bogus-simotukareの日記

2019-02-21

新刊紹介:「歴史評論」3月号

| 12:36 |

・詳しくは歴史科学協議会ホームページhttp://www.maroon.dti.ne.jp/rekikakyo/)をご覧ください。小生がなんとか紹介できるもののみ紹介していきます。まあ正直、俺にとって内容が十分には理解できず、いい加減な紹介しか出来ない部分が多いですが。

特集『三一運動100年』(予定)

2019-02-15

新刊紹介:「経済」3月号

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経済」3月号について、俺の説明できる範囲で簡単に紹介します(現時点(1/10記載)では目次は「経済」2月号掲載の予告のため一部変更の可能性あり)。

 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/

特集『まともな働き方・暮らしへの労働改革』

座談会「『最低賃金1500円』で暮らせる賃金雇用を作る」(中澤秀一*1、柳恵美子、箕輪明子、森田進)

生活保護最低賃金の引き上げこそ貧困脱出の鍵(桜井啓太*2

■困窮者自立支援事業自治体施策財政問題(藤井えりの)


■対談「国会パブリックビューイングの挑戦」(上西充子、山田真吾)

座談会外国人労働者の現状と入管法改定*3の問題点」(大坂恭子*4、榑松佐一*5、坂本恵、仁比聡平*6

■外国人技能実習制度の変遷と問題点(本多ミヨ子)

■メガFTAと日本農業東山寛)

JR東日本の経営分析(田村八十一)

日本産業の動向 この10年の変化をどう見るか(村上研一*7

*1:著書『これだけは必要だ!静岡県の最低生計費』(編著、2012年、本の泉社)、『最低賃金1500円がつくる仕事と暮らし:「雇用崩壊」を乗り超える』(編著、2018年大月書店

*2:著書『〈自立支援〉の社会保障を問う: 生活保護最低賃金ワーキングプア』(2017年法律文化社

*3:「改正」とはさすがに言わないわけです。まあ「改悪」でもいいのでしょうが中立的表記にしたと言うことでしょう。

*4:外国人技能実習生問題弁護士連絡会共同代表

*5愛知県労働組合総連合(愛労連)議長。著書『トヨタの足元で:ベトナム人研修生 奪われた人権』(2008年、風媒社)、『反貧困でつながろう:国境を越えた仲間たち 改正入管法対応 外国人実習生支援ガイド』(2010年、かもがわ出版)、『外国人実習生「SNS相談室」より:ニッポン最暗黒労働事情』(2017年、風媒社)

*6日本共産党参院議員弁護士

*7:著書『現代日本再生産構造分析』(2013年、日本経済評論社

2019-01-21

新刊紹介:「歴史評論」2月号

| 12:36 |

・詳しくは歴史科学協議会ホームページhttp://www.maroon.dti.ne.jp/rekikakyo/)をご覧ください。小生がなんとか紹介できるもののみ紹介していきます。まあ正直、俺にとって内容が十分には理解できず、いい加減な紹介しか出来ない部分が多いですが。

特集『前近代ユーラシア東半における文化的接触と摩擦』

■アジアにおける「ハムザ物語」(近藤信彰)

(内容紹介)

 ハムザとは「イスラム教創始者ムハンマドの叔父」で実在の人物です。

 ただし、「ハムザ物語」は「ハムザの伝記」ではなく、「三国志演義」「忠臣蔵」などと同様に「大量にフィクションが入ってる娯楽もの」だそうです。

 三国志演義の「空城の計」「死せる孔明生ける仲達を走らす」、「忠臣蔵」の「吉良上野介のいじめ」などは事実ではないわけです。

 ペルシャ(イラン)で誕生した「ハムザ物語」がインドや東南アジアに伝播した過程が説明されていますが、無能のため詳細な説明は省略します。

参考

■コトバンク『ヒカヤット・アミル・ハムザ【Hikayat Amir Hamzah】』

 マレー古典文学における英雄伝説の一つ。東南アジアへのイスラムの伝来とともにもたらされたペルシアの英雄伝説を,ペルシア語版からマレー語に翻訳したものである。主人公は預言者ムハンマドのおじハムザ・ブン・アブド・アルムッタリブで,最も人気のある英雄である。

http://www.sanriku-pub.jp/olive131.tsujimura11.html

 叙事詩『ハムザ・ナーマ』は11世紀頃のペルシアに発生し、語り部や読み物作家によりイスラーム圏に大いに流布した「アミール・ハムザの冒険」が土台となっている。これは事実と伝説と創作が入りまざった、時空を超えた奇想天外な冒険譚で、ストーリーは複雑きわまりない。

http://mikiomiyamoto.bake-neko.net/epicsingerdalrymple.htm

■ウィリアム・ダルリンプル「英雄叙事詩の歌い手」からの抜粋 (宮本訳)

 インドでもっとも人気のある叙事詩といえば「マハーバーラタ」だが、もともと無数にあった叙事詩のひとつにすぎなかった。ムガール朝の時代にもっとも人気を博したのは、偉大なるイスラム教徒の叙事詩「ダスタン・イ・アミール・ハムザ」、すなわち「ハムザ物語」だった。

 預言者(ボーガス注:ムハンマド)の義父である勇敢で義侠心があふれるハムザは、(ボーガス注:ササン朝ペルシャの)ナウシェルヴァン皇帝*1の命を受けて、不規則にイラクからメッカ、タンジェ、ビザンチンを通ってスリランカへ旅をした。旅の途上、残酷な悪党であるバフタックや魔術師で魔王のズムッルド・シャーなどの敵に仕掛けられた罠をのがれながら、彼はペルシアやギリシアの美しい王妃たちと恋に落ちた。

 何世紀ものあいだ、イスラム世界のいたるところで「ハムザ物語」は語られた。その物語の人気を支えていたのは、層を成す脇道のエピソードであり、ドラゴンや巨人、呪術師などの登場するキャラクターだった。

 インドでは、ハムザの叙事詩はそれそのものが命を得たかのようだった。インドのあらゆる口承の神話や伝説を吸収しながら、前例がないほどの巨体に成長した。

 このような存在になった「ハムザ物語」は、ムガール朝インドの大きな都市の群衆が集まる場所で語られるようになった。交易市や祭りで、デリーのジャマ・マスジッドの階段で、キッサ・カワニで、ペシャワールの語り部通りで、ダスタン・ゴス、すなわち職業的語り部が記憶をもとに、夜の間中物語を吟唱した。わずかな休息をはさむだけで、7時間も8時間も演じつづける者もいた。またムガール朝のエリートのあいだでは、プライベートでハムザの叙事詩を吟唱するという伝統があった。たとえば偉大なるウルドゥー語の愛の詩人ガリブは、彼自身のダスタン・パーティで物語を吟唱し、喝采を得た。

 完全な形のハムザ物語は360ものストーリーを含み、一晩中吟唱したとしても終えるまで数週間を要したという。印刷されたバージョンのなかでも最後の巻は1905年に刊行されたのだが、それは46巻以上に及び、1巻あたり平均して1000ページだったという。このウルドゥー語バージョンは、亜大陸で何年間も語られることによって叙事詩がどれだけインド亜大陸向けに再生されたかを示している。


■明末清初の激動と中国ムスリム(中西竜也*2

(内容紹介)

 まあ、今「ウイグル問題」がわりと騒がれてるので、ご存じの方も多いでしょうが中国には「ムスリム(イスラム教徒)」が昔からいるわけです。

 それはともかく、今では「宗教差別良くない」つうのは「世界の常識」です。特にイスラム教なんか世界宗教ですから、中国だって「イスラムなんて有害な思想を撲滅して何が悪い」なんてさすがにいわない。そんなこと言ったらイランだのパキスタンだのと言ったイスラム教国と外交関係が最悪になってしまう。

 江戸時代ならまだしも、今の日本でキリスト教弾圧なんかやったら「欧米から国交断絶されるであろう」ということと話は同じです。

 例の「強制収容所云々」についても中国は「そんなもんはない。我々は合法かつ正当なイスラム過激派テロ撲滅に励んでるだけだ。誤解だ、偏見だ、言いがかりだ」という。

 「強制収容所でムスリムに豚肉を強要してる疑いがある」なんてのにも中国は「豚肉は栄養があるんだ。食わせて何が悪い。食わない方がおかしい。食わないことが『イスラム教=邪教』の証明だ」なんてさすがに言わない。中国は「そんなイスラム教を侮辱する行為はしない。デマだ(そもそも、あそこは違法な強制収容所じゃないし)」というわけです。

 なお、そうした中国の釈明に対する批判としては

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181214/k10011746441000.html

・中央大学講師のM谷N子さん*3

「トルコのウイグル人の亡命者団体でインターネットテレビをやっている『イステクラルTV』というところが、現地の警察官などと水面下で連絡を取って調べた情報によると、主要な市を含まない県レベルで全部で89万人の人たちが収容所に入っているのではないかという調査をしていました。

 ただし恐らく、数はもっと増えているのではないかと。

 つまり主要な市などを含んでいない数ですから、つまりそれはウイグル人の人口を考えると、10人に1人ぐらいは収容所に入れられているのではないかという情報があります。」

「2016年の段階で、チベットの党書記であった陳全国という人が新疆ウイグル自治区の党書記に転任になりました。

 ちょうど、その陳全国氏がチベットで党書記をやっていた時にチベット人の焼身自殺が非常に大発生するんですが、少数民族への政治的な弾圧の手腕を買われて新疆の方に来たのではないかと言われておりまして、ちょうどこういう一連の強制収容が始まったのが、陳全国さんの党書記就任とかぶります。

なので、それが1つのきっかけになったと亡命者たちは見ております。」

「やはりここまでひどい人権弾圧は21世紀に入ってまだ類例を見ないものの1つだと思います。

 そして、中国共産党自体もこのようなことをやっていたら、当然、世界的にも、そして歴史的にも、自らの品位を下げることになるわけですし、やはり国際社会は中国共産党に対して、この問題を訴えかけて、一刻も早く、こういうような非人道的なことをやめさせるべきだと、私は思っております。」

の批判なんかがあります(ただし俺個人は興味も知識もないのでこういう問題を論じる気はあまりないですが。もちろんこうしたことが事実ならば中国は批判されて当然です)。「ウイグル、中国」「イスラム、中国」でググればいろいろとヒットします。

 で、別に中西論文は「今のウイグル統治を論じてるわけではない」「明朝末期清朝初期のことを論じてる」ので中国のそうした主張の是非はここでは俺は論じません。

 中西論文が言ってることは以下のようなことです。

1)今は『宗教差別は駄目だ』が常識だ。しかし明末清初はそうではなかった。

 『イスラムって中国に害をなす邪悪な思想じゃねえの?』つう偏見が普通に存在した。

 まあ日本だって江戸時代はキリスト教弾圧してますから、そのあたりは偉そうなことはいえません。

 で「江戸時代もそうですが」、「明末清初(明朝の末期、清朝の初期)」には「宗教の自由は人権として認められるべきだ」なんて言ってもそういう考えが社会に普及してないから意味がないわけです。

2)そこで当時の中国ムスリムは「イスラムは中国の伝統思想である儒学と矛盾しない、敵対しないどころか、むしろ親和的な思想なんだ」「全然有害じゃないんだ」と主張した

つう話です(ここでそうしたムスリムとして名前が挙がってるのが王岱興と劉智という人物です。なお、劉智についてはウィキペディアに簡単な紹介があります)。

 王岱興と劉智の説明では「どう親和的なのか」については、無能のため詳細な説明は省略します。

参考

http://macserver.jp/~global/1204ws06.html

(四)王岱輿

 明末清初に活躍した王岱輿は、中国最初のイスラーム哲学者といってよい。ムスリムの立場を明確にしつつ、中国の伝統思想と正面対決した初めての哲学者であり、その後の中国イスラーム哲学(と称すべき思想)の流れの基礎を築いた哲学者である。中国という環境内において中国の伝統的思索を相対化する思索をおこなっている。具体的・本格的な研究が待たれる課題である。

(八)劉智

 劉智は康煕年間の初め、南京に生まれ、雍正年間に卒している。『天方性理』『天方典礼』『天方至聖実録』の三部大作をはじめとする膨大な著作を残し、中国イスラーム最大の哲学者とされている。彼はアラブ・ペルシャのイスラーム哲学の伝統を引き受けつつ、一方宋学の概念を駆使して、精緻極まりない独創的な哲学体系を樹立した。イスラーム哲学史においても中国哲学史においても、きわめて重要な哲学者である。彼の著作については最近非常に細緻な研究が進んでいる。本特定領域研究においてもその方向をさらに進め、劉智哲学の全貌を見渡すまでに至ることを期する。

(九)馬徳新

 馬徳新は乾隆年間に雲南の大理に生まれた。賽典赤・贍思丁の二十一世の子孫という。幼年からアラブ・ペルシャ語を学び、長じて陝西の経堂に遊学し、中国ムスリムとしては最高度の教育を受ける。四十代後半におよび、彼はハッジ(巡礼)をおこなうが、その旅程はただメッカに向かうのではなく、ほとんど七年間をかけて、いわば「弁当を腰に、笈を背負って」メディナ、エルサレム、カイロ、イスタンブール、シンガポールなどを各地をめぐり、それぞれの地において学者との討論・修学、そして文献収集をおこなった。中国にもどった後、彼は著述を開始するが、その多くはアラビア語で著され、中国ムスリムの教育に大きな役割を果たした。ただ、これらの著述の分析はほとんどなされておらず、これは本研究における重要課題の一つといえる。中国語の著述もかなりある。重要なものは『大化総帰』であるが、本書についても現今では充分な研究は進められていない。

■劉智(1660年頃〜1730年頃:ウィキペディア参照)

 清代のイスラム教学者。彼は孔子と孟子を「東方の聖人」、ムハンマドを「西方の聖人」とみなし、東西の聖人の教え、すなわち儒教とイスラム教は、古代は同一のものであったと主張した。

https://www.suntory.co.jp/sfnd/prize_ssah/detail/201306.html

■中西竜也(なかにし たつや)『中華と対話するイスラーム:17〜19世紀中国ムスリムの思想的営為』(京都大学学術出版会)

 中国でのイスラム教のあり方を分析した文明論の秀逸な労作だ。一見、きわめて専門的かつ細密な事実分析をしながらも、常に大きな視野からの文明論的な問題意識を根底に据えているのが素晴らしい。

 著者の問題意識はいくつかある。ひとつは、アラビア語やペルシャ語のイスラム原典の漢語への翻訳により、その内容がいかに変容したか、翻訳を原典と中国伝統思想と比べながら分析すること。例えば、アラビア語のルーフ(霊)が、朱子学の「性」「理」に訳されることで、元の具体的観念が朱子学的な普遍的観念に改変されていると指摘する。

 次に、中国イスラム教は教理面で中国伝統思想との対立をいかに回避したか、という問題も重要だ。これは政権による弾圧を避ける死活問題でもある。関連して笑話的な夫婦喧嘩論も紹介されている。イスラム法では夫が妻に「出て行け」と離縁を口走るだけで離縁が成立し、その後結婚生活を続けると姦通罪になる。しかし中国では、明確な不貞のない妻は簡単には離縁できない。離縁は妻の一族の恥だからだ。この矛盾に対してムスリム学者の馬新(1794−1874)は、夫婦喧嘩をしても夫は軽々に離縁を口走るな、黙って殴れ、と提案している。

 さらに、中国内地(江南、雲南)のムスリムが儒教との調和に腐心したのに対して、西北部では道教と結びついたという。この問題はほとんど未研究だが、著者は西北部ではスーフィズムが強かったことをその背景として挙げている。イスラムのスーフィズムが神秘的直観を重視することは知られている。この点は、理性的な儒教よりもまさに道教に近い。この立場で書かれた楊保元(1780−1873)の『綱常』は、道教的な色彩が濃厚だという。当時、西北部では、ムスリムと漢族の対立が激化した。したがって、西北部では、イスラムが道教を取り込むことで、イスラムと非イスラムの境を超えようとしたのではないかと分析する。

