草木も眠る丑三つ時に読んでね
宵っ張りに加え、残暑が一向におさまらないので、ますます夜に逃げ込んでます。
昼は、外に出ない。前の晩に予定を確かめ、翌日時間が来ると暑いから、次々に中止。今週は、これの繰り返し。
ヒゲも、ほったらかしで伸びる。
夜の長丁場、何やってるのかといえば、これまた何もしてません。マーラー「夜の夢」でも聴く。1時間以上ありますから僕にはいいけど、皆さんはどうでしょう?
今夏は、お化け屋敷行きました?
浅草花やしき「桜の怨霊」、東京ドームシティ「人形倉庫」、デックス東京ビーチ「台場怪奇学校」。
「桜の怨霊」では、直進性のスピーカーを使っているので、例えば赤ちゃんの泣き声が耳元でささやくように、しかもどこまでも追いかけて来るんだって。
プロデューサーは数々いますが、「お化け屋敷プロデューサー」ってのがいるんです。
冬は、どんな仕事をするんだろう。「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」のバージョンアップかなぁ。
豊島区では、住民が廃校になる小学校で「お化けの学校」を開いたらしい。
教室ごとに、いろいろな国のお化けが待機。一周すれば、世界のお化けを見られる。
お化けは、年間通じて気になる。
4月に近所を散歩して見かけた、お寺の戸。出たぁ〜、お岩さん〜。
谷中全生庵では、お化けの掛け軸を所蔵してます。年1回の公開で見ました。掛け軸は細長い。お化けも痩せてます。掛け軸は、お化けのためにあるキャンバスだった。
今日も残暑厳しき折り、半身に構えて「伊右衛門殿ぉ〜」とやってることだろう。
かつ、美人じゃなきゃいけません。お化けは。
「芸術新潮」8月号の特集は、「美女と幽霊」。
この世の女三人が、あの世の幽霊百人と対話する。表紙絵+インタビューは、松井冬子さん。
もう、ハマリ過ぎで思わず笑う。
今が盛りの美女。触れなば落ちん風情。水もしたたるイイ女。日本画界のタカラジェンヌ。
あぁ、それなのに。描く絵は、妖音が響く魔界・夢幻・雨夜・野ざらし風景。
小夜衣の人です。お笑い系じゃない。僕は、そっちも好き。
だから、彼女は「あれ」を持ってないだろうな。
20年ほど前に、富岡八幡宮の古物市で買ったおもちゃ。
昭和30年代に駄菓子屋で売ってたやつ。
・明るい光によく照らしてから、帽子の中などに入れて見てください。
すると、ろくろ首やら唐傘のお化けが浮かんでくるカード。蛍光塗料が貴重だった時代のシロモノ。
これで遊んだ人も多いでしょう。
ろくろ首は、中国から輸入したお化けです。原産地では「飛頭蛮(ひとうばん)」。体から離れて、頭だけを回転させて飛ぶ。回るのが、陶芸のろくろを連想させたから、日本ではろくろ首。
江戸時代のネーミングです。
「妖怪手品の時代」横山泰子著を読んでいたら、江戸時代はお座敷の余興で、盛んにお化け遊びをやってたのだ。
国立劇場には、「緒方奇術文庫」と「山本奇術文庫」の古文献コレクションがあり、それで当時のお化け手品を知ることができる。
大入道、蝦蟇、天狗、見たいねぇ。
兵庫県立博物館の香川雅信学芸員は、09年にそれを再現したというからすごい。
蛍光塗料が無かった時代だから、材料は焼酎・樟脳・硫黄などを使う。
横山泰子さんが問い合わせると、「フラッシュ撮影すると、お化けの姿が消えちゃう」と学芸員の答え。もっともだ。目も鮮やかなお化けなんて、見たくない。
それでも、横山泰子さんは追求する。たどり着きました、ブログ「怪日記」。
夜は長いから、今夜はこれを熟読しよう。