今日の産経ニュース(8/15分)

■日本人遺族が平壌到着 竜山墓地、16日に墓参
http://www.sankei.com/world/news/150815/wor1508150056-n1.html
 本当に日朝交渉が始まって良かった、そう思います。


■【歴史戦 第12部 戦後70年談話(上)】(1)子や孫のため「謝罪外交に終止符」 安倍首相が肉筆に込めた思い
http://www.sankei.com/premium/news/150815/prm1508150035-n1.html

「戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」
 戦後70年の安倍晋三首相談話はこう強調する。安倍は常々、周囲に「謝罪外交に終止符を打ちたい」と語っており、文言にはその思いが表れている。戦後50年の村山富市首相談話などにはなかった新しい視点だ。

 そんな視点なくていいんですが。「俺のこの談話で謝罪ももう終わりだ」なんて態度を取ることは相手の反感を買うだけでしょう。「何様のつもりだ」と。

談話のもう一つ新しい点は、村山談話などに全く見られなかった過去の日本が置かれた国際情勢の分析・言及だ。

 談話は「当時、日本は世界恐慌の影響もあって不況だったから不況脱出を目的に中国を侵略した」程度の事しか言ってません。
 「カネに詰まってたから泥棒しました」「カワイイ女の子なので家に連れ帰りました(誘拐)」「被害者に罵倒されたのでかっとなって近くにあったブロンズ像で殴り倒しました(傷害や殺人)」という「犯行動機の自供」と同レベルです。
 それなのに「国際情勢の分析」だそうです。アホかとしかいいようがない。それ読みようによっては「不況だったから戦争しても仕方がないじゃないか、ならどうすれば不況を脱出できたんだ」と居直ってるようにも読めるんですが。しかも談話の中で「欧米のブロック経済が日本の不況脱出を困難にした」と言う主旨の事を述べることによって「欧米のブロック経済が悪い」と責任転嫁してるようにも読める文章です。はっきり言って「書いて良かった」と自慢できる内容じゃない。

「侵略」などの文言使用に反対してきた保守層からも、「今の日本が置かれた状況を考えると許容範囲だ」との声が出ている。

 ウヨ連中はどんだけ安倍に甘いんだよ、他の総理でも同じ事言えるのか、とは思います。まあ、「安倍許さねえ」とか騒がれても日中、日韓関係の悪化を助長するだけなので、騒がれても困りますが。

談話は官僚が下書きしたものではなく「首相の肉筆だ」(別の政府高官)とされる。作成に当たり安倍は21世紀懇の報告書や何冊もの歴史書*1を丹念に読んだ。

 頭の悪い安倍にそんな事ができるとはとても思えません。そもそも「談話草案について、官僚なり側近政治家なり、お抱えスピーチライターなり、とにかく部下にある程度、下書きを頼み、安倍が後で朱書きを入れること」は「安保外交、経済政策、福祉政策など多種多様な用務に従事し、多忙なはずの安倍」にとって恥ずかしいことでもない。安倍は談話だけやってるわけじゃない。世界各国の要人だって「演説についていつも自分で最初から書いてるわけではない」でしょう。
 しかし、産経は「安倍さんが最初から自分で談話を書いたこと」にどうしてもしたいようです。つうか「安倍自ら書いた」とすると談話について後で他人に責任転嫁できなくなるんですがそれでいいんでしょうか?

先の政府高官は安倍の思いを代弁する。
 「一度に満点はとれない。歴史認識で日本は一方的に押し込まれていたが、この談話を押し戻すきっかけにする」

 やれやれですね。「押し戻す」云々なんてのはどう見てもわびてる態度じゃありません。


■【歴史戦 第12部 戦後70年談話(上)】(2)首相「中国には、わが国の率直な思いを受け止めてほしい」 各国の思惑渦巻く 
http://www.sankei.com/premium/news/150815/prm1508150036-n1.html

 談話では、韓国が「解決」を強く求めている慰安婦問題について、「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも忘れてはなりません」などと2回にわたって、間接的に触れるなど一定の配慮を示した。

 まあ、そうでしょうが産経のいつもの立場なら「慰安婦に問題はない!。女性の名誉と尊厳を傷つけてはいない!、談話は間違ってる!」と言わないと筋が通らないでしょう。どんだけ安倍に甘いのやら。要するにここで安倍が言ってる事って「慰安婦は反人権的、反人道的なことだった」て話ですから(はっきり慰安婦と言わない上「忘れないよう教科書に慰安婦問題を記述していきます」などと具体案出さないところが実に安倍らしいですが。要するに口から出任せの訳です)。
 「慰安婦制度には人権上、人道上、何の問題もないが、制度によって慰安婦の名誉と尊厳が傷ついた」なんて意味不明な話はありません。


