デジタリアン

 ちょうど今、ラスベガスくんだりでは、PMAという写真関連の見本市をやっている。このご時勢だから、大した新商品も出てないのだが、幾つかはやっぱりささるのが発表されていて、不況だってのに物欲は増すばかりである。

  • SIGMA DP2

 まずは、SIGMA DP2。そういえば、以前このBlog上で、その前身であるDP1を買う買う吠えた記憶があるが、結局ダークホースのパナLX3は買ったが、DP1は買ってない。デジもんなのにずっと10万前後で値落ちしなかったのと、寄れない上に暗い広角レンズに最後腰が引けてしまったのだ。クローズアップレンズ付けたら、もはやコンパクト機とは言えない大きさになってしまうのも気になった。でも、今度のDP2は良さそうだ。レンズが41mm/F2.8なんていう絶妙な単焦点である。寄れないのは、相変わらず寄れないが、焦点距離が伸びて、一段明るいから、寄れなくてもボケはそこそこ出せそうだ。既存の単焦点コンデジは、24mmとか28mmとかの超広角が多くて、これが大は小を兼ねる的な感じでイマイチ好きになれない。広く撮れるけど、主題の印象は薄くなるし、主題の印象を強調するには寄らないと難しい。これが、41mmまで狭くなると、遠景の風景とか集合写真を撮る機会は捨てないといけないが、近景で主題を作るには丁度良い画角である。きちんとフレーミングしないといけないから、撮れば撮るほど写真も上手くなりそうな風情だ。ズームじゃない単焦点の魅力は、被写体を残したり捨てたりする剪定のプロセスの楽しさと、光学的に無理をしていない画質の良さである。
 レタッチしてあるのかもしれないが、色もこってりして独特だし、何といっても鳥肌ものの解像感は凄い。このサンプルサイト見ていたら、魅入られてしまった。個人的な好みは3番と17番かな。

○SIGMA DP2 IMAGE SAMPLE

 DP2の何が良いかって、それは一般的なコンパクトデジカメの10倍以上の大きさの一眼レフ用のセンサーを積んで、画質も解像感も表現の自由度も優れている所なのだが、オリンパスからも似たようなのが出る。

  • Olympus Micro 4/3s Conceptual

 これも大変よろしい。DP2はレンズ固定式だが、こちらはレンズ交換式である。マイクロフォーサーズの規格のレンズはこれから沢山出るだろうし、まさに小さな一眼レフとして使えるだろう(レフは付いていないが)。このカメラがいずれ出るのは知っていたが、今回ボディ内手振れ補正が付くことを知った。DP2には付いていない。コンデジと違って、オリンパスの一眼レフ用のボディ内手振れ補正は相当効くから、20mm/F1.7なんぞを付けたら夜景を手持ちで普通に撮れる暗視スコープみたいなコンパクトカメラに成り得る。後は重さがどれ位で来るかだが、200g台なら、AFの出来次第で旅行カメラの座を500g台のD90から引きずりおろすかもしれない。ただ、一つの悩みは、DP2もこのオリンパスも相当高そうなことである。両方とも、暫く10万円前後でもおかしくない。さすがに一眼レフ用大型センサーをコンパクトデジカメの小型ボディに押し込む、というキャラが大かぶりで、かつ高価な2台を両方買うのは「無い」選択肢だろう。ある程度画質を重視したコンデジは、既にLUMIX LX3、SONY Cybershot W300、Canon Powershot S80と3台持っていて、それなりに使い分けているから、そもそも4番目の新規参入者は、活躍できる隙間が小さい。これまでD80/90とかF100とか、一眼レフを持ち出してたケースの30%位はカバーできる感じにしたいもんである。

