今日の産経ニュース(1/11分)(追記・訂正あり)

■【ロシア万華鏡】「強さ」こそがすべて…プーチン*1人気衰えず、支持率はなお8割超 ついに「プーチン香水」まで発売
http://www.sankei.com/premium/news/160111/prm1601110004-n1.html
 マスコミ統制と「与党内にプーチン対抗勢力をつくらせないこと*2」による支持率維持とはまるで「我が国の安倍」のようですが、それはともかく。
 ただしプーチン氏と安倍には「たたき上げと七光り」という大きな違いがあります。よかれ悪しかれプーチン氏には「たたき上げの魅力」「たたき上げの恐ろしさ」というものがあるわけです。
 だからこそ是非はともかく「グルジア侵攻」「クリミア併合」「シリア内戦介入」「サウジとイランの仲介に名乗りを上げる」などの外交ゲームをやってのけることができる。安倍にはやりたくても到底できない行為でしょう。
 正直、欧米諸国(米国のオバマ、英国のキャメロンなど)、中国(習近平*3)、ロシアなど外国がたたき上げなのに「日本(安倍)は七光りでしかも無能」というのは屈辱的でありかつ日本の将来に恐怖を感じますね。


■【政界徒然草ポスト安倍は「稲垣茂文」だ! 首相「1強」の中で、どう覇を制する構えなのか?
http://www.sankei.com/premium/news/160111/prm1601110017-n1.html
 この記事で俺的に興味深いのは「麻生*4の名前が出てこないところ」でしょう。
 出てくるのは「稲田*5政務調査会長」「谷垣*6幹事長」「石破茂*7地方創生相」「岸田文雄外相(もちろん稲垣茂文なる謎の名前はこの4人の名前から一文字適当にとってくっつけた*8わけです)」「野田聖子*9・前総務会長」の5人です。
 「副総理・財務相」と言うポストを考えれば「ポスト安倍」として記事に出てきてもおかしくないのですが。いや勿論、俺は麻生なんか評価しませんが、麻生の名前が出てこないのはどういう事なのかと疑問に思いますね。麻生に「安倍のように」総理になる気はさすがにないのか、麻生には野心はあるが、なれる見込みがないのか、はたまた産経が麻生を嫌ってるのか。
 それにしても総裁選で安倍や石破と闘った石原伸晃*10について、安倍が露骨に干していることもあってこうした記事で触れられないのも実に皮肉です。
 伸晃が干されたこともあって、父親・石原慎太郎*11も完全に落ち目になったわけですが「産経にとっての石原慎太郎」は「産経にとっての岸信介*12」と違い、所詮その程度のものなんでしょう。


■【野口裕之の軍事情勢】自衛隊は中国海軍の「漁船」と「商船」を成敗できるのか?
http://www.sankei.com/politics/news/160111/plt1601110002-n1.html
 仮に尖閣にやってきたとして、漁船と商船に対応するのは「海上保安庁」でしょう。自衛隊ではない。しかし産経は「『実態は軍艦』の偽装漁船や偽装商船が来るかも」などという非常識なことを言うから呆れます。
 そんなん来るわけがないし、日本政府の政策として「中国は民間船舶に偽装した軍艦(海上民兵と呼ぶんだそうです)で尖閣を攻撃するかも知れない」なんて失礼千万なことが公言できるわけもない。公言したら中国は当然猛反発でしょう。なんでこう産経には常識がないのか。

長崎県の島*13(人口1800人)に2012年、106隻(3000人)の「中国漁船」が侵入し、1週間居座った*14件を鮮明に記憶していたためだ。「台風からの緊急避難」名目だったが、「漁船艦隊」を使った有人島制圧演習−との分析は専門家の間で根強い。

 どこの専門家だと聞きたくなりますね。「台風からの緊急避難」を根拠レスで「あれは偽装漁船で乗組員は軍人だ。目的は軍事演習だ、台風云々は建前に過ぎない」てばかばかしくて話になりません。一体、漁船の緊急避難が何の軍事演習になるのか。
 大体、有人島制圧てどこを制圧するのか。台湾か?。台湾だとして長崎の島なんかが台湾侵攻の参考材料に使えるのか?。まさか「もちろん長崎の島を制圧するんだ」とでも産経は言うのか?。まあ、産経だって中国に因縁つけてるだけで、さすがに本気じゃないでしょうが。

