新刊紹介:「経済」4月号(その1:中国の腐敗追及)(追記・訂正あり)

「経済」4月号の詳細については以下のサイトをご覧ください。興味のある記事だけ紹介してみます。
http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
■世界と日本
【深刻な中国の汚職・腐敗(平井潤一)】
(内容要約)
 中国の深刻な汚職問題の指摘。
 汚職で摘発された高官、あるいは「摘発が噂される高官」としては次のような名前があげられる。
・陳希同(北京市長・党委員会書記):1998年に懲役16年の実刑判決。なお、陳は2013年に病死している。
薄熙来*1重慶市長・党委員会書記):2013年に無期懲役判決。
周永康*2(前・党中央政法委員会書記*3、前・党中央政治局常務委員)
 李東生・公安省次官、キ文林海南省副省長など周氏に近いと言われる人物が取り調べを受けている上、周氏の動向がよくわからないため、汚職問題による取り調べを受けているのではないかと噂されている。周氏レベルの大物が過去、汚職で摘発されたことはないので実際に摘発されれば一大事件と言える。
・なお以下は、要約ではなく私見だが。やはり汚職(特に下級官僚ではない政府高官の汚職)撲滅のためには「政権交代を前提とした制度(複数政党制)」や三権分立制度の導入が必要であろう(こういう事書いとかないと誰かさんは「あいつは中国現体制全面支持だ!」とか俺のことを誤解するんだろうなあ)。
 もちろん
1)それがすぐに実現可能とは思われないのでそれとは別途、現実的な汚職撲滅策の実施を行う事も大切であろう(うーん、中国素人なのでよくわからんが検察捜査能力の向上かしら?、ただうかつにそういうことやると検察国家になりかねんしどうしたもんか?)
2)また欧米、日本など「三権分立」「複数政党制」の国でも汚職が絶えないように「三権分立」「複数政党制」だけでは汚職はなくならない。
 「世襲政治家の禁止ないし規制」「政治家の資産公開制度など情報公開制度の充実」「企業献金の禁止ないし規制」「天下りの禁止ないし規制」「マネーロンダリング規制」など様々な汚職撲滅の試み(実際にされた物もあれば提案段階の物もある)が今も世界中で続いていることを指摘しておく。
 また、「朝日新聞によるリクルート事件報道」「ワシントンポストによるウォーターゲート事件報道」「赤旗の事務所費疑惑報道」のような中国メディアの政府批判報道にも期待したい。


参考
時事通信汚職高官摘発へ決意=習*4総書記、周永康氏を念頭か−軍の腐敗も異例の報道・中国』
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201401/2014011500711
産経新聞『元最高指導部・周永康氏、狭まる包囲網 側近の次官取り調べ』
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131221/chn13122121190005-n1.htm
産経新聞海南省副省長を取り調べ 周永康氏の元秘書』
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140218/chn14021823110000-n1.htm
産経新聞周永康氏の汚職調査否定せず 中国、政協報道官』
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140302/chn14030219150012-n1.htm
産経新聞周永康氏の弟夫妻を拘束・調査か 北京の有力紙報道』
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140303/chn14030312160004-n1.htm
■人民日報『王岐山*5「ゼロ容認*6の姿勢で汚職を罰する」』
http://j.people.com.cn/94474/8560983.html


【2014年3/20追記】
 中国の深刻な汚職についてのその後のニュース。徐才厚・前国家中央軍事委員会副主席に収賄の疑惑が浮上しました。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140320/chn14032012080002-n1.htm
産経新聞『中国中央軍事委元副主席を病院から連行 汚職の疑い 妻子、秘書も拘束』
 香港紙、サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は20日、中国の軍の最高指導機関、中央軍事委員会の徐才厚*7元副主席(上将)が15日に汚職の疑いで、北京の入院先の病院から当局に連行されたと報じた。妻子や秘書も拘束されたという。
 2012年初めに汚職疑惑で軍総後勤部副部長を解任された谷俊山中将がかつて徐氏の最側近で、谷氏は賄賂を受け取って部下を昇格させ、その大半を徐氏と分け合っていたという。谷氏に対する調査結果は近く公表される見通し。