 中国のイスラム思想家にとって、伝統思想との調和だけでなく、儒教思想などに如何に埋没しないかも重要課題だ。したがって内地や沿岸部では、一方では儒教との同一性を唱えながら、他方では、埋没しないための差異化にも腐心したという。その点、北西部でイスラムが道教を大胆に取り込んだのは、辺境ゆえか、内地ほど中国文明に埋没する危険性がなかったからだろうと考察している。

 著者は、中国のムスリムは、現代中国にとっても貴重な財産だと高く評価する。それは、中国の国際的な経済、政治活動で、イスラム圏諸国との交流がますます重要となっているからだ。この面で、彼らが実際に活躍し、大きな役割をはたしている実例も紹介している。

 中国におけるイスラムの問題は、新疆ウイグル問題など、扱い方によっては尖鋭な政治問題となる。調和的な面を強調して、負の遺産の深刻な問題を避けている、との批判もあるかもしれない。しかし、このようなアカデミックな歴史研究に、現代の尖鋭な政治問題を必ずしも絡める必要はないだろう。この観点からすれば、現代中国にとっての財産云々といった問題も省略してもよかったのかもしれない。

 何れにせよ、久々に出たスケールの大きい労作であり、今後の研究の展開を注目したい。

袴田茂樹*4(新潟県立大学教授)評

(所属・役職等は受賞時のもの、敬称略)


■近世日本におけるイラン・インド染織品の輸入とインド洋交易(阿部克彦)

(内容紹介)

 祇園祭のペルシャ絨毯を題材に、近世日本におけるイラン・インド染織品の輸入について論じられている。

 なお、筆者によればこうしたペルシャ絨毯はオランダとの長崎出島交易によってもたらされたものだという。

参考

http://tribe-log.com/article/1895.html

 祇園祭りの縣装品にかなり古い絨毯が飾られているという事を知ったのは15年ほど前のことです。

 最初で最後かもしれない規模の絨毯展が大阪の民族学博物館で行なわれました。アルダビルカーペットやサングスコの狩猟文絨毯など、現存では世界最高レベルの絨毯が数多く並んだ、今では信じられない展示会です。この中で負けず劣らない絨毯が、祇園祭の山鉾に掛けられた縣装品としての絨毯でした。

 それらは、ムガル時代のインドやペルシア最盛期の逸品といわれるイスファハンで織られた通称ポロネーズ絨毯などで、世界でも数点しか残っていない貴重なものばかりです。長い間祇園祭の山鉾の廻りを飾って来た縣装品の数々は、世界でも貴重な背景を持つ絨毯だと言うことを初めてしるきっかけとなりました。実はそれらの絨毯の何枚かはかなりユニークなもので、ヨーロッパの絨毯研究家(美術史家)にとって「幻」と言われたムガル朝時代に織られたと思われる絨毯もあったのです。

 最近ではイスラム美術史が専門で慶応大学で教鞭をとられる、鎌田由美子氏がこのあたりを専門に研究されています。

■ペルシャではなくインドのデカン地方で織られた絨毯だった?

 1986年にアメリカのメトロポリタン美術館の東洋染織研究チームがこの絨毯群の調査を行っています。17世紀〜18世紀に織られた絨毯がまとまって、素晴しい状態で存在していることはかなり珍しく、世界でも例を見ない絨毯グループといえるようです。

 それまではペルシャ産(イラン)と思われたいた絨毯が、実はインドでもかなり南の地域で織られたことが判明したわけです。京都の人達にとっては、有名な「ペルシャ絨毯」と思い込んできたのが、驚きの新事実であったかもしれませんが、実は輸出品として織られた絨毯群の新発見という新たな評価でもあったのです。

 中でも北観音山の「8角星デザインの絨毯」は17世紀のオランダの絵画に頻繁に出てくる絨毯に良く似ています。しかし研究者によれば、現在までヨーロッパ各地で実物はほとんど見つかっていませんでした。

■日本人の心づかいが支えた幻の絨毯グループ

 驚くのは、今から300年も前の絨毯文化の最盛期に織られた絨毯がほぼ完璧な状態で保存されていることです。

 祇園祭を訪れた際、無理を言って懸装品が保存してあるお蔵を見学させて頂いたのですが、絨毯を保管するために絨毯全体が折れ曲がらないような特注の桐箱が作られ、その中に、吊るしてしまうという気の使いようでした。さすが日本人の細やかさと丁寧さが感じられ、納得したことを憶えています。

このような心使いがあったからこそ、高温多湿な日本でも羊毛製の絨毯や懸装品が極めて良い状態で残されたと想像できます。

 また、日本に於ける数少ない絨毯研究者の杉村棟氏は「絨毯・シルクロードの華」のなかで、江戸期の日本が(ボーガス注:オランダの)東インド会社などを通じて西方諸国と海上貿易をしていたのではないか?という見解を述べられています。

http://akagane-k.sakura.ne.jp/a-kai/alacarte/alacarte/kitajima3/contents.htm

■ポロネーズ風ペルシャ絨毯の名前の由来

 この“ポロネーズ”という名前の由来は、著者Essie Sakhai氏の“The Story of Carpets”の中に次のように述べられている。

 ポーランドの小説家であり、且つポーランド王子でもあったザアルトリスキー氏は1866年パリで開催された世界博覧会に17世紀の多くのペルシャ絨毯を展示した。所有者がポーランド人であるということから、一人のフランス人記者が、これらの絨毯は多分ポーランドで製作されたので、“ポロネーズ”と呼ばれたものではないかと記事の中に書きました。しかしこの後、この誤りは“ペルシャ絨毯”であると直ぐに訂正されたにも拘わらず、このポロネーズという名前は、17世紀の優れたイスファハンの絹絨毯全体に付けられるようになった*5

■ポロネーズ風ペルシャ絨毯の伝来経路

 文政元年(1818年)にどのような経路で南観音山町内会が入手したのか、誠に不思議である。

 この問題に一つのヒントを与えてくれる資料がある。

 それは平成7年4月に群馬県立歴史博物館第50周年企画展「中近東絨毯:(副題)シルクロードの華』の出版物、この本の中に次のような説明がある。

「16世紀から17世紀にかけて、ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリス船が相次いで来日し、さまざまな珍しい品々がもたらされた。1639年にポルトガル船の来航が禁止されると、オランダが交易権を握って、1788年にオランダ東インド会社が崩壊するまで活躍した。

 一方、1600年に設立されたイギリスの東インド会社が日本進出を図り、1613年平戸に商館を開設した。

 18世紀から19世紀中期にかけて、イギリスの勢力がインドに及ぶと、東インド会社は1858年に解散するまでインド貿易を我が物にした。こうした歴史的な背景を考えると近世日本に諸外国の珍品が船載された経緯がおぼろげながら浮かび上がってくる。

 近世初期にポルトガルとの貿易によってもたらされた毛織物は、献上品、進物品として将軍や高官の手に渡り、特に戦国の武将たちの間では人気を博した。

 また徳川家康時代に将来されたと推定される17世紀の絨毯が若干ながら現存している。徳川美術館には徳川家伝来の絨毯が10枚ほど所蔵されている。」

 これらのことから、同書ではこのような超高級絨毯は最初将軍や元首*6に献上品として日本に入り、後で下賜されたものが祇園に入ったという経緯を推定している。

 これが現在最も確かな伝承経路だと考えられる。

 イランなら国宝級のこの絨毯が祇園祭の町内会所蔵として眠っている。


■南インド宮廷文学におけるムスリム表象(太田信宏)

(内容紹介)

 ヒンズー系のマイスール王国の宮廷文学『カンティーラヴァ・ナラサ・ラージャの栄光(以下、ラージャの栄光)』におけるムスリム表象が取り上げられている。

 「ラージャの栄光」ではムスリム(マイスール王国と敵対関係にあったムスリム系のデリー・スルターン朝)が「ヒンズーに敵対する脅威」と描かれているが、それは「デリー・スルタン朝とマイスール王国の対立関係に関係なく」、もちろん「そうしたムスリム認識がヒンズー側にあった」と見られるものの、「そうしたムスリム(ムスリム系のデリー・スルターン朝)という脅威からの守護者=マイスール王家」という形での国王支配正当化という要素が大きいとみている。

 なぜならばデリー・スルターン朝を滅ぼした「ムスリム系のムガル王朝」が成立すると、マイスール王国と敵対関係にあったデリー・スルタン朝とは違い、ムガル王朝との協調関係が成立したためか、ムガル王朝時代に作られた宮廷文学には「ラージャの栄光」のような露骨にムスリムを敵視する表現が見られなくなるからである。


■14世紀イランに伝えられたインドの歴史(小倉智史)

(内容紹介)

 イルハン王朝において作られた歴史書であるカーシャニー著『歴史精髄』、ラシードゥッディーン著『集史』のインド史の記述について触れられている。インド史の情報は「インドからの仏教僧侶の情報」と見られており、当時、イルハン王朝(イラン)とインドに密接な経済・文化交流があったことの傍証と考えられる。


■日中戦争と対独賠償問題:一九三七〜三八年の南京におけるドイツ被害から(清水雅大*7

(内容紹介)

 「1937〜1938年の南京」とは「南京事件が起きた当時の南京」ですね。

 で、ジョン・ラーベ『南京の真実』(2000年、講談社文庫)を読んだり、映画『ジョン・ラーベ:南京のシンドラー*8』(2009年公開。現在、DVDがでています)を見たりした方ならご存じでしょうが、当時の南京にはラーベのようなドイツ人など外国人(英米仏なども含む)がいました(別に清水論文はラーベについて詳しく触れてるわけではありませんが)。

 で南京の日本軍は中国人だけではなく「南京在住のドイツ人などの外国人」からも略奪をしていました。

 でここから「本題に入りますが」、清水論文が問題にしてるのは「ドイツ政府による賠償要求」に日本が当時どう応じたかと言うことです。

 清水論文によれば、当初の日本の態度は「そんな略奪の事実はない、ドイツ側の事実誤認だ」「仮にあったとしても戦争にはそんなもんよくあることだ」「だから一円も払わない」つう、不誠実極まりないもんでした。

 ところが一方で日本はほぼ同時期に「日独防共協定(1936年)」「日独伊三国同盟(1940年)」でドイツとの関係を深めていくわけです。一方で英米とは対立を深めていく。

 ドイツは「日本は友好国、同盟国じゃなかったのか!。何だ、その態度は!。ふざけるな!」「日本は同盟国だからドイツは大目に見てくれると思ったら大間違いだ。略奪なんか大目に見れるか!」と反発を強めていく。

 そして日本国内からも「ドイツを怒らせるとまずい。せっかく結んだ防共協定がお釈迦になったらどうするんだ。満州国建国にも英米仏と違ってドイツは好意的な国だ(ドイツの満州国正式承認は1938年ですが)」という認識が出てくるわけです。

 で結局「日独友好を重視して金はそれなりに払うことになった」。

 しかし「日本の非は正式には認めない」。

 「払う金の性格については違法行為を認めた上での賠償だとは認めない。そこは曖昧に片付ける」。

 「日韓国交正常化時の支援金」「安倍の日韓合意での10億」に近いやり方です。あれらだって「植民地支配とか慰安婦とか、日本が悪かった、これは賠償金です」つう話では「建前上はない」わけです。

 韓国は国交正常化において「日本はどう見ても正式には非を認める気がない。とにかくカネがほしい、北朝鮮に対抗するためには近代化しなきゃいけないんだ」つうことで「カネの性格が曖昧であること」については飲んだ。

 ドイツ側も「日本はどう見ても正式には非を認める気がない。一方で1936年のラインラント進駐(ベルサイユ条約違反行為)で英仏とドイツの関係は最悪*9だ。今後も我々はオーストリア併合などを計画しているから一層、英仏との関係は悪くなるだろう。そういう状況で『日本は正式に非を認めろ』と要求して、下手に日本の反発を招いたら日本が英仏と一緒に我々を非難することすらあり得る。金は出すというならそれで片をつけるか」ということで「カネの性格が曖昧であること」については飲んだという話です。

 なお、こうして「同盟国ドイツ」は「特別扱いで金を払う」ことになりましたが、米英仏などについてはそうした支払いの動きはありませんした。

 そのことが「日本は賠償金を払わないなんてふざけてる」と米英仏などの日本批判を強め、ひいては「1941年の対米開戦」へとつながっていくわけです。


■文化の窓「『沖縄のなかの世界史発掘プロジェクト』の実践紹介」(池上大祐*10

(内容紹介)

 筆者が現在勤務している琉球大学において筆者が取り組んでいるゼミ活動のテーマが以下の通り紹介されている。

1)ロベルトソン号漂着事件の美談化の歴史

2)ロバート・バウン号事件(石垣島唐人墓事件)の記憶化の歴史

3)石垣島のマラリア対策:ウィラープランを中心に

4)久松五勇士の美談化の歴史

参考

https://miyakojimabunkazai.jp/bunkazaiinfo875/

■【市指定:史跡】ドイツ商船遭難之碑

 1873(明治6)年ドイツ商船ロベルトソン号が福州からオーストラリア向け出航したが、台風にあい宮国の沖合の大干瀬に座礁し難破した。宮国の人々は荒れ狂う激浪の中に、危険をおかして救助し、34日間親切ていねいに手厚くもてなし、帰国させた。ドイツ政府は宮国の人々の救助に感激し皇帝ウイルヘルム祇*11は、1876(明治9)年軍艦を派遣して平良市親腰に謝恩碑を建立させた。

 この事は、1937(昭和12)年*12発行の文部省「尋常小学修身書巻4」に「博愛」という題でのせられ、全国の小学校で教材となった。1936(昭和11)年は1876(明治9)年から満60年に当るので、宮古郡教育部会では、外務省の協力で大阪市在住の下地玄信氏*13を委員長に、あらたに遭難現場に遭難記念碑を建て盛大な式典が挙行された。この碑は、近衛文麿公*14の筆による“独逸商船遭難之地”という辞を刻んだもので、大阪市の石材店でつくられたものである。

https://terakoyant.exblog.jp/18675228/

■沖縄宮古島にあるベルリンの壁

 宮古島には「うえのドイツ文化村」があります。

 南国宮古島になぜドイツにちなんだ施設が!?

