今日の産経ニュース(11/24分)(追記・修正あり)

■【シネマプレビュー】全員死刑
http://www.sankei.com/entertainments/news/171124/ent1711240007-n1.html
 なお、この「全員死刑」をググると「『冷たい熱帯魚』の制作陣が再集結」云々なんて記事がヒットします。
 『冷たい熱帯魚』(2010年)つうのも「全員死刑」同様、犯罪実録もので、こちらは

・1993年に埼玉で起こったいわゆる埼玉愛犬家連続殺人事件(4名を殺害し死刑判決)*1をネタにしたフィクション(舞台をペットショップではなく、熱帯魚ショップに変更)

だそうです。機会があったら見てみたいような見たくないような。
 いわゆる「大牟田4人殺害事件」も「埼玉愛犬家連続殺人事件」も犯罪として相当に凶悪ですからね。

 身代わりの刑期を終えたヤクザ一家の次男、タカノリ(間宮祥太朗)が帰宅すると、家族は借金まみれになっていた。近所の資産家から大金を奪おうと、父親(六平(むさか)直政)、母親(入絵加奈子*2)、兄(毎熊(まいぐま)*3克哉*4)と計画を練るが…。
 家族4人全員に死刑判決が出た実際の事件をモチーフに、現在27歳の小林勇貴*5監督が勢いのある娯楽作品を作り上げた。

 娯楽作品ですから深刻な話というよりはノワールなんでしょうが、まあ世の中にはこういう馬鹿もいるんだなあという感じがしますね。
 強盗殺人で死刑なんてこんなに割に合わない話もない。金を手に入れるのなら「人を殺さないで済む」もっと効率的な犯罪は詐欺などいくらでもあるでしょう。
 しかも家族皆で犯行を実行し全員死刑判決なんて、まともな人間ならまずやらない犯罪です。
 成人ですから「犯行について責任がない」なんて馬鹿な話はないですがこの長男と次男もこんな両親でなければこんなことにはならなかったんじゃないか、と思いますね。
 まさに「子どもは親を選べない」「親の因果が子に報い」ですね。
 まあ逆にid:Bill_McCrearyさん記事『子の因果が親に報う』(http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/4690578b30e73cc71b018d7aa174da8a)つうこともあるわけですが。
 しかしこういう無茶苦茶な人間が親族(親兄弟、子どもなど近い関係はもちろん遠い親戚でも)だといやですねえ。id:Bill_McCrearyさん記事『子の因果が親に報う』(http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/4690578b30e73cc71b018d7aa174da8a)も指摘していますが日本だと「筋の通らないバッシング」「変な風評被害」に遭いますから。
 それはともかく、以前、id:Bill_McCrearyさんが『復讐するは我にあり』の主役*6オファー*7渥美清*8が断ったという記事を以前書いてたと思いますが「強面の顔で元々悪役が多かった六平直政*9」はともかく、ほかの俳優陣はどんなもんなんですかねえ。