【2014年7/2追記】
 中国の深刻な汚職についてのその後のニュース。徐才厚・前国家中央軍事委員会副主席が党籍を剥奪されました。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014070102000118.html
東京新聞『中国 前制服組トップ党籍剥奪 徐才厚氏を汚職で摘発』
 中国共産党は三十日、政治局会議を北京で開き、人民解放軍の制服組トップだった前中央軍事委副主席(前党政治局委員)の徐才厚氏(71)の党籍剥奪を決定し、収賄などの疑いで軍事検察機関に送致した。新華社通信が伝えた。汚職で摘発された軍首脳としては最高位となる。
 汚職・腐敗の徹底した取り締まりを続ける習近平政権は、人民解放軍の中枢に切り込むことで「軍掌握」をアピールし、最高指導部経験者の摘発も視野に詰めの捜査を急いでいる。
 新華社電によると、徐氏が職務を利用して他人の昇進に便宜を図り、本人と家族が賄賂を直接受け取っていたとし、「重大な規律違反があり、情状は悪質で極めて悪い影響があった」と断定。刑事責任を追及することを決めたという。
 徐氏は、軍の後方支援を担う総後勤部副部長を解任され、収賄罪などで起訴された谷俊山被告(元中将)と近い関係にあったとされる。香港紙は、徐氏が谷被告から三千五百万元(約五億八千万円)の賄賂を受け取っていたと伝えていた。谷被告をめぐる事件は「過去最悪の軍内汚職」といわれている。

http://j.people.com.cn/n/2014/0701/c94474-8749066.html
■人民日報『中共中央が徐才厚の党籍剥奪処分を決定』
 習近平中共中央総書記は6月30日、中央政治局会議を招集し、中央軍事委員会紀律検査委員会から「徐才厚の重大な規律違反案件に対する審査に関する報告」を受け、「中国共産党規約」「中国共産党規律処分条例」の規定に基づき、徐才厚を党籍剥奪処分にするとともに、収賄容疑について最高人民検察院に送致したうえ、法にのっとり処理する権限を軍事検察機関に与えることを決定した。
 中共中央は今年3月15日に党の規律条例に基づき、徐才厚の規律違反容疑について組織調査を行うことを決定。審査の結果、徐才厚が職務上の権限を利用して他者の昇進を助け、直接または家族を通じて賄賂を受け取っていたこと、職務上の影響力を利用して他者のために利益を図り、その家族が他者から財物を収受していたことがわかった。これは党の規律への重大な違反であるうえ、収賄罪の容疑があり、情状酌量の余地はなく、影響も悪質だ。
 会議は「徐才厚の重大な規律違反問題に対する取り調べと処分によって、党と軍の厳格な統制という党中央の鮮明な姿勢が一段と示され、腐敗に断固反対し、ゼロ容認の姿勢で腐敗を懲罰するとのわが党の断固たる決意がさらに示された。全党、全軍は反腐敗闘争の長期性、複雑性、困難さを十分に認識し、腐敗との闘いと清廉な政治の推進をより際立った位置に据え、規律違反案件、法律違反案件を断固として取り調べ、処分しなければならない。権力の大きさ、地位の高さに関わらず、いかなる者も党規律と国法を犯せば、いずれも厳粛に取り調べ、処分する必要がある。人民の軍隊は党の政治任務を遂行する武装集団であり、清廉な政治を行う党風樹立において高い基準、厳しい要求を堅持する必要がある。党内に腐敗した者が身を隠す場は断じて認めず、軍内にも腐敗した者が身を隠す場は断じて認めない」との認識を示した。


【2014年7/29追記】
 経済4月号において既に「ハエ(小物)も虎(大物)も叩く(習国家主席)」の「虎ではないか」と言われていた周永康氏(胡錦濤*8政権において党内序列9位という超大物)についに正式に捜査のメスが入ったようです。
産経新聞
■『中国、前最高指導部メンバー周永康氏を聴取 政局に激震』
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140729/chn14072919520007-n1.htm
■『【周永康氏失脚】習政権、破った不文律 司法・警察握る大物、党内激震』
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140729/chn14072921130008-n1.htm
■『【周永康氏失脚】石油の巨大利権を掌握 中国の司法部門牛耳る』
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140729/chn14072921240009-n1.htm
人民日報
■『中共中央、周永康氏の規律違反容疑で立件』
http://j.people.com.cn/n/2014/0729/c94474-8762437.html
■『中共中央、周永康氏を審査 ついに捕らえられた「トラ」』
http://j.people.com.cn/n/2014/0730/c94474-8762750.html
■『「同志」呼称なき周永康「審査」が物語るもの』
http://j.people.com.cn/n/2014/0730/c94474-8762828.html
赤旗
『中国前最高幹部 立件へ、周永康氏 石油利権絡みか』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-31/2014073107_02_1.html
中国共産党の前最高幹部立件、「反腐敗」もろ刃の剣、信頼回復 威信失墜』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-08-01/2014080106_02_1.html