 1873年、ドイツの商船ロベルトソン号が、うえのドイツ文化村が建っているすぐそばのリーフに座礁し、宮古や伊良部の島民たちが、船員たちを手厚く看護して救ったという話が残っているそうです。

 ちなみにこの宮古島の美談は日中戦争のはじまった1937年に小学校の修身教科書に掲載され、美談として全国に広く知られることになったそうです。

 美談というのは、民衆に対する国家の抑圧が大きい時代に、何らかの政治的意図を政治家が民衆に隠しておきたいときに使われる常套手段のようです。

 2000年の沖縄サミットの際には、ドイツのシュレーダー首相が「うえのドイツ文化村」を訪れました。

 現在、宮古空港からうえのドイツ文化村に至る道は、シュレーダー通りと呼ばれています。

 できた当時は、もっとドイツらしい重厚な趣をもった建物だったようです。なんてったってドイツ・ライン川沿いの古城マルクスブルグ城をモデルに原寸大の建物をつくったのですから。城の内部だってかなり忠実に再現されてるんです。

 しかし、詳しい筋によると、数年前の改装で、こんなまるで〇〇ホテルみたいな外観になってしまったとのこと。城を覆っていた工事用のカバーがオープンされ、新しい城の姿が見えたときには、もうひっくり返りそうになったそうです。何なんだこの色は!と。残念無念ですね。

 そんな「うえのドイツ文化村」には、超ド級の文化遺産があります。

 それは「ベルリンの壁」。

 もちろん本物です。

■うえのドイツ文化村(ウィキペディア参照)

 沖縄県宮古島市上野(旧上野村)にあるテーマパーク。旧上野村とドイツとの交流の歴史(後述)を背景として建設された。ドイツ文化をテーマとしている。

■概要

 ライン川を見下ろす古城マルクスブルク城を模した博愛記念館を中心に、宿泊施設、子ども向け施設(キンダーハウス)、レストランなどがある。

 2000年には沖縄における九州・沖縄サミットに出席したゲアハルト・シュレーダー・ドイツ首相(当時)も訪れるなど、日独の文化交流の拠点となった。

■施設

 博愛記念館は、2-3階にマルクスブルグ城の内部が再現されており、8階には展望室が設けられている。

 キンダーハウスでは、グリム童話に関する資料や、くるみ割り人形等のドイツのおもちゃを展示。また、ドイツ政府から寄贈された2枚のベルリンの壁を展示している。

■歴史

・1873年(明治6年)7月

 ドイツの商船エル・イ・ロベルトソン号が旧宮古郡下地村宮国沖で台風のため座礁した。座礁を知った宮国の住民たちは、荒波の中へ小さな船で漕ぎ出し、船長と乗組員を救助。住民による看護と生活扶助などから、船長他乗組員は約1ヶ月後にドイツに帰国した。

・1876年(明治9年)

 これに感動した当時のドイツ皇帝ヴィルヘルム1世は、軍艦チクローブ号を派遣し、宮古島市漲水港(平良港)近くにドイツ皇帝碑文碑(博愛記念碑)を設置、除幕式等が行われた。

・1933年(昭和8年)

 沖縄県宮古支庁は、1931年(昭和6年)の台風被害からの復興を著した「沖縄県宮古郡災害復興記念誌」を編纂、その中で過去の災害復興の象徴としてドイツ皇帝碑文碑も見直される。

・1936年 (昭和11年)

 駐日ドイツ大使らを来賓とした「独逸皇帝感謝碑六十周年記念式典」が催され、近衞文麿の筆による「独逸商船遭難の地の碑」が建立。これが現在の文化村内に設置されている。

・1937年(昭和12年)

 ロベルトソン号救助が災害や天変地異において協力する逸話として尋常小学修身書の「博愛」の項に掲載、翌年に盲学校初等部修身書(巻四)でも指導された。

・1987年*15(昭和62年)

 上野村(現宮古島市)がドイツ文化村の建築構想を策定。

・1996年 (平成8年)

 ドイツ文化村が完成、グランドオープン。

・2003年 (平成15年)9月

 博愛パレス館が台風14号の風雨・高波で被害を受け、上野村は修繕費用がないことを理由に同館を閉鎖した。

2017年 (平成29年)12月13日

 宮古島市議会で、質問に答えた副市長は、博愛パレス館は老朽化が進み使用できないが、「購入を希望する企業もあるので、売却も視野にドイツ村全体の鑑定評価業務を実施している」と答弁した。

http://www.miyakomainichi.com/2017/12/104383/

■宮古毎日新聞『博愛パレス館 売却視野/うえのドイツ村:14年間閉鎖状態に/市、鑑定評価基に検討へ』

 長濱政治副市長は13日、14年間にわたり閉鎖されている博愛パレス館(うえのドイツ文化村内)の売却を視野に入れて検討していることを明らかにした。現在、同館を含むドイツ村全体の不動産鑑定評価を実施しているとし「その結果に基づき、ドイツ村全体の今後の方針を検討する中で、パレス館についても検討していきたい」と述べた。開会中の宮古島市議会(嵩原弘議長)12月定例会の一般質問で、我如古三雄氏の質問に答えた。

 パレス館は中世ドイツの宮殿をイメージして、1993年に完成。鉄筋コンクリート3階建てで、150人収容の多目的ホールと会議室、29室62人が宿泊できる施設として約14億8000万円(関連施設含む)を掛け旧上野村が整備した。

 しかし、2003年9月の台風14号による風雨と高波などで甚大な被害を受けた。

 修繕には多額の費用が掛かることから、当時の上野村は財政状況などを理由に同館を閉鎖。市町村合併後は宮古島市が引き継いだが、現在まで閉鎖されたままとなっている。

 質問で我如古氏は「パレス館は、10年余りも放置されている。こういった状況では観光地としてのイメージを損ねるばかりか、当局の管理責任が不十分と言われても仕方ない」と指摘した。

 その上で、「南岸リゾート一帯は、一大リゾート地として変貌している。その中にあって、10年余りも放置された施設があるというのは地元や訪れる多くの観光客にとって大変失礼だ」と述べ、市の対応をただした。

 答弁に立った長濱副市長は、同館は開館から長い年月を経て老朽化が進んでいることから、現在使用できない状況にあるとした上で「購入を希望する企業もある。このため現在、売却も視野にドイツ村全体の鑑定評価業務を実施している」などと述べ、その結果に基づき市の方針を検討していく考えを示した。

 下地敏彦市長は「パレス館については何度か現場を見ている。かなり老朽化しており、(施設としての)機能を果たしていないという認識をしている」と答弁した。

http://www.y-mainichi.co.jp/news/10584/

■八重山毎日新聞・社説『改修を前に事件の検証が必要では?』

■正しく紹介されているか

 先月初め、石垣市立図書館主催の「著書を語る会」が開かれ、元高校教諭で『石垣島唐人墓事件』*16の著者田島信洋さんが、「唐人墓の虚像と実像」と題して講演を行い、これまで伝えられてきた説にあらためてさまざまな疑問や新たな問題提起を行った。

 新川冨崎にある唐人墓は、連日大型の観光バスやタクシー、レンタカーがひっきりなしに訪れる八重山有数の観光スポットだ。それだけに唐人墓の説明文は事件を正しく伝えているのか、バスガイドやタクシーの運転手さんはどのように観光客に紹介しているのか確かに気になるところである。

 この唐人墓も老朽化が近年激しいことから石垣市では年内に改修工事を行うという。それならその改修の前に、150年以上も前にこの八重山で起きた国際的な大事件が果たして正しく伝えられているか、説明文はこれでよいのか、あらためて関係者間で徹底検証し、改めるべきは改める必要があるのではないか。ひとたび改修されるとあるいは2、30年は見直しの機会がなくなり、こうした各種の疑問が提示されている事件の真相、歴史の問題点が未来永劫歴史のかなたに放置されたままになる恐れもあるからだ。

■2度目の改修

 この唐人墓には中国福建省出身者128人の霊が祭られている。その概略は1852年2月、福建のアモイで集められた400人余の苦力(クーリー)たちが米国商船ロバート・バウン号でカリフォルニアに送られる途中、台湾東方で病人が海中に投棄されるなど虐待されたため暴動を起こし船長ら7人を殺害した。

 船は台湾に向かう途中、たまたま石垣島崎枝沖で座礁、380人が下船した。八重山の政庁蔵元は現在の墓がある冨崎原に仮小屋を建てて収容したが、米英の兵船が3回にわたり来島、砲撃を加え武装兵を上陸させ捜索。山中に逃亡した中国人らは銃撃・逮捕され、あるいは自殺や疫病で病死者も続出した。  これに対し琉球王府と蔵元は人道的に対応、島民も密かに食料を運び込み、さらに死者は1人ひとり石積みの墓を建立して丁重に祭り、生存者172人は関係国の交渉の結果翌年9月、琉球の護送船2隻で福州に送還して終結した。

 これらの霊を慰霊するため石垣市と台湾側とで1971年に建立したのがこの唐人墓で、現在の墓は1982年に改修され、説明文も現在の事件の概要を伝えるものに大幅に書き改められた。

■シンポジウムで検証を

 田島さんが疑問や問題点を指摘するのは、実際に英米兵に殺害されたのは3人で多くは1年7カ月余の帰国までの疫病によるものだが、これが128人全員が殺害されたかのように各種のガイドブックやインターネット上などで誤った伝え方をされ、さらに唐人は誘拐同然に集められたクーリーという説があるが、時代背景的には必ずしも奴隷的な労働者だけでなく、知識階級の人々の出稼ぎもあったこと。また漂着や座礁したのでなく石垣を台湾と間違えて上陸した形跡があること、砲撃も威嚇砲撃であったこと。

 さらに一方でこの事件を「米英の西側植民地主義者による中国人労働者略取販売に反対する中国人民の闘争史上の重要事件であり、中国と琉球の友好の歴史の証人」とする論文が出る一方で、これを真っ向から否定する論文もあり、研究者間でも「ロバートバウン号事件」などの名称はじめ事件の見方、評価は異なる点が少なくない。

 2度目となる改修は今年12月までに行われる予定だが、それだけに石垣市はその改修を絶好の機会として、それぞれ研究者を一堂に招いてシンポジウムを開くなど、田島氏の提起も含めて事件を徹底検証。その上で説明文も現在のままでよいのか、改めるべきは改めてより正しく後世に伝えていく努力をすべきだろう。

 当時は島の人々も疫病で次々死んでいったが、琉球王府は小国琉球を守るため島の人より唐人を医者に見せるなど大切に扱ったともいわれる。今は日中友好のシンボルともなっているこの国際的な悲惨な事件の背景で、島にも悲惨な歴史があったことも島の子供はじめ島の人々、観光客にきちんと伝えていく必要があるだろう。市の積極的な対応を望みたい。

■久松五勇士(ウィキペディア参照)

 日露戦争時に行われた日本海海戦に先立ち、バルチック艦隊発見の知らせを宮古島から石垣島に伝えた5人の漁師の呼び名である。

 当時の宮古島には通信施設がなかったため、島の重役・長老達の会議の結果、通信施設(八重山郵便局)のある石垣島にこの情報を知らせる使いを出す事となり、漁師5人を選抜した。5人は15時間、170キロの距離をサバニを必死に漕ぎ、石垣島の東海岸に着いて、さらに30キロの山道を歩き八重山郵便局に到着した。局員は宮古島島司(島長)からの文書を漁師から受け取って電信を那覇の郵便局本局へ打ち、電信はそこから沖縄県庁を経由して東京の大本営へ伝えられた。

 日本本土への連絡は日本郵船の貨客船・信濃丸によるものが数時間早かったため、この情報が直接役に立つことはなかった。その後5人の行為は忘れられていたが、昭和時代に入り、この事実が発掘され教科書に掲載されると一躍評価が高まり、5人は沖縄県知事から顕彰され郷土の英雄となった。

 軍事色の強い話題だけに、戦後、教科書から姿を消すと本土では瞬く間に忘れ去られたが、宮古島や石垣島では依然として郷土の英雄という評価は揺るがず、石垣島の上陸地点には「久松五勇士上陸之地」の石碑が、宮古島にはサバニを5本の柱で支えるコンクリート製のモニュメントが建てられた。

 昭和30年代に、沖縄県出身の音楽家である奥平潤により『黒潮の闘魂』という久松五勇士を称える歌が作られている。

 うずまきパンで有名な宮古島市の富士製菓製パンは、「久松五勇士」という名の菓子を販売している。

 自由社発行の「新しい歴史の教科書」には、コラムとして「久松五勇士」が取り上げられている。

http://www.uzumakipan.com/pan.htm

■富士製菓製パン

 明治三十八年五月、ロシアのバルチック艦隊を宮古近海に発見。一刻も早くこの緊急事態を報告したいが、宮古には電信施設が無く、石垣島の通信局に久松の若い漁夫たちに急便を託します。

  この決死行に参加したのが「垣花善・垣花清・与那覇蒲・与那覇松・与那覇蒲」の五名。彼らは嵐の中、八〇哩の大海洋をくり船に乗って命懸けで力漕し二十七日石垣に到着。「敵艦見ゆ」と打電した大任は日本戦史上に燦然と輝いています。

  この久松五勇士の功績を讃え銘菓「久松五勇士」を創り上げました。この銘菓は弊店独特の製法により、宮古黒糖の味と香りをそのまま生かしております。皆様にご満足頂けるものと存じ、今後ともご愛顧を賜ります様お願い申し上げます。

*1:近藤論文によればササン朝ペルシャのホスロー1世のこと。

*2:京都大学人文科学研究所准教授。著書『中華と対話するイスラーム:17〜19世紀中国ムスリムの思想的営為』(2013年、京都大学学術出版会:サントリー学芸賞2013年受賞作。)

*3:著書『中国を追われたウイグル人:亡命者が語る政治弾圧』(2007年、文春新書)など

*4:著書『現代ロシアを読み解く』(2002年、ちくま新書)など

*5:阿部克彦氏によればそのため最近では「ポロネーズ絨毯」とはあまり呼ばなくなっているという。

*6:原文のまま。公家や大名のことか?

*7:著書『文化の枢軸:戦前日本の文化外交とナチ・ドイツ』(2018年、九州大学出版会)

*8:香川照之(上海派遣軍司令官・朝香宮鳩彦王中将役:皇族のため戦犯追及は免れたがその立場上、皇族でなければ松井同様死刑になっても不思議はなかったとされる)、杉本哲太(第16師団長・中島今朝吾中将役:終戦直後、病死)、柄本明(中支那方面軍司令官・松井石根大将役:東京裁判で死刑)が出演してるそうです。

*9:英仏はドイツとの軍事衝突を恐れ進駐を事実上容認しましたが、それは別に「積極的に肯定した」わけではなく「消極的容認」にすぎません。

*10:著書『アメリカの太平洋戦略と国際信託統治:米国務省の戦後構想1942〜1947』(2013年、法律文化社

*11:1797〜1888。1861年にプロイセン王に即位。ドイツ統一戦争に乗り出し、1871年の普仏戦争の勝利で初代ドイツ皇帝に即位してドイツ統一を達成した。ビスマルクとはしばしば意見対立しながらも、死去するまで彼を首相として重用し続けた。

*12:池上氏は「1937年」という時代から「日独の政治的接近」を背景に「昔から日独は友好関係にあった」とアピールする政治的狙いがあったのではないかとみている。

*13:1894〜1984年。宮古島市出身。日本公認会計士協会初代副会長。

*14:貴族院議長、首相を歴任。戦後、戦犯指定を受けたことを苦にして自決。

*15:「竹下内閣のふるさと創生1億円事業」の時期であり、「いわゆるリゾート法(1987年成立)によるリゾートブーム」の時期です。

*16:2000年、同時代社

リベラルリベラル 2019/01/22 05:42 bogus-simotukareさん
井上和彦は自衛隊納入業者である「双日エアロスペース」の社員である事を隠しています。
何故、マスコミはこのインチキ軍事評論家の事を報じないのか不思議です。
それと、コンビニで成人雑誌が販売中止になって困るのは街に本屋が無い、地方在住の高齢男性だそうです。本にカバーかけて見えないようにして販売するのもいいと思いますが。それか、ゲームソフトのように見本をレジに持っていくとか。

bogus-simotukarebogus-simotukare 2019/01/22 06:17 リベラルさん
>井上和彦は自衛隊納入業者である「双日エアロスペース」の社員

 まあそういう人間が戦前万歳するのも会社のイメージ破壊ですよねえ(苦笑)。

>本にカバーかけて見えないようにして販売するのもいいと思いますが。

 まあそこまで手間をかけるメリットがコンビニ側にないんでしょうね。
 「町に本屋がないから困る」てのはエロ雑誌に限った話でもないですしね。あえていえば「週刊ポスト」「週刊現代」「フライデー」「フラッシュ」といったエロ要素(ヌード写真など)のある雑誌すべてが販売中止の訳ではないので、そこは我慢するしかないんじゃないか。

