差があまりにもありすぎるという問題もある。今後はこうした諸問題を解決していくことが求められる。
 まあ、「今回のソチ五輪予選で女子チームが活躍していること」「最終試合・デンマーク戦まで五輪出場の可能性をなくさず踏ん張ったこと」は「女子アイスホッケーへの注目」を集めるという意味でよかったと思う。願わくは「日本時間で10日」*23デンマーク戦勝利で出場を果たしたい*24ところだが、現在暫定1位がデンマークなのでなかなか難しいとは思う。スロバキア戦で勝てれば良かったんだけどね。


【2013年2/11追記】
 デンマーク戦で「5−0」で快勝し、見事にソチ五輪出場を決めたとのこと。デンマークが暫定1位なので、「出場は無理ではないか」「勝利するとしても僅差か」と思っていたのだが、点差だけ見ると大差なのは何なのだろうかと思う。
 これで、「2011年FIFA女子ワールドカップで優勝→国民栄誉賞受賞*25」で国民的知名度を得た女子サッカーのようになればいいと思う。
 初出場とのことなので、五輪本戦での活躍を期待するのは酷かとも思うが是非とも頑張って欲しい。

参考

http://www.princessrabbits.com/topics128.html
SEIBUプリンセスラビッツ OFFICIAL WEB SITE
『第1回女子日本アイスホッケーリーグ 優勝しました!!』
 苫小牧と釧路にて行われました第1回日本女子アイスホッケーリーグにおきましてSEIBUプリンセスラビッツは優勝いたしました。
 記念すべき女子日本リーグの初代チャンピオンの栄冠を手に入れることが出来ました。
 応援ありがとうございました。

http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2013/02/09/kiji/K20130209005155690.html
スポーツニッポン『女子アイホケの注目度アップ期待「五輪に出場してくれたら」』
 7日にスロバキア・ポプラトで開幕したアイスホッケー女子のソチ五輪最終予選の初戦で、日本がノルウェーに4―3と逆転勝ちしたことを受け、日本アイスホッケー連盟の建部事務局長は8日、都内で報道陣に対応し「チーム状態がいいとは聞いていた。崩れなかったし、自信があったのでしょう」と安どの表情で話した。
 競技人口は約2万人で女子は約1500人にすぎない。代表選手もアルバイトなどをしながら競技に打ち込んでおり恵まれた環境とは言い難い。建部事務局長は「冬の競技は種目が少ないので、五輪に出場してくれたらいいなと思う」と注目度アップに期待を寄せていた。


■メディア時評
【新聞:緊急経済対策に見る全国紙と地方紙の差(金光奎)】
(内容要約)
 地方紙がアベノミクスに対し、一定の批判、疑問を表明しているのに対し、全国紙は一様にほぼ手放しの礼賛である。全国紙の思想的堕落はもはや救いがたい。

【テレビ:安倍首相とテレビの関係(沢木啓三)】
(内容要約)
・第1次安倍内閣において、たった1年間で8件の行政指導がテレビ局に対して行われている(一方、民主党政権においては行政指導は1件もなかった、なお、第1次安倍内閣当時の総務相菅義偉・現官房長官)。
 その指導対象の中には大問題になった「発掘!あるある大事典2」「朝ズバの不二家報道」もある*26が、それを割り引いても、行政指導はテレビ局の報道を萎縮させる危険性があり、安倍氏には「報道の自由の重要性」への認識がないのではないかと疑われる。
安倍氏官房長官だった頃、TBS『イブニングファイブ』で「731部隊」についての報道を行っているときに、安倍氏の顔写真が誤って数秒写しだされ、安倍氏が抗議、後に総務省が行政指導を行ったことがある。総務省の行政指導が安倍氏の圧力による疑いが否定できないし、またそもそもこの程度の「故意とは思われない単純ミス」で騒ぐことはおよそ政治家にふさわしくない狭量な態度であろう。
・「朝ズバ」でNHKキャスター痴漢事件が報じられたとき、安倍氏の顔写真が誤って数秒写しだされたとき、安倍氏は根拠もなくフェイスブックにおいて「TBSの悪質なサブリミナル効果をねらった操作」などと放言したが、安倍氏の発言こそむしろ「TBSに対する悪質な名誉毀損」ではないのか。
・また安倍氏が、NHK教育テレビ慰安婦報道において、政治的圧力をかけ報道内容を変更させた疑惑についても忘れてはならない。
安倍氏は「報道の自由」をふみにじることに躊躇しない政治家であると認識し、マスコミは予想される彼の「報道への規制」と闘う覚悟が必要であろう。