【2014年10/29追記】
 2014年6月に党籍が剥奪された徐才厚・前国家中央軍事委員会副主席が刑事訴追されました。

http://j.people.com.cn/n/2014/1029/c94474-8801728.html
■人民日報『徐才厚収賄罪で起訴へ』
 軍事検察院は27日、徐才厚・前中央軍事委員会副主席の収賄容疑について取り調べを終え、起訴手続きに入った。新華社が伝えた。
 軍事検察院の取り調べによって、徐才厚は職務権限を利用して他人の昇任を手助けし、直接または家族を通じて巨額の賄賂を受け取ったこと、職務上の影響力を利用して他人の利益を図り、自身または家族が巨額の賄賂を受け取っていたことが明らかになった。徐才厚収賄の犯罪事実を包み隠さず自供した。
 すでに中共中央は徐才厚の党籍剥奪を決定、中央軍事委員会も徐才厚の軍籍剥奪、上将階級剥奪を決定している。


【2014年12/6追記】
 2014年7月に「党規律違反」で調査のメスが入った「大物」周永康・元党中央政法委員会書記(元党政治局常務委員)が正式に党から除名されるとともに、刑事訴追もされたというニュースです。
産経新聞中国共産党「元ナンバー9」周永康氏の党籍剥奪 逮捕、訴追へ』

http://www.sankei.com/world/news/141206/wor1412060020-n1.html
 中国国営新華社通信によると、中国共産党は5日、政治局会議を開き、「重大な規律違反」で失脚が決まっていた元党内ナンバー9の大物政治家、周永康氏の党籍剥奪と、司法機関への身柄送致を決定した。これを受けて、最高人民検察院は周氏の逮捕を決定した。
 政治局は、党員の統制にあたる党中央規律検査委員会が提出した周氏に関する報告書を討議。周氏に「党の政治、組織、秘密保持をめぐる重大な規律違反」を認めたほか、家族ぐるみの巨額の収賄などで国有資産に重大な損失を与えたと判断。さらに多数の女性との不道徳な関係も断罪した。
 中国の石油閥の総帥だった周氏は、江沢民*9国家主席(元党総書記)との強い関係をバックに、2012年まで党政治局常務委員(序列9位)と、司法機関を統轄する党中央政法委員会書記を務めた。
 中国の最高指導部にあたる政治局常務委の経験者が、正式に逮捕、訴追されるのは、1949年の新中国成立以来これが初めて。
 周氏は昨年10月を最後に公式動静が途絶。今年7月に規律違反による党の査問開始が公表されていた。
 容疑に関しては、石油利権に絡む不正蓄財をはじめ、失脚した薄煕来・元重慶市党書記らとともに党の権力奪取を目論んだとの情報がある。


【2014年12/23追記】
 経済4月号当時に既に訴追が噂されていた「徐才厚・前国家中央軍事委員会副主席」「周永康・前党中央政法委員会書記(前党中央政治局常務委員)」の訴追で打ち止めにはならず「令計画・中国人民政治協商会議副主席、中国共産党統一戦線部長」という新たな「虎退治」が始まったようです。
 産経は
■『令計画氏失脚 露骨な政敵排除再び 胡錦濤氏、イメージ低下も』
http://www.sankei.com/world/news/141223/wor1412230008-n1.html
ということで令氏を「胡錦濤国家主席」の側近*10とした上で胡氏や胡氏に近いとされるいわゆる「中国共産主義青年団*11」の人々(産経曰く李克強*12首相、李源潮*13国家副主席、汪洋*14副首相)に対し「胡氏と対立関係にある習近平国家主席が政治闘争を仕掛けてるのだ」と見てますがまあ、俺のような素人にはよく分かりません。とりあえず「当分虎退治が続くこと」だけは確かなのでしょう。

参考
■人民日報『令計画を重大な規律違反の疑いで取り調べ』
http://j.people.com.cn/n/2014/1223/c94474-8826592.html


【2014年12/31追記】
(その1)
 令計画氏の「中国共産党統一戦線部長」からの更迭が発表されました。後任は孫春蘭*15天津市党委員会書記だそうです。

産経新聞『【胡錦濤氏側近失脚】解任発表 党ポスト外れる』
http://www.sankei.com/world/news/141231/wor1412310044-n1.html


(その2)
■人民日報『2014年の中国国内10大ニュース:(8)周永康徐才厚らを処分』
http://j.people.com.cn/n/2014/1230/c94474-8829656-8.html

