市橋俊介『敗北DNA』

敗北DNA (ビームコミックス)

敗北DNA (ビームコミックス)

 よくぞここまで描いたなあ、というくらいに人生の負け組やダメ人間ばかりが登場する作品。
 どいつもこいつもイラッとくるようなブサイクばかりで、みんなダメさが嵩じてギリギリの人たちになっております。しかしそんな彼等が発揮するダメさ加減・底辺っぷりが逆にいとおしく、時に哀しい共感を覚えるのは私だけでしょうか。みんなダメなのにそれなりに強く生き――てないな。その人生への目の瞑りっぷりがまた。

 いやー、連載7年にしてやっと単行本化。このこと自体がもう奇跡ではないでしょうか。良くもまあ単行本化にゴーサインが出たものだ、という。いや、嬉しいんですが。
 万人にお奨めしやすい作品か、というとそうではないのですが、私は大好きです。


『敗北DNA』53P「天才 柏崎」より