参考
【安倍の慰安婦報道圧力疑惑】

http://www.jcp.or.jp/tokusyu-04/nhk/index.html
NHK従軍慰安婦」番組への政治介入 なにが問題なのか
 ときの政権の座にいる自民党議員がNHKの番組に放送前に介入し、改変させた事件が大きな政治問題に浮上しています。
 NHKの番組「戦争をどう裁くか(2)問われる戦時性暴力」(2001年1月30日放送)に、安倍晋三幹事長代理(当時・内閣官房副長官)、中川昭一*27経済産業相が事前に介入し、番組の内容が大きく変更されたと告発されています。
 いったいなにがおこり、なにが問題なのでしょうか。
(中略)
 「圧力をかけていない」「公正・中立にといっただけ」。自民党安倍晋三幹事長代理が、NHKの「従軍慰安婦」番組改ざん問題で、あれこれ弁明しています。介入を明白に認めた当初の発言を変えるなど否定に躍起。しかし、この間の経過や安倍氏自身の発言をみても、圧力・介入の事実は隠しようがありません。
(中略)
■■なにが問題か■■
 放送法に反する介入、憲法に反する検閲
 憲法21条は、言論・表現・報道の自由を保障し、検閲を禁止しています。また放送法第3条は、放送内容についての外部からの介入を禁止しています。政権・与党の政治家が、テレビ番組の内容について、事前に放送中止や、内容の変更を求めるということは、憲法放送法に反する民主主義破壊の行為です。
 こうした行為をおこなった政治家と、その圧力に屈して番組の改ざんをおこなったNHK関係者は、それぞれがその責任をきびしく問われなければなりません。
 安倍氏は当時内閣官房副長官、中川氏は現職の閣僚です。一政治家による放送内容への政治介入問題にとどまらず、政府の要職にあるものの政治介入として、小泉内閣の責任が問われる問題です。
 安倍氏は放送前日に、NHKの放送総局長に会い「意見」をいったことを認めつつ、番組が「ひどい内容」と攻撃してみずからの行為の正当化を図っています。「読売」「産経」の社説も制作現場や番組に矛先を向け、安倍氏の発言の後押しをしています。安倍氏やこれらのメディアが問題にしているのは、歴史の事実として従軍慰安婦問題をとりあげ、旧日本軍の関与や昭和天皇の戦争責任を明らかにすることそのものです。
 政府は1993年に発表した見解でも、従軍慰安婦問題での旧日本軍の関与を認め、国際的に「お詫びと反省の気持ち」を明らかにしています。それを否定するような番組の改ざんは、まさに歴史そのものを改ざんしようとするものです。「日本は過去の歴史の隠ぺいを中断し、今回の事件を自己反省のきっかけとすべきだ」(韓国・ソウル新聞1月13日付)、「日本で政治家が、慰安婦模擬裁判に関する報道でNHKに圧力」(マレーシア・華字紙星州日報14日付)など、アジア各国から批判の声があがるのは当然です。

【TBSに対するネトウヨと同レベルの安倍の煽り】

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1211/19/news138.html
 安倍総裁は「その日はまさに解散の日。ネガティブキャンペーンがいよいよ始まったのでしょうか? もし事故なら私のところに謝罪があってしかるべきですが、何もありません」と明かし、同局が2006年に同様のミス*28をしたことを指摘した上で「『またか。』との思いです」とコメント。「これから1カ月こうしたマスコミ報道との戦いです。私は皆さんと共に戦います」と決意表明した。

 この記事についた安倍に批判的なはてなブックマーク

http://b.hatena.ne.jp/entry/nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1211/19/news138.html
dussel
この話に安倍総裁(サイド)が言及したことの方が驚きなんだが。純粋なミスの可能性も排除出来ないのに「印象操作」と断じてるし
coper
相変わらず気が小さい。些細なことでも挑発されたと感じて、応酬せずにはいられない。
flipflop_jp
なんだか器の小ささを露呈してしまってるなぁ。

 まあ、誰が考えてもお粗末なミスだろうが百歩譲ってTBSの安倍への嫌がらせだとしても普通こんなもん、「TBSもバカだねえ」と内心思ってそれ以上何も言わず流すだろう。誰かから意見を聞かれても「愉快なことではないけど、単純ミスでしょう?。僕や自民に対する政策批判や疑惑報道ならまだしもこんなもん気にするほど僕もヤワじゃないですよ」と言うのが普通の政治家だろう。
 安倍がよほど気が小さいか、これを口実に安倍批判を封殺しようとしているか、どちらかと疑われても仕方ないな。