 12月5日、中共中央政治局は周永康の党籍を剥奪し、犯罪容疑について司法機関に送致して法にのっとり処理することを決定した。10月27日、軍事検察院は徐才厚・前中央軍事委員会副主席の収賄容疑について捜査を終え、起訴手続きに入った。周永康*16徐才厚、蘇栄*17、令計画*18ら高級指導幹部の失脚は、腐敗を断固処罰する党中央の揺るぎない意志と鮮明な姿勢をはっきりと示している。


【2015年1/4追記】
産経新聞中国共産党、南京市トップを調査 「重大な規律違反」』
http://www.sankei.com/world/news/150104/wor1501040036-n1.html
 楊衛沢*19・南京市党委員会書記という新たな「虎退治」が開始されたようです。南京市は「中華民国時代は中国の首都」で「今は江蘇省省都」ですから、そこの党委員会書記といえばそこそこ重職でしょう。


【2015年1/12〜20追記】
■人民日報「『党風廉政建設と反腐敗闘争に関する習近平の論述』が刊行」

http://j.people.com.cn/n/2015/0112/c94474-8834912.html
 『党風廉政建設と反腐敗闘争に関する習近平の論述・ダイジェスト版』(中共中央紀律検査委員会、中共中央文献研究室編)がこのほど中央文献出版社、中国方正出版社から刊行され、全国で発行された。
 習近平中共中央総書記(国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席)は第18回党大会以来、党と国家の取り組みの大局的観点から、党建設を全面的に推し進め、全面的で厳格な党内統制を堅持し、一連の重要な論述を発表して、党風廉政建設(清廉な政治を行う党風樹立)と反腐敗闘争における重大な理論上、実践上の問題について踏み込んで詳しく説明し、新たな情勢下で党風廉政建設と反腐敗闘争を踏み込んで推進するための思想的武器と行動指針を示した。こうした重要論述を真剣に学び、貫徹することは、全党が党風廉政建設と反腐敗闘争の情勢を正確に把握し、その長期性、複雑性、困難性を十分に認識し、政治的に揺るがぬ力を保ち、立場と方向性を確固たるものにし、目標と任務に焦点を合わせ、党風廉政建設と反腐敗闘争をさらに深めるうえで、非常に重要な意義を持つ。
 同書は9つのテーマを設け、216の論述を収録。2012年11月15日から2014年10月23日までの習氏の談話、文章、指示など4重要文献40編余りから抜粋している。多くの論述は初めて公表されるものだ。


■人民日報『中央紀律検査委員会第5回全体会議が開催 今年の腐敗対策方針に期待』

http://j.people.com.cn/n/2015/0112/c94474-8834930.html
 第18期中央紀律検査委員会の第5回全体会議が12〜14日、開催される。第18回党大会以降、中国における反腐敗の嵐はすでに2年余り続いている。今期中央紀律検査委員会任期中の重要な会議として、今回の会議で中国共産党上層部が現在の腐敗対策状況をどう総括、判断するか、新たな腐敗対策のロードマップをどう策定するのか、注目点は大変多い。
(後略)


■人民日報『習近平総書記「周永康事件などの調査・処分は中共が敢然と問題に向き合うことを証明」』
http://j.people.com.cn/n/2015/0114/c94474-8836048.html

 習近平中共中央総書記(国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席)は13日、中国共産党第18期中央紀律検査委員会第5回全体会議で重要談話を発表した。
 習総書記は「われわれは周永康徐才厚、令計画、蘇栄らの重大な規律違反、法律違反事件を断固として取り調べ、処分したことで、中国共産党が敢然と問題に向き合い、過ちを正すこと、勇敢に厳格な党内統制を行い、党規を守ること、自己浄化と自己革新に長けていることを世の人々に証明した」と指摘。
 「2014年に党風廉政建設(清廉な政治を行う党風樹立)と反腐敗党争は顕著な成果を収めた。われわれは党と国家の生死存亡に関わるとの観点から、強い歴史的責任感、深い使命憂患感、頑強な意志をもって党風廉政建設と反腐敗闘争を推し進め、聖域なき、全カバー、ゼロ容認の姿勢を堅持し、腐敗行為をした者を厳しく取り調べて処分し、腐敗行為をする勇気をなくし、腐敗行為ができず、腐敗行為をしたくない政治的雰囲気づくりに力を入れた。中央紀律検査委員会は党中央の決定と方針を貫徹し、中心任務に焦点を合わせ、機能と役割を発揮し、創造的に活動を展開し、各活動で新たな成果を挙げた」と指摘した。
(後略)


産経新聞『元省トップの党籍剥奪、巨額な賄賂受け取りで 中国』
http://www.sankei.com/world/news/150113/wor1501130044-n1.html

