D700ですとも。

 発売日より一日前に手に入れた。ここんとこちょいと忙しいので、詳細なレビューは後ほど、という感じだが、とりあえず週末使ってみて、D700、素晴らしいカメラである。買う前まではD80持ってるし、フルサイズって言っても、望遠に強く、システムがコンパクトなAPS-Cサイズの一眼レフで十分満足しているから、銀塩F100との繋がり程度しかアドバンテージが無いかと思っていた。正直、余り期待はしていなかった、というのが本音である。

Dai Hakone
[NIKON D700/Nikkor 24-85mm F2.8-4D]

  • つぶれそうで、飛びそうで、という難しい曇りの夕方のシーンも一発で撮れた。大箱根カントリークラブ。プレイフィー38,000円なんていう世界がまだここには有る。

 駄菓子菓子。50mmのレンズは、やはり50mm、85mmは85mmで使って初めて自然なフィーリングが得られることが良く判った。フルサイズに対応したレンズは、その真ん中だけでなく、目一杯領域を使う様に出来ているのである。これはフィーリングの問題で、なかなか言葉で説明できないが、実は非常に大きいポイントだった。

Hanabi as usual
[NIKON D700/Nikkor 70-300mm F4.5-5.6]

  • 沼津の花火。花火は近付ける田舎に限る。

 次に、凄い凄いと聞いていたが、高感度性能はすさまじい。ISO6400はウェブに上げる程度を超えて、A4プリントでも十分常用に耐える。ISO6400は、夜でも街の灯があれば、F4でも1/30のシャッターが切れてしまう感度である。照明を落としたバーでさんざめく人々なんていう、これまで撮れなかった被写体が撮れるカメラだ。画素数を上げて撮れる様になるものは、主に業務様の用途に限られるだろうが、無駄に画素数を上げず、センサーの余裕を高感度にふると、僕の様な人にも恩恵が来るのである。
 最後に豊かな階調性とそれを発揮させる賢いAE。難しいシーンでも、実に的確な美しい絵が出てくる。後処理を面倒くさがる僕の様なタイプには実にフィットする。

Hanabito
[NIKON D700/Nikkor 70-300mm F4.5-5.6]

  • ISO3200、F5、1/30。VRと高感度があれば、花火は手持ちで撮れる時代である。

 絶賛した後で、何か必要なものがあるかというと、視野率に加えて、アウトプットの形式である。このカメラのセンサーや画像処理の能力に対して、JPEGの各色8bitという古臭い仕様が全然足りていないのである。各色16-32ビットのHD Photoとか、より階調が表現できる新規格への対応があると望ましいかな、と思った。Rawやtiffの出力はあるが、サイズや汎用性の問題で、後工程が必要になる。
 よくよく考えてみると、8色のPC-8800、4,096色中16色同時発色のPC-9801EPSON互換機で僕は育った。各色8ビット、1,677万色を全ての色が表現できるとして、これをTrue colourとか呼んでいた世代である。98の裏VRAMを拡張メモリディスクとして使ってみた時もあれば、256色表示を可能にした、EPSON PC-386Mの登場に興奮した覚えも有る。それが、いつのまにか、True Colourを規格化したJPEGが既に時代に対応できなくなっているのである。より古臭いのは自分では無いかと思ってしまう次第である。

Night statue
[NIKON D700/AF-S Nikkor 17-35mm F2.8]