参考
町山智浩*10 映画『全員死刑』を絶賛する
https://miyearnzzlabo.com/archives/45640

町山智浩
 これは福岡であった一家4人全員殺害事件(大牟田4人殺害事件)というのをやった一家4人を描いた実録犯罪残酷映画なんですけども。僕、「見ろ! 見ろ!」って周りの人に言われていて。で、僕は嫌だったんですよ。怖いから。
(中略)
 だからこんな映画、死んでも見たくねえ!って思っていたら、製作をしたスタッフとかお金を出した人とか宣伝をしている人が全部僕の友達なんですよ。それも、20年ぐらい友達なの。みんな。で、「見ろ、見ろ、見ろ!」ってあらゆる圧力がかかって仕方なく見たら……めっちゃくちゃ面白かったです!笑っちゃうんですよ。
海保知里
 えっ?
町山智浩
 びっくりしましたよ。
海保知里
 笑う?
町山智浩
 大爆笑なんですよ。
(中略)
 リンチしているやつが間抜けなことばっかりするんで、リンチされている人が笑っちゃうっていう世界なんですよ。
(中略)
 この主人公の間宮祥太朗くんの立場っていうのは『仁義なき戦い』における菅原文太さんなんですね。それで、いちばん悪い山守親分。文太さんに悪いことばっかりさせる山守親分はお母さんなんですよ。お母さんがその自分の末っ子の息子に「タカノリちゃん、お願いね。これはね、家族のためだから。パパも本当に困っているからね。あの人、殺して」って言うんですよ。で、殺すじゃないですか? すると、そのお母ちゃんが「よっしゃ〜!」って言うんですよ。「よっしゃ〜!」って。めちゃくちゃ悪いお母さんなんですよ。それですごいのが、ギャグがあまりにも連続して。もう切れ間なくギャグ、ギャグ、ギャグ……っていうのが殺人と同時に描かれるんで、俺、これはないだろうって思ったんですよ。これはいくらなんでも作りすぎだろう。おかしすぎだろう。笑かそうとしてるのかと思って、さんざん笑って映画を見終わった後、調べたんですよ。本当のその大牟田4人殺害事件っていうのがいったいどうだったか?……中で描かれるギャグ、全部本当*11だったんです。鈴木智彦さん*12っていう人がこの事件を起こした、死刑が確定した末っ子から話を聞いて。あと、裁判の供述とか記録をもとにした本を出しているんですね。『我が一家全員死刑*13っていう本を。それによると、もう全て裁判で事実として認められたことがコントとして描かれているんです。


■【ジンバブエ情勢】ムガベ氏を見限っていた中国 ダイヤ採掘事業の国有化で関係悪化か
http://www.sankei.com/world/news/171124/wor1711240043-n1.html
 そりゃ93歳の高齢独裁者が子分皆に造反されて復権の目がなければ中国も見限るでしょう。よほどのことがない限り、ムガベ復権に力を入れるなんて「成功の見込みが乏しい上に世間の反感も買うこと」なんかするわけがない。
 ムガベに造反した子分連中が「中国との関係はこれからも変わりません」といえばそれで終わってしまうでしょう。


■【河崎真澄のチャイナウォッチ】エアバスボーイングにチャイナで中小型旅客機「ABC時代」 MRJ低迷で日本後塵
http://www.sankei.com/premium/news/171124/prm1711240004-n1.html

 中小型のジェット旅客機をめぐる国産化競争で、日本では三菱航空機による「MRJ三菱リージョナルジェット)」(座席数70〜90)が、当初は2013年とされていた納期が5度も延期されるなど“足踏み”を続ている。一方で中国は、すでに小型機「ARJ21」(同90)を実用化させ、昨年6月には国内線で就航ずみだ。中型機「C919」(同150)も3回の試験飛行に成功し、国内外から早くも計730機を先行受注するなど、日本を大きく引き離している。

 ということで今や中国の技術力は全く馬鹿にできません。


■「安倍晋三記念小学校」は朝日新聞が「煽った」 麻生太郎*14、森友問題で指摘
http://www.sankei.com/economy/news/171124/ecn1711240028-n1.html
 こういうデマを副総理が言うのだから「自民党はもちろん」日本の政治と日本社会も劣化したというべきでしょう。


■【歴史戦】日韓姉妹都市でも「慰安婦像」摩擦 佐賀・唐津市が懸念表明、韓国側は「口はさまないで」
http://www.sankei.com/world/news/171123/wor1711230039-n1.html
慰安婦像問題 福岡市が釜山市に懸念伝達へ
http://www.sankei.com/world/news/171203/wor1712030018-n1.html
 大阪といい、唐津といい、福岡といい、なんでこう馬鹿ウヨ市長ばかりなんでしょうか。民度が低いというか何というか。