 中国共産党中央規律検査委員会は13日、雲南省青海省のトップ、党省委員会書記などを歴任した白恩培氏が巨額の賄賂を受け取るなど重大な規律違反と違法行為を犯したとして党籍を剥奪したと発表した。司法機関が刑事責任を追及する。(共同)


産経新聞『【スクープ最前線】習主席が進める“粛清”Xデー間近…日本政界にも飛び火か(加賀孝英)』
http://www.sankei.com/world/news/150114/wor1501140028-n1.html
 産経曰く、習主席が次に腐敗追及のターゲットとしている大物は李鵬*20元首相とその子息である李小鵬山西省省長だそうです。まあ、真偽不明ですが今後の動向に注目したいとは思います。


■人民日報『中央紀律検査委員会が今年の7大任務を明確化』

http://j.people.com.cn/n/2015/0115/c94474-8836750.html
 第18期中央紀律検査委員会第5回全体会議が12〜14日に北京で開催され、王岐山氏が中央紀律検査委員会常務委員会を代表して行った活動報告を承認した。新京報が伝えた。
 全体会議は2014年の党風廉政建設(清廉な政治を行う党風樹立)と反腐敗闘争の取り組みを総括し、2015年の任務について方針をまとめた。また、2015年に市級紀律検査委員会の議事調整機関の見直しを踏み込んで推進し、県および県以下の紀律検査機関の機能の位置づけ、活動方式、作風転換の問題を重点的に検討するよう要求。2015年の7大重点任務を次の通り明確化した。
(1)党内を厳格かつ規則に従って統制し、党の規律建設を強化する。
(2)規律検査体制改革を深化し、組織と制度の革新を推進する。
(3)主体責任を踏み込んで実行し、責任追及を強化する。
(4)中央八項規定*21の精神を踏み込んで実行に移し、「四風」(形式主義官僚主義、享楽主義、贅沢主義の4つの気風)を是正する。
(5)高圧的態勢を継続し、腐敗蔓延の勢いを断固として抑え込む。
(6)国際協力を強化し、逃亡犯を追跡逮捕し、不法取得資産を没収し、腐敗行為をした者を国内に連れ戻し、法の裁きにかける。
(7)監督責任を実行し、忠誠を尽くし、クリーンで、責任感ある規律検査・監察幹部を養成する。


産経新聞『中国・人民政協、令計画副主席を解任へ』
http://www.sankei.com/world/news/150120/wor1501200070-n1.html

 中国国営の中央テレビによると、国政助言機関、人民政治協商会議(政協)は20日、重大な規律違反の疑いで調査を受けている令計画副主席を解任する方針を決めた。近く正式決定する見通し。

 党統一戦線部長の解任に続き、人民政治協商会議副主席も解任の方向だそうです。令計画氏への捜査の手は着実に彼に迫ってるようですね。


【2015年2/28追記】
産経新聞『令計画副主席を解任 中国政協』
http://www.sankei.com/world/news/150228/wor1502280062-n1.html

 中国の国政助言機関、人民政治協商会議(政協)の常務委員会は28日、重大な規律違反の疑いで調査を受けている令計画・政協副主席を解任した。国営新華社通信(英語版)が伝えた。

 既に「党統一戦線部長」から更迭されてる以上、「人民政治協商会議副主席からの解任」も規定方針であり意外性はないですね。こうした「腐敗撲滅運動がどうなるか」今後も注目したいと思います。


