今日の産経ニュース(6/28分)(追記・訂正あり)

■がん治療の劉暁波*1、出国へ駆け引き 米のテリー・ブランスタド*2新駐中国大使「国外で治療を」 
http://www.sankei.com/world/news/170628/wor1706280042-n1.html
・なお
中央日報
■駐中米国大使に習近平氏の「30年来の旧友」ブランスタッド氏(1)
http://japanese.joins.com/article/367/223367.html
によれば

http://japanese.joins.com/article/367/223367.html
 ブランスタッド氏は1983年から99年まで、そして2011年から現在まで計20年以上アイオワ州知事を務めている共和党の大物だ。
 習主席(63)との縁は85年から始まった。当時32歳で河北省正定県*3の書記だった習氏は石家荘*4食品協会のトップとして畜産業代表団を率い、ベンチマーキングのためアイオワ州の地方を視察しに来た。
(中略)
 アイオワ州は米国の豆・とうもろこしの代表的な生産地で、州面積の90%が農業と関連がある。
 習氏はその後もブランスタッド氏との交流を続け、副主席時代の2012年2月に再びアイオワを訪れた。主席就任を1年後に控え、すでに次期指導者として内定している状況だった。ワシントンでバラク・オバマ大統領、ジョー・バイデン*5副大統領に会う日程だったが、わざと「米国の辺境地」にも足を運んだのだ。ブランスタッド氏とともに(中略)歓談を交わした。そうして随行した中国企業等にアイオワ州穀物大企業と1200万トン以上の豆購入を契約させる器の広い大きなプレゼントを贈った。金額にして43億ドル(約5000億円)に達する。4カ月後の同年6月、ブランスタッド氏が中国を訪問すると、国賓級のもてなしで彼を迎えた。ブランスタッド氏はアイオワ州農産物の最大輸入国である中国を過去7年間で4回訪問した。
 このような縁でブランスタッド氏はトランプ氏当選以降、次期駐中大使候補として有力視されてきた。

だそうです。
・中国からすれば「出国した活動家が政治力を失う事例」はいくつも見てきたので「出国ウエルカム」ではないか。
 だから

 中国共産党機関紙の環球時報は28日付の論評で、劉氏の国外での治療については法律上可能で前例もあるとし「人道主義の原則に基づき適切な決定をすべきだ」と言及した。

となるわけです。
 下手に出国拒否したら「がん病死させる気だ」と非難されるでしょう。
 一方、米国も「中国との商売の利益」を考えればこの件は「中国出国、米国受入による病気治療」でとっとと片付けたいわけです。 

【追記】
劉暁波氏の渡米実現求める 習近平主席に歴代ノーベル賞受賞者154人
http://www.sankei.com/world/news/170630/wor1706300077-n1.html
 劉の渡米で話がすんなり終わるかと思っていましたが、どうもそうなるか微妙なようです。

 劉氏と同様、中国の受賞者である文学賞莫言*6 と、医学生理学賞の屠ユウユウ(=口へんに幼)さんの署名はなかった。

 莫言氏はともかく屠ユウユウ氏は研究において中国政府の支援を受けていますからね。こういう署名はしづらい立場でしょう。


■産経『末期がんの劉暁波氏 北京での治療拒絶される 「政治的謀殺」疑う声も』のブクマ
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.sankei.com/world/news/170627/wor1706270036-n1.html

id:opemu
 彭徳懐*7の最後を思わせる様だ。劉氏達は、今でも中国に蔓延る「文革」と戦い続けている。

 何でもかんでも文革とか言うのは本当にやめた方がいい。「政治弾圧=文革」てのは違うでしょう。例えばトランプ政権がいかに無茶苦茶でも誰も「マッカーシー赤狩り」なんか持ち出さないでしょう(例は「スターリン*8プーチン*9」「ムソリーニとベルルスコーニ*10」「ポルポト*11とフンセン*12」でも何でもいいですが)。


■【加計学園問題】学園からの政治資金、収支報告書に記載なし 下村博文氏支援の政治団体 週刊文春が報道
http://www.sankei.com/affairs/news/170628/afr1706280038-n1.html
 森友、加計疑惑追及は当面続きそうでよいことです。

記事は「3年分のリストから、こうした“闇献金”が疑われるケースを合計したところ、その額は約1千万円」と指摘。別の内部文書の「日報」には、下村氏が文科相だった当時、加計学園の秘書室長(当時)がたびたび陳情し、口利きを依頼した経過が記録されていたとしている。