【「発掘!あるある大事典2」の問題について】

ウィキペ「発掘!あるある大事典」参照
・2007年1月7日の「納豆によるダイエット効果」を取り上げた第140回「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」の放送後、全国各地で納豆が売り切れるといった騒動となった。これに注目した週刊朝日が取材を開始したところ、捏造とみられる個所が判明したため1月26日号で「納豆ダイエットは本当に効くの?」という記事を掲載、関西テレビに質問状を送ったところ、関西テレビは2007年1月20日に社内調査の結果として、実際には血液検査を行っていないにもかかわらず虚偽のデータを放映したと発表、合わせて翌日21日の放送を中止することも発表し千草宗一郎社長らが謝罪した。
 1月21日の放送は関西テレビの毛利八郎アナウンサーによる約5分間の謝罪特別放送が行われ、通常放送は中止された。『スタ☆メン』が繰上げで放送されたが、スポンサーがつかず、1時間にわたりコマーシャルが放送されなかった。
 1月23日、番組の打ち切りが決定した。それに伴って関西テレビの役員、制作責任者が暫定的に処分された。今後も調査委員会を立ち上げ検証し、検証後必要な場合は追加処分を実施していくこととされた。この番組制作を受注した日本テレワークは、古矢直義社長が辞職し後任社長に末富明子氏が就任したと発表した。また、関西テレビを管轄する総務省近畿総合通信局が、この件について電波法に基づく報告書の提出命令を行っており、法的な責任も問われることになった。本番組を最後に、関西テレビフジテレビの日曜21時枠の番組制作から撤退を決定し、制作がフジテレビとなった。
 4月3日には、22:00〜23:09の時間帯で検証番組「私たちは何を間違えたのか 検証・発掘!あるある大事典」が放送された。番組は事前収録形式で、スポンサーのコマーシャルを一切入れないで、問題の納豆ダイエットなどの捏造事件の経緯・再発防止のための取り組みを全国27局に向けて放送された。
 毛利アナと関純子アナが司会を務め、番組の冒頭では千草前社長が謝罪のコメントを行った。検証番組では、一般視聴者からのメッセージや今後同じことがあった場合の対処についてなどについて紹介された。
関西テレビはこの事件により、フジネットワーク(FNS)の会員資格停止は免れたものの、日本民間放送連盟(民放連)からは2007年4月19日に除名処分を受け、営業面で大きな不利益を被ることになった。その後、フジテレビ制作の北京オリンピック中継が関西地区で見られなくなる事態を回避するため、民放連は2008年4月17日に条件付き再入会を認めた。同年10月27日には正式に復帰が認められている。

【朝ズバの問題について】

TBS不二家捏造報道*29問題(ウィキペ参照)
 2007年1月22日放送に放送されたTBSテレビの情報番組『みのもんたの朝ズバッ!』において、不二家の期限切れ原材料使用問題に関する一連の報道の中で、不二家の信用を不当に傷つけたとする問題。
・問題となった放送内容
 『賞味期限の切れたチョコレートを回収して再利用した疑いがある』という「朝ズバ」の報道について不二家広報は、放送当日にTBSに電話で抗議し、翌日には、文書で、賞味期限切れのチョコレートが「平塚工場にもどってくることはなく」「再処理して商品化することはない」こと等を番組宛てに伝え、調査と放送内容の訂正を申し入れていた(BPO倫理検証委員会の報告書より)。
・矛盾点
「回収チョコレートを再使用する際に牛乳を加えた」と報じた点:
 不二家のミルクチョコレートに使用されているのは、番組中のフリップで示したような牛乳ではなく全粉乳である。平塚工場には牛乳を混ぜるための設備は存在しない。
 流通ルートの点:
 書籍など特殊な流通制度を持つ商品、または不良品など製造元の責任において回収する必要がない限り、一旦小売店仕入れた商品を製造元が回収する流通ルートは通常存在せず、不二家でも平塚工場に戻ってくることはない(諸事情による返品も、平塚工場ではなく物流倉庫に戻る)。
 製造日印字の点:
 チョコレートの包装紙には1995年より賞味期限の印字を行っているが、元従業員が証言したような製造日の印字はしていない。
「チョコレート」と「クッキー」の混同:
 元従業員は、TBS担当ディレクターに対し、チョコレートに関する証言と「カントリーマアム」に関する証言を行った。しかし、元従業員が勤めていたとされる平塚工場はチョコレート専業の工場であり、クッキーであるカントリーマアムの製造は行っていない。
 この件について不二家信頼回復対策会議議長を務めた郷原信郎弁護士はTBS社長宛に公開質問状を送ったが、2007年12月4日、TBSは「私ども東京放送は、外部委員を交えたTBS検証委員会から報告書の提出を受け、当社のホームページ上に掲載しており、その内容に関する個別、具体的な質問については、答えを差し控えさせて頂きます」と回答を拒否した。
・捏造疑惑の発覚
 3月28日、郷原弁護士が、TBSの報道には重大な誤りがあり、捏造の疑惑があるとして批判し、TBSとみのに対して謝罪や訂正放送を求め、TBSの対応いかんでは法的措置も辞さない考えを示した。郷原は4月2日には、TBSの井上弘社長宛に個人名で公開質問状を提出するなど、TBSの訂正、謝罪を求め続けた。
・TBSの対応
 捏造疑惑の発覚に対してTBSは、3月28日に緊急会見を行った。その中でやらせや捏造は無かったとしてあらためて否定した。TBSはこの会見の後も放送では謝罪、訂正は行わず、メモや録音テープが公開されたことについては「不二家側のメモが間違っている」、「了解も無くテープを公開したのは道義にもとる」などと反発。郷原の公開質問状も黙殺した。
 更に、みのも週刊誌報道で「僕が報道の取材をしているわけじゃないんだからさ、放送作家に言われた通りにしゃべっただけ」「捏造ってことは、僕はあり得ないと思いますよ」と答えるなど、一貫して捏造を否定し続けた。
 こうした一連の対応によるTBSやみのへの批判の高まりをうけて、TBSは4月18日の『みのもんたの朝ズバッ!』において、謝罪放送を行った。   しかし「正確性を欠き誤解を招きかねない表現があった」とするにとどまり、捏造については再度否定。みのの「廃業」発言についても「いきすぎた表現、コメントがあった点についてもお詫びします」と番組キャスターが謝罪したが、みの自身の謝罪は一切無かった。
 これに対し不二家関係者は不快感を示し、郷原弁護士も謝罪は不十分とした。