【2015年3/4、3/6追記】

http://j.people.com.cn/n/2015/0304/c94474-8856955.html
■人民日報『政協活動報告解説 反腐敗闘争に初めて言及、令計画と蘇栄を名指し』
 第12期全国政協第3回会議が3日開幕し、兪正声*22が政協全国委員会常務委員会を代表して活動報告を行った。今年の政協常務委員会活動報告には例年と異なる点があった。
■令計画と蘇栄を名指し
 一昨日の大会初のプレスブリーフィングが「反腐敗」に焦点を合わせたのに続き、昨日の活動報告も反腐敗に言及した。兪氏は昨年の活動状況を振り返った際に「過去1年間の政協活動は成果を上げたが、至らない点もあった。これは主に、政協民主監督の強化がまだ必要であり、制度・メカニズムの整備がまだ必要であり、提案の質の向上がまだ必要であり、職責履行能力の強化がまだ必要であるという点だ。われわれは今後の活動の中でこれらについて措置を講じ、改善に努める。今期政協がすでに令計画、蘇栄ら全国政協委員14人の資格を剥奪したことにも目を向ける必要がある。これはわれわれに対して、委員らの整備を強化し、引き続き党風廉政建設(腐敗なき政治を行う党風樹立)と反腐敗闘争を揺るがず推し進める必要があることを警告している」と表明した。
■反腐敗闘争に初めて明確に言及
 記者の調べでは、政協報告で「反腐敗闘争」に明確に言及したのは1995年以来初だ。これまでの活動報告でも政協活動の至らない点への指摘はあったが、自らの整備強化、政治へ の参加・提案水準の向上などであることが多かった。だが今年は、直接委員らの整備を指摘したうえ、「反腐敗」に明確に言及した。
 国家行政学院の許耀桐教授は「反腐敗に明確に言及したことは、政協の自己粛正への決意を反映している」と指摘。「民主監督と政治へ の参加・提案は政協の重要な機能であり、現在の反腐敗の嵐の中、政協が傍観するわけにはいかない」と述べた。
 中央党校党史研究部の謝春涛部長は「政協報告が反腐敗を直言したのは、全党・全国の反腐敗という大きな背景と密接な関係がある。中共政協委員が腐敗行為をしてはならないだけでなく、他の民主党派、無党派の人々も同様に腐敗行為をしてはならない」と述べた。

http://www.sankei.com/world/news/150306/wor1503060046-n1.html
産経新聞『習政権の反腐敗運動、次の標的は郭伯雄氏か またもや人民解放軍がターゲット』
 習近平政権が進める反腐敗運動の次なる大物ターゲットとして、元軍制服組トップの郭伯雄*23(72)が急浮上している。
(中略)
 郭氏に追及の手が伸びれば、胡錦濤前政権の軍制服組トップが2人とも失脚する極めて異例の事態となる。反腐敗運動は軍に大きな衝撃を与えそうだ。
(中略)
 郭氏とともに中央軍事委委員会副主席を務めていた徐才厚氏は2014年6月に収賄容疑で党籍を剥奪され、訴追手続きに入った。
(中略)
 2日には中国国防省郭伯雄氏の息子の郭正鋼・浙江省軍区副政治委員(少将)を立件したと発表した。
 親族や腹心を拘束して“外堀”を埋める手法は、大物を狙う際の常套(じょうとう)手段だ。郭氏を取り巻く状況は元最高指導部メンバーの周永康氏や胡錦濤国家主席の腹心、令計画氏らの失脚直前の状況と酷似している。
 習主席と同じ太子党*24グループで盟友とされる人民解放軍の劉源上将は5日、全国人民代表大会全人代=国会)の会場でメディアから郭氏本人に汚職追及が及ぶか問われ、「あなたもお分かりでしょう」と回答。郭氏への汚職追及を示唆したとして、発言を伝えた香港紙の記事を中国メディアが相次いで転電した。
 昨年3月、汚職調査がささやかれていた周永康氏について聞かれた高官が同じセリフで答え、その約5カ月後に周氏が失脚したこととが背景にある。


【2015年3/13、16追記】
■人民日報『政協活動報告の頻出ワード解説』

http://j.people.com.cn/n/2015/0313/c94474-8862635.html
■「反腐敗」(1回)
 「反腐敗」という言葉の使用は1回のみだったが、並大抵でない意義を持つ。兪正声氏は報告で「われわれは政協活動にまだ至らない点があることにもはっきりと目を向ける必要がある。今期政協がすでに令計画、蘇栄ら全国政協委員14人の資格を剥奪したことにも目を向ける必要がある。これはわれわれに対して、委員らの整備を強化し、引き続き党風廉政建設(腐敗なき政治を行う党風樹立)と反腐敗闘争を揺るがず推し進める必要があることを警告している」と述べた。全国政協主席が活動報告で「反腐敗」に明確に言及したのはここ20年で初めてだ。

http://j.people.com.cn/n/2015/0316/c94474-8863609.html
■人民日報『徐才厚氏ががんで死去』
 徐才厚氏は15日、ぼうこうがんが全身に転移したことによる多臓器不全で死去した。軍事検察院は2014年10月27日、徐氏の収賄容疑について捜査を終え、起訴手続きに入った。法にのっとった取り調べの結果、徐氏の収賄容疑は事実が明白で、確実かつ十分な証拠があり、刑事責任を追及すべきだった。だが死去したため、軍事検察院は今回、中華人民共和国刑事訴訟法第15条に基づき不起訴を決定した。収賄容疑の所得については法にのっとり処理する。

