沸騰空穂葛日記

マンガ・アニメ、映画、舞台などの感想を中心に(予定)。フェミニズム、教育・育児ネタなども?

いじめ自殺と金八先生

金八先生が「いじめ問題」斬る(スポニチ)
「人間生きてみなけりゃ何があるか分かりません。死んじゃだめですよ」と切実な表情。そして「いじめるヤツにどんなに説教しても変わらない。大事なのはいじめられているヤツを鍛えること」と語った。

 「遠い昔からいじめられている人の歴史を振り返ってみましょう。私たちは歴史の中から役に立ちそうな知恵、知識を取り出してきた。あなたが味わっている悲しいこと、つらいことは、何千年も前から何人もの人が足跡を残している。その足跡をたどるすべは勉強でしか見つけられません。だから学校があるんです。勉強しましょう」と訴えた。

(中略)

「政治バラエティーなど外野は少し黙ったほうがいい。教育は討論の現場で生まれてくるものではない。現場の教師からたくさんのアイデアが出てくると思う。タフに子供たちと接している先生を励ますことが大事」と話した。

「死んじゃダメ!」武田鉄矢が中学生へ“金八流”メッセージ(サンスポ)
 27年間にわたって金八先生役を務めた武田は、「27年で一番変わったのは日本の中学生」と指摘し、「中学生のみなさん、死んじゃダメ!」とメッセージ。深刻ないじめ問題について、「いじめる奴を説教しても変わらない。問題はいじめられる奴で、大事なのはいじめられる奴を鍛えること」と金八流の考えを示した。また、「教育に関する解決法は討論で生まれるものではない。現場の教師たちからいいアイデアが出てくると思うので、もう少し冷静に見守りましょう」と呼びかけた。

まぁ、金八流っつーか、武田鉄矢翁のご意見は「いじめられる側の勉強がたりない。もっと強くなれ」ということのようです。
……それは、現にいじめられている子どもにとって、何の解決策にもならないと思うんだが。「強くなっていじめを回避しろ」なんて言ったって、回避できないからこそ、いじめが続いて、追い詰められてしまったのに。
現場を見ろってのは正しい指摘だと思うけど、金八も現場を知らない人間であることに変わりはないと。


私は金八先生に賛成です。
じゃあ、どうすんのさ?

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↓コメントへのお返事

匿名さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
匿名さんは、いじめられた経験者さんでしょうか?
もしかしたら、匿名さんは、自分を変えて強くなることで、いじめを断ち切った経験があって、それでこういうコメントになったのかも?と感じましたが、いかがでしょう?


確かに、いじめによる自殺を予防するためには、いじめられたらどう対処したらいいか、誰に相談したらよいか、どうしたらいじめを回避できるかといった方法を学ぶのは、効果があると思います。
またいじめを未然に防ぐためにも、特に問題のないクラスでも、この機会に、なぜいじめがおこるのか、いじめをはねのけるにはどうしたら良いか、生徒自身に考えさせ、しっかり話し合う機会をつくってほしいと、私は思います。


しかし、現に今いじめられている子に「いじめられているのは、おまえが弱くて、愚かで、”考えの足りない”せいだ。いじめに”負けるな”。逃げるな。強くなれ」というのは、ただでさえ追いつめられている子の逃げ道をふさぎ、さらに追いつめるだけではないでしょうか?


匿名さんは、それで強くなれたかもしれませんし、いじめられている子が強くなって戦って、いじめに打ち勝てる場合もあるでしょう。
もしかしたら、自分のわがままが通らないからといって「みんなが無視してくる、いじめだ」と言い張っている場合もあるかもしれません。そのような場合は、自分を変えるしかないでしょう。
しかし、誰もが匿名さんのように強くなって、いじめと戦って勝てる訳ではないでしょうし、いじめの中には、それでは解決できないないようなパターンもあるからこそ、いじめによる自殺が起こってしまうのだと思います。


いじめられている子に、私が何か伝えられることがあるとすれば、”ひとりで戦わなくていいよ”、そして、むしろ”逃げていいんだよ”ということです。
誰にも相談できず自殺を考えるほど追いつめられる前に、先生、親、友人、電話相談や児童相談所、ブログや掲示板……とにかく考えられる限りのできるだけ多くの人に、自分の状況を訴えてほしいと思います。(いじめられている子にもっと伝えなければならない情報・知識があるとするなら、どんな人・機関を頼ったらいいかといったことなんじゃないかと)
それでもダメなら、転校するなり、ひきこもるなり、家出するなり、別の居場所(ネットでも塾でもフリースクールでもバイト先でも)を見つけるなり、今いる理不尽な環境を切り捨てて、とことん逃げてほしいと思います。


きっと「にげるな、まけるな」式の言葉は、既に、さんざんいじめられている子に向かって投げかけられているんじゃないでしょうか。もしかしたら、その子自身も、自分に逃げないこと・負けないことを課しているかもしれません。
だからこそ、当事者の周りにいる人は「逃げても良いんだよ」と伝えてあげてほしいなと思います。特に家族は、たとえ本人がいじめられていることを認めなくても「どんなことがあってもあなたを信じるよ、守るよ」「つらい時は、頼ってほしい」と伝えてあげるだけでも、追い詰められた気持ちが少しは救われるんじゃないでしょうか。


苦しい時に自分の弱点や欠点を考えて、より自分の心を痛めつけるよりも、まずは、いじめによる心の傷を癒すことが先ではないでしょうか。
それに心の傷を癒すには、いずれにせよ、いじめられたことを心の中で乗り越えなければならないでしょう。
それで充分だと私は思うのですが。


とか書いてたら、もっとキチンとした言葉で書いてらっしゃる人がいたので、ご紹介。

http://d.hatena.ne.jp/kmizusawa/20061112/p1
人によっては生き延びるために、相手に迎合したり、黙って耐え続けたり、自分を鍛えて「気にしない」ようになる人もいるのだろう。それらは恥ずかしいことでもなければ勇気のないことでもない。間違っていることでもない。過酷な状況で生き延びるための手段のひとつだ。自分が逆に暴力の加害者になるようなこと(中略)それ以外なら何を試してみてもいい。でもたとえ自分で考えられないくらい追い詰められても、それはあなたの罪じゃない。

まったく同意です。


まぁ、今回の手紙騒動で、いじめられている子にもマスコミを味方に付けるという手があると伝わったとおもうので、のっぴきならない場合には、新聞社に実名で投書するとか、どんな戦い方でもいいから、思いつく限りやってみるといいよ、と思います。
自殺しようって思う前に、できるかぎり誰かとつながってほしい。自分で解決できなくても、誰かが支えてくれるかもしれない。
誰だって、苦しんで死ぬより、楽しく生きたいはずだもんなぁ。

さらに追記

↓そうそう、その事が言いたかったんです。

http://d.hatena.ne.jp/ululun/20061113/think061113
"対処療法"で対応出来る人は良い。"対処療法"で対応出来ない人は"対処療法"では救われないばかりか「"対処療法"を行えば良いのに」という冷笑にすら晒されるという事を、「うまく切り抜けてきた」人たちは気付かないし気付けない。