■【エンタメよもやま話】韓国兵は3回も私を襲った…ベトナム戦争の残虐を英紙が報道、欧米で怒り・驚き噴出
http://www.sankei.com/west/news/171124/wst1711240004-n1.html
 ベトナム戦争でのレイプを憤る人間は「日本軍のレイプ(慰安婦)」にだって憤るでしょうに、そうは理解できず「韓国も過去にレイプをやったんだから韓国は日本の慰安婦制度を非難するな」とどや顔して恥じないのが産経です(そもそもこうした韓国軍の犯罪を追及してる団体の一つが「慰安婦問題に取り組んできた」挺対協であることを考えても産経のこうした考えはずれています)。
 そもそも慰安婦の被害国は韓国だけではないし、その理屈なら「朝鮮人強制連行を実行した日本がたかが数10人の拉致でガタガタ言うなby北朝鮮」などともいえてしまうわけです。
 つうかこれのどこが【エンタメよもやま話】なのか。


■【サ市慰安婦像対応】「女性の人権軽視とサ市側の誤解招く危険性も」同志社大村田晃嗣*15教授
http://www.sankei.com/west/news/171124/wst1711240011-n1.html
■【サ市慰安婦像対応】「外交には強く言わなければいけない局面がある」大阪大・坂元一哉*16教授
http://www.sankei.com/west/news/171124/wst1711240010-n1.html
 「荒木和博・拓殖大教授」「島田洋一*17福井県立大教授」「高橋史朗*18・明星大教授」「東中野修道*19亜細亜大教授」「八木秀次・麗澤大教授」などと違い、「安倍シンパのウヨとはいっても」慰安婦問題でこういう発言をするほど村田や坂元が馬鹿だとは思ってなかったのですが、所詮その程度の人間だったわけです。


■【歴史戦】「姉妹都市解消は当然」潰された地域交流…在米日本人ら怒り サンフランシスコ慰安婦
http://www.sankei.com/world/news/171123/wor1711230040-n1.html
 もちろん怒ってる在米日本人とは歴史修正主義ウヨであり、たとえば、コヤマエミ氏、「モンタナ州立大学准教授」山口智美氏*20などは別に怒ってないわけです。むしろ彼女らは、「歴史修正主義批判者として」大阪市のような態度に批判的、否定的です。


■【河野太郎外相インタビュー】「ポスト安倍」に急浮上
http://www.sankei.com/politics/news/171124/plt1711240011-n1.html
 もちろん「産経にとって」河野の外交が

北朝鮮に対する圧力強化や、歴史問題で中国、韓国への毅然とした対応で評価が高まっている

というものだから「急浮上」と宣伝しているに過ぎません。率直に言って自民党内において河野など全然「ポスト安倍」じゃないでしょう。やはり可能性でいったら岸田政調会長(前外相)、石破*21前幹事長、石原*22元幹事長といったあたりでしょう。
 しかし親父さん「河野洋平*23元外相」やお祖父さん「河野一郎*24元農林相」はここまで極右じゃないと思うんですけどねえ。


■【単刀直言】河野太郎外相 「河野談話の評価は『本人に聞けよ』という話だ」「日韓合意のゴールポストはもう固定された」 
http://www.sankei.com/politics/news/171124/plt1711240006-n1.html
 おいおいですね。安倍内閣外相になど何も期待していませんがそれにしてもひどい。
 『本人に聞け』てあれは政府公式見解であって、「宮沢*25内閣官房長官河野洋平氏個人の私的見解じゃありませんが。もちろんこういうことをいったあげく慰安婦銅像にケチをつければ「日本は無反省だ。河野談話すらなかったことにしようとしてる」と認識され非難されるのは当然です。

*1:大阪でも同時期に同様の犯罪(4名を殺害し死刑判決)が起こっていますが、埼玉と大阪の事件には直接の関係はありません。

*2:玉川大学在学中に『ミス・サイゴン』のオーデションに合格(主役キム役を本田美奈子ダブルキャストで演じた)、芸能界に入る。その後は、ミュージカルを中心にテレビドラマ、アニメ、映画にも出演している(ウィキペディア入絵加奈子』参照)。