http://j.people.com.cn/n/2015/0316/c94474-8863663.html
■人民日報『中央紀律検査委が1日で高官2人を「秒殺」 雲南省党委員会副書記と第一汽車*25会長』
 全国両会*26閉幕直後の15日、中央紀律検査委員会は今回の全人代代表でもあった省・部級高官2人を取り調べていることを明らかにした。反腐敗の鋭い剣が「両会シーズン」を避けることはなく、会期中にも高官2人を取り調べていた。中国新聞網が伝えた。
 第12期全人代第3回会議閉幕からわずか3時間後の15日12時55分、中央紀律検査委員会と監察部のウェブサイトに「仇和・雲南省党委員会副書記が重大な規律違反、法律違反の容疑で現在組織調査を受けている」との情報が掲載された。
(中略)
 仇和が取り調べを受けているとの発表から5時間後、中央紀律検査委員会ウェブサイトに再びセンセーショナルなニュースが掲載された。「徐建一・中国第一汽車集団董事長(会長)、党委員会書記が重大な規律違反、法律違反の容疑で現在組織の調査を受けている」というものだ。
 徐建一は技術者から同集団副総経理(副社長)へと出世。吉林省党委員会常務委員、吉林市党委員会書記を務めた後に、中央直属国有大企業である一汽に戻り、会長に就任した。


【2015年4/3追記】

http://www.sankei.com/world/news/150403/wor1504030058-n1.html
産経新聞『失脚の周永康氏 職権乱用と巨額収賄で起訴 政治局常務委で初』
 中国国営新華社通信によると、天津市人民検察院(地検)は3日、収賄と職権乱用、国家機密漏洩(ろうえい)の罪で、胡錦濤前指導部で治安・司法部門トップを務めた周永康・前共産党政治局常務委員(当時序列9位)を天津市第1中級人民法院(地裁)に起訴した。
 1949年に発足した共産党政権下で、党首脳部を構成する政治局常務委の経験者が汚職の罪で起訴されたのは初。周氏は党規律検査委員会の調べを経て、昨年12月に党籍剥奪と司法送致が公表されていた。

http://www.sankei.com/world/news/150403/wor1504030062-n1.html
産経新聞『【周永康氏起訴】「石油閥の総帥」に前例なき機密漏洩罪 張成沢氏の情報売り亡命を画策か?』
 昨年夏に失脚した中国共産党の元最高指導部メンバー、周永康氏が3日、起訴された。中国当局が周氏の起訴にあたり、「故意による国家機密漏洩(ろうえい)の罪」を適用したことが注目されている。これまで失脚した党・政府高官に適用された前例がほとんどない罪名であり、周氏の失脚に至った激しい権力闘争で、保身と反撃のために機密を漏らしたとの見方が浮上している。
(中略)
 これまでの国内外の報道などから、周氏が漏らした機密について3つの可能性があると指摘される。(1)2012年春に失脚した薄煕来元重慶市党委員会書記に対し、司法当局の捜査情報を事前に教えた(2)共産党指導者とその家族の蓄財に関する情報を米メディアにリークした(3)北朝鮮の高官だった張成沢氏と中国要人の会談内容を金正恩指導部に漏らし、その後の張氏一派の粛清につながった


【2015年6/11追記】
産経新聞『中国元最高幹部の周永康氏に無期懲役 中国天津の裁判所』
http://www.sankei.com/world/news/150611/wor1506110026-n1.html
日経新聞周永康氏、無期懲役に 中国の地裁判決』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM11H5Z_R10C15A6000000/
■人民日報『周永康、一審無期懲役
http://j.people.com.cn/n/2015/0612/c94474-8905667.html
赤旗『中国 周永康被告 無期懲役判決、裁判は非公開、秘密裏』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-06-13/2015061307_02_1.html
 まあ、「国内外の関係者にとって」予想の範囲内ではあるでしょうが周氏に厳罰が下りました。
 もちろん「控訴の可能性」はありますが「無罪とか軽い罰で済む」というわけにはいかないでしょうね。


【2015年7/20、21追記】
人民日報
■『中央「三公経費」の削減幅、ここ数年で最大に』
http://j.people.com.cn/n/2015/0719/c94476-8922593.html
■『中共中央、令計画の党籍剥奪と公職追放を決定』
http://j.people.com.cn/n/2015/0721/c94474-8923609.html
毎日新聞『中国:令計画氏を収賄容疑で逮捕へ 党は党籍剥奪』
http://mainichi.jp/select/news/20150721k0000m030122000c.html
日経新聞
■『習主席、軍内の腐敗摘発続行へ』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H28_Z10C15A7FF8000/
■『中国・令計画氏の党籍剥奪、逮捕へ 胡錦濤氏側近、巨額収賄などの疑い 』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM20H62_Q5A720C1FF8000/
産経新聞
■『習主席、汚職元幹部の「影響を徹底的に取り除かないと」 軍部隊の視察で』
http://www.sankei.com/world/news/150719/wor1507190025-n1.html
■『胡錦濤氏元側近の令計画氏、収賄容疑で逮捕へ 中国、党政治局会議が党籍剥奪決定』
http://www.sankei.com/world/news/150721/wor1507210010-n1.html