リベラルリベラル 2019/01/22 14:03 bogus-simotukareさん
井上和彦は「双日エアロスペース社員」の事をfacebookで問われると速攻ブロックします(笑)都合が悪いんでしょうね。
井上は自衛隊の講師を務めるなどしていて利益相反関係であり、問題だと思うのですが。

女性団体の中にはコンビニからヘアヌード等が掲載されている週刊誌の撤去も求めています。
コンビニに置いてある雑誌のせいで子供が悪影響を受けるというのも飛躍した考えだと思います。
普段、人権や言論の自由を主張している団体が「ヌード=悪」というのもおかしいように感じます。

bogus-simotukarebogus-simotukare 2019/01/22 19:45 リベラルさん
>ヌード=悪

 「本屋からも撤去しろ」「アマゾンでの販売も認めない」というならともかく今回の話は「コンビニ限定」ですからね。というか直接の原因は人権団体の批判と言うより「売れないから」だと思いますが。
 という訳で小生個人はこの一件についてはむしろ歓迎しています(記事本文でもそう書いていますが)。

アンドリュー・バルトフェルドアンドリュー・バルトフェルド 2019/01/22 21:30 >親日国
ウヨのそれは、「何を言ってもやっても甘やかしてくれる」という幻想だったり極右政権だったりというのがあると思います。
ポーランドは初めて渡欧した国で、国政が極右に乗っ取られているのでマトモな政権が返り咲いて欲しいと願っています。グダニスクの市長は旧連帯系なのですが、テロに遭ったので一日も早い回復も願っています。


>コンビニの書店販売
成人向け雑誌の中止で「フェミガー」とか「ananも販売を中止しろ」と喚く連中がいます。
前も言ったことがありますが、山田太郎や音喜多に焚き付けられている連中が多いと見なしていいでしょう。

本当は雑誌自体の取り扱いも中止していいとおもいます。中国や韓国への憎悪扇動ばかりですから。今週の週刊プレイボーイは「韓国は日本に甘えるな」という本当にヤバイ見出しにしているほどですから。
SAPIOは「休刊」じゃなくて「季節刊行」なのでコンビニに並びそうです。

bogus-simotukarebogus-simotukare 2019/01/22 21:59 アンドリュー・バルトフェルドさん
>幻想

 今は韓国を反日呼ばわりしてる連中も、朴チョンヒだの全斗煥だの頃は親日国家扱いですからね。


>国政が極右に乗っ取られている

 本当に悲しむべき事ですよね。

>グダニスクの市長

 残念ながらマスコミ報道によれば「右翼テロで暗殺された浅沼稲次郎・社会党委員長」などのように深手だったらしく、死去されたようです。支持者が彼の遺志を受け継いで行くことを切に望みたい。
 もちろんこうしたテロの再発防止や、テロ犯罪者の厳罰、背後関係があるならばその追及も当然あってしかるべきです。

>今週の週刊プレイボーイは「韓国は日本に甘えるな」という本当にヤバイ見出しにしているほどですから。

 週刊プレイボーイ(集英社)もそこまで劣化しましたか。別に評価もしてませんが昔はそんな雑誌ではなかった気が。集英社も浅井基文氏の新書とかありますけどね。大体韓国は集英社の漫画の売り込み先の一つじゃないんですかね。
 今の週刊プレイボーイ編集部が酷いのか。おっしゃるとおり、エロだけでなく差別扇動雑誌なども並べるのはやめてほしいですね。
 こちらはエロとは違い、「ゾーニングすればいい」つうもんではないですからもちろんいかなる形でも販売なんか不可です。

>ananも販売を中止しろ

 まあ、ananに問題があればそうすべきでしょうが、ただの言いがかりなんでしょうね。

アンドリュー・バルトフェルドアンドリュー・バルトフェルド 2019/01/23 22:16 グダニスク市長の逝去は本当に残念です。ニュースを追いかけれらなかったのをフォローしていただき、感謝します。
ケースは違いますが、89年に当時の長崎市長もテロ(そう見なしても良いでしょう)に遭ったことを思い出しました。


>集英社
新書は、マトモなので石ばかりにならないように何とかできればと思います。
漫画の市場は日本だけに留まらないので、作品でも掲載紙以外の雑誌でも差別扇動をしていないかもチェックがされなければなりません。

bogus-simotukarebogus-simotukare 2019/01/23 22:21 アンドリュー・バルトフェルドさん
>感謝します。

 こちらこそいつもコメントありがとうございます。

>89年に当時の長崎市長もテロ

 本島氏が命が助かったことは不幸中の幸いでしたね。その後、2007年に伊藤氏が暗殺されたことは全く残念でした。

>新書は、マトモ

 そう思いますね。集英社は会社全体としては左派やリベラル保守ではないにせよ産経、読売、文春や新潮のような右翼系ではないでしょう。

Bill_McCrearyBill_McCreary 2019/01/25 22:00 ポーランドが親日であるという話は、私も聞いたことがあります。「聞いたことがあ」るというだけで、事実かどうかは知りません。正直あまり接点のない国同士ですから、仮に親日であってもどれくらい日本の事情とかを認識しているかはわかりませんが。

ところで井上和彦といえば、昨日偶然こちらの記事を読みました。

http://uniunichan.hatenablog.com/entry/20160509WWIIvaluation

まあまさに、産経が流すデマ記事と同じメンタリティとクオリティですね(苦笑)。

なお、確かに集英社の親書は、チョムスキーの本を出したり、わりと「おお!?」という本がありますね。たぶん有力な編集者になかなかの人物がいるのだと思います。

bogus-simotukarebogus-simotukare 2019/01/25 22:35 id:Bill_McCrearyさん
>ポーランドが親日

 仮にそうだとしても敵対関係になる理由がありませんからねえ。一方「ナチの侵略」でドイツと、スターリンによる衛星国化でロシアとはポーランドは微妙なわけです(まあ東欧はそういう国ばかりでしょうが)。
 で「東欧にとってのナチドイツとスターリンロシア」にあたるのは「中韓にとっての日本」のわけです。
 日本人が過去に無反省な態度で中韓に悪口なんて「ヒトラーやスターリンの行為に無反省でポーランドを敵性国家呼ばわりするネオナチやスターリニスト(スターリニストなんてもんがいるかしりませんが)」みたいなもんでしょう。

>集英社の親書は、チョムスキーの本を出したり、わりと「おお!?」という本がありますね。たぶん有力な編集者になかなかの人物がいるのだと思います。

 やっぱりそうなんですかね?

2019-01-18

新刊紹介:「前衛」2月号

| 00:24 |

 「前衛」2月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。「興味のある内容」のうち「俺なりになんとか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れます。

http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/

外国人労働者使い捨て促進の改定出入国管理法:国会論戦で浮き彫りになった欠陥、人権無視(藤野保史)

(内容紹介)

 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗

入管法改定案 仁比議員の反対討論、参院本会議

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-09/2018120905_02_1.html

■主張『「入管法」成立強行:「使い捨て」を許さぬ声さらに』

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-09/2018120902_01_1.html

外国人労働者 違法の通報 機能せず、倉林氏「安い労働力使用だ」

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-12/2018121205_01_1.html

外国人労働者 建設業の実態 黒塗り、山添氏「都合が悪いと隠す」

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-12/2018121205_02_1.html

■真冬に不審な「溺死」 薬品プールに転落、外国人実習生の死亡事例、野党が資料開示要求、合同ヒアリング

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-14/2018121402_03_1.html

■シャープ・外国人派遣元転々、厚労省「派遣法に違反」、小池氏に回答

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-20/2018122002_03_1.html

■外国人就労 最大34万人超、拙速な施行やめよ、政府・基本方針 小池書記局長が批判

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-26/2018122601_01_1.html

■主張『外国人就労方針:これで見切り発車は許されぬ』

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-27/2018122701_05_1.html


特集「消費税増税を止める」

■日本経済に破局的影響もたらす「消費税10%増税」の中止を(垣内亮*1

■日本を消費税増税とばらまき「対策」が壊す(湯浅和己)

(内容紹介)

 消費税10%増税は消費意欲を冷え込ませ、景気に悪影響を与えるとともに、貧困者の生活をさらに苦しいものにするとして、中止を求めている。

赤旗

■「消費税10%」増税宣言、安倍首相 来年10月強行、経済全体に破局的影響

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-16/2018101601_01_1.html

■増税しないことが「万全の対策」、小池書記局長が批判

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-16/2018101601_02_1.html

■主張『消費税10%の増税:集め方も使い方も格差拡大だ』

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-30/2018103001_05_1.html

■主張『与党の消費税対策:増税の混乱を広げるばかりだ』

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-25/2018112502_01_1.html

■主張『政府の消費税対策:中小業者を苦しめるばかりだ』

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-29/2018112901_05_1.html

■消費税10%増税“対策”「混乱と不公平生む愚策」、小池書記局長 「中止の一点で力合わせる」

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-18/2018121802_01_1.html


■取り残された植民地支配の被害と向き合うとき(内海愛子*2

■「徴用工」判決にどう向き合うか:日韓請求権協定の経緯と日本の植民地支配責任(吉澤文寿*3

(内容紹介)

 細部はともかく、「新日鐵住金は元徴用工と話し合い和解すべきだ。けんか腰の安倍政権の態度など論外だ」つう大筋では、内海論文、吉沢論文とも、以前の拙記事(http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20181218/5421309876)で紹介した『重大な人権侵害・元徴用工問題の解決の道筋を考える』(川上詩朗論文)と同じです。なお、無能のため、詳細の説明は省略します。

 まあそれはある意味当たり前です。そうした「大きな方向性」においては、共産党、川上氏、内海氏、吉沢氏は共通しているからです。


■安倍政権の別動隊=「維新政治」を打ち破る:大阪のたたかい(中村正男)

(内容紹介)

 まずは維新が画策する「大阪都構想復活」「カジノ実施」を阻止すること、それが大事でしょう。

 もちろん今年は「統一地方選(任期満了による大阪府・市長選)」「参院選」の年でもあるのでそこで維新にどう勝利していくかという問題もあります。

 維新一派が「話題作りのために府知事、市長ダブル選挙を仕掛けてくる」つう話も出ていますので、そこでどう迎え撃つか。正直、在阪マスコミの維新へのこびぶりや「大阪府民、市民の馬鹿さ加減」を考えると過剰な期待も出来ませんが「府知事選、市長選で維新が敗れれば」それで話は終わるわけです。


■JCPサポーター制度の新しい挑戦:連続選挙勝利をめざして(田中悠)

(内容紹介)

 赤旗記事の紹介で代替。なお、現時点では「始めたばかり」なので、おそらく「目に見える成果(選挙での得票数、赤旗の購読部数など)を云々するわけにも行かない」のでしょうがこうした新しい試みは大いに進めてほしいと思いますね。

赤旗

■「JCPサポーター」 ネットで反響

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2018-02-13/2018021304_01_1.html

■語った 踊った つながった、「ちょっと」を集めて政治変えよう、初のJCPサポーターまつり開く 5千人が交流

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-29/2018102901_01_1.html

■JCPサポーターまつり、What's JCP 志位さんに聞いてみた、「猫派?犬派?」から共産主義まで、市民と双方向です

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-29/2018102903_01_1.html

■JCPサポーターまつり、“声上げないと”“共産党に注目していた”、首都圏の議員・予定候補が参加者と交流/東京・千葉・神奈川・埼玉・茨城

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-29/2018102914_01_0.html

■JCPサポーターまつり、会場は笑顔でいっぱい、「来てよかった」「ノリ最高」

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-29/2018102915_01_1.html

■JCPサポーターまつり、猫や人にやさしい社会に、テーマ別に市民が交流

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-29/2018102915_02_1.html

■JCPサポーターまつり、「赤旗」電子版の体験ブース 使いやすい

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-29/2018102915_03_1.html


■安倍内閣と財界の「Society5.0」の空疎な中身:AIによる「未来社会論」批判(友寄英隆*4

(内容紹介)

 「Society5.0」とは何かというと、内閣府曰く

https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html

 狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

だそうです。まあ、「俺が理解した限りでは」友寄氏の批判は、俺が思うに「Society5.0の中身が抽象的すぎて具体性がなく何がやりたいのか分からない」「単にAIや情報化社会をバラ色に描き出してそうした方向に政府予算をつけたいだけじゃないのか、結論ありきじゃないのか。結論を正当化するために誰からも受け入れられそうなバラ色の夢を描いただけじゃないのか?」つう事だろうかと思います。

 

■軍事で国はまもれない:神奈川県基地シンポジウムから(孫崎享*5、笠井亮*6

(内容紹介)

 すでに

日本共産党逗子市議団『日本共産党主催の神奈川基地シンポジウム、米軍基地の機能強化と実態明らか!』

http://www.jcp-zushi.jp/archives/13312

日本共産党横浜市議団『武力・軍事で国は守れない 基地シンポに400人』

http://www.jcp-yokohama.com/archives/20464

などで紹介されているシンポジウムをより詳しく紹介した記事です。

 記事を読めば分かりますが「軍事では国は守れない」ですが、これはもちろん「軍隊がいらない=非武装中立」を必ずしも意味しません。

 そういうことではなく

1)本当に北朝鮮が日本めがけてミサイルを撃ってきたら、「100発100中で迎撃できる保証なんかない」。むしろすべきことは「そういう事態が起きないようにする外交」だ

2)軍隊で国を守れるのは「外国の侵略」だけだ。「災害から国民を守る(防災)」「貧困から国民を守る(社会保障など)」なんてことには軍隊は全く役立たない(自衛隊の災害支援はそもそも軍隊の本来任務ではありませんし、今問題になってる「大量の武器購入」は災害支援のためのものでもありません。もちろん貧困から国民を守ることには何ら軍隊は役立ちません)

 そして「むしろあり得る国民の危機」は「外国の侵略」ではなく「貧困や災害」ではないのか。そして軍事に金をつぎ込むことは「貧困や災害から国民を守ること」を困難にする

 軍事費に多額の税金をつぎ込み、福祉面で問題がある米国などその典型ではないのか。

3)自衛隊はともかくそもそも日米安保は「日本防衛のためにあるわけではない」

4)戦前日本や戦後米国、旧ソ連が典型的だが「軍隊を強くすれば」防衛力がアップすると思うのは単純だ。逆に「武力で外交問題を解決しよう」とする「侵略力」がアップして、かえって平和が脅かされる恐れがある。また、沖縄戦においては日本軍は県民を守るどころか自決の強要すらした。軍事力は「可能限り小さくすべきだ」

つうようなことです。

 もちろん「基地シンポ」ですので「仮に安保条約や米軍基地が必要だとしても、それと『思いやり予算』『オスプレイ配備』『日米地位協定』などといった安保や基地の『現状の運用』が適切かは別問題だ。そうした運用の問題については安保条約賛成派、基地賛成派とも可能な限り共闘していきたい。それが例えば安保条約容認派で、元自民党沖縄県議である翁長沖縄県知事(故人)擁立だったと思ってる」などの指摘もされています。

 なお、孫崎氏が「高世仁らの米軍引き取り運動」について「砂川闘争、内灘闘争などで米軍を本土から一部*7撤退させた過去をどう思ってるのか?。あれらは『沖縄への基地集中を助長する間違った行為だった』のか?」「むしろ今我々がすべきことは、時代背景が違い単純比較できないとはいえ砂川や内灘で過去に出来たことがなぜ沖縄で出来ないのか、ということではないのか?」(俺の要約)としているのには全く同感です。


シリーズ「赤旗」記者取材ノート

■好評シリーズ「お役立ちトク報」に込めた思い(藤川良太)

(内容紹介)

 赤旗日曜版コラム「お役立ちトク報」を単行本化した『お役立ちトク本:知っておきたい社会保障活用術』(2015年、新日本出版社)、 『新・お役立ちトク本:すぐに使える社会保障活用術』(2018年、新日本出版社)の紹介記事です。単行本の副題から「お役立ちトク報」がどういう記事かは想像がつくかと思います。

