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ことばの海

2008-09-13

工学系大学院入試おすすめ本

| 16:34

 今年の夏に、工学系大学院(一般に情報工学専攻)の入試を受けました。

 受験勉強で苦労したことの一つに、分かりやすく使いやすい参考書や問題集を探すことがありました。分かりやすい本に出会えば、100倍勉強の効率がよくなると思います。

 そこで私が使った本の中から、「この本はよかったな」と思った本を紹介します。

 また、あらかじめ断っておきますと、大学院入試は大学入試と比べ物にならないくらい、学校によって問題の傾向が、かなり異なります。基本的には、その大学院過去問などから問題の傾向を分析していくことになると思います。

 私が勉強した科目は、

の6つです。


微分積分

 上からやさしい順になっています。

やさしく学べる微分積分
石村 園子
共立出版
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 この本は、多くの理系大学生が一度は使ったことがあるのではないでしょうか。タイトルの通り、本当に「やさしく学べ」ます。高校数学から、大学の数学への最初の1歩として、つまづきにくいという点で一番オススメできる本です。

 しかし、やさしいところしか学べないという欠点があります。期末試験くらいでしたら、まぁ、可か良くらいの単位は、取れる力は付くのかもしれませんが、大学院入試に対しては、全然足りないでしょう。


 その次のレベルとして、お薦めできるのが、この「キャンパスゼミ」シリーズです。本書は、教科書的な本で、演習問題はあまりありません。

演習微分積分キャンパス・ゼミ
馬場 敬之 高杉 豊
マセマ
売り上げランキング: 109934

 本書は、ノーマルの方では触れなかった範囲の問題も入っていて、少し高めのレベルも補完しているという感じです。しかし、ノーマルの方も解説は分かりやすいので、持っていると心強いと思います


弱点克服 大学生の微積分
江川 博康
東京図書
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 微積では、なんと言ってもこの本が、今回一番オススメしたくなる本です。問題数も充実していますし、範囲もかなり広くカバーしていますし、解説も分かりやすいですし、ページの構成も見やすいように工夫されています。また、本の最後に、すべての問題をランダムに出題した仮想試験のようなものも用意されていて、読者(試験対策をする学生)が望んでいることを、ほとんど実現していると言えると思います。

 ただ、あまり簡単すぎる問題(基本的な公式を確認するだけのような問題)は用意されていません。上記の『やさしく学べる微分積分』を一通りやっても、まだ少し難しいかもしれません。『演習 微分積分キャンパスゼミ』などで、1クッションおくと丁度いいと思います。


微分方程式

 微積と同じ組み合わせになっています。両方とも分かりやすい本です。

 教科書的な本ですが、微分方程式の解き方や式の分類の仕方が、分かりやすくまとめられています。

弱点克服大学生の複素関数/微分方程式
江川 博康
東京図書
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 演習書として充実しています。微積の方で書いたことと、同じことが言えます。

電磁気学

両方とも、とても丁寧で分かりやすい本ですが、その2冊でもやはり問題数が少ないことと、少し問題の解き方に癖があるような気がするので(わざとかもしれませんが)、他の演習書でもっと演習をこなさないと力はつきにくいと思います。解き方で言うと、例えば電場の式を積分して電位を求める場合に積分定数を使っていますが、積分範囲が分かればそっちでやる方が断然楽で分かりやすいですし、導体球の鏡像法も、未定係数などを使って解いていますが、相似を使った方がずっと解きやすいです。


スバラシク実力がつくと評判の電磁気学キャンパス・ゼミ
馬場 敬之 高杉 豊
マセマ
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 本書は、ほとんど参考書と思った方がいいと思います。演習問題はあまりありません。しかし、参考書として、解説はかなり分かりやすいので手元においておくと、分からなくなったときに、ちらちら見る本として、重宝するかもしれません。

電磁気学―初めて学ぶ人のために
砂川 重信
培風館
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 本書も参考書です。『電磁気学キャンパスゼミ』同様演習問題はほとんどありませんが、解説が分かりやすいです。分からない部分を調べたい時に開くと、助けられることがあるかもしれません。

例解 電磁気学演習 (物理入門コース 演習)
長岡 洋介 丹慶 勝市
岩波書店
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 本書は、見かけはハードカバーで割と固めな演習書といった雰囲気ですが、良問揃いですし、解答も丁寧です。高度な内容も含んでいるので、自分に必要な部分を選んで使えばいいと思います。