海上民兵は本当に漁をする。

だったら漁師ジャンという話ですが産経曰く

半面、指揮官や旗が存在し、階級章や民兵章が付く軍服を有す、国際法が認める戦闘集団だ。戦況を有利に導くべく、状況に合わせ軍服の着脱を繰り返すだろう。

と強弁します。もちろん産経のこんな主張には根拠などないでしょう。いや仮に「海上民兵」などという物が存在したとしても*15「漁船に乗って漁具しか持ってない」「当然軍事行動などしない」のなら自衛隊はお呼びじゃありません。
 「漁船は実は偽装で武器が隠されてる」という証拠でもあるなら話は別でしょうがおそらくそんなもんはないでしょう。
 大体本当に本格的軍事侵攻をするなら「海上民兵」なんぞ中途半端な物など使わず、ガチの軍隊を投入するでしょう。
 産経が
1)「漁船は海上民兵だ、海保じゃ対応できない」と強弁して「漁船相手にまで自衛隊を投入したがってるだけ」、あるいは
2)「今の海保の装備じゃ対応できない」として「さらなる海保装備の重武装化をしたがってるだけ」のことです。
 しかし1)はもちろん問題ですが、2)だって度を超えればもはや海保は「自衛隊から独立した、国交省所管の事実上の軍隊」「第二海上自衛隊」になってしまいます。そんなことは憲法上も外交上も適切な行為じゃない。海上自衛隊だって「海保が事実上の軍隊化すること」は希望しないでしょう。「自衛隊がコントロールできない」海保の行動で戦争が発生する(あげく自衛隊が投入される)という自衛隊にとって迷惑な事態が起きかねないからです。

不吉な初夢にうなされた。
(中略)
夢の最後はこうだった。
 《同時多発的に、自衛隊戦力が手薄な複数の有人・無人島が占領され、九州南部〜台湾にかけ、西太平洋→東シナ海に進出する米軍の台湾救援用ルートを一部封鎖する長城が完成した。もはや台湾侵攻は時間の問題だった》

 中国の台湾侵攻などまずないでしょうが台湾侵攻するならまず台湾に速攻をかけるでしょう。なんで日本の島を占領するなんてまだるっこしいことをやって「台湾に反撃の時間を与える」必要があるのか。しかも無人島ならまだしも有人島沖縄本島や淡路島、対馬佐渡のような大きな島は勿論、小さな島でも)なんかそう簡単に占領できるわけがないでしょう。全く何を考えてるのか。

*1:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相などを経て大統領

*2:つまりは「多選制限をプーチンが逃れるために、プーチン後継としていったん大統領を務めたメドベージェフ氏(現在、第二次プーチン政権で首相)」は有能性だけでなく「プーチン氏に逆らうだけの反逆性はないこと」も評価されたのでしょう。まあ、逆らったら逆らったであらゆる手段で倒す気ではあったのでしょうが(プーチンは首相、つまりメドベージェフ大統領の部下になってもメドベージェフ氏の反逆劇に備えて与党党首ポストは保持し続けました。勿論実際には反逆などありませんでしたが)。

*3:彼は習仲勲副首相の息子ではありますが、毛沢東主席、劉少奇国家主席周恩来首相並みのビッグネームならともかく、親が副首相程度では「簡単に国家主席になれる」なんてもんではないでしょう。実際、習氏は福建省長、浙江省党委員会書記などといった地方周りも経験しています。たたき上げと見てもいいのではないか。

*4:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長などを経て現在第三次安倍内閣副総理・財務相

*5:産経は稲田が一押しなのでしょうが、安倍が稲田を重用してるのは「使い勝手がいいから」であって退任後に首相につけようとは別に思ってないでしょう。

*6:小泉内閣国家公安委員長財務相自民党政調会長(福田総裁時代)、福田内閣国交相、第二次安倍内閣法相などを経て現在自民党幹事長。

*7:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)などを経て現在、第三次安倍内閣地方創生相

*8:小泉政権末期に一部で使われたポスト小泉を意味する「麻垣康三(麻生外相、谷垣財務相、福田前官房長官、安倍官房長官(役職は当時))」から産経が思いついた言葉でしょう。ただし麻垣康三ほどにもこの言葉は普及しそうにありませんが。

*9:小渕内閣郵政相、福田内閣食品安全等担当相、麻生内閣消費者問題等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)などを歴任

*10:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次阿部内閣環境相など歴任

*11:福田内閣環境庁長官、竹下内閣運輸相、都知事、維新の会共同代表、次世代の党最高顧問など歴任。

*12:自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*13:ググったところ五島列島のようです。そう言えばこの件で楊海英も「中国の五島列島侵攻もあり得る」とデマ飛ばしてました。

*14:日中漁業協定に基づく「台風からの緊急避難」なので「侵入」、「居座り」と産経がいうのは全く間違っています。

*15:存在しないでしょうが