  • Olympus μTough-8000

 次は違うカテゴリーだが、いまPentaxのW20という水中3mまで素で行けるカメラを持っていて、シーカヤックの時とか、スノボ行く時、或いはシャワートレッキングに行くときなんぞに使っている。ただ、ノイジーで画質がイマイチなのと、3mというスペックがどうにも中途半端で、スノーケリングの時とかは、結局重いハウジングを持って行く羽目になるので、10m防水のコンデジを探していた。10m防水のはOlympusのμ1030SWという機種が唯一の選択肢だったが、これはレンズがイマイチで画質が笑っちゃう位ぼやけているのと、動画撮れるけど、それがファームアップで改善したとは言え当初は連続10秒に過ぎなかったのと、レンズが暗いのに手ブレ補正も付いていないのとで、買うのを躊躇していた。それが、この春の新機種で、μtough-8000という名前に衣替えして、手ブレ補正が付き、動画もVGA/30fpsで長く撮れる様である。
 それでこれ、ウォータースポーツシーズン迄には買おうかなと思っていたのだが、同じく10m防水の似たようなカメラがCanonから発表された。PowerShot D10という機種である。やたら分厚いのが気に入らないし、レンズバリアが無いのも不安だが、サンプル見る限り画質はOlympusより良さそうである。まぁ絶対値としては良くは無いのだが、ボケボケとまではいかない。ノイズ処理もCanonの方がOlympusより一般的に良い。何つってもCanonはSDカードだから、XDという互換性が殆ど無いメモリカードを使っているOlympusよりは相互運用性が高い。手ブレ補正も、こちらはレンズシフト式で、OlympusのCCDシフト式よりは、コンデジなら効きが良い筈だ。ただ、広角が多少弱いのと、分厚くて、デザインが遊び心溢れるというよりは、女子っぽ過ぎるのが気にかかる。あと、D10は2月発表の5月発売と、異例のフライング発表で、先に出るOlympusに客が流れるのを阻止せんというCanonらしい販売優先姿勢には苦笑せざるを得ないのだが、シーズンインに間に合うかは微妙である。特にCanonの防水は初物だから、人柱の動向は見たい所だ。
 

  • Canon Powershot D10

 あと、コンデジでは、CASIOが遂にハイスピードムービーをコンパクト機に載せてきたので、これも興味はある。要はスローモーションが撮れるということで、実用になる限界は1秒間に420コマである。普通の動画が30コマ前後なので、14倍遅い画像が撮れるということだ。興味は津々なのだが、何に使うかと言われると、ゴルフの練習の時にインパクトの瞬間を撮って、自分はリストターン派なのかボディターンなのか、オンプレーンなのか、オフプレーンなのかをチェックする位しか思いつかないのが難点である。静止画は、D10よりはマシそうだが、まぁ「普通」という感じなので、これはゴルフ練習予算枠で考えるべきだろう。そちらも、スイングスピード測定器GST-2を買ってしまって、一杯一杯なのだが。
 

  • CASIO EX-FC100

 デジカメはそんな所だが、もう一つ結構自分的にはアツい分野があって、それはUMPCである。Ultra Mobile PCという事だが、その昔、キーボード付のライトウェイトのマシンではSigmarion3を愛用していた。Sig3は400gと軽く、キーボードもブラインドタッチが出来て良かったのだが、HTMLメールに極端に弱く、その一般化に伴って使わなくなってしまった。その後、585gとB5ノートと比べても大分軽い富士通Loox Uが出て、「これだ!」と思って買ったが、カーソルキーが独立しておらず、Shiftを押してカーソル操作、という有り得ないインターフェースに、仕事メールで大量の文章入力が必要な僕は、匙を投げて死蔵行きとなっていた。その後1年位して、LOOXの後継機が発売され、こちらはやっとカーソルキーが独立したので、再び「これだ!」と思ってナンピンを入れたのだが、今度はメモリ1G拡張不可なのにVistaマシンという最悪の組合せである。メール一つ見るのにも考え込む、94年位の3.1マシン+Mosaicの如き前近代的な、たゆたう時間の流れに2つめのスプーンを投げて、せめてメモリ2G、Windows7Ready、というUMPCを改めて物色していた。

  • SONY Vaio Note Type-P

 そこに出てきたのが、Vaio Note Type-Pだ。SSDなら590gなので、LOOX Uと同じ位である。ワイドディスプレイなので、キーボードもLOOXと比べるとぐっと横に広く、ブラインドタッチも楽そうである。価格.comとかを見ていると、結構人気もあるらしい。SDカード/メモリースティックスロットも付いているので、D700以外の僕のデジカメのメモリデバイスは、全てこの2つの方式のどちらかだから、旅先でレタッチ機能付きフォトストレージとしても使える。唯一気になるのは、PCカードスロットが無いところで、手持ちのデータ通信カードが挿せない。USBタイプのデータ通信カードにするか、USB-CFスロットアダプタを買えばいいのだが、若干面倒くさいのは間違いない。それでも、メモリが多いことと、キーボードが良さそうなことで、この欠点には目をつぶって、いつかVaio Type-Pを買おうかなーと思っていたら、韓国のメーカーから、317gというとんでも無いXPマシンが出るのを知った。UMIDという会社が作ったmBOOKである。SIG3はWindowsCEマシンだったが、それより軽いXPマシンは驚異的だ。