*3:変わった姓ですがウィキペディアによれば本名だそうです。

*4:2016年公開の主演映画『ケンとカズ』は作品評価の高さから自主映画としては異例の3か月以上にわたるロングランを記録。同作での演技が評価され第71回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞、おおさかシネマフェスティバル2017新人男優賞、第31回高崎映画祭最優秀新進男優賞を次々に受賞、30歳を目前にした「遅咲きの新人(1987年3月28日生まれ)」として一躍注目を集める(ウィキペディア『毎熊克哉』参照)。

*5:著書『実録・不良映画術』(2017年、洋泉社

*6:5人を殺害し死刑となった強盗殺人犯・西口彰がモデル。

*7:実際には緒形拳がやりました。

*8:代表作として映画『男はつらいよ』シリーズ(1969年〜1995年、1997年、全49作)

*9:ウィキペ「六平直政」が紹介する六平の悪役としてはTBS『松本清張生誕100年スペシャル・中央流沙』(2009年)の西秀太郎農水省官僚と政治家とのパイプ役を務めるフィクサー)、『税務調査官・窓際太郎の事件簿26』(2014年) の大賀啓造(主人公に犯罪を暴かれる悪徳代議士)、『水戸黄門スペシャル』(2015年)の荒巻眩斎(老中柳沢吉保の配下として、光圀の命を狙う忍者集団の頭領)などがあります。

*10:著書『最も危険なアメリカ映画:『國民の創世』から『バック・トゥ・ザ・フューチャー』まで』(2016年、集英社インターナショナル)、『〈映画の見方〉がわかる本:ブレードランナーの未来世紀』(2017年、新潮文庫)など

*11:https://cinema.ne.jp/recommend/zeninshikei2017112506/によれば「初めに殺されるのがユーチューバーということは映画オリジナル。原作では語学研修にも参加するマジメな少年であったと記されていました。(ボーガス注:そもそも実際の事件が起こった2004年においてYouTubeのような動画サービスの利用は一般的じゃないでしょう)」、https://www.excite.co.jp/News/reviewmov/20171123/E1511360046304.htmlによれば「映画オリジナルの要素として付け足されているのが、犯人一家の家に大量に貼ってある相田みつをっぽい筆文字のメッセージ」とのことなので「全部本当」というのは間違いのようです。

*12:著書『潜入ルポ ヤクザの修羅場』(2011年、文春新書)、『ヤクザと原発:福島第一潜入記』(2014年、文春文庫)、『ヤクザ専門ライター 365日ビビりまくり日記』(2015年、ミリオン出版)など

*13:『我が一家全員死刑:福岡県大牟田市4人殺害事件「死刑囚」獄中手記』(2014年、コア新書)のこと。後に『全員死刑大牟田4人殺害事件「死刑囚」獄中手記』と改題し2017年に小学館文庫より刊行。

*14:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)を経て首相。現在、第二次〜第四次安倍内閣副総理・財務相

*15:著書『米国初代国防長官フォレスタル:冷戦の闘士はなぜ自殺したのか』(1999年、中公新書)、『アメリカ外交』(2005年、講談社現代新書)、『レーガン:いかにして「アメリカの偶像」となったか』(2011年、中公新書)など

*16:著書『日米同盟の難問』(2012年、PHP研究所

*17:著書『アメリカ・北朝鮮抗争史』(2003年、文春新書)

*18:著書『日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと』(2014年、致知出版社)、『「日本を解体する」戦争プロパガンダの現在:WGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)の源流を探る』(2016年、宝島社)など

*19:著書『1937南京攻略戦の真実』(編著、2003年、小学館文庫)など

*20:著書『海を渡る「慰安婦」問題:右派の「歴史戦」を問う』(共著、2016年、岩波書店)など

*21:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*22:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*23:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長など歴任

*24:鳩山内閣農林相、岸内閣経済企画庁長官、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣農林相、建設相など歴任

*25:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相