 TBSとみのもんたは取るべき責任を取らずに逃げたのではないのか、改めてそう思う。こんな事だからマスゴミ呼ばわりされるんだろう。筑紫さんが生きてたらやはり「TBSは死にました」の名言を吐くのだろうか。

*1:著書『スターリン大国主義』(1982年、新日本新書)

*2:著書『格差社会の克服:さらば新自由主義』(2007年、山吹書店)、『新自由主義破局と決着』(2009年、新日本出版社)、『新自由主義からの脱出』(2012年、新日本出版社

*3:著書『「つくる会」分裂と歴史偽造の深層』(2008年、花伝社)

*4:なお、高橋は極右の梅原克彦仙台市長により一時、仙台市男女共同参画推進審議会委員をつとめたことがある。梅原がタクシーチケットの不正利用発覚で再選を断念したことにより高橋の委員在任は短期で終わったが

*5:前衛が市場に出た2/8時点では正式には任命されていない

*6:第1次安倍内閣官房副長官を務めた安倍の側近の一人

*7:参考:赤旗『「東京」に共産党が抗議、「脱原発」 議員活動を恣意的評価』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-25/2012112502_02_1.html)、『日本共産党中央委員会東京新聞への抗議文』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-26/2012112604_03_1.html

*8:国民の生活が第一」(現・生活の党)に合流した

*9:たちあがれ日本」が改名した党だが改名後たった4日で「日本維新の会」に合流した

*10:新党大地を解党し、「新党大地・真民主」を結党したがその後、新党大地に改名した

*11:民主党離党後、国民新党に入党。野田内閣で環境大臣政務官

*12:村山内閣防衛庁長官、小渕、森内閣農水相を歴任

*13:安倍、福田内閣農水政務官

*14:野田内閣国家公安委員長

*15:細川、羽田内閣蔵相、鳩山内閣財務相菅内閣官房副長官を歴任

*16:著書『影の銀行:もう一つの戦後日本金融史』(2010年、中公新書

*17:著書『金融恐慌を読み解く』(2009年、新日本出版社

*18:本来はストライキへの対抗手段のことをこういう

*19:著書『貧困の現場』(2008年、毎日新聞社

*20:小泉内閣外務大臣政務官、安倍、福田内閣外務副大臣

*21:海外から既存ヘリの購入ではいけないのか、開発の必要性があるかないか知らないので意見保留

*22:2013年のNHK朝の連続テレビ小説あまちゃん」でヒロイン

*23:エントリ日付は2/17だが書いてるのは試合前です。

*24:上位1チームのみ出場

*25:それ以前から知ってる人は活躍を知っていたようだが

*26:もちろんそこまで酷くないものもある。たとえばゴルフ中継が録画なのに生放送と誤認させた「毎日放送ミズノクラシック2006」はそういうことをやっていいとは言わないが、沢木氏も指摘するように報道萎縮効果を無視してまでわざわざ行政指導するほどの大問題とはとても思えない。

*27:小泉内閣経産相農水相麻生内閣財務相を歴任

*28:イブニングファイブの報道のこと

*29:裏取りの不十分な問題報道とは言えても、捏造と言えるかはなはだ疑問だが、ウィキペのタイトル通りとした。日本版ウィキペはこれだから困る。「TBS不二家問題」でいいだろ。