■【歴史戦 第12部 戦後70年談話(下)】「おわび」は原案から盛り込まれていたが…迷走した朝日報道
http://www.sankei.com/politics/news/150816/plt1508160003-n1.html

 迷走したのは朝日の談話報道だ。朝日は9日付1面トップで、「安倍談話『おわび』盛らず」と報じ、7日夜に安倍が自民、公明両党幹部に示した原案には「『おわび』に類する言葉は入っていなかった」とした。ところが、一転して11日付で「『おわび』の文言を入れる方向で調整している」と伝えた。

 当初(朝日の記事時点、つまり8日夜の時点)「お詫び盛らず」となっていたのが自公の話し合いで「盛ることになった」つうだけであって「安倍が迷走してる」のを正確に報道しただけと違うのかと思います。
 が、産経曰く「迷走してない!。なぜなら安倍さんが朝日報道は間違ってる、8日夜時点で既に盛ることになっていたと言ってるから」だそうです。いつものことですが「産経はアホと違うか?」と思います。もう本当に「安倍の御用機関紙」以外何物でもない。

 談話の閣議決定についても、朝日は6月23日付で「安倍談話、閣議決定しない方針」と書いた。それが8月7日付で「首相一転 周辺に配慮」「安倍談話 閣議決定の方向」と、政府が軌道修正したかのように報じた。

 「6月23日時点で既に閣議決定の方向だった」とし「軌道修正してない!」と強弁するいつもの産経ですが、「6月23日時点で閣議決定の方針」だろうと
1)安倍が当初、私的談話の方針だと表明していたことは事実で朝日以外のマスコミ*2もその旨報じていた(そのため野党や中国、韓国政府などから「自信があるなら閣議決定すべきだ。閣議決定できないような酷い代物なのか」という危惧が表明された)し
2)6月23日時点で閣議決定方針が正式発表されたわけでもないことも事実です。


■【お金は知っている】人民元の勢力拡大は日本にとって軍事的脅威そのもの
http://www.sankei.com/premium/news/150815/prm1508150025-n1.html
 いつもの田村秀男です。そりゃ「AIIBやBRICS銀行その他」で中国の経済力がつけば、「人民元の勢力が拡大すれば」通常「軍事力もつく*3」でしょうからそう言う意味では「軍事的脅威」でしょう。で、そんな事言ってどうするの?、って事です。その理屈だと当然ながら「経済大国」日本や韓国も周辺諸国にとって「軍事的脅威」でしょう。がさすがに日本や韓国に「軍拡するな」ならともかく、「経済発展するな」「円やウォンの勢力を拡大するな」なんて馬鹿な事を言えるわけもないでしょう。中国だって話は同じです。

 1942年5月6日、この黄土高原の一角の窰洞で日中戦争の帰趨(きすう)を左右しかけた会談が開かれた。
 特命を帯びて対中和平工作に奔走した陸軍中野学校出身の井崎喜代太氏の回顧録によると、日本軍の第一軍司令官、岩松*4義雄中将と、中国山西軍の閻錫山*5(えん・しゃくざん)将軍が会談。岩松中将は山西軍にラッパで迎えられ、閻将軍とにこやかに握手、和平協定が成立寸前だった。
 当時、閻将軍は重慶蒋介石国民党政府に協力していたが、旧知*6の岩松中将の誘いに乗って、日本軍の影響下にあった南京の汪兆銘政府と合作し、反蒋介石で連合することを約束していた。歴史に「もしも」はないが、実現すれば日本軍・汪兆銘政権連合は中国の黄河以北(華北)を取り込んで、戦況を一挙に有利に導き、蒋介石との和睦交渉の道を開いたかもしれない。