 悪名高い「生活保護の受給抑制」が特に有名でしょうが、日本では役所は必ずしも「社会保障受給」に好意的ではないわけです。そこでまあ、別に赤旗日曜版の「お役立ちトク報」でなくても何でもいいですが、「受給したい側が理論武装しないといけない」という現状にあるわけです。そういう現状はもちろんよくない。

 本来、行政が自分から「困ってることはないか」と働きかけるようでないといけないですが、現実はそうなってないわけです。


■論点『異常な早さで進んだアセス 横須賀石炭火力発電所』(鈴木陸郎)

(内容紹介)

 東電が横須賀市に計画している石炭火力発電を経産省が認可した事への批判(もちろん温室効果ガス排出に対する批判)。


■暮らしの焦点『職業がんの正しい認識と労災認定・予防の対策を』(堀谷昌彦)

(内容紹介)

 職業がんというのは「石綿(アスベスト)による建設作業員の肺がん」「有機溶剤による印刷労働者の胆管がん*8」「放射線被爆による原発労働者の発がん」など職業病としてのがんです。

 問題はこれを「どうなくしていくか」つう話ですが、「発がん原因は分かってる」わけですから、職場環境を改善するという話になるわけです*9。もちろん問題は「そのために行政や企業、労働組合はどう動くべきか」つうことですが。

赤旗

■「職業がん」防止せよ、小池氏 実態調査し制度厳格に

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-05-23/2016052304_06_1.html

■ぼうこうがんを労災認定、化学物質扱う労働者7人、福井労基署 小池議員の質問実る

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-23/2016122308_01_1.html

■ぼうこうがん労災認定、新日本理化徳島工場の元労働者、小池議員が尽力

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-08-23/2018082315_01_1.html


メディア時評

■NHKのネット常時同時配信(沢木啓三)

(内容紹介)

 NHKが目指すネット常時同時配信について「テレビを見ないことが多い若い世代からも受信料を取るための布石としてのネット常時同時配信にすぎないのではないか」、つまり「同時常時配信してるのだからインターネットを利用できる環境にあれば受信料を取って何が悪いと言いたいだけではないのか?(常時同時配信でないと、つまり現状のNHKオンデマンドだとそのように主張しづらいから)」と批判。

 現在のNHKオンデマンドで不満がある視聴者がいるのかと指摘している。


文化の話題

■演劇『日本国憲法を作り出した人たちの思い:劇団民藝『グレイクリスマス』』(水村武)

(内容紹介)

 劇団民藝の公演『グレイクリスマス』の紹介。

http://www.gekidanmingei.co.jp/performance/2018_graychristmas/

■あらすじ

 敗戦の年のクリスマス。進駐軍の将校クラブに母屋を接収され、離れに追いやられた五條伯爵家。天皇は人間になり、華族制度は廃止。路頭に迷って自殺を図る生活力のない当主の五條(千葉茂則)、戦犯裁判にかけられる弟(本廣真吾)、ヒロポン中毒の息子(岩谷優志)らの中で女たちはたくましく、後妻の華子(中地美佐子)と弟の妻・慶子(吉田陽子)は、将校クラブのホステスを引きうけた。不穏な動きを見せる闇屋の権堂(岡本健一・客演)や、日系二世の軍人ジョージ・イトウ(塩田泰久)が出入りする離れではにぎやかな宴が始まっている。

 ジョージの説くデモクラシーの理想に胸をときめかし、愛をふくらませてゆく華子。娘・雅子(神保有輝美)は、なぜか権堂に魅かれてゆく。やがてアメリカの占領政策がかわり、朝鮮戦争がはじまる。(ボーガス注:朝鮮戦争による)特需景気で旧勢力が息をふきかえし、五條の弟は政界に復帰、息子は警察予備隊に。そして翌年、(ボーガス注:朝鮮戦争で?)戦死したジョージから、思い出のオルゴールが華子のもとに届くのだった……。

 「戦犯裁判にかけられるが政界に復帰」つうのは実際の人間だと「賀屋興宣*10」「重光葵*11」がいますね。

 また「戦犯容疑者」も含めれば「岸信介*12」がいるわけです。

https://natalie.mu/stage/news/311327

■丹野郁弓コメント

 平和憲法が揺らぐいまだからこそ、心に響く台詞がたくさんあります。まさにタイムリーな芝居だと思いますね。敗戦後の混乱期を象徴するかのような様ざまな階層の人物が登場するのですが……アメリカ人、朝鮮人、日系人、戦争成金、華族、庶民……いずれの役も作者、齊藤憐さんの深い愛情が注がれ生き生きと魅力的です。物語を縦横無尽に牽引する権堂役には、岡本健一さんを客演でお迎えし、より厚味のある群像劇に仕上がった感触があります。どうぞご期待ください。

https://mainichi.jp/articles/20181129/dde/018/200/007000c

■毎日新聞『劇団民芸「グレイクリスマス」上演 敗戦後の女性描く』

 劇団民芸は12月7日から、旧伯爵家を舞台に第二次世界大戦後の日本の5年間を描いた「グレイクリスマス」(斎藤憐作、丹野郁弓演出)を上演する。1992〜99年に奈良岡朋子*13主演で上演された名作が、東京・日本橋の三越劇場で19年ぶりによみがえる。

https://mainichi.jp/articles/20181224/ddm/001/070/154000c

 大きく価値観が揺らいだといえば、敗戦後の日本。1945年から朝鮮戦争が始まった50年まで5年間のクリスマスを軸に、戦後民主主義とは何だったのかを問うのが斎藤憐(れん)の戯曲「グレイクリスマス」だ。今月、劇団民芸が約20年ぶりに上演した

▲タイトルは雪のないクリスマスを指す。こんなセリフがある。

<雪は、ゴミ溜(た)めも焼け跡も、汚いものをみんな隠してくれます><雪、降らないかしら。明日になればとけてしまって、いろんな汚いものが見えてもかまわない>

▲憧れのホワイトクリスマスならぬ灰色の世界は、うやむやのまま幕引きされた官僚のセクハラ疑惑や課題を積み残したままの外国人労働者受け入れ拡大、改憲の動きなど、どんよりとした今の日本の空気を思わせる

▲芝居は雪の降る中、主人公が憲法を読むシーンで幕となる。

<この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない>。

 世につれ、変わるものがある。そして、変えてはいけないものもある。


■映画『第31回東京国際映画祭から:「アマンダ」、「半世界」、イスラエルの秀作など』(児玉由紀恵)

(内容紹介)

 第31回東京国際映画祭の紹介。副題から分かるように「アマンダ」、「半世界」、イスラエル映画を中心に紹介されています。

https://eiga.com/news/20181102/19/

■第31回東京国際映画祭、グランプリはフランス映画「アマンダ」 稲垣吾郎主演「半世界」は観客賞に

 第31回東京国際映画祭のアウォード・セレモニーが11月2日、東京・六本木のEXシアターで行われ、各賞が発表された。最高賞にあたる東京グランプリは、フランスの感動作「アマンダ(原題)」が受賞。最優秀脚本賞 Presented by WOWOWにも輝き、2冠を達成した。

 メガホンをとったミカエル・アース監督はすでに帰国していたため、ビデオメッセージが寄せられた。「受賞に慣れていないのに2つも受賞、しかもひとつはグランプリ。非常に幸せです」と喜びをにじませ、「作品上映後に、観客と素晴らしい議論が交わせました。地球の反対側でも映画が人々を感動させる、ということを知る以上のご褒美はありません」と目を細める。来年初夏の日本公開が決まっているだけに、再来日を誓っていた。

 同作はパリで暮らす青年ダヴィッドがある日、テロで姉を失い、残された姪(めい)のアマンダの養育者となる姿を描いた、家族の愛と再生の物語。審査委員長のブリランテ・メンドーサ*14は「単純に見えるものの、単純ではない。登場人物たちは見る者の心を惹きつけ、複雑な人間の感情を経験させてくれた」と講評を述べる。代理で麒麟像を受け取ったローラン・ピック駐日フランス大使は、「アース監督は、フランスの若手監督のなかで『最も日本人らしい』と言われています」としたうえで、「日本の映画ファンの胸を打つ作品であるよう、多くの人々の感動を呼び起こす作品であるよう祈念します」と思いを込めた。

 そして、稲垣吾郎が主演した「半世界」は観客賞を受賞。阪本順治*15監督は、手渡された法被を羽織り「これはちょっと不意打ちで……。親父の遺言で『スピーチは短めに』」と笑わせ、「映画を見て伝わった人も、伝わらなかった人も、見てくれたことに感謝します。(キャスト・スタッフ)みんなでお祝いします」と控えめに語った。

 今年のコンペ部門には109の国と地域から1829本が応募され、16作品が正式出品。妊娠した娼婦を主人公に据えたイタリア映画「堕ちた希望」で最優秀監督賞に輝いたエドアルド・デ・アンジェリス監督は、背筋をピンと伸ばし「この映画では、生と死を見つめています。自分が幸せになれないかと思ったとき、また新たな人生が見えてくるという物語。皆様にこの映画を愛していただくのが、一番素晴らしい賞だと思います」と言葉を紡ぐ。またアンジェリス監督の妻ピーナ・トゥルコが同作に主演し、最優秀女優賞を獲得。同監督は夫婦で2冠という記録を打ち立てたことに、「なんて素晴らしい映画祭! 素晴らしいハッピーエンドです。彼女がいたおかげで、宝物を発掘することができた」と充実感をのぞかせた。

 さらに「007 スペクター」などの名優イェスパー・クリステンセンが主演した「氷の季節」は、最優秀男優賞と審査員特別賞に輝き、こちらも2冠を達成。マイケル・ノアー監督は、穏やかなほほ笑みを湛えながら「今回の脚本は、クリステンセンさんのためにアテ書きされたもの。同時に、私の父が4カ月前に亡くなった。この作品を見ずして亡くなったが、父から多くを学んだ。自分が父となったとき、映画の登場人物よりは良い父親になろうと思っています。(クリステンセンには)私の父をモデルにしていると一度も言ったことがないので、それを伝えたい」といい、「彼は偉大な役者だけでなく、私の親友。人生で最も重要な人物を描いてくれた」「東京は魔法のような街。魔法のような時をありがとう」と感謝を示した。

 また、アジアの未来部門の作品賞は、新疆ウイグル自治区から届いた「はじめての別れ」の手に。発表の瞬間、関係者が座る客席から爆発的な歓声が沸き起こった。リナ・ワン監督は、「この映画が本映画祭で初めて上映されたとき、主演の女の子から電話がありました。『リレーで速く走ったけど、賞がとれなかった』と嘆いていた。今回、これが彼女に与えられる賞だと思います」と明かし、「スタッフの皆さん、プロデューサー、脚本、音楽、手伝ってくれた皆さんに感謝します。あなた方がいなければ、この映画はできなかった」と声を詰まらせていた。

 全受賞結果は以下の通り。

 コンペティション部門

 ▼観客賞:「半世界」(阪本順治監督)

 ▼最優秀脚本賞:「アマンダ(原題)」(脚本:ミカエル・アース、モード・アメリーヌ)

 ▼最優秀芸術貢献賞:「ホワイト・クロウ(原題)」(レイフ・ファインズ監督)

 ▼最優秀男優賞:イェスパー・クリステンセン(「氷の季節」)

 ▼最優秀女優賞:ピーナ・トゥルコ(「堕ちた希望」)

 ▼最優秀監督賞:エドアルド・デ・アンジェリス監督(「堕ちた希望」)

 ▼審査員特別賞:「氷の季節」(マイケル・ノアー監督)

 ▼東京グランプリ:「アマンダ(原題)」(ミカエル・アース監督)

 日本映画スプラッシュ部門

 ▼作品賞:「鈴木家の嘘」(野尻克己監督)

 ▼監督賞:武正晴(「銃」)、田中征爾(「メランコリック」)

 アジアの未来部門

 ▼国際交流基金アジアセンター特別賞:ホアン・ホアン監督(「武術の孤児」)

 ▼作品賞:「はじめての別れ」(リナ・ワン監督)

 東京ジェムストーン賞

 ▼木竜麻生(「菊とギロチン」「鈴木家の嘘」)

  リエン・ビン・ファット(「ソン・ランの響き」)

  カレル・トレンブレイ(「蛍はいなくなった」)

  村上虹郎(「銃」)

 稲垣が今もジャニーズ所属なら、稲垣主演映画の受賞がもっと騒がれたのだろうと思うと複雑な気持ちになります。

https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12119-6156510/

■東京国際映画祭、東京グランプリと最優秀脚本賞『アマンダと僕』が6月公開へ

 第31回東京国際映画祭コンペティション部門で東京グランプリと最優秀脚本賞をダブル受賞したフランス映画『AMANDA(原題)』が、邦題を『アマンダと僕』として2019年6月に公開されることが決定した。

 本作は、第75回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門でマジックランタン賞を受賞したヒューマンドラマ。美しいパリの街を舞台に、悲しみから立ち直ろうとする青年と少女の心の機微、そして2人の再生を穏やかな筆致で描いていく。

 自由に生きる青年ダヴィッドは、パリに出て来たばかりのレナに出会い、恋に落ちる。しかし突然の姉の死によって彼のおだやかな日常は壊れていく。悲しみに暮れるダヴィッドだったが、ひとりぼっちになった姪のアマンダの世話を始めたことから、彼は次第に自分を取り戻していく…。

 主人公の青年ダヴィッドを演じるのは、フランスで主演映画が立て続けに公開されている注目の若手俳優ヴァンサン・ラコスト。恋人レナ役には『グッバイ・ゴダール!*16』のステイシー・マーティン。そして一人ぼっちになってしまうダヴィッドの姪アマンダ役を、演技未経験ながら抜てきされたイゾール・ミュルトリエが務める。

 また日本公開決定と併せて本作のティザービジュアルが解禁。夏のパリの空を思わせる鮮やかなブルーを基調に、自転車を押す少女アマンダのあどけない横顔が印象的なデザインに仕上がっている。

http://www.1242.com/lf/articles/138423/?cat=entertainment&feat=cinema

■楽しみ方は“映画”だけではない! 第31回東京国際映画祭レポート

 「第31回東京国際映画祭」で個人的に注目していた特集が、「イスラエル映画の現在2018」。近年、秀作が数多く見られるイスラエル映画にフォーカスし、その複雑で多様なイスラエルという国を映し出す5作品が上映されました。

 なかでも印象的だったのが『ワーキング・ウーマン』。雇い主からの執拗なセクハラ&パワハラを受けるヒロインの姿を描いた女性映画で、「#MeToo」というワードが世界中でトレンドとなっている昨今、とてもタイムリーな1作です。それだけに上映後のQ&Aは、「雇い主に対する主人公の反撃が手緩いのではないか…」「主人公の旦那もだらしない!!」といった歯に衣着せぬ様々な意見が飛び交い、白熱した場に。

 ゲストで脚本家のシャロン・エヤールと共に、1本の映画を会場にいる全員でディスカッションする。お互いに意見交換をすることは、それぞれの国や文化を知るきっかけにもなります。これぞ、国際映画祭の意義だと思える、大変貴重な場面でした。

 狂言師の野村万作、野村萬斎、野村裕基の親子3世代が今年9月にパリのピエール・カルダン劇場で、究極の舞「三番叟(さんばそう)」を披露する。その舞台に密着したドキュメンタリー『野村家三代 パリに舞う〜万作・萬斎・裕基、未来へ』の上映に、野村萬斎がゲスト出演しました。

 狂言の魅力や父・万作、そして息子・裕基への思い、さらには、自らが開閉会式の演出を統括する2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピックについても言及。「失ってはいけないものは精神性」と話す萬斎さんに、伝統を継承し未来へとつなげていく立場を担う人だからこその重みを感じずにはいられませんでした。