 「記事が事実ならば」ですが、金額の大きさと下村の文科相という役職を考えれば収賄の疑いすらあるでしょう。
 都議選に与える影響によっては自民党都連幹部である下村の責任問題追及の動きが自民党内から出るかも知れません。


■【主張】「謝罪碑」の嘘 堂々と誤り正して撤去を
http://www.sankei.com/column/news/170628/clm1706280002-n1.html
 赤の他人が勝手に撤去する訳にもいきませんが、「そうですね、吉田証言はウソのようですから撤去した方がいいでしょう」で終わる話です。
 撤去すべきでしょうが今時吉田証言なんか信用されてないから必要以上にこだわる話でもない。
 撤去されなくても吉田証言批判は可能です。
 いずれにせよ撤去されたところでそれは「慰安婦戦争犯罪じゃない」だの「河野談話やクマラスワミ、マクドガル報告書、米国下院決議などが間違ってる」だの言う話には全くなりません。河野談話などは吉田証言が根拠じゃない。
 そもそも吉田証言が信用されていたときですら彼の証言は済州島限定でしか使われていません。
 一方慰安婦済州島限定どころか「韓国、中国、台湾、フィリピン、インドネシア」と日本の戦争での支配地に広くいたわけです。


■【外交・安保の取材現場から】日本政府、尖閣竹島めぐる中韓主張の矛盾突く資料発掘も生かし切れず 求められる反論の司令塔
http://www.sankei.com/premium/news/170628/prm1706280006-n1.html
 そもそも反論すれば領土問題は解決するつう話でもない。特に韓国が実効支配してる竹島なんか反論「だけ」しても何もどうにもなりません(これはロシアが実効支配してる北方領土も同じです)。
 交渉で解決するしかない。
 一方、尖閣は「日本が実効支配してる」という別の意味で「反論する必要に乏しい」。
 また、日中、日韓の問題は領土問題だけでもない。領土問題をいたずらにこじらせることはかえって国益に反するという理解もあり得る。

石井准教授が調べた琉球王族系図「向姓具志川家家譜十二世諱鴻基(しょうせいぐしかわけかふじゅうにせいいみなこうき)」には、1819年に薩摩藩(現在の鹿児島県)に向かう途中で王族の一行が暴風雨に見舞われ、尖閣諸島に漂着したと記録されている。

それは当時の日本が「尖閣の存在を認識していた」とは言えても「日本領土だと思っていた」とはならないでしょう。

*1:2010年ノーベル平和賞受賞者。著書『現代中国知識人批判』(1992年、徳間書店)、『天安門事件から「08憲章」へ』(2009年、藤原書店)、『「私には敵はいない」の思想』(2011年、藤原書店)、『最後の審判を生き延びて』(2011年、岩波書店

*2:アイオワ州知事。

*3:「正定」といえば産経ウオッチャー、櫻井よしこウオッチャーには■産経「【歴史戦】蘭人司教ら殺害の正定事件で「日本軍犯行説」の既成事実化進む」(http://www.sankei.com/premium/news/161001/prm1610010040-n1.html)、■櫻井よしこ「官邸主導で「正定事件」に見事に対応 首相直属の情報発信本部設置を」(http://yoshiko-sakurai.jp/2016/02/27/6292)などでおなじみ(?)の「あの正定」です。

*4:河北省の省都

*5:上院司法委員長、外交委員長などを経て副大統領

*6:著書『赤い高粱』(2003年、岩波現代文庫)、『牛 築路』(2011年、岩波現代文庫)など

*7:中国国防相。1959年の廬山会議で大躍進政策の失敗を批判。彭個人は毛沢東・党主席失脚を狙ったわけではなく苦言にすぎなかったが毛の反発を買い失脚(後任国防相林彪)。1966年からの文革では酷い迫害を受け、大腸がんであるにも拘わらず十分な治療が受けられなかった。文革中の1974年に死去。1978年12月、トウ小平が権力を掌握した党第11期3中全会において名誉回復がなされた(ウィキペ「彭徳懐」参照)。

*8:ソ連共産党書記長

*9:ロシア大統領

*10:イタリア首相

*11:カンボジア共産党書記長、カンボジア首相

*12:1985年からカンボジア首相