本書も充実した演習書です。解説も分かりやすいですし、良問揃いで問題数も充実しています。上の『例解 電磁気学演習』よりも少し、やさしいめと言えるでしょう。


電気回路

 電気回路は出版されている本がたくさんある割りに、あまりたくさんの本には目を通せませんでした。

解きながら学ぶ電気回路演習
馬場 一隆 宮城 光信
昭晃堂
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 本書は独習者がはじめにとっかかる本として、適していると思います。フェーザ表示と複素数表示の変換など、基本事項を身につけるところから、問題が用意されています。範囲としては、集中定数回路の過渡現象(ラプラス変換)までを扱っています。解答も丁寧で分かりやすいものです。

例題で学ぶやさしい電気回路 交流編
堀 浩雄
森北出版
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 本書は上の本と比べると、応用問題のようなものを中心に問題が選ばれています。範囲は三相交流までです。過渡現象は入っていません。

図解でわかるはじめての電気回路
大熊 康弘
技術評論社
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 本書は完全に参考書です。演習問題はありません。解説がとても分かりやすいもので、公式の導き方なども丁寧に解説されています。こちらも過渡現象は含まれていません。

例題で学ぶ過渡現象
例題で学ぶ過渡現象
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大重 力 森本 義広 神田 一伸
森北出版
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 本書はタイトル通り、過渡現象に範囲を絞った演習書です。分布定数回路も含まれています。解き方として8割くらいはラプラス変換を「使わず」に直接微分方程式を解くやり方を取っています。そのような解き方から知りたい人にとっては、丁寧な解説と言えると思いますが、ラプラス変換を使った解き方を知ってしまうと、地道に微分方程式を解いていくのがあほらしくなると思います。ラプラス変換を使った解き方の解説を求める人は別の演習書に当たった方がいいかもしれません。

情報理論

 情報理論については、かなり色々な本に目を通しましたが、分かりやすい本があまりなく、勉強しずらかったというのが率直な感想です。

 ある本に載っていた文章ですが、

初心のほどはかたはしより文義を解せんとはすべからず、まず、大抵にさらさらと見て、他の書にうつり、これやかれやと読みては、又さきによみたる書へ立かえりつつ、幾編も読みうちには、始めに聞えざりし事も、そろそろと聞ゆるようになりゆくもの也。

                        ―本居宣長

 という姿勢で勉強していくことになると思います。

情報理論のエッセンス
平田 広則
昭晃堂
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情報理論 (電気・電子系教科書シリーズ)
三木 成彦 吉川 英機
コロナ
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 それでも比較的分かりやすかったのが、この2冊です。とっかかりとしては、いいと思います。ただ、連続情報(アナログ)についての解説はないことと、符号理論については少し駆け足のような解説だと思います。

おそらく唯一といってもいいような演習書として、本書は役立ちました。連続情報も扱っています。

情報・符号理論の基礎
汐崎 陽
国民科学社
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 本書も分かりやすい本で、こちらは符号理論、連続情報の範囲で私はとても助かりました。


論理回路

基礎から学べる論理回路
赤堀 寛 速水 治夫
森北出版
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 初めて論理回路を学ぶ人は本書がいいと思います。本当に基礎から学べます。カルノー図やド・モルガンの法則などの基礎的事項の解説はこの本が断然分かりやすかったです。しかし、基礎しか学べないという面もあり、組み合わせ回路や順序回路の解説は少し足りない感じがしました。

基礎からわかる論理回路
松下 俊介
森北出版
売り上げランキング: 429771

 本書はカウンタの解説が分かりやすく助かりました。

論理回路入門
論理回路入門
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坂井 修一
培風館
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 本書は順序回路の設計についての解説が充実しています。演習問題も多いです。ただ演習問題ではFFは全てD-FFを使った回路しか設計させていないので、これだけだと、他のFFを使った設計をしろという問題が出たら、戸惑うかもしれません。

論理回路入門
論理回路入門
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渡辺 隆二
森北出版
売り上げランキング: 232648

  本書も、順序回路の設計について問題がある程度ありますが、こちらはD-FFに限らず色々なFFを使わせているので、方程式の立て方なども学べます。ただ、解説があっさりしすぎているので、これだけ読んでも多分分からないと思います。そのときは適宜、別の参考書などに当たって理解を深めないといけないと思います。

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