 若い映画ファンや次世代を担う若手映画作家に向けたセミナー形式のイベント、TIFFマスタークラス。そのなかで今年初の試みとなった、イランの名匠アミール・ナデリ*17監督による「演劇論と俳優ワークショップ」に私も参加させていただきました。

 約3時間、熱弁をふるい続けるナデリ監督。そのパワフルさに、まるでナデリ監督に“演出”されているような錯覚を覚えることも。黒澤明*18監督や今村昌平*19監督、相米慎二*20監督たちが手がけた日本映画の名作を細やかに解説しながら、俳優としての“覚悟”を説く。熱量あふれるワークショップでした。

 毎年楽しみにしているのが、映画祭会期中、六本木ヒルズアリーナに出現するキッチンカー。今年は『FOOD TRAVEL〜日本の「観光」×「食」を世界へ笑顔の連鎖!〜』と題して、おいしいメニューが勢揃い。ふだんはキッチンカーでは展開していない人気店のメニューを気軽に楽しめます。

 また六本木ヒルズアリーナでは、毎年、無料野外上映を開催。今年はスポーツ映画の名作が上映され、多くのお客様がキッチンカーのメニューとともに映画を楽しんでいらっしゃいました。こうした映画体験が、コンペ作品や特別上映作品にも興味を持つきっかけになるといいですね。

 東京国際映画祭はハロウィンの季節に開催されるため、ハロウィンを意識した演出がされることも。特別招待作品『Merry Christmas! ロンドンに奇跡を起こした男』日本語吹き替え版プレミアに、スクルージ(クリストファー・プラマー*21)の声を務めた市村正親が登壇しました。

 170年以上にもわたり愛されてきたイギリスの文豪チャールズ・ディケンズの不朽の名作「クリスマス・キャロル」の誕生秘話をファンタジックに描いた本作。

 ミュージカル「スクルージ」や「クリスマス・キャロル」で24年にもわたってスクルージ役を演じて来ている市村さん。「クリストファー・プラマーさんはほとんどノーメイクでスクルージを演じたと聞いています。僕もノーメイクでできるくらいまで頑張りたい」と抱負を語って下さいました。

 本作が上映されたのがハロウィン当日ということもあり、この日は私も、魔女のコスプレで司会を務めることに。クリスマスのお話だけどハロウィンムードも楽しめる、一挙両得な舞台挨拶となりました。

 会場のひとつとして、“映画・演劇の街”日比谷が新たに会場に加わった「第31回東京国際映画祭」。東京ミッドタウン日比谷 ステップ広場に、高画質・高音質の本格的な屋外シアターを設置。六本木ヒルズアリーナのレッドカーペットを特設大型ビジョンで生中継したり、ビデオメーカー各社の提供による「今、ビデオで見るべき話題作」を上映したりと、こちらも大盛り上がりでした。

 「映画を観る喜びの共有」「映画人たちの交流の促進」「映画の未来の開拓」をテーマに、多彩なラインナップとなった「第31回東京国際映画祭」。2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの開催を見据えて、スポーツやオリンピックに関連した作品の上映が目立ったのも、今年の映画祭の特徴だったのではないでしょうか。

 日本唯一の国際映画製作者連盟公認の映画祭であり、アジア最大級の映画の祭典が、今後もますます映画文化の発展を担うことを願っています。

http://j.people.com.cn/n3/2018/1105/c206603-9515166.html

■人民日報『第31回東京国際映画祭で中国映画2作品が受賞』

 第31回東京国際映画祭の授賞式が2日、東京で開催され、中国映画「はじめての別れ」が「アジアの未来」部門作品賞、「武術の孤児」が国際交流基金アジアセンター特別賞をそれぞれ受賞した。新華社が報じた。

 「はじめての別れ」は、新疆維吾爾(ウイグル)自治区沙雅(シャヤール)県に暮らす少数民族の子供の視点で、別れに直面した子供の友情や母子の愛を描いた作品。審査員は、「詩のように美しく、シンプルで率直なスタイルで、シビアかつ複雑なテーマを表現しており、観客は魔法にかかったように物語の中に引き込まれた」と評価した。

 新鋭の黄■(■は王へんに黄、ホアン・ホアン)監督がメガホンを取った「武術の孤児」は、1990年代の中国のある武術学校を舞台にした作品。審査員は同作の映像や叙述スタイルの巧みさを称賛し、物語のテーマと多彩な表現方法が印象深いと評価した。

 「アジアの未来」部門は、アジアの新鋭監督の作品を選出・評価し、文化の違いを超えて国際的な舞台で活躍していくことが期待される監督には、「国際交流基金アジアセンター特別賞」が贈られる。


■スポーツ最前線『スポーツ界の再生どう図るのか 団体の自主性を生かしてこそ』(和泉民郎)

(内容紹介)

 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗

■きょうの潮流

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-16/2018121601_05_0.html

■主張『スポーツ界の1年、相次ぐ不祥事は変革への萌芽』

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-30/2018123002_01_1.html

*1:著書『消費税が日本をダメにする』(2012年、新日本出版社)

*2:著書『朝鮮人「皇軍」兵士たちの戦争』(1991年、岩波ブックレット)、『戦後補償から考える日本とアジア』(2002年、山川出版社日本史リブレット)、『スガモプリズン:戦犯たちの平和運動』(2004年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『日本軍の捕虜政策』(2005年、青木書店)、『キムはなぜ裁かれたのか:朝鮮人BC級戦犯の軌跡』(2008年、朝日選書)、『朝鮮人BC級戦犯の記録』(2015年、岩波現代文庫)など

*3:著書『(新装新版)戦後日韓関係:国交正常化交渉をめぐって』(2015年、クレイン)、『日韓会談1965』(2015年、高文研)など

*4:著書『「新自由主義」とは何か』(2006年、新日本出版社)、『「国際競争力」とは何か』(2011年、かもがわ出版)、『大震災後の日本経済、何をなすべきか』(2011年、学習の友社)、『「アベノミクス」の陥穽』(2013年、かもがわ出版)、『アベノミクスと日本資本主義』(2014年、新日本出版社)、『「一億総活躍社会」とはなにか』(2016年、かもがわ出版)、『「人口減少社会」とは何か:人口問題を考える12章』(2017年、学習の友社)など

*5:ウズベキスタン大使、外務省国際情報局長、イラン大使等歴任。著書『日本外交 現場からの証言』(1993年、中公新書)、『日米同盟の正体:迷走する安全保障』(2009年、講談社現代新書)、『日本人のための戦略的思考入門:日米同盟を超えて』(2010年、祥伝社新書)、『日本の国境問題:尖閣・竹島・北方領土』(2011年、ちくま新書)、『不愉快な現実:中国の大国化、米国の戦略転換』(2012年、講談社現代新書)、『日本の「情報と外交」』(2013年、PHP新書)、『カナダの教訓:超大国に屈しない外交』(2013年、PHP文庫)、『これから世界はどうなるか:米国衰退と日本』(2013年、ちくま新書)など

*6日本共産党政策委員長、衆院議員

*7:横田や岩国に米軍基地があるので「全部」ではありません。

*8:これについては、例えば、NHKクローズアップ現代『知らされなかった危険:胆管がん 相次ぐ死亡報告』(http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3252/1.html)参照。

*9:まあ原発の場合だけは解決策は「脱原発」になるのでしょうが。

*10:第1次近衛、東条内閣で蔵相。戦後、戦犯裁判で終身刑判決を受けるがいわゆる逆コースで仮釈放。公職追放も解除され政界に復帰。池田内閣法相、自民党政調会長(池田総裁時代)、日本遺族会会長など歴任。

*11:東条、小磯内閣で外相。戦後、戦犯裁判で禁錮7年。いわゆる逆コースにより公職追放が解除され政界に復帰。鳩山一郎内閣で外相

*12:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*13:現在の劇団民芸代表。劇団民芸創立メンバーの一人。

*14:フィリピンの映画監督。2009年の第62回カンヌ国際映画祭で『キナタイ:マニラ・アンダーグラウンド』により監督賞を受賞

*15:1989年、赤井英和主演の『どついたるねん』にて監督デビューを果たし、芸術選奨文部大臣新人賞、日本映画監督協会新人賞、ブルーリボン賞作品賞を受賞

*162017年のフランスのコメディドラマ・伝記映画。1960年代後半のパリを舞台に、映画監督ジャン=リュック・ゴダールとその当時の妻である女優アンヌ・ヴィアゼムスキーの日々が描かれる。原作は、ヴィアゼムスキーの自伝的小説『彼女のひたむきな12カ月』の1年後が描かれた『それからの彼女』。

*17:1986年に『駆ける少年』で、1989年に『水、風、砂』で、ナント三大陸映画祭グランプリを受賞

*18:1910〜1998年。1951年(昭和26年)に『羅生門』で、ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞とアカデミー賞名誉賞を受賞。「世界のクロサワ」と呼ばれるきっかけとなった。1952年(昭和27年)、『生きる』を発表し、ベルリン国際映画祭上院特別賞を受賞した。1954年(昭和29年)、大型時代劇『七人の侍』を発表。作品は大ヒットし、ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞した。また、文化勲章(1985年)、アカデミー名誉賞(1990年)、国民栄誉賞(死後追贈、1998年)も受賞。

*19:1926〜2006年。1983年に『楢山節考』で、1997年に『うなぎ』でカンヌ国際映画祭の最高賞(パルム・ドール)を受賞。

*20:1948〜2001年。1993年の『お引越し』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。1998年の『あ、春』は1999年度キネマ旬報ベストテンの第1位に選出されたほか、第49回ベルリン国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した。

*21:2011年に映画『人生はビギナーズ』で第84回アカデミー賞助演男優賞を受賞。82歳での受賞は、演技部門の受賞者の中では最高齢である。日本ではジュリー・アンドリュースと共演したミュージカル映画『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年)のトラップ大佐役や『スタートレックVI 未知の世界』(1991年)でチャン将軍を演じたことで知られている。

2019-01-15

新刊紹介:「経済」2月号

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経済」2月号について、俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。

 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/

世界と日本

■中国のアフリカ開発と日本(佐々木優)

(内容紹介)

 「中国のアフリカ開発」とは例の「一帯一路」です。

 去年(2018年)は北京で「中国アフリカ協力フォーラム北京サミット」(たとえばhttp://jp.xinhuanet.com/201809ChinaAfrica/index.htm参照)という会議をやり「アフリカ各国の国家元首(首相、大統領)や閣僚(外相など)」が習近平主席、李克強首相と会見しています。

 「中国のアフリカ開発」については小生も

■「今、アフリカビジネスが熱い」らしい(追記・訂正あり)

http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20180726/1064208022

という記事を以前書いていますし、「一帯一路、アフリカ」「中国、アフリカ」でググればいろいろ記事もヒットします。

 で、産経あたりが典型的ですが、日本ウヨはやれ「アフリカの中国への債務をかえって増やしてる、中国企業ばかりがもうけてる」「箱物ばっか作って役に立ってない、それに比べて日本は教育支援とかしてる」「スーダンのような独裁国を中国は支援してる」「中国はアフリカの汚職を助長してる」とかいって「中国の支援より日本のアフリカ支援の方が役立ってるし、人権にも配慮してる」「そもそもアフリカ以外でも一帯一路なんて役立ってるのか」と悪口雑言するわけです。

 このあたりは「産経、一帯一路、アフリカ」「産経、中国、アフリカ」でググればいろいろ中国に悪口する産経の記事もヒットします。

 最近は「ファーウェイの副社長逮捕劇」「ウイグル問題」なんかもあって産経の中国への悪口は相当にエスカレートしています。

 で佐々木氏も「一帯一路がどこでも歓迎されてて何の問題もないと言ったら嘘だ」と断った上でですが、「日本の支援がいつも人権に配慮して、現地に歓迎されて、問題ゼロでバラ色のように言うのは明らかに嘘。たとえば過去にはアパルトヘイト南アと平気でつきあって名誉白人扱いされてたのが日本」「中国の支援が全く役立ってないなんてのは嘘」「いずれにせよアフリカ諸国が中国支援を概ね歓迎してる中、そんなこと言っても意味がない。中国の方が日本の倍以上、金額をアフリカにぶち込んでるし」と主張するわけです。

 当然ながら佐々木氏としては「無意味な悪口をするくらいなら、日本がアフリカでの一帯一路プロジェクトに一枚かんだ方がよほど日本のためにもアフリカのためにもなるんじゃないか」が結論です。

 まあ、正直、「世界に冠たる経済大国中国」を産経のように敵視しても意味がない。

 いやもちろん人権問題などの批判はあって、しかるべきでしょうが「当面、中国共産党が下野することなんてありそうにない」「中国が下手に混乱したら中国経済が沈没したあげく、中国ビジネスでもうけてる欧米や日本の経済まで沈没しかねない」つうことは押さえた上で「現実的な対応」をしていくしかないわけです。


韓国ポスコでのたたかい(洪相鉉)

(内容紹介)

 無労組経営という「一時期のワタミ」のようなことを標榜し、労組結成の動きを潰してきたポスコ(韓国最大の鉄鋼メーカー)に労組が誕生したという話。


■携帯電話料金の「値下げ」(高野嘉史)

(内容紹介)

 携帯電話料金の値下げについて「それ自体は消費者利益に合致すること」としながらも、法的裏付けもなく単に「菅官房長官が携帯電話業者に要望する」という形では限界があると批判。

1)NTT、KDDI、ソフトバンクの三者寡占体制が高止まりをもたらしていると評価し、新規参入を促していくこと

2)高止まりの要因とされるSIMロックや長期契約の縛りを規制すること(SIMロックを原則不可とするなど)が必要であろうとしている。


特集『2019年の日本経済をどう見るか』

■家計消費は低迷したまま:その要因は何か(金沢誠一*1

(内容紹介)

 賃金の上昇がないため、家計消費は低迷したままであり景気が回復しているとはとてもいえないとの指摘がされている。

 日本において収益をあげているのはもっぱら大企業であり、それは1)安倍政権による法人税減税、2)賃金カット、3)輸出による収益であり、このことからも「内需拡大による景気回復」とはとてもいえないとしている。

赤旗

■主張『アベノミクス破綻:消費など内需拡大策に転換を』

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-07-07/2018070701_05_1.html

■主張『4〜6月期GDP:2期ぶりプラスでも基盤弱い』

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-08-11/2018081101_05_1.html


■官製バブルが拡大する格差とリスク:出口なき異次元金融緩和の結果と弊害(山田博文*2

(内容紹介)

 いわゆる異次元金融緩和について、

1)日銀の国債購入によって財政が悪化している

2)年金積立金管理運用独立行政法人の株式購入により年金積立金の元本割れを招いている

3)にもかかわらず、政府が当初主張したような景気回復効果などない

とした上で早急な異次元緩和の中止(もちろん急激にやめると反動で株価が下がる危険性があるので出口戦略を考えた上で、だが)を求めている。

赤旗

■日銀制度 投機に悪用、大門氏「異次元緩和やめよ」

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-12/2018121205_09_1.html


■消費税10%増税はきっぱり中止を:消費不況はいっそう悪化、大量廃業の危険(湯浅和己)

(内容紹介)

 消費税10%増税は消費意欲を冷え込ませ、景気に悪影響を与えるとともに、貧困者の生活をさらに苦しいものにするとして、中止を求めている。

赤旗

■「消費税10%」増税宣言、安倍首相 来年10月強行、経済全体に破局的影響

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-16/2018101601_01_1.html

■増税しないことが「万全の対策」、小池書記局長が批判

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-16/2018101601_02_1.html

■主張『消費税10%の増税:集め方も使い方も格差拡大だ』

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-30/2018103001_05_1.html

■主張『与党の消費税対策:増税の混乱を広げるばかりだ』

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-25/2018112502_01_1.html

■主張『政府の消費税対策:中小業者を苦しめるばかりだ』

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-29/2018112901_05_1.html

■消費税10%増税“対策”「混乱と不公平生む愚策」、小池書記局長 「中止の一点で力合わせる」

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-12-18/2018121802_01_1.html


■安倍流「自治体戦略2040構想」の狙い:地方自治の再生への対抗軸(岡田知弘*3

(内容紹介)