 やれやれですね。通常「蒋介石との和平」と言う場合こういう事を言う人はあまりいません。
 田村の言ってることは「閻錫山を寝返らせる」という蒋介石政権への破壊工作を仕掛けて、弱体化させ、状況を日本にとって有利にしてから、有利な和平を蒋介石に強制するつうとんでもない代物であり、およそまともな和平交渉と言えません。
 しかも「1942年の工作」では当然ながら「沖縄の地上戦、東京大空襲、長崎・広島への原爆投下などの悲劇を招いた対英米戦争(太平洋戦争)」は既に始まっています。蒋介石との和平という場合、通常「対英米戦争回避」が理由の訳ですが田村の場合、そうではないようです。
 それはともかく、田村曰く「閻錫山が汪兆銘の元に来れば、『俺も汪政権の元にいきたい!』という人間が続出して蒋介石政権ががたがたになったかも知れない」「そうなれば日本に有利な和平を蒋介石に強要できたかも知れない」「そうすれば対英米戦争も有利に展開したかも知れない」だそうです。
 でも、田村曰くこうした工作は結局失敗しました。まあ何が失敗理由か田村の文章では今ひとつよく分かりません。
 ただ、田村の文章を読む限り閻つうのは典型的な「軍閥イメージにぴったんこカンカン軍閥」「中国の梟雄」なんでしょう。つまり蒋介石に対する忠誠心とか抗日精神とかまるでない。西安事件を起こした張学良や楊虎城*7とかと全然違う。自分の損得しか考えてない*8。忠誠心とか抗日精神とかがあったらこういう裏切り行為*9をしないでしょう。結果的に裏切らなかったとは言え「条件が良ければ裏切ってもいい」と言う態度を閻が日本軍相手に取った時点である意味「裏切り以外の何物でもない」話です(なお、閻が反共なのは言うまでもないでしょう)。で閻としては「汪兆銘&日本軍側に寝返ることがおいしければ」上官である蒋介石を裏切って寝返ったんでしょうがまあ、美味しくなかったから寝返らなかった。そういうことでしょう。ただ「歴史にイフはない」し「俺も中国素人なので何ともいえませんが」閻が寝返ったとして田村が期待するほど日本にとっていい結果になったかは疑問です。つうか今さら「閻錫山が寝返ってくれればよかったのに!」とか抜かしても何がどうにもなりませんよね。実際には、寝返らなかったわけですから。
 大体、こんな事を書いたら中国共産党どころか、台湾の国民党にすら「産経の田村はふざけんな!」「未だにあの戦争に負けたことを悔しがってるのかよ!」「つうか産経はこんな文章を載せるな!」と反感買う話でしょう。大体「人民元」の話をするのに何でこんな話をしたがるのか?。したがる理由は最後まで読めば何となくわかるんですが「その理由」は本当に非常識だと思います。

(注:日中戦争敗戦原因の一つは)日本軍の軍票の信用がないために(注:中国で)使えず、敵*10の法幣に頼らざるをえなかった点にある。法幣こそは英国が蒋介石政権に全面協力して発行させ、米国が印刷面で協調した。

 まあ、そういうことなんでしょうね。軍事的にも日本は負けていた*11が経済戦でも日本は負けていたと。そして経済戦で負けた理由の一つは軍事的敗北と同じで「米英が中国を支援していた」と。

 今、英国は中国主導で年内設立へ準備が進んでいるアジアインフラ投資銀行(AIIB)に率先して参加し、国際通貨基金IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨への人民元の組み込みに賛同している。
(中略)
 日中は戦後70年を経て第2次「通貨戦争」の局面にあるだろう。歴史は繰り返すのだろうか。

もう田村のあほさにはなんて言っていいか(呆)。
・「日中戦争中に日本の軍票蒋介石の法幣に負けたこと」=「中国が世界各国の支持を得て正式にAIIBを発足させたこと」「今中国がSDRへの人民元組み込みを目指してること」
・「日中戦争中に英国がさまざまな形で蒋介石を支援したこと」=「AIIBに英国が参加したこと」
と全然違うでしょうに。
 一緒くたにして「第一の通貨戦争で英国は中国を支援した、第二の通貨戦争でも英国は(以下略)」てどういう脳みそしてるんですかね。中国と言っても「蒋介石の国民党中国」と共産党中国じゃ全然違うし「日中戦争当時の中国」と今の中国じゃ、世界の情勢も違うでしょうに。


■【戦後70年談話】「評価」44%、「評価しない」37% 共同通信世論調査、内閣支持は43%に上昇
http://www.sankei.com/politics/news/150815/plt1508150037-n1.html

・新国立競技場の建設計画で総工費が膨らんだ問題について、安倍政権に「責任があると思う」は「ある程度」を含めて78.5%*12
参院で審議している安全保障関連法案の今国会成立に反対は62.4%、賛成は29.2%。
・不支持率は46.4%で支持率を未だ上回ってる