  • UMID "mBook"

 ディスプレイは残念ながら1024×600とXGAを下回っていて、ウェブブラウジングには窮屈そうだ。あと、拡張性がmicroSDスロットとミニタイプのUSBが1つと無きに等しいが、これらの弱点を補って余りある軽さである。3月には出る様だから、これはちょっと触ってみたい。キーボードもLOOX Uよりは一般的な形に見える。317gだから質感もミツカンも無いだろうが、これだけ軽ければ、相当な欠点まで目をつぶれる。アバタもエクボというが、アバタ通り越して、月面クレーターが顔面に有ってもエクボにせんばかりの勢いである。Vaioの性能やキーボードを取るか、mBOOKの軽さを取るかは悩ましい問題だ。
 幾つか悩む買い物がある時に、先立つものが有れば、全部買って、気に入らなかったのを「新品同様」とかでオクに出す、という「大人の荒業」があるのだが・・。ゴルフクラブなんぞは、そういう事する人は結構居る。同僚でパターのスパイダーをグリップとシャフトの形状で3種類買って比べていた人が居た気もする。また、高価なアイアンセット買う前に、単品売りしている4番アイアンだけ買って、気に入ればセットも買うし、気に入らずにオクに出してもネットで2,3000円の出費で済む、という算段をする人も居る。ただ、PCとしては安めのUMPCも、ストレージを大容量SSDにするとお値段もかわいく無くなるので、「大人の荒業」を繰り出すと、初期費用で死んでしまう。地味に店頭で触りつつ、デジカメとUMPCで予算の調整をするのが吉であろう。
 携帯も、Softbank 932SHという機種が出て、GPSGSM・CCD/機械シャッターカメラ・辞書・ドキュメントビューア・フルブラウザ・PCメール・VGA超の画面解像度、と904SH使ってた自分的にはやっと満足できそうな全部入り携帯が復活した。ワンセグとかゲームとかはどうでもいいものの、「あちこち出歩く人」「オンデマンドで仕事発生する人」「消費活動において調べもの好きな人」を兼ね揃えてしまった僕的には、この辺の機能は必須に近い。僕はiphoneも使っていて、これはネット関連の色んなもののビューアとしては秀逸だけど、インプットデバイスとしては普通だから、インプットデバイス用・決済用・非常用カメラ用には結局別の携帯も併用している。今使っているのは、パナの920Pだけど、これの買い替え候補としては、932SHはスペック的にもう望むものは無い位だ。ただ一点、もう僕はiphoneのインターフェースの快適さに慣れてしまったので、タッチインターフェースじゃない携帯触るとイライラしてしまう。SHARPにはもう一つ931SHというタッチインターフェースのシリーズがあるから、この後継機にCCDカメラが搭載されたら、そっち買うかもしれない。
 しかし、これから壮絶な不況ってな時に限って、面白い機種がデジカメもPCも携帯も出てくるもんである。好況の絶頂で開発が始まったトンがった企画が不況の始まりあたりで製品になって出てくる、という事なのかも知れない。ホンダがうっかり発売したスポーツカーであるNSXも、発売はバブル終了直後の90年9月であった。
 あと、個人的な事情としては、性格的に面倒くさがりな僕は、「大人の荒業」で無くて、単なる買い替えで有っても、なかなか面倒くさくて古い機種をオクには出せないもんである。そんな訳で手元には旧機種が山になっている。デジもんは陳腐化が速いから、こういうのは純粋に損をしているのだが、なかなかオク出す作業をする気にならんのは困ったもんだ。メール一本で家まで来て、商品持って行って後は落札されたらお金を振り込んでくれる、超手間省きオク出品代行業ってのが有るなら、僕みたいなモノグサには受けるかもしれない。

  • うむ、山である。