 総務省の「自治体戦略2040構想」に対する批判。

参考

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56726

■深刻な人口減少・少子化問題に「余計な手を打つ」この国の現実:2040年に向けた「自治体戦略」とは(山下祐介*4・首都大学東京教授)

・平成30年7月5日、第3次地方制度調査会が発足した。

・調査会発足に先立ち、7月3日に総務省より「自治体戦略2040構想研究会」の第二次報告が発表されており、この報告が調査会の議論のたたき台となるようだ。だがこの報告書を見る限り、どうも妙な方向へと進みそうで嫌な予感がする。

 今後の地方の未来を考えるためにも、提出されたこの「自治体戦略2040構想研究会第二次報告」を深読みしつつ、これからの自治体のあり方について考えてみたい。

 「自治体戦略2040構想研究会第二次報告」(以下、報告書とする)は、人口減少・高齢化がピークを迎える2040年の日本の「内政上の危機」を明らかにするとともに、その「施策(アプリケーション)」を最大限発揮するための「自治体行政(OS)の書き換え」を構想するものだという。

 狎府の施策(アプリ)を実現するのが自治体(OS)だ瓩箸いθ想が憲法のいう地方自治の理念に沿うものなのか、筆者にはすでに違和感のある表現である。

 ともあれ、そうしたOSの書き換えとしてとくに、 屮好沺璽自治体への転換」、◆峺共私によるくらしの維持」、「圏域マネジメントと(都道府県と市町村の)二層性の柔軟化」、ぁ崚豕圏のプラットフォーム」が提起されている。

 このうちなかでも.好沺璽自治体と7域マネジメントの二つが重要と思われるので、ここではこの二点に絞って見ていきたい。

 さて、この報告書を紹介する読売新聞の記事(7月4日付)は報告書をこう解説している。

「政府は法整備で、まちづくりなどの役割を自治体から「圏域」へと移管していく方針だ。最終的には、小規模自治体の廃止も視野に入る。総務省幹部は「圏域全体を効率的に運用するためには、小さな自治体の役割の縮小は避けられないだろう」と語る。

 著しい人口減少により、多くの小規模自治体は存続が難しくなる。圏域主体への移管は、行政サービスや都市機能を維持するための「苦肉の策」とも言える」

 分かりやすくいえばこうなろう。

 人口減少が進むに従って、小規模自治体は維持できなくなる。地方での都市機能や行政サービスを維持するためには、これまでの自治体行政をあらため、「圏域」への移管が必要だ、というわけだ。

 さて、この記事には、報告書の内容とはかなり異なる表現が混入しており、その点は順を追って読者に示していきたい。

 とはいえまた、報告書はこの記事の通りに読めないわけでもなく、ある意味で深い矛盾を抱えたものになっているのも事実なのである。地方制度調査会ではその矛盾をふまえて冷静で慎重な議論が進められる必要がある。

 まずは単刀直入に、この報告書の矛盾を突いてみることにしよう。

 報告書は、今後の自治体行政のあり方について、次のように結論づけている。「自治体のあり方は、人口縮減時代のパラダイムへ転換しなければならない」と。

 これまでの人口拡大期は、各自治体が「個別最適」を目指していればそれでよかった。

 しかし、人口縮減期は違う。各自治体の個別最適がそのまま全体最適にはならない。個と全を両立させうるような「危機を跳躍するための議論を開始すること」が求められる。

 そのために、スマート自治体や圏域マネジメントが必要だというわけである。

 さてここで矛盾だというのは、報告書がこうして人口減少がもたらす危機を強調し、その対策の必要性をあおるところから入っておきながら、その出口として用意しているスマート自治体や圏域マネジメントが、これで「人口減少が止まる」というものではないことにある。

 つまりはこういうことだ。

 ここで自治体がこの報告書の提言に従って政策を実施し、2040年までの人口減少に耐えたとしても、これでさらにその先に進む人口減少を防げるわけではない。

 20年先を見据えるといいながら、さらにその先のことはこの報告書では何もふれられていない。

 にもかかわらず、世間や国民に、スマート自治体や圏域マネジメントさえやっておけば大丈夫という印象を与えかねない点で、極めて問題のある内容だとさえいえる。

 この点を、まずは「スマート自治体」論からより具体的に見ていきたい。

 スマート自治体とはこういうものだ。

 人口減少社会は労働力不足の社会である。2040年代には、今の半分の職員でも成り立つ自治体を構築しなくてはならない。

 そのためには「破壊的技術(AIやロボティクス、ブロックチェーンなど)」を導入することだ。

 「職員は企画立案業務や住民への直接的なサービス提供など職員でなければできない業務に注力するスマート自治体へと転換する必要がある」というわけである。

 そしてさらに、こうしたスマート自治体を進めるために必要なこととして、「自治体行政の標準化・共通化」を図る必要があるという。

 情報システムを一元化させ、利便性を高める。そのために新たな法律を国が作って共通のシステムや仕様を確立していくことが必要だと。

 さて、読者はこれを「大変よいことだ」と感じるかもしれない。しかしここには罠が潜んでいる。

 まず自治体職員数の議論に注意しよう。

 報告書のこの部分について、7月4日付の朝日新聞はこういう見出しで紹介している。

 「2040年働き手世代激減 「自治体職員半分で」 総務省研究会が提言」

 この見出しを見て、読者はおそらくこの報告書は「自治体職員を半減せよ」と提言していると思うに違いない。

 だが、実際には報告書は「職員が半数になっても機能するよう条件を整えよ」と言っているのであって、「職員を半分にせよ」とは言っていない(同記事でも本文はそのように記載されている)。

 とはいえまた先述の通り、この報告書は人口減をここで止めるという見通しを持たないので、今後生じる人口減少にあわせて自治体職員の数の見直しは必須であると書かれているように見えるのもまた事実なのだ。

 本来、人口減少社会に向き合って必要なことは、この先の出生数の低下に歯止めをかけ、人口維持に転換する政策を実現することである。

 そしてそうした政策が実現できるのなら、そうした企画立案に対しては、職員を減らすどころかそれを実行するに必要な人数を揃えることも必要になる。

 人口減に歯止めがかかっている2040年と、人口減がなおも続く2040年では見える風景はまったく変わる。実際、今はまだ無闇に縮小を訴える段階ではなく、何らかの手を打つべき段階なのである。

 もう一つの「自治体行政の標準化・共通化」についても、同様の注意が必要である。

 行政を標準化させることは、各自治体のもつ自主性を弱めることにもつながる。

 他方で、自治体に報告書が求めているのは、企画立案業務や住民との直接的対応・調整であり、そしてそれこそが国にはできない、自治体ならではの業務なのであった。

 報告書が言っていることとは要するに、適切な標準化・共通化を進めることで業務を効率化し、各自治体独自の政策が実現できるよう人材の動員力をはかれ、ということなのである。標準化・共通化はあくまで自治体の独自性を確保するための手段にすぎない。

 ところがその一方で報告書は、先にも触れたように狎府の施策(アプリ)を実現するのが自治体(OS)だ瓩閥調しているのでもあった。

 ここには、自治体の独自性・独立性に期待しておきながら、それを同時に否定するという内容の矛盾が現れている。

 それゆえにだろう、本来自治体の力を引き出すための手段としての行政の標準化・共通化であったものが、あたかもそれ自身が目指すべき目標のように理解されてしまったようだ。

 そしてそこから、こうしたOS化が整わないような小規模自治体は「存続が難しくなる」という解釈が出てきたのだろう。

 とはいえまた、この報告書では、「小さな自治体の役割の縮小は避けられない」とか、「多くの小規模自治体は存続が難しくなる」とはまったく言っておらず、先の記事のこの表現はやはり書きすぎなのであった。

 いや報告書はむしろ逆に、小さな自治体の存続を大事なことだとさえ考えているように読める。それはもう一つの提言、「圏域マネジメント」によく表れている。

 次に圏域マネジメントの主張について分析してみよう。

 よく考えてみよう。

 もし小規模自治体が不要であり、かわりに圏域をマネジメントする単一主体が必要だというのなら、報告書は「小さな自治体は合併せよ」といえばよいのである。

 それをあくまで"自治体が連携して作る圏域主体という図式"にこだわるのは、現在の地方制度がかかえる問題を克服する手段として自治体合併(市町村合併)は適切ではないという認識がこの研究会にはあるからだろう。

 実際、この問題に関わる関係者・有識者のほとんどは、平成の自治体合併を失敗だと思っているはずだ。合併では何も解決しない。むしろ傷口が広がるだけだ。その見識が「圏域マネジメント」という提言につながったものと見える。

 あるいはまた報告書では、こうした圏域マネジメントを実現するための都道府県の役割についても細かい議論を差し挟んでいる。

 市町村を越える圏域に権限を移管するのなら、その間にある都道府県の役割も縮小するはずだ。地域によっては県もまた淘汰の波にさらされ、かつてのように道州制への移行を促されてもよさそうなものだ。

 これに対して報告書は、市町村と都道府県の二層性について、これを否定せずに、もっと新しいやり方があるだろうと、その創出を促している。

 決して市町村を軽視しているのではなく、また現行の都道府県を否定してもいない。むしろ小さな町村の頑張りが大事だと認識し、それをサポートする県の役割を重視しているからこその「圏域マネジメント」なのである。

 さてその際、小規模町村については、人口減少問題を克服するという視点に立てば、もっとも期待がかかるものになるはずだ。この点に筆者はここで注意を促しておきたい。

 一般に小さな町村は出生率(合計特殊出生率)が高く、逆に大きな都市ほど低い。なかでも大都市郊外(例えば東京都多摩地域など)は、多くの若い世代が出生・子育てをしている場であるにもかかわらず、異様に出生率が低い場所だ。

 人口減少問題を解く手がかりは、小さな町村にこそある。

 人口減少時代の圏域マネジメントとはだから、出生率は低いが都市的機能を集積し、周辺の町村の核となる都市部と、出生率は高いが雇用や都市インフラの面では中核都市に頼らざるをえない町村部とのバランスをどう適正なものにしていけるか。そういうかたちで目標化されるべきものだ。人口の排出と消費の全体最適をはかり、今後人口減少はしてもあるところで止まって、安定する地点をどう導き出していくのかというわけだ。

 そしてその解は、合併や道州制や法制度化などといった"上から"の指示ではなく、既存の自治体からはじまる"下から"の試行錯誤でしか得られることはないものだ。

 そしてそうした地域ごとの最適解を導くことこそが、この報告書でいう圏域マネジメントの本来の目的であり、主張なのだと筆者は理解する。

 だとすると、問題は次の点にある。

 この報告書の筋はこうだ。

 人口減少時代に入ったが、なおも小さなそれもふくめて既存の自治体の力は内政を実現するのに不可欠だ。人口減少時代を切り抜けるには、自治体職員の能力の維持は必須である。そのために一方で自治体のスマート化を果たし、他方でそうした職員たちの知恵や工夫を、単一自治体の最適化ではなく、圏域全体の最適化へと活かせるような工夫の導入が必要となる。そしてそれが首都圏においては、さらに都道府県を越えた「東京圏のプラットフォーム」にまで拡張されているのであった。

 ところがここには全く別の筋書きも混入している。

 別の面から見れば確かにこう読めるのだ。

 人口減少時代に入って、今のままの自治体などは維持できない。職員は半分にせよ。それで成り立つよう、今からAI化やロボット化に投資せよ。小さな自治体の行政では全体最適は望めないので、より大きな圏域を形成し、県や中核都市を中心に、その都市機能を周辺町村のために無駄にそがれることなくマネジメントせよ。政府が示す政策が、自動的に末端まで行き渡るように準備せよ。場合によっては末端を解消してコンパクト化し、中核的な都市機能だけは維持できるようにせよ、と。

 先の読売新聞の解説記事はそう読んだのだろう。

 たしかにそう読める。だが、しっかり読み込めば、どう見てもこの報告書の筋書きは前者である。後者のように読むのはやはり誤読だ。

 にもかかわらず、メディアが報告書を後者のように読んだのはなぜか。

 そこでやはり気になるのが、この読売の記事にだけ見える総務省幹部のコメントである。どうもこの記事は、この幹部の論調をそのまま受け取って解説にしたように見える。記事を今一度引用してみよう。

「政府は法整備で、まちづくりなどの役割を自治体から「圏域」へと移管していく方針だ。最終的には、小規模自治体の廃止も視野に入る。総務省幹部は「圏域全体を効率的に運用するためには、小さな自治体の役割の縮小は避けられないだろう」と語る。

 著しい人口減少により、多くの小規模自治体は存続が難しくなる。圏域主体への移管は、行政サービスや都市機能を維持するための「苦肉の策」とも言える」

 繰り返すが、報告書には「小規模自治体は存続が難しくなる」とか、「小さな自治体の役割の縮小は避けられない」とか、まして「小規模自治体の廃止」といった記述はない。また町づくりの権限を自治体から圏域に移すといった記載もない。

 だがこの解説に沿って報告書を理解してしまえば、「小規模自治体の存続が難しいので、圏域を確立し、そこに行政を移管して、場合によってはその廃止も行う」と、そのように読者は理解してしまうだろう。

 筆者には、総務省の報告書をこのようなまったく別の意味に国民に印象づけようとする意図が、この「総務省幹部」にはあるような気がしてならない。この人は一体誰で、それはどういうことなのか、大変気になる。

 そもそもよく考えれば、地方自治体を管轄し、それを守る立場の総務省が、安易に「自治体の廃止」を口にするとは思えないのである。他方で、新聞記者が勝手にそう解釈してこれだけのことを書いたとも考えられない。筆者にはどうしても、何か変なことがこの裏で生じている気がしてならないわけだ。それとも本当に単なる誤読の連鎖なのだろうか。

(中略)

 私たち国民は、メディアに登場する意見をそのまま受け入れるのではなく、十分に吟味しながらその意味を理解していく必要がありそうだ。例えば、「この省庁が本当にそういうことを主張するだろうか」というように。

 ともかく最大の問題は、この国が人口減少に立ち向かい、これをどう安定に押し戻すかにつきる。

 政府は、地方創生でまずは合計特殊出生率1.8への回復を目指すとした。しかしそれをまじめに進めているとは思えない。

(中略)

 そしてここで取り上げた自治体戦略2040研究会の報告書でも、人口減少社会を問題視するところから議論に入っただけで、その解決まで踏み込まずに、ただ危機をあおることで終わってしまっている。

 そしてそこで終わったことで、結局はその意図に反して「小さな末端の町村はお荷物だ」という論理に結びつきつつあるようだ。

 その先はさらに「どうせなくなる自治体なのだから、早めに整理してしまえ」という論理に転換してしまうのかもしれない。

 第32回地方制度調査会の第1回総会でも、自治体側の参加者からこの点に関する異論が相次いだという。

 ともかく、すべては政府が人口減少問題を直視しないところから、矛盾に矛盾を重ね、おかしなことになっているというのが真相のようだ。

(中略)

 解は確かに小さな自治体、小さな地域で生まれつつある。その解をしっかりと定式化し、たしかなものに育て上げ、それを都市へと広げていくこと。それがいま、自治体を超えた「圏域」に求められているものだ。

