October 12(Mon), 2009
Selling
私が申し上げたかったのは、あらかじめその有用性と意味が一覧的に開示されない限り、知性を活動させないというような横着なことを言っている人間は生涯知性と無縁である他ないということである。
「おれは意味のあることしかやらない」「自己利益が増大することが確実であることしかやらない」というようなことをうそぶいている人間はついに無為のうちに人生を終えることになるであろう。
学びを起動させるもっとも効果的な動機は、「なんだかわからないけれど、ここに来てしまった」、「ここに呼ばれたような気がした」という感じである。
固有名において学生たちに呼びかけること。その余人を以ては代え難い固有性において呼びかけること。
それは「商品を売る」という行為と隔たること遠い。
I love Uchida-sensei....
そういう「こびとさん」的なものが「いる」と思っている人と思っていない人がいる。
「こびとさん」がいて、いつもこつこつ働いてくれているおかげで自分の心身が今日も順調に活動しているのだと思っている人は、「どうやったら『こびとさん』は明日も機嫌良く仕事をしてくれるだろう」と考える。
暴飲暴食を控え、夜はぐっすり眠り、適度の運動をして・・・くらいのことはとりあえずしてみる。
それが有効かどうかわからないけれど、身体的リソースを「私」が使い切ってしまうと、「こびとさん」のシェアが減るかもしれないというふうには考える。
「こびとさん」なんかいなくて、自分の労働はまるごと自分の努力の成果であり、それゆえ、自分の労働がうみだした利益を私はすべて占有する権利があると思っている人はそんなことを考えない。
けれども、自分の労働を無言でサポートしてくれているものに対する感謝の気持ちを忘れて、活動がもたらすものをすべて占有的に享受し、費消していると、そのうちサポートはなくなる。
「こびとさん」が餓死してしまったのである。
知的な人が陥る「スランプ」の多くは「こびとさんの死」のことである。
「こびとさん」へのフィードを忘れたことで、「自分の手持ちのものしか手元にない」状態に置き去りにされることがスランプである。
スランプというのは「自分にできることができなくなる」わけではない。
「自分にできること」はいつだってできる。
そうではなくて「自分にできるはずがないのにもかかわらず、できていたこと」ができなくなるのが「スランプ」なのである。
それはそれまで「こびとさん」がしていてくれた仕事だったのである。
私が基礎ゼミの学生たちに「自分の知性に対して敬意をもつ」と言ったときに言いたかったのは、君たちの知性の活動を見えないところで下支えしてくれているこの「こびとさん」たちへの気遣いを忘れずに、ということであった。
No one knows next moment what could happen to you...
えーと。実はそもそも、しょせん就職とか転職とかは仕事の話なので、人生のいろいろな苦労の中では別に大した苦労だとは思っていない。日々の食事が普通にできない金欠状態に陥るまでは、仕事における苦労など大したことはないと思う。もちろん、やりたい仕事が実現できるに越したことはないが、僕は家族が幸せで天気がよければ仕事がどういう状態でもけっこう幸せなのだ。「背水の陣」とか、「覚悟」とか、そういうなんだか怖い単語でディスカッションが盛り上がっているのを見るとすごいなあと思う。そういう話は、僕が成功した後、失敗することにより失うものが大きくなる日まで、関係ないと思う(笑)。
しかし、手を抜いているつもりはないし、努力していると思うので、やる気はあるつもり。確かに、無理そうなことばかりしていると日々つらいこともあるし、ほとんど失敗しかしないからそれはがっかりすることもあるけど、人生で本当に取り返しのつかない事なんてほとんどない思う。たとえ、アメリカで仕事がなくなって日本に帰るしか道がなかったとしても、夢を実現する道はまだ沢山あるんじゃないかと思う。だから、目の前にあるものに努力して、だめなら他の方法を考えれば、100点満点の人生じゃなくてもきっと十分幸せに生きていけると思う。
今まで、経営コンサルタントとして、業務効率化の仕事もしたことがあるが、少なくともHBSを卒業して一瞬で自分が切られる側になるとは想像もしていなかった。レイオフされる痛み、明日行く会社があるということの有難さ、給料が口座に振り込まれるという事の有難さなど、今まで全くわかっていなかった。でも、こういうのって、とっても大事な感覚だと思うし、きっとプラスになる日が来る。
グダグダしていてもしょうがないので、今後のことについて考えた。しばらくしたら、考えれば考えるほど、大した問題ではないように思えてきた。ビザがあるうちに仕事が見つからなかったら僕の力不足なんだから、日本に帰ればいいじゃないか。別に今すぐアメリカでテクノロジーのベンチャーの仕事が見つからなくても、そのうちどうにでもなるでしょ。健康保険は、カリフォルニア州が失業者に提供する割高の保険を全額自分で払えばとりあえず何とかなるじゃないか。借金なんて、人の2倍以上働けばいつか返せるじゃないか。どれも、大した問題ではない。生まれたばかりの息子はかわいいし、奥さん元気だし、みんな健康だし。それに、この不況下でレイオフとかいうのはいい話のネタになるし、このピンチを切り抜けたら自信がつくに違いない。
僕は、まず、色々な弁護士と会い、移民法についてのリサーチをかなり綿密に行い、いきなり完全レイオフになった時に就労ビザを観光ビザに切り替えられるように、全ての書類を整え、サインし、封をし、あとは全部失敗したら書類をポストに投函できるだけにした。ヨーシ、失敗の準備は整った。あとは、失敗しない時にのために努力するのみ!