【2016年4/5追記】
■産経『中国軍制服組の元トップ*27収賄罪で起訴へ』
http://www.sankei.com/world/news/160405/wor1604050039-n1.html


【2016年7月5日追記】
■人民日報『令計画被告に無期懲役の判決』
http://j.people.com.cn/n3/2016/0705/c94474-9081748.html


【2016年7月25日追記】
■産経『中国軍元制服組トップの郭伯雄氏に無期懲役 収賄罪、階級も剥奪』
http://www.sankei.com/world/news/160725/wor1607250059-n1.html


【2016年12月30日追記】
■産経『中国、情報機関次官の党籍剥奪 巨額の収賄で』
http://www.sankei.com/world/news/161230/wor1612300044-n1.html

*1:大連市長・党委員会書記、遼寧省長、商務大臣など歴任

*2:中国石油天然ガス公司総経理、国土資源大臣、四川省党委員会書記、公安大臣などを歴任

*3:政法委員会書記は警察、検察を指揮監督するポスト

*4:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*5:中国建設銀行総裁、海南省党委員会書記、北京市長(市党委員会副書記兼任)、副首相などを経て党中央規律検査委員会書記(党中央政治局常務委員兼任)

*6:「ゼロ容認」については、ウィキペ「ゼロ・トレランス方式」を参照してほしい。平たく言えば厳罰方針のこと。

*7:中国人民解放軍総政治部主任、国家中央軍事委員会副主席、党中央軍事委員会副主席を歴任

*8:甘粛省共青団書記、共青団中央書記処第一書記、貴州省党委員会書記、チベット自治区党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*9:電子工業大臣、上海市長・党委員会書記などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*10:ウィキペディア「令計画」曰く『共産主義青年団共青団)中央書記処弁公室主任、共青団中央弁公庁主任を歴任して共青団中央書記処第一書記だった胡錦濤を支えた。』

*11:中国共産主義青年団出身の人々。胡氏は甘粛省共青団書記、共青団中央書記処第一書記をつとめたことがある。

*12:共青団中央書記処第一書記、河南省党委員会書記、遼寧省党委員会書記、第一副首相などを経て首相(党中央政治局常務委員兼務)

*13:共青団中央書記処書記、江蘇省党委員会書記、党中央組織部長などを経て国家副主席(党中央政治局委員兼務)

*14:共青団安徽省党委員会副書記、重慶市党委員会書記、広東省党委員会書記などを経て副首相(党中央政治局委員兼務)

*15:遼寧省婦人連合会主席、遼寧省総工会(総工会は日本の労組に当たる)主席、遼寧省党委員会副書記、大連市党委員会書記、中華全国総工会(全国総工会は労組の全国組織、つまりいわゆるナショナルセンター(現在の日本だと連合、全労連全労協)にあたる)副主席、福建省党委員会書記などを歴任

*16:前・党中央政法委員会書記、前・党中央政治局常務委員

*17:元・中国人民政治協商会議全国委員会副主席

*18:前・党統一戦線部長

*19:蘇州市長、無錫市党委員会書記、南京市長などを歴任。

*20:電力工業大臣、国家教育委員会主任(日本の文科相に当たる)、副首相、首相、全国人民代表大会常務委員長など歴任

*21:http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3460によれば、(1)視察の簡素化、(2)会議の簡素化、(3)書類の簡略化、(4)訪問活動の規範化、(5)警備の簡素化、(6)報道の簡素化、短縮化、(7)草稿、発表のシンプル化、(8)倹約節約の励行

*22:青島市長・党委員会書記、湖北省党委員会書記、上海市党委員会書記などを経て人民政治協商会議全国委員会主席(党中央政治局常務委員兼務)

*23:元・中国共産党中央軍事委員会副主席

*24:太子党とは「二世政治家グループ」のこと。なお、習主席は「習仲勲副総理の息子」で劉上将は「劉少奇国家主席の息子」。

*25:「汽車」は中国語では自動車を意味する。「第一汽車」は中国を代表する自動車メーカーの一つ。

*26:全国人民代表大会全人代)と全国人民政治協商会議(全国政協)のこと

*27:郭伯雄党中央軍事委員会副主席のこと