幹事マックスの法則はヒトの習い性である。

 雑談で、久しぶりに幹事マックスの法則の話題になった。合コンにおける、幹事マックスの法則、即ち幹事は自分より外見がイケている人を呼ばないので、幹事同士が外見的に最も良くなるという法則は、普遍の真理として独身男女に知れ渡っている。競争環境のコントロールという観点では幹事にとって合理的な選択なので、世の男女は、この法則の正しさを毎回合コン開始後1.5秒で再確認することになるが、仕方の無いものとして社会的に許容されている。
 また、幹事マックスの法則は、女性陣においてはギリギリ認知可能な、僅かな差で成立する、「女性幹事ギリギリマックスの法則」になっているのも常である。なぜなら、女性は自身の相対的外見に男性より敏感だが、一方で見栄っ張りでもあり、あんまり不細工な子を集めて浅ましい女だと思われてしまうリスクを避ける為である。彼氏の居るかわいい子を一人混ぜて、そのリスクを避けつつ、自分への脅威にはさせない、という高度な手段が使われるケースもある。このギリギリを作る為に、幹事をよく引き受けるアクティブな子は、幹事として恥はかかず、でも自分の競争優位を脅かさないという、微妙なレベルの子を何人か確保しているものだ。合コンに行くと、全員同じ会社の同僚です!というパターンもあるが、よく「この子は大学のサークル友達で、この子は前の会社の同期で、この子はサルサの教室で知り合って、別々なんだけど、何回か飲んだことはあって全員顔見知り」というパターンも目にする。飲んだってのは即ち何回か合コンをこのメンバーでしたという意味で、要はそれは幹事の子が合コン用に組成した「自分がギリギリ一番」コミュニティだったりする。この仮説提示によって、合コンに誘ってくれる女友達に疑念を持った女性が居たら申し訳ないが、男性サイドからすると、この勘所が掴めれば、リスクが高そうなメンバー構成だと判った瞬間に安い店を選んで、リターンの見込めない出費をコントロールする事が可能になる。
 ただ、例外的な事案は常に存在する。上記の「女性幹事ギリギリマックスの法則」があっさり打ち破られる場合も多い。中には、男性と女性でかわいいと思う女性の基準は随分違うのは理解するけど、それにしても酷いのでは無いかと、火刑に処されたヤン=フスの勢いで幹事女子に抗議したくなるレベルの時もたまにある。往々にしてこれは、幹事女子が幹事男子をロックインしている時に発生しがちだ。彼女は、ありとあらゆるリスク要素を排除したいのである。こういう状況で、迂闊に幹事男子と話している幹事女子に横から話しかけようもんなら、殺意を持った目で睨まれることになる。睨まれてムカついても、他の参加者をきっちり盛り上げて楽しませる大人の対応をするべき世代ではあるが、その子とサシで会わずに合コンに逃げた幹事男子の心持ちも察し、二次会への流れはびしっと遮断して、さっさと幹事男子をタクシーに押し込むのも男の友情ってもんだ。
 何でこんな話になったかと言うと、電通が21日発表した小学校1〜6年生を対象としたインターネット調査の結果によると、「好きな女の子はどんな子? 」という質問に、62.7%が「優しい子」と答えた一方、「顔がかわいい子」と答えた女子は僅か2.7%に止まったという記事を時事通信で見たからである。幹事マックスの法則は、小学校の頃から内在している、人間の本質そのものなのである。