と言う都合の悪い部分は無視し、自分に都合のいい部分だけタイトルにする辺り実に産経らしいですね。
 とはいえ「評価44%>評価しない37%」「内閣支持率は43.2%で、前回7月の37.7%から5.5ポイント上昇*13」つうのにはげんなりします。俺みたいな安倍批判派からすれば日本人が安倍の何を支持してるのか、あの談話の何が評価できるのかさっぱりわかりません。日本人であることが「ある意味、苦痛になりつつすらあります*14」がまあ地道に安倍批判していく他はないのでしょう。


■【世界の議論】アップルに抗議した強気の歌姫、中国には屈するのか
http://www.sankei.com/world/news/150815/wor1508150003-n1.html
 詳しくはリンク先を見ていただくとして、テイラー・スウィフトさん(25)という1989年生まれの米国歌手が「1989(勿論自分の誕生年)」というアルバムを作成、関連グッズとして「1989TS」というロゴの入ったTシャツもつくったそうです(TSはテイラー・スウィフトのイニシャル)。
 で問題はこれについて、中国民主派と言われる面子が「1989は天安門事件の起こった日、TSは天安門スクエア(天安門広場)のイニシャルとも読める」と言い出したことです。産経曰く、これに中国政府当局が神経をとがらせてると。
 で「1989はともかくTSつうのはやめてほしい。当てこすりか」と抗議する可能性があると。まあ実際どうなるかは分かりません。そもそもこの「1989TS」が「スウィフトさん流の中国批判」、つまり中国民主派の主張は「過剰な思い入れではなく根拠のあることなのか」、それとも「単なる偶然にすぎずスウィフトさんは、音楽にしか興味ない」のかによって今後のスウィフトさんの対応も変わってくるでしょう。
 アップルの件は「音楽に関すること」なので「音楽に関係することなら抗議するが、外国政治なんて興味ない」つう人なら、中国と喧嘩はしないでしょうね。「TSはやめろと言うならやめます」つうことは充分あり得るでしょう。

*1:というのが何なのか是非教えて欲しいところです。

*2:俺が最初に「私的談話方針」の事実を知ったのは日経の記事です。

*3:「経済力はついたけど軍事には使いません」という政策を意図的にとらない限り。あるいはシンガポールのような特殊ケースでもない限り(ああいう都市国家では軍事力増強にも限界があるんじゃないか)。

*4:田村の文章では「若松」となっていますがググったところ「岩松」が正しいようですので訂正しました。いずれ田村の原文も「岩松」に訂正されるでしょう。

*5:山西都督、山西省政府主席など歴任。山西省を活動拠点とし山西王と呼ばれた。国共内戦での国民党敗北により蒋介石らとともに台湾に「逃亡」。台湾で総統府資政などの要職を歴任

*6:ウィキペ「閻錫山」によれば「1930年4月、他の反・蒋介石派と連合して4月に中原大戦を発動。ところが、張学良が蒋を支持したため、反蒋連合軍は敗北、閻は大連に逃れ、1932年3月に蒋介石に太原綏靖公署主任に任命されて復権するまで、一時、日本の庇護を受けた」そうですからもともと反蒋介石だし「閻には利用価値がある」と見なした日本軍とつながりがあったわけです。

*7:張と共に西安事件(1936年)を実行。1937年に逮捕監禁され1949年に蒋介石によって殺害された(殺害されなかった張学良と殺害された楊の扱いの違いはよく分かりません)。大陸中国では烈士扱いされている(台湾での扱いはよく分かりません)。(ウィキペ「楊虎城」参照)

*8:大抵の人間はそんなもんです。だからこそ、張や楊の偉大さが光るわけです。がそれにしたって閻は酷すぎでしょう。

*9:こういう裏切り行為はたぶんある時点で蒋介石サイドも認識していたでしょうが、閻が裏切り者としてその後、政治的に失脚したり、処罰されたりすることはなかったようです。閻に利用価値があったとか、下手に追い詰めたときの反撃を恐れたとか言うことでしょうか。

*10:蒋介石のこと

*11:局地戦では勝っても、蒋介石が奥地・重慶に首都を移したため、戦線をのばさざるを得なくなり、のびた戦線を中国に攻撃されるという形で日本は泥沼戦争に突入します。

*12:ないと思う人間がいることの方がさっぱり分かりません。

*13:川内原発再稼働を日本人の多くは問題視してないって事なんでしょうか。福島事故が起きてそれってのは理解ができませんね。

*14:これは何も俺に限らず安倍批判派一般に共通する気持ちでしょう。