心に月を想うこと


フォトライフから拝借)

目を閉じて青く光る月を心に浮かべるだけで、気持ちはごくシンプルに細くなり、次第に悲しみめいたものに覆われるのは何故だろう。
月は青くは光らない。それはプルキニエ効果という物理現象によって、弱い光のもとで周囲の空気が青みがかってみえているらしい。
光の色の波長が異なることからくるのだが、それは昼間に空が青いことの原因でもある。夜の月のまわりには、消えそびれた青空の名残が身を寄せあっているのだ。
心に月を想うとき、常のことばや振る舞い、ひとの顔や口調や論理や僕に伸ばされる手は、余韻として弱く青い光になるようだ。それはシンプルであり、また悲しい。