 圏域に必要なこととはだから、スマート化やAI化やロボット化ではない。それらはあくまで手段であり、場合によってはもっと人手をかけることさえ必要となる。

 必要なことは、行き過ぎた都市集中、東京一極集中を止めることであり、その上で縮小しすぎた出生力を回復させることである。

 そのための知恵を人々の間から引っ張りだし、これを行政制度へと着実につなげて、この国の矛盾を解消するやり方をみきわめていくことだ。

 各地で生まれる知恵が、圏域を越えて、さらに国全体の最適化につながる。そういう地方自治と国策との良好な関係が実現する地方行政制度はどのように可能なのか。これが地方制度調査会の大きな課題になるのだと思う。

 そうした議論を期待して、この稿を結びたい。


■現代中国生活事情:北京滞在経験(下)(平子友長*5

(内容紹介)

1)中国のキャッシュレス化の急速な進展

 「都市と地方ではおそらく違いがあり、自分は北京での生活体験しかない」とことわっているが、筆者の経験では中国大都市圏では日本以上にキャッシュレス化が進んでいる。なお、このキャッシュレス化については最近ではネットでもいろいろな記事があるのでググれば様々な記事がヒットするかと思います。

2)結構人気がある日本大衆文化

 まあ、これについても最近ではネットでもいろいろな記事があるのでググれば様々な記事がヒットするかと思います。平子氏が例としてあげてるのは、テレビドラマ「深夜食堂」(TBS)、「孤独のグルメ」(テレビ東京)が中国でも人気があるらしいという話ですね。もちろんその背景には「日本料理人気」もあるのでしょう。

3)中国の貧困問題=農民工

 「キャッシュレス化」「日本大衆文化人気」はまあ、そんなに深刻な話ではないですが、最後に「中国の貧困問題=農民工」について簡単に説明がされています。もちろん習近平政権も問題の所在は認識していていろいろと手は打っています。状況は「長い目で見れば改善の方向にはある」のでしょうがすぐに解決する問題でないことだけは確かでしょう。この問題も今後の中国政治に大きく影響する要素かもしれません。

 なお、平子氏は「農民工問題について比較的入手しやすく、読みやすい本(つまりは専門書、研究書と言うよりは一般向けルポルタージュと言うことですが)」として、山田泰司『3億人の中国農民工 食いつめものブルース』(2017年、日経BP社)を紹介しています。


■鼎談「北東アジア経済圏の現状と展望」(三村光弘*6 、堀江典生*7、松野周治*8

(内容紹介)

 北東アジア経済*9というのは「北東アジアにEUやASEANのような経済圏を作ろう」つう話です。

 で北東アジアが何かと言えば「ロシア極東」「南北朝鮮」「中国東北部(遼寧省・吉林省・黒竜江省、内モンゴル自治区)」「モンゴル」「そして我が祖国・日本(本多勝一氏の著書名っぽく表現してみました)」のわけです。

 でそうした経済圏を作るに当たって「多分あまり政治的にややこしい問題がないのがモンゴル」で、何が一番問題と言えばもちろん「政治的にややこしい北朝鮮」のわけですね(まあ、他にも問題はありますし、後で簡単に説明しますけど)。

 「米国が対北朝鮮制裁してる」中でなかなか「北朝鮮を含めた経済圏」つう話もしづらいわけです。

 そういう意味では「どうやって米国の制裁を解除させるか」でしょうね。当然ながら米朝交渉の成り行きが重要です。

 もちろん、「米国の動きに関係なく」、日本(救う会、家族会、拉致議連など)でも韓国でも「そんな構想に賛成できるか」「北朝鮮なんて叩き潰せばいいんだ」つうウヨ連中がいますのでそれをどうやって政治的に抑え込むか。

 まあ、三村氏ら座談会メンバーは「東北アジアの平和と安定」「金儲け」という観点で「北朝鮮はいろいろ問題のある国だが排除しないで経済圏に取り込んだ方がよい」「いつまでも制裁しててもしょうがないじゃないか」「出来れば、この際、日朝で国交も樹立した方がいい」つう考えです。俺も同感ですね。

 小泉訪朝なんかも正直そういう「北東アジア経済圏」つう思惑もあったんじゃないか。

 次に問題と言えばロシアなんですかね。クリミア問題とか大統領選挙介入疑惑(いわゆるロシアゲート)とかでまあ、ロシアと米国は非常に関係が今よろしくない。まあ、ご存じの通り、安倍は「日露経済交流を進める」なんて言っていますが、安倍が「プーチンとの友好をアピールしてること」にアメリカは内心不快に思ってるつう話もある。

 もちろん日本の場合、領土問題があるので「米国の動きに関係なく」、「ロシアなんかとつきあえるか」つう反発が「ウヨ中心に日本国内に」ある。まあ安倍が当初大言壮語したように「島がかえってきて平和条約を結べれば」日本国内の反ロシア感情も和らいで「北東アジア経済圏」的には大変いいですが、まあそういうことになりそうにないですからね。

 なお、以上の話は正直「必ずしも安倍と関係ない(なぜならロシアや北朝鮮経済交流しがたい最大の理由は核問題やクリミア問題などを理由にこの両国に敵対的な米国の存在だから)」のですが、安倍のせいで厄介なことになってるのが日韓関係(歴史認識問題など)ですね。

 日中はまあ「安倍も一帯一路参加を表明した」し、「俺の願望込みですが」そんなに問題はないかなあ、つう気がします。もちろんファーウェイの件は少々厄介ではあるでしょうが。

 とにかくこういう問題を解決していかないとなかなか「北東アジア経済圏」も展望が出てこないわけですが、「ロシアの石油やガス」「北朝鮮のレアアースや安い労働力」「日中韓の資金力、技術力」などが結びついたときにはやはり大きなビジネスチャンスが生まれると思いますね。

参考

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO2258459023102017KE8001/

■日経2017/10/24朝刊『北朝鮮経済の現状』三村光弘(環日本海経済研究所調査研究部主任研究員)

ポイント

○ここ5年は年3〜7%の経済成長の公算

○農工業で生産者への誘因高める改革進む

○現政権が20年続くシナリオ想定し対策を

 金正恩氏が最高指導者になってから、国民経済を改善するための諸施策が、政治的な制約を前提としながら極めて注意深く試みられている。

 2013年から全国の協同農場で自らが担当する田畑の収穫高が分配に大きく反映され、原則的に現物で支給される分配物の処分権も生産者に与える「圃田(ほでん)担当責任制」の全面的導入が始まった。同年4月からは独立採算制企業に計画権、生産組織権、分配権、貿易および合弁・合作権などの権限を与える措置がとられた。それらの措置は同年8月に「社会主義企業責任管理制」として定式化された。

 現在北朝鮮では農業、製造業、サービス業を問わず、どのように生産や売り上げを伸ばすのかについて多くの人々が策をこらしている。国営企業でも生産ラインごとに様々な工夫がなされ、さながら「社内起業ブーム」の様相を呈している企業も多いと聞く。

 こうした変化は金正恩時代に入ってから進められたことだ。その結果、金正恩国務委員長に対する国民の評価は、われわれが想像するよりもずっと高い。先代や先々代のようなカリスマ性はないかもしれないが、今日よりも明日が良いと思える希望を国民に与えていることを重視すべきだろう。その点で北朝鮮の政権の安定性は高く、対北朝鮮政策は現政権が少なくとも20年は続くシナリオも視野に入れて立案する必要がある。

(中略)

 北朝鮮を本当に変えるには多くの政治的、経済的資源を米国との対立や韓国との体制競争に投入する「戦時体制」を終わらせることが必要だ。現状の体制に対する国際社会*10からの保証があって初めて、北朝鮮は自らの国家目標を国民経済の成長と国民生活の向上へと変更できる。事実上の民営企業の公認や国営企業の再編、産業政策の変更には、指導思想の再定義をする必要があり、政治的負担が大きい。

 しかしそうしてこそ、生まれつつある現場での「企業家精神」の芽生えを、国全体を変える原動力にすることができる。北朝鮮にそうした冒険ができる機会を与えることこそが、朝鮮半島だけでなく周辺地域に繁栄をもたらすことを認識しなければならない。

 「現政権が(2017年現在から)20年続くシナリオ想定」「北朝鮮に非核化させるにはまず米国による体制保障が必要。そうすることが東北アジアに安定をもたらし、ひいては東北アジア経済圏構想(金儲け)につながる」と言うだけで横田奥さんなんかは、三村氏と日経に「北朝鮮シンパ」というありがたい称号を授与してくれるのでしょう。

https://www.sankei.com/world/news/170909/wor1709090011-n1.html

■産経【北朝鮮危機・私はこう見る】核開発あと2年続けられる? 環日本海経済研究所主任研究員・三村光弘氏(聞き手 水沼啓子*11

 これまで40回ほど北朝鮮を訪問し、今年も3〜4月に平壌で、8月には羅先で調査を行った。北朝鮮国内の経済状況はここ5年ぐらいで良くなってきている。国際社会から厳しい制裁が科されているので、核開発と同時に経済発展も目指す「並進路線」の下では飛躍的な発展は難しいが、2000年代中盤以前と比べるとずいぶんとましになっている。

 現在、北朝鮮は収穫のうちノルマ分のみを国家に納めさせ、余剰分は個人の分け前とする「圃田(ほでん)担当責任制」を導入している。こうした経済的なインセンティブにより、国産の農産物の生産量も増えている。品種改良も進め、コンピューターを使った科学的データに基づいた農業も行っており、自給率はかなり高まっている。

 ここ数年の状況をみると、国民は一応満足しており「今日よりは明日のほうが、今年よりも来年のほうがもっと良くなる」と思って暮らしている。金正恩(キム・ジョンウン)氏は祖父や父親のようなカリスマ性がないので、国民の支持を得るため経済政策にも力を入れている。

 韓国銀行(中央銀行)は北朝鮮の16年の経済成長率が3・9%になったと発表したが、実感としてはもう少し高く5〜6%はあるのではないか。平壌市内では車も増えており、渋滞も起きている。

 北朝鮮の多くの国民は、核は自分たちを守るためのものだと信じている。核兵器の開発によって抑止力がもたらされ、米国によって一方的に戦争を仕掛けられ殺されることがなくなると喜んでいるようだ。

 と、同時に海外の事情をよく知る人たちは、自分たちが国際社会から孤立していることも承知しており、複雑な気持ちでいる人も少なくない。ただエリート層は運命共同体なので、内部から金正恩体制が崩壊することはないだろう。

 厳密な根拠はないが、国民が苦しい状況に耐えられれば、あと1年半から2年は核・ミサイル開発を続けられるだけの経済的な体力はあるのではないか。

 まあ荒木、島田、西岡と言った「自称北朝鮮ウオッチャー」の巣くう会一味より三村氏の見方の方が妥当なように思います。しかし産経にもこんな記事が載るんですね(苦笑)。

https://mainichi.jp/articles/20180613/ddm/008/030/186000c

■毎日新聞『北東アジアに自由経済圏も』環日本海経済研究所(ERINA)の三村光弘主任研究員の話

 米朝が完全な非核化のゴールを共有した意義ある会談だった。北朝鮮が国際社会に復帰すれば、韓国や中国、ロシア、モンゴルなどを含む北東アジアに、東南アジアの(ボーガス注:ASEANの)ような自由な経済圏が形成されることが期待される。日本が制裁を解除し北朝鮮との関係改善に乗り出すことになった場合、民間では貿易や委託加工が再開し、政府では国際協力機構(JICA)などを通じた経済援助などが想定される。

http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/201601/D11160216019.html

■大阪商工会議所『北東アジアセミナー 〜朝鮮半島を中心とする北東アジア経済圏と日本の将来〜』

 北朝鮮との経済交流が再開されれば、中国、ロシアを含む物流網の整備と相まって様々なビジネスチャンスが生まれる可能性があるものの、北東アジア情勢は難しい局面が続いています。

 そこでこの度大阪商工会議所は、日本と東アジア地域(特に北朝鮮)との経済交流を支援する民間団体、東アジア貿易研究会(川嶋文信*12会長、事務局:東京)と共催で、下記の通りセミナーを開催し、最新の情報を提供いたします。この機会に是非ご参加ください。

■開催日時:2016年2月16日(火)

 まあこの記事だけではなんとも評価できませんが意外と財界的(もちろん北朝鮮シンパではない)には「別に北朝鮮で金儲けしてもええヤン」的な感覚は結構あるのかもしれません。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190117-00032577-hankyoreh-kr

■ハンギョレ『束草〜ロシア〜中国…“白頭山航路”5年ぶりの再開なるか』

 江原道の束草(ソクチョ)港を出発し、ロシアと中国を経て白頭山(ペクトゥサン)まで行き来する「白頭山航路」が5年ぶりに再開設されると見られる。

 江原道は5月の就航を目標に、ロシアのスラビヤンカを連結する白頭山航路開設を推進していると16日明らかにした。白頭山航路、または北方航路と呼ばれるこの航路は、2000年4月に正式に開通した。束草港を出発しロシア沿海州のザルビノ港から陸路で中国の琿春を経て白頭山観光ができる海上観光コースとして人気を呼んだ。白頭山観光客だけでなく、行商貿易商、ロシア人観光客も多数利用した。しかし、セウォル号事故による乗船客の減少と、頻繁な税関・国境通過検査、運営船会社の財政難など悪材料が続き、2014年6月に旅客船の運航が中断された。今回の航路は、ザルビノの代わりに近隣のスラビヤンカに目的地を変えた。

https://www.sankei.com/world/news/180924/wor1809240016-n1.html

■産経『「一帯一路」に北朝鮮組み入れ 中国遼寧省が計画、日韓も』

 中国東北部の遼寧省が、巨大経済圏構想「一帯一路」に北朝鮮や日本、韓国を組み入れる計画を策定したことが24日、分かった。計画では中朝国境の都市、丹東から北朝鮮を経て韓国までつなぐ鉄道建設のほか、中朝間の経済協力を強化するための「丹東特区」建設も明記した。

 最近の朝鮮半島情勢の緊張緩和や日中関係の改善を受けた形だ。ただ対北朝鮮制裁が続く状況では中朝間の本格的な経済協力は困難で、実現性は不透明だ。


■福島とイギリスの草の根・脱原発農民ネットワーク(藍原寛子)

(内容紹介)

 福島とイギリスの脱原発運動の交流についての報告。

*1:著書『公的扶助論』(編著、2004年、高菅出版)

*2:著書『国債管理の構造分析』(1990年、日本経済評論社)、『金融大国 日本の構造』(1991年、みずち書房)、『国債がわかる本』(2013年、大月書店)など

*3:著書『地域づくりの経済学入門』(2005年、自治体研究社)、『一人ひとりが輝く地域再生』(2009年、新日本出版社)、『震災からの地域再生:人間の復興か惨事便乗型「構造改革」か』(2012年、新日本出版社)、『「自治体消滅」論を超えて』(2014年、自治体研究社)など

*4:著書『限界集落の真実:過疎の村は消えるか?』(2012年、ちくま新書)、『地方消滅の罠:「増田レポート」と人口減少社会の正体』(2014年、ちくま新書)、『地方創生の正体:なぜ地域政策は失敗するのか』(共著、2015年、ちくま新書) など

*5:著書『社会主義と現代世界』(1991年、青木書店)など

*6:環日本海経済研究所調査研究部主任研究員。著書『現代朝鮮経済』(2017年、日本評論社)

*7:富山大学極東地域研究センター教授。著書『現代中央アジア・ロシア移民論』、『中ロ経済論』(以上、編著、2010年、ミネルヴァ書房)

*8:立命館大学名誉教授。著書『東アジアの地域経済発展と中小企業』(編著、2016年、晃洋書房)など

*9:なお、環日本海経済圏とも言われることがあります。

*10:「国際社会」つうか「米国」ですが。

*11:著書『大和撫子はなぜ韓流にハマるのか?』(2011年、双葉新書)

*12:ググったところ、元三井物産副社長のようです。